アート

「日本刀の華 備前刀」

静嘉堂文庫美術館で開催中の
「日本刀の華 備前刀」展に行って来ました。
  http://seikado.or.jp

平成から令和と元号が変わっても日本刀へ注がれる視線は、絶えることないばかりか益々熱くなっていく一方のような気がします。世はまさに空前絶後の日本刀ブームです。

2011年に根津美術館で開催された特別展「名物刀剣 宝物の日本刀」(国宝9件、重要文化財22件、重要美術品3件を含む約50件)の会場にはまだ若い女性の姿はありませんでした。

『刀剣乱舞』がリリースされたのが2016年。「刀剣乱舞-ONLINE-」(とうらぶ)は瞬く間に人気ゲームとなりアニメ、映画化と流行に拍車がかかる一方です。


重要文化財 古備前高綱太刀 
鎌倉時代(12~13世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

これまで日本刀に全く興味関心の無かった女性たちを美術館に足を運ばせるまでにさせた「とうらぶ」の力にはあらためて驚かされるばかりです。

ゲームやアニメがきっかけとなり、古くからの文化に新たな光りがあてられることは大変好ましいことだと思います。

さて、日本刀を数多く所蔵している静嘉堂文庫美術館ですが、今回は「備前刀」だけに的を絞っての展覧会となっています。

それでは、備前刀とは一体どのような日本刀なのでしょうか。

一般的に日本刀は江戸時代を迎える直前の慶長までに作られた刀を「古刀」、それ以降主に江戸時代に作られた刀を「新刀」として峻別しています。

「古刀」と呼ばれる日本刀の主要製作地は5か所ありました。山城・大和・備前・相模・美濃です。

重要文化財 長船真長小太刀
鎌倉時代(13~14世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

このうち、備前(岡山県南東部)は、上質な原料や水運の利に恵まれ、平安時代より優れた刀工を輩出し、圧倒的な生産量を誇ったことから、今日「刀剣王国」と称されています。

「長船」や「一文字」といった刀の名称だけは聞いたことがあるはずです。それらは全て備前で作られた日本刀です。

日本刀は自然との協力体制が得られて初めて形を成すことが出来ます。つまり、原料となる良質な砂鉄が採れること、大量の火力を必要とするので森林資源が豊富なこと、そして綺麗な水があることなどです。

現在のように飛行機やトラックで原材料を運び届けることが出来なかった時代です。これらの条件を満たして初めて日本刀を作ることが可能となったのです。

5大生産地の中でも頭一つ抜きん出ていた備前で作られた日本刀の特徴は、「腰反り」の力強い姿と、杢目を主体とした精緻な地鉄に「丁子乱れ」と呼ばれる変化に富んだ刃文とされています。

ここで言葉で説明することは出来ませんが、会場には丁寧なパネル解説や、刀ごとの見どころなどもキャプション脇に置かれているので、日本刀初心者にも非常に分かりやすい展示となっています。

鎌倉武士や戦国武将たちをはじめ、多くの人々を魅了した備前刀だけを展示する会場も、無駄を一切省いたとても潔い空間となっており、備前刀の魅力にどっぷりと浸れます。

国宝 曜変天目
中国・南宋時代(12~13世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

そして何と、日本刀と並んで大注目を集めている、国宝「曜変天目(「稲葉天目」)」が特別出品されています。

展示室から飛び出し、今回は自然光がたっぷりとあたる場所での曜変天目の公開です。日の光を浴びて虹色に輝く曜変天目をその目でしかとご覧あれ!

運が良ければ、曜変天目と富士山が一度に観られたりもします!!

「日本刀の華 備前刀」は6月2日までです。是非是非~

会期:2019年4月13日(土)~6月2日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし、4月29日・5月6日は開館)、5月7日(火)
開館時間:午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
会場:静嘉堂文庫美術館(東京都世田谷区岡本2-23-1)
http://seikado.or.jp
主催:静嘉堂文庫美術館

 

※本記事は、ブログ「青い日記帳」Takさんの許可を得て以下の記事を転載させていただいたものとなります。
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5454

 

Tak

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美術blog「青い日記帳」主宰。『カフェのある美術館』(世界文化社)『美術展の手帖』(小学館)編集。『フェルメールへの招待』編集・執筆。ぴあ、goo連載。『文藝春秋』書評寄稿など、各種講演・執筆活動など、幅広く活躍中。

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