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【映画評】ミレーの絵画世界をリアルに再現?!映画「田園の守り人たち」試写会レビュー

映画「田園の守り人たち」を観て来ました。


「田園の守り人たち」公式サイト
http://moribito-movie.com/
岩波ホール
https://www.iwanami-hall.com/

2019年7月6日より岩波ホールを皮切りに順次全国公開となる映画「田園の守り人たち」。まずは2分弱の予告編をご覧になって下さい。

7/6「田園の守り人たち」予告編

1915年、第一次世界大戦時のフランスの片田舎が舞台の映画。全編を通し美しい風景・景色がスクリーンに映し出されます。

ただ、映画を紹介する際に風景の映像美が素晴らしい!と書くことは、暗に内容は大したことはないことを意味したりするものです。

でも、「田園の守り人たち」は違います。

しっかりと女性たちの物語を描いています。そう、戦争で旦那や息子が駆り出され、男手が足りなくなった農地を必死で守ろうとしる女性たちの姿を。

一心不乱に種をまく姿は、種まきの時季に間に合わせるためでもあり、また戦場へ赴いている身内のことを一時忘れるためでもあります。

そしてそうしたシーンはバルビゾン派のミレーが描いた農民画の世界観と見事なまでに一致します。監督がミレー作品を意識したことは疑う余地はありません。


ジャン=フランソワ・ミレー「種まく人」1850年 油彩、キャンバス、101.6 × 82.6 cm
ボストン美術館

描かれている農民が男性ではなく、女性になっただけです。

残された女性だけで農作業は務まりません。そこへひとりの女性がお手伝いとしてやってきます。

彼女は決して「ゴジラ」ではないので、別段大地を揺るがすような大きな変革がそこにもたらされるわけではありません。

誰も気が付かぬ程度の微細な変化に過ぎませんが、鑑賞者はそれを知ってしまいます。

そしてその小さな一穴が、いつ知らず不協和音となって影を落とし始めます。とは言えそれも普段見慣れている映画やドラマに比べれば全く大ごとではありません。

だから、ミレーの絵画のような美しい風景に集中できるのかもしれません。


ジャン=フランソワ・ミレー「藁を束ねる人」1850年 油彩、キャンバス、56 × 65 cm ルーヴル美術館

「田園の守り人たち」を観ていると、『万葉集』に入っている防人の歌が自然と頭の中に浮かんできます。

それが、この作品の本筋です。と同時に美しい風景も。

多くは語らずとも、派手な場面展開はなくても人間の本質的な想いというものは、どの時代、どこの国であっても決して変わるものではありません。

それを静かに再確認させてくれる極上の作品です。2019年7月6日より岩波ホールを皮切りに順次全国公開となります。


映画「田園の守り人たち」

原題:Les gardiennes
製作年:2017年
製作国:フランス・スイス合作
配給:アルバトロス・フィルム
上映時間:135分
「田園の守り人たち」公式サイト
http://moribito-movie.com/
岩波ホール
https://www.iwanami-hall.com/

※本記事は、ブログ「青い日記帳」Takさんの許可を得て以下の記事を転載させていただいたものとなります。
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5522

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美術blog「青い日記帳」主宰。『カフェのある美術館』(世界文化社)『美術展の手帖』(小学館)編集。『フェルメールへの招待』編集・執筆。ぴあ、goo連載。『文藝春秋』書評寄稿など、各種講演・執筆活動など、幅広く活躍中。

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