アート

日本が誇る名画が魅せる!「巨大画像で迫る五大絵師−北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界−」レポート

大手町三井ホールでは、デジタルアート展「巨大画像で迫る五大絵師−北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界−」が2021年9月9日まで開催中です。楽活編集部では開幕に先んじて開催された特別内覧会に参加。本展覧会の見どころをレポートします。

誰もが知るあの名画を超ド級の大スクリーンで堪能!

本展覧会は、解説シアター、3面シアター、Digital北斎✕広重コーナーによる三部構成。
解説シアターでは、本展覧会の目玉ともいえる超高精細デジタル画像の楽しみ方と作品ごとの注目ポイントのレクチャー。ちなみに、この解説シアターのナレーションを担当されているのはタレントの光浦靖子さん。落ち着きのある声に引きこまれます。

続くメイン会場の3面シアターに足を踏み入れると視界に飛び込んでくるのは、室内をコの字型に囲むようにそびえ立つ縦7m横45mのワイドスクリーン。まさに「規格外」という言葉がピッタリの会場で、日本美術史を代表する5人の絵師の手による名画をはじめ、同時代の金屏風などを次々と楽しめます。上映中のフォトタイムでは、スクリーンをバックに記念撮影も楽しめますよ。

そしてラストのDigital北斎✕広重コーナー。『冨嶽三十六景』および『東海道五拾三次』から厳選した58作品を、大型モニター12台で楽しめます。デジタルとはいえ、両作品を一度に楽しめるのは、浮世絵に強い美術館や上記の作品展示を目玉にした展覧会でもそうそうない機会です。

絵と音のスペクタクル!いざ5人の絵師による名画の世界へ!

本展覧会で登場する五大絵師は、葛飾北斎・歌川広重・俵屋宗達・尾形光琳・伊藤若冲。美術ファンならその名を知らない人はいない、日本美術史の系譜に輝くビックネーム。

各人の代名詞ともいえる名画42作品を、上映作品が毎日入れ替わるダブルプログラムで楽しめます。日程を調整してでも、両方のプログラムを楽しみたいですね!

ここでは、当日上映されたプログラムの中から特に注目していただきたい作品をピックアップしてご紹介します。

葛飾北斎『冨嶽三十六景 凱風快晴』

葛飾北斎といえば富士山。富士山といえば葛飾北斎。

赤富士の異名でも知られる『冨嶽三十六景 凱風快晴』は、赤く染め上げられた富士山の力強さと、ベロ藍による突き抜けるような青空のコントラストから、爽快感すら感じます。麓の樹海や背景を覆うように存在する雲が画中に遠近感を生み出し、シンプルな構図と色合いにもかかわらず圧倒的な存在感を放ちます。

葛飾北斎『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』

『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』は対象的に、画面全体に広がる荒波の存在とそれぞれの波の動きを楽しむ作品。大きくうねる波と細かく飛び散る飛沫が対照的で、画面からは荒々しいまでの力強さと同時に自然への畏敬の念も伝わってきます。巨大スクリーンに投影することで、肉眼では気づきにくい細かい部分に注目しやすくなるのは、美術ファンとして嬉しいポイントですね。

歌川広重『東海道五拾三次 日本橋 朝之景』

江戸から京都まで続く東海道各地の名所を描いた本作。トップバッターを飾る『東海道五拾三次 日本橋 朝之景』は、朝焼けがわずかにまじる空の下、移動を開始した大名行列の一団と、日本橋の袂を行き交う行商人の姿から、街が目を覚まし少しずつ賑やかになっていく様子が伺えます。日本橋は東海道の起点。旅の始まりと1日の始まりをかけた構成から、センスの良さが伝わります。

歌川広重『東海道五拾三次 御油 旅人留女』

『東海道五拾三次 御油 旅人留女』を見てまず目にとまるのは、往来で取っ組み合う男女の図。喧嘩か?それとも追い剥ぎか?でも、それにしては、ちょっとほのぼのとした雰囲気…?

実はこの御油、留女(とめおんな)による勧誘がちょっと力技というか、やや強引なことで当時から有名だったそう。強引な勧誘の割に、旅人の顔がちょっとだけ嬉しそうにも見えるのはご愛嬌。

俵屋宗達 国宝『源氏物語関屋澪標図屏風』

紫式部による源氏物語に題を求めた俵屋宗達 国宝『源氏物語関屋澪標図屏風』

左隻は「澪標図」から偶然同じ日に住吉神社を詣でた明石の君と光源氏、右隻は「関屋図」から空蝉と光源氏の再開と文のやり取りを、柔らかな曲線と金・緑・白を基調とした色彩で描いています。

従者の表情や目線によって、画中に登場しない光源氏と姫君たちの姿かたちが脳裏に浮かんできます。作品を観るというよりも、客席からの舞台鑑賞をしているような気分です。

俵屋宗達 国宝『風神雷神図屏風』

古今東西の人々に衝撃を与える国宝『風神雷神図屏風』

実は今回最も楽しみにしていて、かつ最もインパクトのある作品でした。大きく見開いた目元で輝く金色の目と、半開きの口元から覗く金色の歯。ボディビルダー顔負けの筋骨隆々とした体躯とポージングも相まって、人ならざる存在の力強さと緊張感がビシバシ伝わってきます。

尾形光琳 重要文化財『風神雷神図屛風』

「風神雷神図屏風」は、俵屋宗達、尾形光琳、鈴木其一それぞれが手掛けた3作品があります。

尾形光琳による本作の風神雷神も威厳はあるのですが、先の俵屋版と比較すると少しユーモラスかつ軽やかな雰囲気。ワイドスクリーンなら、大画面のインパクトはそのままに作品を見比べやすいですね。

尾形光琳『菊図屏風』

豪奢でありながら清楚さも感じさせる大輪の白菊。貝殻を焼き細かく挽いた胡粉で花弁を盛り上げることで、尾形光琳はこの白菊をより際立たせようとしました。白菊そのものに凹凸があることで、菊の葉、蕾、花はより生き生きと見え、菊の花が咲き乱れる庭園に迷い込んだような感覚になります。

伊藤若冲『仙人掌群鶏図』

ここ10年ほどで人気・知名度ともに急上昇した伊藤若冲。

若冲がこよなく愛した画題でもある鶏を、当時まだ珍しかったウチワサボテンとともに描いた襖絵です。若冲の作品の特徴は、緻密な構図と徹底的な写実に基づく正確な描写。大画面に映し出された鶏を見ると、羽と足の質感の違いが伝わってきます。このサイズになることを見越していたかのような違和感の無さです。

名画と一緒に記念撮影をして夏の思い出づくりにも!

作品関連グッズもズラリ。目移りしてしまいますね。

会場を出た先にあるショップでは、公式ガイドブックと作品関連グッズも絶賛発売中。巨大スクリーンで見た名画を自宅で楽しむこともできます。家で過ごす時間が長引いているご時世柄、自宅でも手軽にアートを楽しめるのは魅力的ですね。

本展の魅力は、美術ファンはもちろん、普段アートに触れる機会が少ない方も楽しめることだと思います。「あ!これ教科書で見た!」といいたくなる作品が次々と登場し、記念撮影も楽しめるので、せっかくの夏休みを友人や家族とどこかに出かけたいけれど遠出はしたくない方にうってつけのイベントではないでしょうか。

【展覧会データ】

巨大画像で迫る五大絵師−北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界−
会期: 2021年7月16日(金)~ 9月9日(木)
会場:大手町三井ホール(東京都千代田区大手町1-2-1 Otemachi One 3F)
観覧料(税込):一般 2,000円
公式サイト:https://faaj.art

本河美佳

本河美佳

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金融機関とベンチャー企業での勤務後独立した、フリーランスのライター。記事を書くうえでのモットーは「何かを変えたい誰かの背中を押す」です。
気になることにはまっしぐらな性格で、心のアンテナに引っかかったイベントに参加したり、ちょっとニッチで面白そうなスポットを訪問したりしています。
学生時代には学芸員の資格を取得した博物館・美術館好きで「博物館は誰のもの」(https://who-belongs-to-the-museum.hatenablog.com/ )を不定期更新中。

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