アート

今度の若冲展はひと味違う!福田美術館「若冲誕生展」に行ってきた!

ここ数年ですっかり有名になった江戸時代の天才絵師・伊藤若冲。2016年に生誕300年を記念して東京都美術館で開催された「伊藤若冲展」には連日数時間の入館待ち行列が発生するなど、若冲ブームは一種の社会現象となりました。

それ以来、毎年のように伊藤若冲を特集した展覧会が日本各地の美術館で行われています。熱心なアートファンなら、入門書や雑誌に掲載されているような若冲の主力作品はここ数年であらかた鑑賞をコンプリートできた人もいるのではないでしょうか?

僕自身も、過去2~3年で開催された「若冲」と名のつく主要な展覧会は欠かさず見るようにしてきました。特に、2019年春の「若冲展」(福島県立美術館)や、「奇想の系譜展」(東京都美術館)を見終わった後は、「さすがに若冲は結構見たかな」とお腹いっぱいになりかけていたところでした。

しかし!!

まだまだ若冲の世界はこんなものではない!とヌルいアートファンに「喝」を入れるような凄い若冲展が始まったのです!それが、2020年3月28日から福田美術館で開催中の「若冲誕生~葛藤の向こうがわ」です。

いや~この展覧会は凄かったです。日本美術ファン、若冲ファンなら絶対見ておきたい凄い内容に仕上がっていました!

そこで、本稿では、一体何がそんなに凄いのか、簡単にレポートをまとめてみました。残念ながら4月10日現在、同館はコロナウィルスの感染拡大を受けて休館中となっていますが、再オープンされた暁には、ぜひその目でじっくりと展覧会の凄さを体感してみてほしいです。それでは、早速いってみましょう!

若冲誕生展の3つの「凄さ」

凄い点その1:マニアですら見たことのない初公開作品が続々登場!

まずこの「若冲誕生展」で何より注目したいのが、今回の展覧会で初出品された作品の数です。なんせ総点数89点中(うち若冲49点)、実に半数を超える56点(うち若冲25点)が初公開となっているんです。

日本全国で毎年のように多数の若冲展が開催されている中、これは驚異的な数字といえるでしょう。目の肥えた若冲ファンですら、見たことのない作品が沢山あるわけです。マニアをも黙らせるレアな作品、高品質なラインナップを、至近距離で楽しめて、かつ写真撮り放題(※一部、撮影不可作品あり)って凄くないですか?

伊藤若冲「蕪に双鶏図」福田美術館蔵(全期間展示)

特に注目したいイチオシの作品がこちら。昨年福田コレクションに加えられ、修理後初めてお目見えとなった「蕪に双鶏図」です。本作は若冲のキャリア初期の30代に描かれた作品。若冲は40歳前後で実家が経営する青物問屋の主人を引退し、その後本格的に画業に専念するわけですが、本作は若冲隠居前に制作された作品です。

それにしても、若冲の修行時代ってどんな感じだったんでしょうか。

昼間は錦市場の大店の旦那として多忙な日課をこなしていたのでしょうから、きっと絵画制作に割ける時間は、家族や奉公人が寝静まった夜だったのかもしれません。行灯の光を頼りに、深夜一人で書斎にこもってコツコツと絵画修業に励んでいたのでしょうか。本作は、そんな修行時代の作品です。

さすがに後の代表作「動植綵絵」シリーズ等に比べるとまだまだ固い感じもしますが、絵の描き方や絵の具の解き方、草木や動物の凹凸や造形などはすでに若冲らしい個性にあふれています。

伊藤若冲「蕪に双鶏図」(部分)

たとえば、この蕪の葉を見てください。「病葉(わくらば)」といって、わざわざ収穫後に残された、病気で枯れてしまった蕪の葉を選んで執拗に描きこんでいます。赤い斑点がついた葉や、虫が食べたような葉の穴などもリアルな感じがします。

伊藤若冲「蕪に双鶏図」(部分)

そして、このアクロバティックな姿勢の雄鶏!ニワトリってこんなに伸びやかにクビが曲がったりするんでしょうか(笑)細部のリアルな写実性にこだわりつつも、躍動感あふれる自分だけのニワトリを描きたかったのだな、というのが伝わってきますよね。まさに若冲にしか着想できない奇想の世界が広がっています。

伊藤若冲「四季花鳥押絵貼図屏風」個人蔵(全期間展示)

つづいて、5年ぶりの開陳となったレアな水墨の大作が「四季花鳥押絵貼図屏風」です。制作されてから約250年が経過している作品とは思えない状態の良さ。真っ白な紙に一気呵成に描かれており、若冲の筆遣いの凄さが体感できました。筆さばきに全く迷いがなく、圧倒的な集中力で絵に没入したのだろうな、と感嘆させられます。

驚いたのは、これが若冲45歳の時に描かれたキャリア中期の作品であったことです。展示室2でも同様に群鶏が躍る晩年の屏風絵が展示されていますが、それと見比べても全く出来栄えに遜色がないんです。

つまり、「蕪に双鶏図」からわずか約10年と短い時間で、若冲の絵画は街の旦那衆の裏芸から一気にレベルアップして、プロの絵師として円熟の域に到達していたんですね。

伊藤若冲「蟹・牡丹図」個人蔵(全期間展示)

こちらも展覧会ではほとんど見ないレア作品。本展が11年ぶりの出品です。真ん中に描かれているのはタラバガニです。そして、タラバガニの足についているのはモクズガニではないかと言われています。

そうそう、若冲作品を見る時は、まず作品中の画面の真ん中に注目してみてください。若冲は、まず描きたいものを素直に絵の一番真ん中に配置するんです。前述した「蕪に双鶏図」では、ちゃんと雄鶏が中央に目立つように描かれていますし、本作ではタラバガニがクローズアップされていますね。複雑な構図は使われない事が多いんです。

なので、本作を見ると素直に「あぁ、若冲はこの時タラバガニが描きたかったんだな」と素直に解釈することができますね。

凄い点その2:知られざる若冲を知る!レアな資料群!

左:伊藤若冲「雨樋に雄鶏図」個人蔵(前期展示)/右:「革叟」偈頌 伯珣照浩筆 個人蔵(前期展示)

続いて本展で是非注目してほしいのが、若冲をより深く理解するための「資料」的な展示の充実。滅多に展覧会に出品されない珍しい作品が揃っているんです。

たとえば、上記の作品(画像右)を見てください。本作は展覧会で唯一出品されている《「革叟」偈頌》(かくそうえじゅ)という書跡の作品。終わりから三行目の文字の真ん中あたりに、「革叟」の「革」が見えますが、こちらは若冲が58歳の時に黄檗山萬福寺にお参りした際、当時の中国人住職から「革叟」という名前を頂いた際に若冲に贈られた書跡です。

ちなみに「革叟」というのは、絵の世界に革命を起こした翁、という意味です。長い間錦小路の青物問屋の主人を務めながらも、絵の世界でも革命を起こすような素晴らしい作品を描いている。あなたの姿はまるで泥の中に咲く蓮の花のようだ、といった内容の褒め言葉が書いてあるのだそうです。

ただ、岡田学芸員の解説では、この「革叟」という名前を頂いた当時の若冲は、心中複雑だったのではないかとのことでした。

なぜなら、若冲が58歳の時、彼が主人を務めていた青物問屋があった錦小路が営業停止処分を受けており、錦小路の顔でもあった若冲は、市場を再開させるため、京都郊外の寺社や奉行所に書状を送ったり訪問したりと多忙な日々を送っており、画業どころではなかったからなんですね。

そんな中、あなたはまるで蓮のようだとべた褒めされても、賞賛を額面通り素直に受け取れなかったのかもしれません。

実際、この「革叟」が落款として使われた若冲の絵画、書跡はこれまで1点も確認されていません。高僧から頂いた貴重な画号なのに、一切使っていないんです。亡くなるまで生涯「若冲」のままなんですよね。

伊藤若冲 六月四日付藤幸之助宛て書簡 個人蔵(全期間展示)

続いて是非見ておきたいのが、本展で初登場となった若冲の直筆手紙です。

そんなの、江戸時代中期の画家だったらいくらでも残っているのでは?と思いますよね?!実際、同時代に京都で活躍したライバル・与謝蕪村の書状などは500通くらい残っているくらいですから。

でも、意外なことに若冲が書いた手紙の本物は、今まで一つも確認されていなかったんです。辛うじてこれまで残っていたのは、壁に画鋲で貼り出した手紙をガラス乾板に写した昭和初期の画像資料だけだったんですよね。

では、なぜ今回初めて若冲の書状が見つかったのでしょうか?

実は本展にあたって、岡田学芸員が個人の方が所蔵している池大雅や円山応挙などの書状が貼られた巻物を精査していたところ、偶然発見されたのです。内容は、時節の挨拶から始まり、「4枚の絵が貼られた押絵の値段について、お伝えしたとおり銀一匁をくださればありがたい」と書かれています。(ちなみに銀1匁って、現代の価格に直すと約1000円~2000円程度ですよね?!安いぞ!)

何気ない顧客とのやり取りを記した平凡な内容ではありますが、兎にも角にも現存する唯一の若冲の書状ということで、大変貴重な資料なんですね。

凄い点その3:若冲のユニークな発想力・高い技術力がわかる作品群

伊藤若冲「寒山拾得図」個人蔵(前期展示)

緻密で超絶技巧な彩色画で一大ブームを引き起こした若冲ですが、若冲の凄さはそれだけにとどまりません。晩年期を中心に数多く残した軽妙洒脱な水墨画の面白さも、若冲鑑賞の醍醐味だと思うんです。自由自在で迷いのない筆使い、ユーモアにあふれたテーマなど、若冲の水墨表現の幅広さをぜひ味わってみてください。

たとえば、展示室を入ったすぐのところに展示されている「寒山拾得図」を見てみましょう。中国・国清寺に出入りした伝説の怪僧、寒山と拾得をワンセットで描いた作品。日本美術の画題としては最もポピュラーな一つですね。

寒山、拾得は仏法に通じ、深い悟りに達していた故に、常人には理解し難い破天荒な奇行でも知られていました。そのため、一般的には非常に奇妙・かつ個性的な風貌で描かれることが多い寒山拾得図ですが、若冲が本作で描いた寒山はホッと一息つけるようなかわいさがあって、味わい深いんですよね。

伊藤若冲「寒山拾得図」(部分)/

もちろん、かわいいだけじゃなくて繊細な筆使いも鑑賞ポイントです。真っ黒な墨で滲んだ場所、渇筆で描いたかすれた部分など、墨の濃淡を自在に使い分けて細かく表現する技術力の確かさも見て取れます。

伊藤若冲「芦葉達磨図」太田南畝賛 福田美術館蔵(全期間展示)

こちらは「芦葉達磨図」という、蓮の上に乗って(空を飛んでいる?)伝説の達磨大師が描かれた一見地味な作品。

ここで若冲が描きたかったのは、達磨大師そのものではなく、画面中央で目立つ僧侶の衣の「シワ」なんです。このシワこそが、若冲が得意とした水墨技法「筋目描き」を味わうための絶好のポイントなんです。

筋目描きっていうのは、画仙紙という中国製の紙に墨と墨が接した時、混ざり合わずに間にできる白い線のような筋目を活用した技法です。この白い筋目を利用して衣のシワを丹念に表現しているんですね。

伊藤若冲「芦葉達磨図」(部分)

若冲の水墨画では、この「筋目描き」が至る箇所で活用されているのですが、ここまで意図的に目立つようにしっかりと描いた作品はなかなかありません。ぜひ若冲の「筋目描き」を本作でじっくり味わってみてください。

見逃したくない作品を5つ大紹介!

本展では、まだまだ多数の優れた作品、レアな作品が登場します。そこで、前期展示の作品を中心に、僕がセレクトした是非見ていただきたい作品を5作品厳選してご紹介しますね。

小動物のかわいさが爆発!「仔犬図」

伊藤若冲「仔犬図」福田美術館蔵(前期展示)

江戸時代、子犬を可愛く描く達人としては、同時代に活躍した円山応挙が有名ですが、若冲も負けず劣らずなかなかにかわいい子犬を描いています。

本作は、50代後半頃に描いたと推定されています。よーく見ると、ちょっと目が怖かったりもするんですが、コロコロとした子犬の愛くるしさが洒脱に表現されていますよね。

伊藤若冲「仔犬図」(部分)

オウムの「目」はなんでこんなに黒いの?「松に鸚鵡図」

伊藤若冲「松に鸚鵡図」個人蔵(前期、5/27~6/21)

本作は上述した「寒山拾得図」同様、2019年春に福島県立美術館で開催された「若冲展」に続いての出品。松の木に止まり、真ん中に堂々と描かれているのは純白の羽毛が美しいオウムですね。

彩色画ではありますが、使われた色数も多くないので、ぱっと見の華美な印象はそれほどありません。でも、なんだか不思議と引き込まれる作品なんですよね。

なんでだろうな~と思っていたところ、今回岡田学芸員の解説をお聞きしてその理由が判明しました。それは画面中央に描かれたオウムの描写にあったのですね。

伊藤若冲「松に鸚鵡図」(部分)

ちょっとオウムの頭部を拡大して見てみましょう。

すると気付かされるのがオウムの黒々とした力強い目です。引き込まれるような漆黒なんですよね。実はこれ、目の部分だけ特別に「漆」が使われているんです。こちらを見据えて離さない力強い目にはそんな秘密があったのですね。

また、胡粉を盛り上げながら緻密に描かれた羽根の表現も凄いです。3D感のある精密な描きこみは、まさに若冲の真骨頂ですね。

昇り龍ならぬ昇り鹿?!ユニークで繊細な「鹿図」

伊藤若冲「鹿図」個人蔵(前期展示)

本作は若冲のユニークな着想と技巧的なこだわりの両方が感じられる若冲壮年期の作品。人気作品なので、過去の展覧会に何度も出品されています。

前足を折りたたみ、画面の遥か上方を決意に満ちた表情で見据える鹿からは、上昇志向や上に向かう力強さが感じられますよね。商売繁盛を連想させ、オフィスの応接室や会議室にちょっと置いてみたくなるような作品ですね。

伊藤若冲「鹿図」(部分)

本作で注目したいのは若冲の細部への表現のこだわり。下地に薄い墨を塗っておいてから、しゅっしゅっと細い線でわざと筆先がかすれるような感じで短くて硬い鹿の体毛を表現しようとしていたり、鼻の先端と目の間に産毛を描き込んでみたり・・・

自然光の状態で床の間に掛けて鑑賞した時に、こういった細部はほぼ見えないはずなんです。しかし「神は細部に宿る」とも言われますが、若冲は見えないところにも決して手を抜きません。若冲は見えるか見えないかよりも、自分が描きたいかどうかが一番大切なことだったのでしょう。

コアな若冲ファンは、こうした若冲の細部への徹底したこだわりを見逃しません。一見、何の変哲もない平凡そうな絵の前に10分、15分と動かない人がいれば、きっとその人は筋金入りの若冲マニアなのかも。そういった絵の細部をじっくり観てみると、自分だけが知る若冲の絵の魅力に気づくことができるかもしれませんね。

若冲のDNAを受け継いだ拓版画!「水晶図拓版」

水晶図拓版 長沢芦雪下絵 個人蔵(前期展示)

本展では、若冲が活躍した18世紀の京都で活動した同時代のライバル達の作品も合わせて多数出展されています。(この中にも初出品作品多数有!)

今回、同時代の画家として取り上げられたのは、池大雅(いけのたいが)、曾我蕭白(そがしょうはく)、円山応挙(まるやまおうきょ)、長沢芦雪(ながさわろせつ)の4名です。それぞれ過去に何度も展覧会が開催されてきた京都画壇の巨匠ですね。

その中で特に印象的だった作品が、今回初公開された円山応挙の弟子、長沢芦雪が制作した拓版画作品。木版画や石版画とは違い、白黒が反転した独特の味わいが楽しめる拓版画は、若冲が得意としたジャンルの一つでした。

芦雪は、若冲よりも40年後に生まれ、18世紀京都画壇で活躍した第二世代とでもいうべき画家の一人ですが、一見して「あ、これは影響を受けているな!」と感じられる、若冲へのリスペクトが感じられる洒脱な作品でした。

彼は円山応挙の一番弟子として、また、独自の絵画世界を作り上げた「奇想」の画家として近年人気急上昇中の画家ですが、師匠のライバルだった若冲からもちゃんと学んでいたのですね。

画面からおめでたさが溢れ出る!若冲が学んだ「松竹梅鶴亀図」

熊斐「松竹梅鶴亀図」福田美術館蔵(前期展示)

18世紀、江戸や京都の画家たちに強い影響を与えたのが、1731年頃から約2年ほど長崎に来日し、当時の中国絵画の作風を伝えた沈南蘋(しんなんぴん)という画家です。

本作は、その沈南蘋から直接手習いを受けた唯一の日本人画家・熊斐(ゆうひ)が描いた作品。これでもかといわんばかりにおめでたい画題が選ばれ、鶴や亀などが画面上に密集して描かれた大作です。

強い色彩のコントラストや緻密な描写、動植物の高密度な描きこみなど、非常にアクの強い作風は師匠譲りです。若冲はこうした沈南蘋の作風からかなり影響を受けていると言われています。当時、若冲の周りにはこうした沈南蘋や彼に影響を受けた長崎派の画家の作品があったのでしょう。若冲は、彼らのスタイルをうまく消化して、オリジナルの作風を作り上げていったのですね。

現代作家とのコラボレーション展示も見逃せない!

展示室3 展示風景

本展には、「葛藤の向こうがわ」とサブタイトルがつけられていますが、いろんな葛藤の中から画家・若冲が生まれてきたのだということを、図録や展示を含めて伝えようとしています。

そこで、展示の締めくくりとして選ばれた展示が「若冲の向こうがわ」を探ってみようという試み。現代作家と若冲のコラボレーション展示が楽しめます。

今回、展示室3では京都在住のアーティスト、串野真也さんが若冲からインスピレーションを受けて制作した様々な「靴」を出品中です。

串野真也さん。作品「Roaster and Hen with Turnips」の前で

串野さんは、広島県尾道市因島出身。京都芸術デザイン専門学校を卒業後、イタリアに留学し、帰国後は、自然からインスピレーションを受け、最先端技術と伝統技術を組み合わせた靴作品を製作している現代アーティストです。

そんな串野さんが若冲と出会ったのは2013年。建仁寺所蔵の「雪梅雄鶏図」を初めて見た時、若冲の不思議な魅力に取りつかれてしまったとのこと。

「雪梅雄鶏図」を初めて見た時、作品がなぜか「靴」に見えたのだそうです。それ以来、若冲の絵画にすっかり魅了されてしまった串野さんは、若冲作品から着想を得た靴も数点制作されているんです。

串野真也「Stairway to Heaven C」

串野さんの作品の中で、とりわけ有名なのが「Stairway to Heaven」シリーズです。アメリカのトップシンガーであるレディー・ガガが来日した際、実際に履いたことで、国内外で高く評価されました。靴に取り付けられている羽根は、本物のカラスの羽根を使っているのだそうです。

串野真也「Rosho Hakuo」

こちらは、動植綵絵シリーズの一つ「老松白鳳図」からインスピレーションを受けて制作された作品。靴の「白」と太陽の「赤」が日の丸を想起させる風流な作品ですね。立体作品なのに、まるで掛け軸を見ているような心持ちがしてきます。

ちなみに、展示されているすべての靴は、ちゃんと「靴」としても実際に履くことができるように作られているそうです。

遠征してでも絶対見ておきたい良展示。再オープンを楽しみに待ちましょう!

いかがでしたでしょうか?前後期合わせて初出品を多数含んだ約100点が揃った本展では、初期から最晩年までの若冲作品をはじめ、同時代の画家たちの作品、若冲が参考として学んだ作品、そして若冲の人となりや隠されたエピソードが味わえる資料まで、非常にハイレベルな展示が楽しめます。

残念ながら現在は緊急事態宣言が発令されて一時休館中ですが、再オープンしたら是非足を運んでみてください。他府県から遠征する価値のある、素晴らしい展覧会になっています!

展覧会基本情報

展覧会名:「若冲誕生~葛藤の向こうがわ~」
会期:2020年3月28日(土)~6月21日(日)
(前期:3月28日~4月27日/後期:4月29日~6月21日)
 ※現在、臨時休館中です。再開日は下記公式HPをご確認ください。
 ※休館日: 火曜日(ただし、5月5日は開館し7日休館)
会場:福田美術館(〒616-8385 京都市右京区嵯峨天竜寺芒ノ馬場町3-16)
公式HP:https://fukuda-art-museum.jp

かるび

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メーカー、IT企業で勤務後、41歳にして1年間のサバティカル休暇へ突入。現在は、ブロガー&Webライターとしてアートや映画について主催ブログ「あいむあらいぶ」(http://blog.imalive7799.com/)にて日々見聞きした出来事を書き綴っています。

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