日本が世界に誇る伝統衣装である着物。2020年夏には東京国立博物館で史上最大規模の展覧会・特別展「きもの KIMONO」はコロナ渦にもかかわらず、女性を中心に大人気でした。
そんな中、単なる伝統文化の象徴として愛でるだけでなく、「~世界はきっと、ひとつになれる~」というスローガンを掲げて、着物を世界平和のために活用しているプロジェクトがあることをご存知でしょうか。
その名も「KIMONOプロジェクト」。世界中の国・地域を象徴する全213着のオリジナル「KIMONO」を制作し、国際的なイベントで披露することで、平和の願いを世界中に届けよう、という野心的なプロジェクトなのです。
えっ?着物で世界をひとつに・・・?!
「着物がなぜ世界平和につながるの?」「そもそも、そんなことできるの?」と、正直なところそれだけを聞いても、すぐにはピンと来ないかもしれませんよね。
しかし、この「KIMONOプロジェクト」は、2014年にスタートして以来、2015年のミラノ万博、2016年のG7、2017年アスタナ万博、2018年の第8回太平洋・島サミット、2019年のG20大阪サミット、TICAD7アフリカ開発会議、ラグビーワールドカップのオープニングセレモニー、2020年は国際連合創設75周年記念事業の調印式開会式など、注目度の高いステージへ次々と登場。世界中の報道メディアが注目するビッグイベントでKIMONOを登場させ、平和へのメッセージを世界中に送り続けてきたのです。
一体どんな魔法を使ったら、こんな個性的な企画が生まれ、設立後数年もしない内に重要な国際イベントに出てメッセージを発信できるようになったのでしょうか?
今回、楽活では、縁あってこのKIMONOプロジェクトを手掛ける一般社団法人イマジンワンワールドで現在代表を務める手嶋信道(てじまのぶみち)さんに取材させていただくことができました。いったい彼らは、その唯一無二の活動内容でどのようにして奇跡を作り出してきたのでしょうか?代表を務める手嶋さんのユニークすぎる経歴なども含め、驚きの連続でした!
それでは、早速ご紹介していきます!
KIMONOプロジェクトとは?

まずは、はじめに「KIMONOプロジェクト」の概要についてまとめておきましょう。
冒頭で書いたように、本プロジェクトは、日本の誇る伝統衣装・KIMONOを通じて世界が手をつなぎ、平和への願いを実現しようという高い志をもって2014年にスタートしました。
その「KIMONOプロジェクト」を展開しているのが、一般社団法人イマジンワンワールドという団体です。代表理事の手嶋信道さんを含め、約20名のメンバーは全員手弁当で活動しています。つまり、ボランティアによって支えられている非営利型の社団法人ということですね。
プロジェクトでは、2014年から約6年かけてオリンピックに参加する国と地域、そして難民選手団など(※)をあわせて全部で213着の着物と帯を制作しました。着物は全て袖が長く華やかな「振袖」で統一。制作費用は、100%企業や個人、各団体からの寄付で賄い、各着物には、それぞれの国・地域の自然や文化、歴史を映した絵柄が反映されています。
(※)オリンピックに向けて207着を制作(参加予定の国と地域 206 + 難民選手団)、ラグビーW杯の英国を構成する地域など6を加えると、全213着を制作。

2020年7月、東京オリンピック・パラリンピックを前に、ついに全213着が完成。できあがった着物は、順次様々なイベントでの展示やパフォーマンスに活用されています。非常に華やかで美しい最高級の着物は、やがて口コミに乗って評判を呼び、徐々に知名度を獲得していきました。特に2018年頃からは、スポーツの国際大会や国際会議などのビッグイベントにも参加。確実に実績を積み上げる中で、さらに注目を浴びて話題になる・・・という好循環が続いています。

2020年10月には、京都市京セラ美術館にて、同プロジェクトが始まって以来、過去最大規模の展覧会「2020 着物に世界を映す」を開催。
これまで制作した213の着物と帯を一挙展示して、目の肥えた着物ファンを唸らせました。時節柄、事前予約制での入場となりましたが、京セラ美術館がリニューアルして以来の来場者数の最高記録 を更新し、入場制限がかかるほどの大盛況でした。
そして、現在の目標は2021年の東京オリンピックでの披露です。世界の国と地域の代表選手が勢揃いし、世界で最も注目を集める開会式に、KIMONOを着た女性たちが、手に手を取り合って平和を願うセレモニーを実施したい。大使館、制作者、スポンサー、みんながチーム一丸となって、その大目標に向かって日々取り組んでいます。
しかし設立してわずか数年の小さな慈善団体が、これほどに大きな成果を手にすることができたのはまさに奇跡としか言いようがありません。野球で例えていうならば、創部数年の新設校が甲子園に出場するようなものですよね。
では、一体こうした奇跡は、どのようにして達成されていったのでしょうか。KIMONOプロジェクトの凄いところをじっくりと検証してみましょう。
奇跡を連発するKIMONOプロジェクト!何が一体凄いのか?!
大使館をひとつずつ回って213の着物を完成!

まず疑問に思うのが、一体どのようにして213の国や地域にゆかりのあるデザインの着物を制作することができたのか、ということです。たとえば、アメリカやフランス、中国といった先進国の文化や歴史であれば、いくらでも情報は手に入りますよね。しかし、たとえば西アフリカのニジェール共和国だったり、ポリネシアのサモアといった日本人には比較的馴染みが薄い国だったらどうしたらいいでしょうか?
簡単です。それは、その国を一番知り尽くした人に聞けばよいのです。では、日本にいながらにして、それぞれの国に詳しい専門家はどうやって見つければよいのでしょうか?
そこで、ひねり出したのが「わからなければ大使館に聞いてみよう!」ということでした。
でも、いきなり何のコネも立場もない人間が大使館に行って、いきなり大使が会ってくれるのでしょうか。
・・・もちろん、会ってはくれません。
最初は、何度も門前払いにあいました。少しづつ会えるようになってくると、断食期間中なので面会の時にお茶を出せないと説明してくれたり、お祈りの時間が数時間あるのでアポは午前中がいいとか、お正月がない国は元旦からアポの候補日を言われたり。国によって宗教や文化、風習が違っていることを肌で感じながらの訪問活動でした。大使館を置いていないところは領事館に行ったり、JICAに相談して当該国の在日外国人を探したりもしたそうです。
こうして、粘り強く各国の大使館に通い続けるうちに、大使館と作者と一緒に着物のコンセプトを考えながら、1つずつ着物が完成してゆき、約6年かかって全213の国と地域すべてをコンプリートしていったのです。考えるだけでも、途方も無い話ですよね。

一つ、完成した振袖を見てみましょう。こちらは「アメリカ」の着物です。
この着物をよく見て下さい。アメリカを象徴するようなストーリーがこの着物にたくさん描かれているんです。たとえば、アメリカ大陸にかかるように描かれた多数の花々は、アメリカの全50州の州の花で構成されています。着物を華やかに彩ってくれていますよね。
また、花々の間に見えるモチーフにも注目してみましょう。フィルムみたいなものは「ハリウッド」。背番号みたいな数「42」はアメリカを代表する伝説の野球選手ジャッキー・ロビンソンを表しています。彼は黒人ではじめてメジャーリーガーとして活躍したレジェンド。アメリカンドリームを体現する存在でありながら、差別撤廃への象徴でもあるのですね。さらには、少し見つけづらいですが、自由の女神もちゃんといます。
そして右上の宇宙空間からアメリカ大陸を覗き込むように見守るのが、北米地域に数多く生息するアメリカの国鳥「ハクトウワシ」です。右下には宇宙船「アポロ号」などもサラリと描かれるなど、非常に芸が細かいですよね。
もう一つ見てみましょう。こちらは「インド」の着物です。

この振袖は、東京都中央区の泰明小学校の4年3組の生徒にデザインを依頼して完成しました。小学生にデザインを頼むなんて遊び心がありますよね。
この取り組みは、1998年2月の長野オリンピックから始まり、現在では国際的な拡がりをみせている「一校一国運動」の一環です。オリンピック開催地の学校が応援する国や地域を決め、当該国・地域の文化や言語を学習したり、当該国・地域のオリンピック選手や子供たちと交流したりして異文化理解を深めようとする活動です。だから、小学生のみんなも真剣です。

4年3組では、インドの振袖デザインを担当することが決まって以来、1年間じっくりとクラス全員でインドについて学びを深めていったそうです。そして、クラスの最後の数日間でインドをイメージするものをデザインの原案として生徒一人ひとりが自由に描いていきました。
出来上がったものを見てみると、プロの職人さんが一つのデザインへとまとめ上げているので、それなりの見た目・絵柄には仕上がっていますね。ですが、よく見ると上手な絵もあれば、そうとは言えない絵もあります。でも、職人さんはあえて下絵通りに素朴な子供らしさを残して絵柄で着物を完成させました。

他にも、こちらのページに制作された213の着物と帯が、スポンサーや制作した作家(工房)と共に、国別・地域別に分類されて掲載されています。どれも素晴らしいものばかりなので、ぜひ目を通してみてくださいね。
http://kimono.piow.jp/kimonolist.html
日本を代表する職人やアーティストが喜んで協力してくれた

しかし、実際に213着もの着物を一つ一つ作っていく過程では、また別の苦労があったのではないでしょうか?大使にデザインコンセプトを相談するくらいですから、クオリティの低いものを作るわけにはいきませんよね。
そこで、プロジェクトでは加賀友禅や西陣織といった日本各地でまず最高クラスの職人さんを探し出していきました。

制作費は一律200万円。着物代に100万円、帯に50万円、小物やお仕立てに50万円。大国も小さな島国も、人間国宝の作家も新進気鋭の若手作家も、制作費はみんな平等というところがこの制作プロセスにおける重要なポイントです。

引用:https://www.youtube.com/watch?v=tnlpv0Chi3g

右から4人目:アルゼンチンのKIMONO
その国の誇りとなる作品を託してもらえた、世界の晴れ舞台で厳選して使われて、世界でたった1点しか作られないオリジナルの着物である、ということなら、職人さんの身も引き締まります。
すると、俄然彼らの職人魂・作家魂に火がつき、「最高のものをつくってやろう」とアート性の高い素晴らしいクオリティの作品が出揃っていったそうです。「KIMONOプロジェクト」で作った着物が、人生最高の一着になった、という作家さんも多かったのだとか。完成した作品一点一点には、その国の人々の健康と繁栄、平和への願いが込められています。
口コミで評判が広がり、次々に国際的なイベントへ進出!
こうして最高品質かつユニークな着物が1着1着完成していったわけですが、いくら凄い着物を作ったからといって、それを披露するためのふさわしい場がなければ宝の持ち腐れになってしまいます。
しかし、KIMONOプロジェクトには運もありました。
やることをきちんとやっていたら神様は見ているものです。彼らがサミットやワールドカップといった国際的な大舞台へと進出が叶うきっかけもまた、大使館とのご縁がつないでくれたのです。
ペルーの大使館が奇跡を運んできてくれたのです。

2017年12月23日に「茶会の儀」という天皇陛下の誕生日をお祝いする行事があり、ペルーの大使夫人のご希望で、完成したばかりの振袖を着て出席したのです。ペルー大使夫人からは「自分の国をPRする際、日本文化と私達の文化が両方反映されているこの着物こそ、両国の架け橋になると思った」と好評価をもらえたそうです。
実は、この「茶会の儀」には、一般人は立ち入ることができません。
でも、密かに「ひょっとしたら、ニュースで取り上げられないかな・・・」と期待してテレビの前で待っていたそうです。すると、予想通り見事にニュース番組で放映。そして、画面には、ペルー大使夫人と紀子さま、真子さま、佳子さまが KIMONO について会話している様子がちゃんと映っていたのです!!
この「茶会の儀」でのニュース報道以来、ペルー大使夫人のゴージャスな着物を見た他国の大使から、「自分の国の着物もぜひ作って欲しい」「自分の国の大統領にも見せたい」などKIMONOプロジェクトへのオファーが次々に入るようになりました。
気づいたら、サミットに呼ばれ、ワールドカップにも登場。そしてオリンピック機運醸成のためのイベントでも着物が披露されるようになっていたそうです。この時の「茶会の儀」は、彼らにとってはまさに晴天の霹靂。まるで「奇跡の扉」が開いたように思えたそうです。


大手上場企業の順風満帆な生活をなげうってボランティア活動へ?!クレイジーすぎる代表の存在

東京オリンピックエンブレム柄の浴衣を着物風に着こなすところが流石です。
そして、何よりもユニークな存在が、「KIMONOプロジェクト」を牽引する代表・手嶋信道さんの存在です。
手嶋さんは着物とは到底縁の遠い、大手スポーツメーカー・アシックスにお勤めでした。
手嶋さんは、東京マラソンでの様々なプロモーション活動や、欽ちゃん野球球団(茨木ゴールデンゴールズ)を創設、侍ジャパン女子野球の前身の全日本女子硬式野球を立ち上げ、スペシャルオリンピックスでは 500 万人のトーチランを手掛けるなど、面白いことを次々と実現させるアイデアマン。
一方、会社内では要職に就いて充実した仕事生活を送っていたのに、KIMONOプロジェクトと出会ってから、その活動に惚れ込み、7ヶ月後に退職。KIMONOプロジェクトの活動に専念するようになります。
「それまでは会社員をしながら色んなプロジェクトにたずさわってきましたけど、会社を辞めて取り組もうと思ったのは初めてです。着物を通して世界がひとつになる、という考え方に感動しちゃったんですよね。会社の早期退職制度を利用して、思い切ってやめちゃいました。」
とアッサリ語って頂きましたが、それってめちゃくちゃ凄くないですか?
「直感したんですよ。片手間で中途半端に取り組むことではないと。」
ビジネスパーソンとしてやりがいのある仕事とステータスを享受していたのに、それをスッパリと捨て去って、1円も稼げないボランティア活動へと転身するなど、普通ではまず決断できないですよね。ましてこの不安定で不確実なご時世です。良い意味で「クレイジー」とも思える決断力です。
ですが、そんな規格外の情熱を秘め、経験から成る突破力を備えた手嶋さんが加入して、そこに全精力を注いできたからこそ、KIMONOプロジェクトが現在の躍進を遂げているのかもしれません。情熱は人のご縁を動かし、大きな物事を成し遂げるための一番の原動力になるのです。
手嶋さんの天性とも思える突破力の背景には、彼が常々物事を楽しく良くしたいという想いがある。それがアイデアという形で彼の頭上に舞い降りるのでしょう。
代表理事・手嶋信道さんにインタビュー!

しかし、まだまだ謎は残ります。そこで、僕たち楽活編集部が疑問に感じていることを、手嶋さんにぶつけてみることにしました。ここからはインタビュー形式でお送りします。
―なぜ、着物で世界平和を達成しようと考えられたのですか?
手嶋:なぜ着物なのか?というと、現実の世の中では、世界が今すぐ手を取り合っていきなり一つになるのは非常に難しいからです。たとえば、宗教や利害が異なる大国同士が、今日から突然仲良くできるかというと、そうではありませんよね。だったら、まず僕たちの着物で手を繋ごうよと。着物を着たモデルが国際舞台で手を取り合っているシーンなら、皆さん違和感なく受け入れられますよね。
―なるほど!それは非常に素敵なアイデアですね。
手嶋:しかも、日本にはハロウィンやクリスマス、七夕やお正月など異なる宗教や文化を寛容に受け入れる土壌がありますよね。幕の内弁当みたいな国なんです。そんな国、他にはないじゃないですか。そして、着物は日本文化のわかりやすい象徴でもある。だから、KIMONOプロジェクトっていうのは日本だからこそできることだと思ったんです。
―約6年間かけて世界の国・地域の着物を全部で213着制作されたということですが、1着200万円ですから、単純計算しても4億円以上のお金が必要ですよね。これらはどうやって賄っていったのですか?
手嶋:まさにオールジャパンです。最初はファウンダーの高倉の取り組みに仲間が賛同して協力していました。そのうちの1人が僕でした。それからメンバーだけでなくそのまわりの仲間が寄付をしてくれたり、時間をみつけては企業や個人を地道に1件1件回って、私たちと並行してプロジェクトを紹介してくれたんです。
その輪は徐々に広がって、北海道から沖縄まで、正にオールジャパンのご支援をいただけるようになりました。プロジェクト全体を支援して頂く「グローバルスポンサー」、国を指定して支援していただく「ネイションスポンサー」、1,000円からご寄付頂ける「個人スポンサー」、また、お金の面だけではなく、いろんな方々を紹介してくれたり、イベントのスタッフ、モデルなどあらゆる協力をしていただいています。みんなには本当に感謝しています。日本中からのご寄付やご支援、平和への願いが全213着を完成させてくれたんです。

―簡単におっしゃいましたが、実際は相当大変だったのではないですか?
手嶋:はい、実は大変でした(笑)。1社1社挨拶していきましたが、実際にはこのHP上に掲載されている全スポンサー様リストの100倍以上の会社には訪問していますね。
―えーっ?!凄いですね・・・。
手嶋:そうですね。僕ら1割打者ですから。・・・いや、1割もないかな(笑)でも、本当にいろんな方からご寄付いただけました。ユニークなケースだと、たとえばデンマーク王国ですね。アンデルセン公園が人気の船橋市では市民2000人から1000円ずつ寄付頂いて着物1着分の200万円を賄ったり、マリ共和国の着物を作る時は「全国のマリさん」からお願いしようと、マリさん、マリコさん、マリオさんといったお名前の方限定で寄付いただいたり・・・。日本全国からご厚意をいただけたのは、本当に美しいストーリーだなと思いますね。
―でもここまで「やる」と宣言して本当にやりきっちゃうのは凄いなと思います!
手嶋:僕、Facebookがなければ途中で「もうやーめた」となっていたかもしれないです。みなさんに「やります!」と発信しちゃっているので、今更やめたら格好悪いじゃないですか(笑)。
―KIMONOプロジェクトは、様々なイベントをこなしながら少しずつ大きくなっていきましたよね。その中でも、手応えがあったと感じたり、活動のターニングポイントになったと感じられた思い出深いイベントはどのイベントでしょうか?
手嶋:2018年5月に開催された第8回太平洋・島サミット(PALM8)が一番手応えがありましたね。安倍元総理がサミットのスピーチの場で「オリンピックに向けて、今KIMONOプロジェクトというものが動き出しています」とコメントしていただいた時が一番嬉しかったです。何度思い出しても、鳥肌が立つような感動が蘇ってきますね。

各国要人からも、着物の美しさと平和を目指すメッセージ性が絶賛されました。
―最後に、今後の目標をうかがってもよろしいでしょうか?
手嶋:もちろん、2021年の東京オリンピックです。それは、各国大使館、スポンサー、制作者、応援してくれている皆さまが一番楽しみにしていることであり、応援してくれた理由でもあります。世界中の人々が最も注目するオリンピック開会式において、世界の国と地域、そして難民選手団の着物がひとつの”輪”となるその光景は、世界中の人々に希望と勇気を与えられると思うんです。平和の願い、みなさまの志が世界に届く瞬間ですね。

―たとえば、これからKIMONOプロジェクトに参加してみたい方はどうすればいいですか?
手嶋:どんどん来てください。「何ができます」という話を伺いたいと思います。私たちはボランティアですから、強制はできません。でも、KIMONOプロジェクトに興味を持っていただいた方には、その人のやりたいことをやってほしいと思っています。動画を作りたい、モデルをしたい、記事を書きたいなど何でもいいんです。その道のプロも、全てボランティアでやってくれているんです。
2021年夏の東京オリンピックに何かが起きる?!KIMONOプロジェクトの晴れ舞台はもうすぐ!

「世界各国の『自然・文化・歴史』を着物と帯に映す。それらの着物を通して互いの国が誇りとしているもの、美しいもの、ストーリーを知る「相互理解」、それこそが平和の原点だと考えています。」と、手嶋さんに最後に締めくくって頂きました。
本稿では、最初は小さかった取り組みが、その仲間たちによってわずか数年で国際的な大舞台で影響力をもつような大きな運動へと成長を遂げたKIMONOプロジェクトのユニークな活動内容と、彼らが実現してきた素敵な奇跡の数々をダイジェストでご紹介してきました。今後も目が離せませんよね。
インタビューの最後では「2021東京オリンピックで世界の国々をひとつ残らず歓迎、応援できる、唯一のおもてなしになります」と力強く目標を語って頂きました。
ちょうど11/3に開催されたオリンピック・パラリンピック関連イベント「世界をひとつにする『スポーツ』と『伝統工芸』と『文学』と」(豊島区主催・東京建物 Brillia HALLパークプラザ)でも、、ギリシャ(オリンピック発祥の平和の地)、豊島区がホストタウンを担当するバングラデシュ、セントルシアの3カ国の振袖が登場。実際に各国のモデルが振袖を着て着物をお披露目するなど、準備は万端のようです。

KIMONO は左からバングラデシュ、中央ギリシャ、右セントルシア
ギリシャの作者:坂原栄先生、ローマオリンピック競泳銀メダリスト:石井宏さんと共に。
東京オリンピックに登場したら、本当に素晴らしいことですよね。私達楽活編集部一同も、オリンピックの開会式の会場で、オールジャパンの希望を乗せたKIMONOたちが作る207の大きな輪が輝いているところをぜひ見てみたいです。今後も、楽活ではKIMONOプロジェクトを応援していきます!各国を映したKIMONOたちは、世界の人々が直面する困難に立ち向かい、明日への希望と勇気を与え、感動の光景が広がることでしょう。
一般社団法人イマジンワンワールド及びKIMONOプロジェクトについて

団体名称:一般社団法人イマジンワンワールド
事業名:KIMONOプロジェクト
住所:〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町 17-12-401
公式HP:https://www.piow.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/piow_jp
公式Instagram:https://www.instagram.com/kimono_project/
公式YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=_tPmyRIoUGQ

インタビューを終えた数日後の11月19日、KIMONOプロジェクトのメッセージはついに国連から世界に響いた。それは、京都芸術大学における「国際連合創設75周年記念事業 京都芸術⽂化フォーラム2020 in 京都」のステージ。
選ばれたのは、国連安保理常任理事国5カ国(アメリカ・イギリス・ロシア・フランス・中国)の着物。その5カ国出⾝のモデルがあえて別の国の着物をまとって登場した。国や肌の⾊に関わらず世界がひとつに、平和への想いをKIMONOに託すプロジェクトの理念「~世界はきっと、ひとつになれる~」を表現した。国連⼤学学⻑デイビット・マローン⽒をはじめ多くの来賓の⽅から賛辞や賛同の⾔葉をいただくこととなった。
この日、またひとつ、奇跡の扉が開いた。