動物を描く名手として、数年前から人気急上昇中の木島櫻谷(このしまおうこく)。明治から昭和戦前にかけて京都で活躍した日本画家です。
そんな木島櫻谷の総決算とでもいうべき力の入った展覧会が、2021年10月23日(土)から福田美術館と嵯峨嵐山文華館の共催で開かれることになりました。
開催日はまだまだ先になりますが、日本美術ファンには目の離せない注目展となる本展の概要を、プレスリリースの情報をベースに速報としてお伝えします!
再評価が進む戦前の巨匠・木島櫻谷の画期的な回顧展

近代の京都画壇を代表する巨匠・木島櫻谷(このしまおうこく)(1877-1938)。
木島櫻谷は、明治10年(1877)に京都三条室町の商家に生まれました。精緻な花鳥画を描くことで当時の京都きっての人気作家であった今尾景年(1845-1924)に16歳から師事し、師風を受け継ぎながらもその枠内には留まらなかった櫻谷は、動物画や人物画、歴史画までも「究めて魅せた」特別な存在です。
明治40年(1907)に始まった文部省美術展覧会(文展)では6年連続で上位入賞を果たしており、文展が帝国美術院美術展覧会(帝展)として改組された後も、審査員を務め活動を続けました。

展示される作品総数は、両館あわせて合計109点。うち、約半数となる52点が、美術館では初公開となります。
福田美術館といえば、豊富な日本美術のコレクションで注目を集めていますが、同館では木島櫻谷の作品も多数収蔵。本展では、同館の収蔵作品をベースに、さらに日本中の美術館やコレクターからも作品を借用。近隣の嵯峨嵐山文華館の展示スペースも使って、壮大なスケールで木島櫻谷の傑作群と出会えるのです。
それでは、会場別に展示の特徴を見ていきましょう。
第1会場:福田美術館~動物画や山水画の傑作で櫻谷芸術と出会う~
第1会場となる福田美術館では、木島櫻谷が最も得意とした動物画やで山水画の傑作がズラリ。まずはここでしっかり巨匠の芸術を堪能してみましょう。

ここでは、文展での出品作《駅路之春》(福田美術館蔵)や《和楽》(京都市美術館蔵)、約110年ぶりの公開となる《細雨・落葉》(個人蔵)など、前期展示・後期展示あわせて57点が展示されます。櫻谷を一躍有名にした動物画をはじめ、人物、山水など多岐にわたる作品を通じ、画家としての足跡をたどります。



第2会場:嵯峨嵐山文華館~「おうこくさん」の人となりを感じる~
続いては第2会場です。こちらでは、木島櫻谷がどんな画家だったのか、その人間性や画業全般について特集。木島櫻谷に纏わる各種資料や、同時代に活躍したライバルたちの作品などを通して、その人となりに迫っていきます。

37歳の頃、櫻谷は京都市の北西に位置する衣笠へと移住し、晩年は趣味の漢詩に心を寄せつつ制作に励みました。 第2会場では、公益財団法人櫻谷文庫の全面協力を得て、「おうこくさん」の人となりが偲ばれる作品や遺品を展示。こちらでも、24点が初公開となります。
また櫻谷に続いて衣笠を拠点に活躍した菊池芳文、菊池契月、堂本印象、福田平八郎らの作品も紹介されます。ライバルたちの作品と比べてみることで、木島櫻谷の画風がよりリアルに感じられるかもしれませんね!


日本美術ファン必見の展覧会は、秋の観光とセットでぜひ!
いかがでしたでしょうか?
美術館から発表されたプレスリリース第1弾から、展覧会の概要や見どころを凝縮してお伝えしましたが、非常に期待できる展覧会に仕上がっているようです。
本展『木島櫻谷 ~究めて魅せた「おうこくさん」』は、紅葉がちょうど始まる晩秋の10/23からスタート。嵐山をゆっくり散歩しながら、展覧会を楽しむのも風情があって良さそうですね!
展覧会基本情報

『木島櫻谷 ~究めて魅せた「おうこくさん」』
会期:2021年10月23日(土)~ 2022年1月10日(月・祝)
前期:10/23~11/29 後期:12/1~2022/1/10
10:00~17:00(最終入館16:30)
休館:毎週火曜日・11/23は開館、11/24は休館・年末年始(12/30~1/1)
会場:福田美術館(〒616-8385 京都市右京区嵯峨天竜寺芒ノ馬場町3-16)
https://fukuda-art-museum.jp
嵯峨嵐山文華館 (〒616-8385 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11)
http://www.samac.jp
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