アート

日本画を体験型展示で楽しむ!『Re 又造 MATAZO KAYAMA』展

画期的な日本画の展覧会『Re 又造 MATAZO KAYAMA』が開催中です。

加山又造という日本画家をご存知でしょうか? 戦後、日本画壇を代表する作家として人気を博し、西洋絵画と日本絵画の融合を目指し、既存の発想にとらわれない技法で傑作を生み続けた日本画家です。

それだけの逸材ですから、これまでも美術館や百貨店などで数多くの企画展、回顧展が開催されてきました。ただ、これまでの展覧会と本展が大きく異なるのは、本展を企画した加山又造の孫にあたる加山由起氏の、もっと「加山又造や日本絵画の魅力を幅広いファンに知ってもらい、作品を気軽に楽しんでもらいたい」という強い思いがあったことです。

実の孫によって企画された『Re 又造 MATAZO KAYAMA』展。通常の美術館などと違い、より自由度の高いイベントスペースを使って、「デジタル」の力を最大限に活用した斬新なアプローチが取られています。これにより、「五感」を総動員して味わう体験型のアート展示が実現しました。見どころのいくつかをご紹介します。

特徴1:「陶板」で再現された「さわれる」作品群

加山又造は、自身の作品を保存・活用するため、生前から作品のデジタル・アーカイブ化に積極的に取り組んできました。今回、そのデジタルデータを活用し、特殊な「陶板」(とうばん)に再現して展示されている作品がいくつかあります。その出来栄えは、本物に違わぬ美しさ。単に陶板上に焼き付けるだけではなく、「原画」の味わいにより近づけるため、最後は焼き上がった陶板上に職人が手作業で修正作業を施しています。

加山又造「華扇屏風」(1966)山種美術館蔵 部分図/触るとひんやり陶板の心地よい冷たさが伝わる

今回の展示のために制作された陶板のいくつかは、ガラスケースなしで至近距離で鑑賞できるだけでなく、実際に触れてみることもできます。ひんやりとした陶板の感触や、絵の具のざらざらした感触や凹凸は、通常の見るだけの鑑賞では味わえない感覚です。ぜひ触れてみて下さい。

特徴2:没入感が凄い!映像・音楽を駆使したインスタレーション

今回の展覧会の最大の特徴は、デジタルと日本画がこれまでにない高いレベルで融合されていることです。G7伊勢志摩サミットで披露された巨大陶板作品「おぼろ」が、立体的なインスタレーションとなって、映像と音楽でパワーアップしています。

加山又造「おぼろ」(1986)個人蔵/陶板に対して映像・音楽・照明による演出で、新たなインスタレーションにまで昇華されています。

「記念撮影コーナー」にと、主催側が勧めている「春秋波濤」は、作品が数枚のレイヤーに分割される工夫がなされています。鑑賞者は絵画の中のレイヤーとレイヤーの間に自由に入って、自ら作品の一部となる「体験」ができます。

加山又造「春秋波濤」(1966)東京国立近代美術館蔵/描かれた波がいくつかのレイヤーに分割され、鑑賞者は作品中に入り込むことができます。ぜひ、作品になった気分で記念写真を!

特徴3:迫力の天井画を巨大空間に贅沢に再現!

「墨龍・雲龍図の間」と名付けられた贅沢な巨大空間で、心ゆくまで2つの天井画を味わえる!

今回の展覧会で、加山氏が思い入れ強く手がけたのが、加山又造が「天龍寺」「久遠寺」にそれぞれ奉納した龍の天井画の再現展示です。一般公開日も限られており、当然、現地に行かなければ観ることができない作品ですが、余裕のある展示空間に、高精細のデジタル映像で再現されることで、迫力ある作品を堪能できます。本展のハイライトとして、心ゆくまで天井を見上げて楽しんで下さい。

上:加山又造「身延山久遠寺天井画墨龍」(1984)身延山久遠寺蔵/下:加山又造「臨済宗総本山天龍寺 法堂天井画 雲龍図」(1997)臨済宗総本山天龍寺蔵

特徴4:代表作の「原画」もたっぷり楽しめる

加山又造「月光波濤」(1979)イセ文化基金蔵/※展示は終了しています

本展は、デジタルアートだけでなく、10点以上の原画作品も展示されています。しかも、加山又造のキャリアを代表するような名作が厳選されて展示されています。「原画」の凄さを通して、加山又造の匠の技を実感できるのです。2017年に日本橋三越で開催された「生誕90年 加山又造展~生命の煌めき」展に続き、大作「月光波濤」を再びこの目にすることができる、またとない機会です。

特徴5:スマホで・携帯電話で撮影し放題!

没後50年に満たない加山又造の作品は、一般的には美術館や百貨店の回顧展では著作権上の理由から「写真撮影禁止」とされる場合が大半で、加山又造の作品を写真に撮って、ブログやSNSで紹介したい!と思ってもなかなか叶いませんでしたが、今回の展覧会は、スマホや携帯に限って、全ての作品が「撮影可能」となっています。しかも貴重な「原画」まで撮影できるのです。この機会にSNSやブログでどんどん紹介しましょう。

加山又造「猫」(1990) 個人蔵 部分図/至近距離で猫の表情もばっちりスマホでで撮れます!

また、撮影した写真は、出口物販コーナーに置かれているデジタルプリント機で、Twitterで「#Re又造」とつけてつぶやくだけで、その場でツイートした写真を無料でデジタルプリントできるサービスも用意されています。ぜひ体験してみて下さい。

まとめ

生前も、常に「伝統」と「革新」を作品製作の軸として、日本の様式美を尊重しつつも、現代の革新的な手法を積極的に取り入れ、独自の境地を見出した加山又造。そんな又造の制作姿勢が、回顧展の展示でも貫かれた本展。「日本画」と「デジタル」の融合をこれだけ推し進めた「攻めた」展覧会はなかなかありません。アートファンなら見て損なしの画期的な展示は、5月5日まで!ぜひチェックしてみて下さい。

※展覧会情報
展覧会名:「Re 又造 MATAZO KAYAMA」
会期:2018年4月11日(水)~5月5日(土・祝)
会場:EBiS303 イベントホール
公式HP:https://rematazo.tokyo/
公式Twitter:https://twitter.com/Re19272004

かるび

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メーカー、IT企業で勤務後、41歳にして1年間のサバティカル休暇へ突入。現在は、ブロガー&Webライターとしてアートや映画について主催ブログ「あいむあらいぶ」(http://blog.imalive7799.com/)にて日々見聞きした出来事を書き綴っています。

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