2020年に創建100年を迎える明治神宮で、現在「神宮の杜芸術祝祭」が開催されています。

明治神宮の境内には、約70万平米の鬱蒼とした広大な森が生い茂っています。これを「明治神宮の杜」といいますが、なんと100年前の創建時に整備された人工林なのです。
この広大な森林を舞台に、「天空海闊」(てんくうかいかつ)と題して、現在日本でも有名な4名の現代アート作家、名和晃平氏、船井美佐氏、松山智一氏、三沢厚彦氏の野外彫刻展が展示されています。現代美術で活躍されている作家の作品を、参拝者なら誰でも間近で見ることができます。
そこで、今回はこの4名の作家作品を一つずつじっくりとご紹介してみたいと思います。

明治神宮ミュージアムの入口を出てすぐにお出迎えしてくれるのが、名和晃平「White Deer(Meiji Jingu)(2020)」です。この作品は、岡山県の犬島F邸のインスタレーションを起点として誕生し、京都に立ち寄り、東京、最後は宮城県石巻市へも展示されている名和氏の代表作。

明治神宮に住んでいる鹿が森の中から、出てきてきたかのような作品。私たちを見守ってくれているようです。

代々木口から本殿に向かう北参道の途中に設置されているのが、三沢厚彦の虎の作品「Animal2012-01B(2012/2019)」です。木彫による原型の質感を生かしながら制作されたブロンズ製の白い虎が、散策路から森に少し入ったところで歩いているかのよう。
横から見ると、本物の虎のよう。
正面から見ると、ちょっと可愛らしい。

明治神宮へ参拝される多くの人が利用するJR原宿駅に近い南参道鳥居から境内に入り、参道を歩くと見えてくる作品が、松山智一「Wheels of Fortune(2020)」です。

溶接したステンレスを研磨して鏡面状に仕上げた本作は、鹿の角と車のホイールとうふたつのモチーフを組み合わせた作品だそう。
一見、自然とは全く無関係の無機物ですが、ステンレスに森や光が写し出され、調和している作品。

社殿の奥、宝物殿の入口にむかう道の近くにある作品が、船井美佐「Paradise/Boundary-SHINME(2020)」です。途中、もう一つ小さい作品もあるので、そちらもぜひ探してみてください。
あまりにも自然と同化していて、見つけるのが大変です。ぜひ注意深く探してみてください。
一件、正反対にも思える神社と現代アートの関係ですが、作品の意味を知りながら鑑賞することで、昔からそこに作品があったかのように思える展示でした。
世界で活躍されている日本人アーティストの作品を誰でも無料で見られる展覧会です。QRコードを読み込んで解説を聞くこともできるので、ぜひお参りの際には立ち寄ってみてください!
展覧会基本情報

神宮の杜芸術祝祭 屋外彫刻展「天空海闊」
会期:2020年3月20日〜12月13日
会場:明治神宮 神宮の杜
観覧時間:明治神宮の開門・閉門に準ずる
休館日:なし
料金:無料
公式HP:https://jingu-artfest.jp/
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