アート

わたしの新しいモネの見つけ方:「モネ それからの100年」横浜美術館

アートが大好きで、展覧会やギャラリーで見たものをブログに書いているMと申します。週末は注目の企画展に足を運んだり、さまざまなギャラリーにも足繁く通っています。現在、横浜美術館で開催されている『モネ それからの100年』にも注目しており、すでに二度訪問しました。私流ながら、本展覧会の楽しみ方をお伝えできればと思います。

グランドギャラリーには巨大なモネ作品のパネルが。期待が高まります。

横浜美術館において好評開催中の「モネ それからの100年」展。
これは単なるモネの回顧展ではありません。

後に大きく影響受けた海外や日本の作家、モネの影響が見られる作品が並びます。
また、モネの作品をモチーフにした現代美術の作品も。
あれ、これはどこが? と感じる作品もありますが、それはぜひ会場でお確かめください。

さて、「私がみつける新しいモネ。」
ご一緒に見つけに行きましょう。

このバネル、まるで映画館みたいです。

パンフレットのみどころには、

①日本初公開作品も!
モネの絵画の魅力をさまざまな切り口から再発見
②ロスコ、ウォーホル、リキテンシュタイン…
20世紀アートとモネを一緒に楽しめる!
③本展のための新作も!
今日の多様なアートに、モネとの共鳴を見出だす。

とあります。期待が高まりますね。ポイント押さえつつ、見て行きましょう。

まずは親しみが湧くモネの作品にふれる

クロード・モネ。左:《モンゾー公園》1876年 泉屋博古館分室(展示期間:7月14日~8月17日)、右:《サン=ダトレスの断崖》1867年 松岡美術館

まずはモネの作品です。《モンゾー公園》は所蔵先の泉屋博古館分館で何度もみてます。確か日本初購入のモネ作品だったと記憶しています。二作品とも、親しみが湧く作品です。

左:クロード・モネ《ヴィレの風景》1883年 個人蔵

次は《ヴィレの風景》。これは日本初公開なんだそうです。何だか未完成な感じがしますが、実物をしばらく見てるとこれで良いし、これだからこそ、モネだ、とも思えてきます。みなさんはどう思われますか。私はこの作品がそれからの100年を表してるのかも、と感じました。絵画が自由になったんだ、と思えてきませんか?

さて、この後に続くのが、モネではない、現代美術作家。ここで、ニンマリするのか、モネがもっと見たいと思うのか、分かれるところかと思います。私の場合は、ニンマリ。何故かと言えば、大好きなウィレム・デ・クーニングの作品があったからです。好きな作家の作品に思いもかけず出会えるのはとても楽しいことです。

ウィレム・デ・クーニング。左:《風景の中の女》1966年 東京国立近代美術館、右:《水》1970年 国立国際美術館

人なんですよね。それ以外ありえない。クーニングの作品は、建て替えによる長期休館に入る直前のブリヂストン美術館で行われた特別展「ウィレム・デ・クーニング展」(2014年10月8日~2015年1月12日)で初めて見ました。

事前の情報をほとんど持たずに、ブリヂストン美術館の良いところを見てやろうとだけ思って臨みましたが、思いもかけず心にグッときた事を覚えています。人を描いた彼の抽象画から、姿が見えてきて、馴染みやすかった記憶がありました。

好きな美術館の展覧会は欠かさずに行くようにしていますが、思わぬお気に入りが出来ることがあります。

近くて行きやすい、入館料が手頃、何度も見たくなる作品がある、理由は何でも良いです。ぜひ馴染みの美術館を見つけると、もっとアートに親しめると思います。

新しいモネの楽しみ方:その①

脱線しましたが、モネの話に戻りましょう。と、思ったら、目に入ってきたのは日本の作家です。

中西夏之《G/Z 夏至・橋の上 To May Ⅶ》1992年 名古屋港画廊

これはハイレッド・センターの中西夏之さんの作品ではないですか。ハイレッド・センターとは、日本の現代美術を語るのに欠かせない、60年代の前衛芸術のグループです。ハイ=「高」は高松次郎さんの「高」、レッド=「赤」は赤瀬川源平さんの「赤」、そしてセンター=「中」、これこそ、中西夏之さんの「中」なのです。

ただ、私も名前を知ってるぐらいで、あとは“掃除してた”(首都圏清掃整理促進運動)とか、“千円札で裁判になった”(「千円札を印刷」して芸術作品を作った)とかを耳にした程度。そういう、気になった時はちょっと調べてみるといいです。

インターネットでも情報は得られますが、詳しく触れるには、インターネットが無い時代のものですが、関連した本があります。

東京ミキサー計画:ハイレッド・センター直接行動の記録(ちくま文庫)

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480029355/

赤瀬川源平さんは芥川賞受賞作家。当たり前ですが、とても文章が上手く、読みやすいです。

美術館に行き、気になったら、本を探すといいでしょう。探すだけでも楽しいですし、美術館に行けない時も、いつでも美術館、展覧会に行った気分に浸れます。通勤時間が楽しくなるの必至です。

モネから思いもかけず、昭和のアートシーンに触れるきっかけとなりました。

新しいモネの楽しみ方:その②

マーク・ロスコ 左:《ボトル・グリーンと深い赤》1958年 東京現代美術館、右:《赤の中の黒》1958年 大阪新美術館建設準備室

おお、ここでロスコ登場ですか。基本的に二色、単純化の極みのような構図ですね。これが、ロスコの作法。これとモネの関係? 単純化した結果がこれか、ある色と色の組み合わせ、それがモネの作品の見所かと思われてきます。再びモネ作品をじっくり見つめてみたくなります。

モネに影響を受けたとされる作家や作品で気になったところを見つけたら、モネの作品に戻って見てみましょう。

20世紀の大家の作品には明らかな共通点があり、ざっくりとそのイメージを掴む。ほんと、よくやりますわ、というくらいの類似感、半端無いです。あくまで私感ですけど。

あ、またか、と思う回数が増えれば、見てる方としては、しめたものかなと。ちょうど、お笑い芸人の十八番に触れるのに近いかもそれません。

さて、そうした観点からすると、おやおやこれは?と見える作品もあります。新たな出会いかな、とも言えますが。そんな出会いは本展でもいくつかありました。

モーリス・ルイス。左:《ワイン》1958年、広島現代美術館、右:《金色と緑色》1958年 東京現代美術館

いずれも大きな作品でした。こちらも、色と色の組み合わせ、そして混じり合い、滲み(ステイニング)技法を用いて、観るものの感覚に訴えてくるようです。モーリス・ルイスという作家は今回初めて見ましたが、新たな出会いはよいものです。

新しいモネの楽しみ方:その③

福田美蘭《モネの睡蓮》2002年 大原美術館

今回、日本の作家の中にも気になる方がいました。福田美蘭さんの作品もお目当ての一つでした。福田さんは、押しも押されぬ人気の現代美術作家のお一人です。この作品から、モネがお好きなんだなあ、と強く感じました。

福田美蘭 左:《睡蓮の池》2018年 作家蔵、右:《睡蓮の池、朝》2018年 作家蔵

福田さんの作品は本展後半にも。これは見応えがありました。これらは本展のために制作された新作で、《睡蓮の池、朝》は横浜美術館のみの展示です。夜景や明け方にみえるガラス窓に写り込む内部は、想像に易いです。モネを意識してるのはもう明白です。

左:サム・フランシス《Simpicity(SEP80-68)》1980年 セゾン現代美術館

こちらはアクションペィンテング? いえいえ、ここまで見てくるとモネをモチーフにしてるんだなと思えてきます。サム・フランシスのこの作品は軽井沢にあるセゾン現代美術館の所蔵です。軽井沢には、現代美術の美術館が他にもいくつかあります。軽井沢でアート満喫も楽しそうです。

現代美術の良さは、多くは作家がご存命で、テレビや雑誌だけではなく、機会さえ合えば、個展やイベントの際に直接、お話しを聞くチャンスがあるということ。

直接、お話をうかがえば、作品や作家ご本人への理解を深めるきっかけになります。現代を生きる作家の視点を理解し、アートが社会の持つ問題にどのように関心を持っているのか知るきっかけにもなります。

モネから現代美術に興味を持つことで、現在のアートへの理解を深めるきっかけになりました。

新しいモネの楽しみ方:その④

オランジュリー美術館を思わせる円形の展示空間。行ったことがなくても、行った感じになれる!?

本展の最後の章である「Ⅳ フレームを越えて-拡張するイメージと空間」には、円形の展示空間が設えられ、モネの「睡蓮」や、それをモチーフとした現代美術の作品が展示されています。

ここでモネが残した言葉が紹介されています。
「睡蓮の主題で一室まるごと飾りつけてみたい。(中略)そうすれば終わりのない全体が、水平線も岸辺もない水の広がりの幻影が、そこに生まれるだろう」

私は以前、オランジュリー美術館のモネの部屋(大作の「睡蓮」に囲まれた円形の展示室)に行ったことがあります。生前のモネが希望していたものではありますが、まさにこの言葉を実現した部屋に魂を込めた超大作がありました。怖いほどの静けさ、とても落ち着いた場所でした。2室あるこれらの部屋でぼんやりしてしまい、ふと、ここに泊まりたいなんて思ってしまいました。

おっと、これは新しくはない、定番の楽しみ方でした。もっとも海外に行ってみるのは気軽にはできませんが。

美術館前の睡蓮の鉢もお見逃しなく。二度目の訪問でも花が咲いてました。

まだまだ楽しみ方は色々ありそうですが、モネ展らしからぬモネ展を少しは感じていただけたでしょうか。
私としては、未知のエリアである、20世紀から現代美術への道を探っていきたと思わせる展覧会でした。

【展覧会情報】
モネ それからの100年
会期:2018年7月14日(土)~9月24日(月・休)
会場:横浜美術館
開館時間:10:00~18:00
※ただし9月14日(金)、15日(土)は20:30まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:木曜日
公式サイト:https://monet2018yokohama.jp

M

M

投稿者の記事一覧

mixiで日記や呟きを数年投稿続け、途中よりアメブロにてブログをスタート。アート開眼は、2009年東京江戸博物館「写楽 幻の肉筆画」展。以降美術館、ギャラリーや博物館巡り、感想をブログにするサイクルが続いてます。基本正統派な西洋油彩画が好物なのですが、日本美術、現代アートとは場広く、アート、アート、時々その他、な日々を送っております。

関連記事

  1. 【イベントレポート】美術を観る楽しさを知る!トークイベント『美術…
  2. 【ミュージアム・プレイリスト】第3回 皇妃たちの音楽『ショーメ …
  3. 爆音上映ならぬ勉強上映? スクリーンから西洋美術を学ぶ。『アート…
  4. 『FINAL FANTASYと天野喜孝の世界展』コスプレイベント…
  5. 大正ロマンの魅力、再発見!東京駅で竹久夢二の世界へ〜『夢二繚乱』…
  6. 【Takのアート入門講座】お気に入りの美術館をみつけよう
  7. 【ひかるの正方形レポート】元祖KAWAIIの世界へ。『大正モダー…
  8. 【路地の美術館~密かな美の愉しみ】Vol.1 岡本太郎記念館

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

シネマ

アート

おすすめ記事

【パパと一緒に】子供も大好き?!自動車文化を無料で楽しめるテーマパーク「MegaWeb」に行ってきた!

小学校の男の子って、とにかく乗り物が好きですよね。僕の子供も、今年小学校3年生に上がったばかりですが…

東京で運慶作品と出会える!「半蔵門ミュージアム」がグランドオープン!

2018年4月19日、東京・半蔵門駅直結の好位置に、仏教美術を専門に取り扱う新たな博物館として「半蔵…

わたしの新しいモネの見つけ方:「モネ それからの100年」横浜美術館

アートが大好きで、展覧会やギャラリーで見たものをブログに書いているMと申します。週末は注目の企画展に…

【イベントレポート】美術を観る楽しさを知る!トークイベント『美術館に出かけてみよう! ~いちばんやさしい美術鑑賞~』

楽しくて、わかりやすくて、1時間半のトークがあっという間でした!楽活のメインライターであり、人気アー…

ひかるの正方形レポート「建築の日本展~その遺伝子のもたらすもの~」

現在、森美術館にて「建築の日本展~その遺伝子のもたらすもの~」が絶賛開催中だ。4月25日(水)か…

PAGE TOP