アート

【展覧会レポート】若い人にこそ観て欲しい!「画業50年”突破”記念 永井GO展」

マンガ界の鬼才・永井豪。1967年「目明かしポリ吉」でデビューして以来、50年以上の間ずっと最前線で活躍してきた巨匠中の巨匠です。

その間膨大な作品を描き続けてきましたが、「デビルマン」「マジンガーZ」「キューティーハニー」「ハレンチ学園」「凄ノ王」など、社会現象を巻き起こし、マンガ史に残る名作も多数残しています。

残念ながら僕はこういった代表作の連載中にリアルタイムで立ち会うことはできませんでしたが、それでも幼少期に祖父から買ってもらったおもちゃはマジンガーZでしたし、最近では、NETFLIXで配信された「DEVILMAN CRYBABY」を楽しみました。

そんな中、画業50周年突破を記念して満を持して上野の森美術館で始まったのが「画業50年”突破”記念 永井GO展」です。フランス政府から芸術文化勲章「シュバリエ」を受賞するなど、今やその国際的にも高い評価を受ける永井豪。これを期に、一体どんな作品を描いていたのかじっくり観てこようと思って、楽活編集部を代表して取材に行ってまいりました。

迫力満点の原画に釘付けに!!


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

まず会場に入って驚かされたのが、物凄い高密度で展示されている圧倒的な原画の量です。100や200ではききません。ちゃんと数えてはいませんが、ざっと600点くらいはあるのではないでしょうか。50年分ですからね。これでもほんの一部分なのでしょう。


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

さらに心動かされたのは、永井豪が描いた原画の持つ圧倒的なパワーです。画面全体にエネルギーがうねるように力強く描かれた「線」や、アクションシーンでのキャラクターの躍動感は圧巻。細部まで丁寧に仕上げられた作品が持つイマジネーションあふれる世界観に釘付けになりました。

僕もアートに興味を持つようになってから、漫画家やアニメーターの原画展を観に行くことが増えましたが、ここまで作品から放射されている強いエネルギーみたいなものをガンガン感じたのは初めてです。なんだか観ているだけで元気になれそう。


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

特に嬉しかったのが、着色されたカラー原画の割合が多かったこと。ビビッドかつ濃厚な配色で描かれた作品は、アメコミにも通じるリアルな劇画調。濃厚な線と色彩で細部まで徹底的に描きこまれ、一つ一つがアート作品としても通用しそうな完成度でした。


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

また、非常に感銘を受けたのがこれまで手掛けてきた作品群の幅の広さです。決してバイオレンスなアクションシーン一辺倒ではなく、遊び心溢れるギャグ漫画の数々や時代を先取りした(?)お色気系ヒロインたちが躍動する原画もたっぷり観られます。

昔の作家は多作多産な傾向にはありますが、ここまでジャンル横断的にイマジネーションを広げて制作できる作家はそうそういないのではないでしょうか。

この原画を観られただけでも、本当に来てよかった。

バラエティに富んだ室内装飾やフィギュア展示も見どころ満載!


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

本展の見どころは原画だけではありません。熱心なファンでも納得できる展示構成の作り込みも良かった。

入り口から出口まで迷路のように組まれた導線をたどっていく中で、マンガのコマを大きく抜き出したペナントや、巨大フィギュア、詳細に再現された制作用デスクなど、展示空間にも様々なアイデアが凝らされていました。


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

撮影OK(※動画はNG)となっている箇所もかなりあるので、ぜひ記念写真を撮って展覧会の思い出を持ち帰ってみてくださいね。


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

満を持して永井豪先生登場!囲み取材もしてきました。


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

バラエティに富んだ原画など詳細に取材するうちに興味が湧いたのが、一体永井豪の無限にも思えるイマジネーションはどこから湧いてきているんだろう?という疑問です。

と、思っていたら館内放送で「まもなく永井豪先生の囲み取材が始まります」とのアナウンスが。

これは絶対お話を聞いてみたい!ということで、特設デスク前での囲み取材に参加。記者からの質問を受け付けてくれたので、聞いてみることにしてみました。

まず驚いたのが、これほど力動感あふれる激しい劇画調のアクションを描く方なのでさぞ野性味溢れる破天荒な方なのかなと思ったら、まったくイメージとは正反対の温厚で優しそうな方だったこと。

でもカメラを向けるとサービス精神を発揮され、満面の笑みを向けてくださいました。1945年生まれで現在74歳とのことですが、非常にお元気そうです。今でも小学館のビッグコミックで「デビルマン・サーガ」を連載中なのですね。図録に収録されたインタビュー記事を読むと、「まだまだ描きたいイメージは無限に湧いてくる」とも書かれており、まさに「小さな巨人」という印象でした。

©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

囲み取材での質疑応答で印象的だったのが、永井豪の持ち味である「お色気」路線と「バイオレンス」路線は、連載当時非常に激しいバッシングを受けていたこと。激しい炎上のプレッシャーに晒され世間の逆風を肌で感じながらも、自らの作風を貫いて少しずつ理解者を増やしながらの作家活動だったのですね。時代を先取りする先駆者の宿命なのかもしれません。

また、僕も質問させていただいたのですが、この幅広い画業を支えたインスピレーションの源泉は「美術館でのアート鑑賞」や「お気に入りの画集」だったそうです。特に現実にないような神話の世界やファンタジーの要素が詰まった作品を手掛けるギュスターヴ・モローやダリがお気に入りなのだそうです。

面白かったのが、学生時代に女性の美しい裸体を描こうとしてお手本にしたのが、学校の教科書に画像写真が乗っていた「ミロのヴィーナス」だったということ。簡単にネット検索すれば山のように画像が得られる現在と違って、当時はメディアも少なく、女性の肌を露出したイメージソースなどは極端に少なかったのでしょう。非常に感慨深いエピソードでした。

囲み取材終了後は、出口付近に設置された鑑賞者が自由に感想やメッセージを残せる「メッセージボード」へと移動。3枚用意された真ん中のパネルに、即興でキューティーハニーをサイン入りで描かれました。ものの数分もかからないうちにパパッと仕上げられた腕前に、改めて(当たり前ですが)「凄い漫画家だな~」と感じたのでした。


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

ミュージアムショップも充実。50年の重みを感じる著作の数々も買えます

さて展覧会を観終わったら、まだ帰ってはいけません!

ぜひ観ていってほしいのが、別室の特設ミュージアムショップです。さすが画業50周年だけあって、50年分のコンテンツが詰まった豊富なグッズの数々は圧巻でした。

特に手にとってパラパラ観てみたいのが、過去50年で制作してきたマンガの数々です。ファン向けの特装版や読みやすくなった大判などコレクターアイテムが多数揃っていました。

そして、アート作品のように緻密に描かれ、濃厚な色彩とデビルマンやマジンガーZなど永井豪作品の人気キャラクターが躍動する「ファインボード」もおすすめ。毎日出社前に眺めたりするとパワーをもらえそう。

こちらはキューティーハニーのコラボ梅酒とデビルマンのコラボ日本酒。

オールドファンだけでなく、若い人にこそオススメの良展示!


©1967-2019 Go Nagai/Dynamic Production.All Rights Reserved.

昨今、漫画家やアニメーターの展覧会も数多く開催されるようになりましたが、今回の「画業50年”突破”記念 永井GO展」は本当に素晴らしいです。「50年突破」記念とサラッと銘打たれていますが、展示を見ていくと50年間休まず描き続けることがどれだけ大変で凄いことなのか実感できます。

石森章太郎(現在は石ノ森)のアシスタントを経て独立し、漫画家としてデビューした永井豪。ギャグ漫画、お色気路線、青春モノ、バイオレンス・アクション、ロボットSFアクションなど、彼は50年間の画業の中で常にイマジネーションを広げて新たな作品を生み出し続けてきました。

その情熱とエネルギーを体感するだけでも、「ああ自分ももっと頑張らなくっちゃ」と明日からの生活や仕事にプラスの活力をもらえると思います。永井豪のことを知らない人にこそ、ぜひ観てもらいたい良展示です!

展覧会基本情報

展覧会名:「画業50年”突破”記念 永井GO展」
会期:2019年9月14日(土)~9月29日(日)
開館時間:10:00~17:00(※入館は16:30まで、会期中無休)
会場:上野の森美術館(台東区上野講演)
公式HP:https://nagai50ten.com/

 

かるび

かるび

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メーカー、IT企業で勤務後、41歳にして1年間のサバティカル休暇へ突入。現在は、ブロガー&Webライターとしてアートや映画について主催ブログ「あいむあらいぶ」(http://blog.imalive7799.com/)にて日々見聞きした出来事を書き綴っています。

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