ニューヨーク・コンフィデンシャル7

このコラムでは、「どうせ私なんか…」というセリフが頭に浮かんでいた日本での私が、多様性の都といわれているアメリカのニューヨークに47日間滞在し、半歩ずつそのマインドを変えていき、『“インドミタブル(不屈の精神)”MAYUMI』になるまでの軌跡を辿っています。

★過去のエピソードはそれぞれ下記URLからどうぞ!
https://rakukatsu.jp/ny-confidential-ep1-20221124/
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#12「Googleマップ使えば」

娘と良い関係を続けるためには良い距離が必要だ。

娘もそう思っているらしく、プライベートタイムには、「行きたいところに行ってきて!もちろん1人で!Googleマップを使って!」と勧めてくれた。「せっかく来たのだから案内しよう。とか、できなくて悪いね」などというそぶりは一切なし。わかりやすい子だ。ベビーがいるのだからできないのはわかっているし、だから手伝いに来たのだと頭ではわかっているけど、でもね、、、。

日本で使ったことがなかったGoogle マップに出発地、目的地、現在位置情報も入れて自分がどの方向に歩いているか確認せよとのご命令!

まぁ便利には違いないけど、交差点で信号待ちがあるとぐるっと1周して位置確認している変なアジア人!アジアンヘイトと言われているこの時期に、ここでこんなに目立ってていいの?

やれやれ、それでもBubby’sという日本初上陸の店の本家で憧れのホイップクリームたっぷりのパンケーキにありつくことは、で・き・ま・し・た。私はホイップクリームだけのパンケーキが好きなので写真がちょっと地味だけど、トッピングのバラエティは実は豊富なのです。

通りかかった消防署、噂通りかっこいいニューヨークの消防車。写真を撮ってもいいと尋ねたら気安くOKしてくれた優しい消防士さんがロシア出身と聞いて、ウクライナ侵攻の今どき複雑な感じも。

でも世界中から人が集まっているのがニューヨークだから、ここではアメリカ対ロシアの図式はさておき、出身国に関わらず、皆なニューヨーカーということかな、それにしては、コロナの感染源と言われてアジアンはヘイトされているらしいけど、私はひとまず無事でした。

壁面にたくさんのゴーストバスターズみたいなエンブレムがあり、これもアメリカンファイアーファイターっぽいね。

ブルックリン図書館にはジャパンコーナーがあって、日本が誇る村上春樹を筆頭に書籍や雑誌がコーディしてあった。慣れない土地で、思いがけずそういうものに会うと懐かしく、いつもの図書館に行った時のように本を読んだ。すると、ここへ来てからのざわざわしていた気持ちがすーっと汗が引くように落ち着いていった。

その帰り道、立ち寄ったアイスクリームショップでアイスクリームと私を自撮りしようとしたら、すごいキュートな黒人の女の子が笑いながら映り込んできて、「ごめんね」と言って、「そうだわ、私があなたを撮ってあげればいいんだわ」と私とアイスを撮ってくれました。

その間、カレシは置いてきぼりでした。自撮り写真に入ってきた人は生まれて初めて、驚きモモノキであった。そして、狙っていたアイスクリームは、すこぶるおいしかった。

これって、キュートな娘だから許された?それとも次は私がやっても大丈夫?私がいきなり人の写真に飛び込んで映り込んでも怒られないかなぁ?ご機嫌損ねて、追っかけてこられないかなぁと心配しつつ、それでもやってみたい誘惑が、、、湧いてくる。これだからニューヨークでの暮らしはやめられない。

#13 広がる人の輪

そんなふうに娘との対戦の前にミニアドベンチャーで気持ちを高めてから、午後から娘のところに行く日課になっていった。お店の人はみな親切。Betty家の近くのペパーミントカフェなんて、私が去る時にひときわ大きく「ありがとう、またね」と私一人に向けて声を贈ってくれる。

でも、お店の英語は結構難しい。スタバなんてまるで聞き取れないし言っても通じない。デカフェがどうしても通じなかった。メニューボードを指さしてもダメ、次回はレーザーポインターを持参しましょうか!!

そうやってパワーを養って、とうとう地下鉄に乗ってハドソンリバーを越え、シティー(マンハッタン島のことをそう呼ぶらしい)に上陸することができた。そこで、ワールドトレードセンターの案内係の人に「日本食材を売っている店はどこですか」とそれが写っている携帯の画面を見せながら訊いた。

ちょっと困った風。もちろん携帯には英語も出ていたから私の英語が通じなかったのではなくて、その場所を知らなかったんだと思う。でも多くのニューヨーカーと同じく親切な彼は、「ついてきて」と言って、着いた先はなんと、和菓子の老舗、源吉兆。

一足先に着いた彼が、「今韓国人から、日本食材の店、どこって尋ねられてるんだけど」と言うと、店員さんが「私は日本人だから韓国語はわからないわよ」と言っているのが外まで聞こえてきた。実はこれはよくあるシチュエーション。

なぜなら、今ニューヨークにはアジア人の中でも韓国出身者が多くそのせいか、私も韓国人とよく間違えられる。それで、親切な案内係は、ここならなんとかできるだろうと思ったら、あろうことか店員さんに私は日本人だからと断られ、それを聞いて韓国人と間違えられていた日本人の私は「日本人に会えた!!!」と小躍りして喜んだという場面。彼の誤解から始まったことだけど、こんなことってあるのねとびっくり!

でももっと驚いたのはこれからで、その店員のタエ子さんに日本食材店をきいて、そのショーケースに飾ってあった日本芸術ともいえる「透けた葛の中に赤い金魚が入っている和菓子」を買って去ろうとした時、タエ子さんがショーケースの向こうから白い紙を出そうとしては、引っ込めたりを繰り返している。何だろうと、私がその紙を見ているのに気づいたタエ子さん、「もし困ったことがあったら、どうぞ電話してください」とその白い紙を手渡された。オドロキモモノキ、サンショノキ、私のような者が気にいってもらえた?いや、あまりに可哀想に思えたのか?いずれにしろ、もはや有頂天!!!これまた、生まれて初めての経験。

後日一緒にフェリーに乗って、自由の女神を見に行ったり、それもそのフェリーはフリーだったり、飛び切りおいしいバーガーを食べて、最終公演間際の「オペラ座の怪人」に滑り込めたり、レゴ・ストアでレゴのイエローキャブに乗れちゃったり、運が運を呼び起こすというループに見舞われることに。私のモットーの1つは「ご縁を展開する」こと。そして、こんな意味ある偶然が起こったのもソロ活のおかげ。

もちろん産後の娘の家政婦をするために来ていることを忘れないように時間を使っている。でも、楽しいのが一番。こうして私のニューヨークはぐっと幅が広がった。

#14 Stoop Sitting

夕方、自宅に帰ってから、一階に住んでいるHannaとよくおしゃべりをした。ソーシャルワーカーなのでこちらの言いたいことを根気強く聴いてくれて、英語もわかりやすくしゃべってくれた。道に面してどの家もたいてい階段を数段上ったところが入り口になっている。その階段に座っておしゃべりをすることをStoop Sittingというのだそうだ。

目の前を通りがかる人たちも会話に飛びこんで来る。隣のマーク、そのマークの恋人、前の家のブラウンファミリー等々、昭和の縁台での夕涼みみたいな感じで気の張らないゆったりした時間を過ごせる。ホテル暮らしだったらStoop Sittingすることなんてできなかったよねぇ~、心に近い経験に恵まれて本当に嬉しい。皆さん、ありがとう。

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