アート

ひかるの正方形レポート「建築の日本展~その遺伝子のもたらすもの~」

現在、森美術館にて「建築の日本展~その遺伝子のもたらすもの~」が絶賛開催中だ。
4月25日(水)からはじまった展覧会も残り1ヶ月を切ってしまった。

人々にとってスゴく身近な存在である「建築」。
建築と言ってしまうととても堅いように聞こえるが、家も学校も会社も博物館も神社もすべて「建築」だ。日々、暮らすという行為を自然に出来ている私達は「建築」そのものを本当はよく知っているはずなのだ…。

心・体・遺伝子で建築を体感し、最後には納得をしてしまう。そして、ちょっとした感動すらある。

遺伝子レベルで感じる…あの時代の建物が目の前に

建築の日本展は…日本の建築を読み解く鍵と考えられる9つ特質で章が編成されていて、どの章(テーマ)も心惹かれるものばかりだ。
(嬉しい事にフォトスポットもいくつか設けられている)
さらに貴重な建築資料の他にも模型から体験型インスタレーションまで100プロジェクト、400点を超える多彩な作品などが展示されている。

最初に目の前に現れる、ミラノ国際万博会2015日本館 [木組インフィニティ]。

日本の木構造、木組の在り方を一つの形に表現したもので、金物も一切使用していない。日本の伝統的な木組の技術によって立体感や木の本来のしなやかさ…力強さを感じる。そして、角度によって見え方が異なるのも面白い。日本人と長く寄り添い、対話をしてきた「木」という存在。その文化を最初の章で学ぶことで更なる可能性というものが見えてくるのかもしれない。まさに木というものは建築のスタートであり、「インフィニティ(無限大)」なのだと実感する。

入るとすぐ見えてくる圧巻の<木組インフィニティ>と、丹下健三設計の香川県庁舎に設置されている長方形の箱をパズルのように組み合わせた間仕切り棚。

さざえ堂はエンターテイメント

模型も見ごたえのあるものばかりだ。

古代出雲大社神殿(現存せず)はかつて社殿が48mの高さがあった、という伝承が残されている。その説をもとに作られた模型・CGは圧巻だ。誰もがぞくぞくする「古代ロマン」が詰まっているのだ。

今もなお現存する、一度目にしたら忘れられないデザイン・会津のさざえ堂。
とても神聖な場所でありながらその構造・かたちはまさにエンターテイメントだ…。

第2章では、シンプルで超越された建築美を感じ、第3章の「安らかな屋根」では日本の風土・環境というものを改めて考えるきっかけになる。雨、風、熱からから守ってくれるだけでは無く、風景と合さることによってさらに建物そのものの魅力が深まるなど、屋根という存在にむくむくと興味は湧いてくる章だ。

空間と工芸

個人的に大好きな「ブルーノ・タウト」。日本に残した唯一現存する建築旧日向邸の地下室には竹や桐をふんだんに用いられ、日本というものをコンパクトに表現した「工芸品」が建築と共存している。第4章では、日本の産業工芸に大きい功績を残した、ブルーノ・タウトや建築目線での工芸品というものを深く知る事ができる。

第5章では最新技のレーザーファイバーと映像を駆使した「パワー・オブ・スケール」。
古建築から近現代建築まで、日本建築の内部空間を3Dで迫力ある映像を体感できる。

茶室・同潤会アパートなどが映像と最新技術レーザーファイバーによって実寸で再現されるリアル3D体験<パワー・オブ・スケール>

多様性建築

和洋折衷・擬洋風建築…とても好きな言葉だ。

第6章では日本文化と西洋文化の折衷のはじまり、きっかけを…第8章では帝国ホテルの旧本館を設計したフランク・ロイド・ライトや戦前・戦後の日本で活躍したアントニン・レーモンドの建築など、「国外からみた日本の伝統建築」を元に創られた近代建築についての展示がされている。

『なぜ人は集まるのか…』

第7章は「公共」「空間」「コミュニティ」がキーワードとなる。
「人と空間」「人と人」について考えながら見る学校・宿舎・研究所などの建築に強い「生」感じる。今 この時代だからこそ、第7章のテーマの重要性を感じる。更に深く知りたくなるテーマだ。

建築と、人と生きる形は本当に様々だ。

ラストは「自然」

見た目的にもインパクトのある「ラ コリーナ近江八幡 草屋根」や象設計集団+アトリエ・モビルによって設計された「名護市庁舎」は沖縄の爽やかな風を感じる造りになっていたり、他にもの緑・風・岩・自然と共に生きている建築が紹介されている。

自然と建築が曖昧になった姿…美しい建築の姿とは?そう誰か(自分)に問いかけたくなる。
自然との調和を大切にしている建築が日本にはこんなにあるのか…と、その数やデザイン性にも驚きが多い。

数々の展示を見終わると、日本の建築をもっと愛したくなり 展示を見る前よりも少し心が温かくなる。建築を通してあらゆる視点を持ち、考え、大事な事を振り返ることが出来る…そんな展覧会だ。

9月17日(月・祝)という終了まで残り僅かな日数…後悔しないようにもう一度足を運ぼうと思う。

■建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの
開催日程:2018年4月25日(水)〜9月17日(月・祝)
開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※会期中無休
展覧会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
入場料:一般 1800円 / 学生(高校・大学生)1200円 / 子供(4歳~中学生)600円 / シニア(65歳以上)1500円

はなのひかる

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Instagram(@hikarudon12)にてiPad ProとApple Pencilで作った「建物□正方形□レポート」をメインにアップをしている、ただの建物好き。現在 iPadで楽しいものを作り出す (エンターテイメントという意味での…)「iPad芸人」の一員として活動中。

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