アート

【てつとび】鉄旅編:快適![快速リゾートやまどり]で行く、高原の現代美術館『ハラ ミュージアム アーク』

[楽活]読者のみなさん、こんにちは。[楽活]で編集長を務めております、ジャーナリスト/美術館研究家のチバヒデトシと申します。よろしくお願いします。以前はその道のマニアだと自分から言うことはなかったのですが、このところのブームもあってか引かれることも減ったので、最近ではみずから口にするようになりました。えっ? アートや美術館が好きだなんて、引かないって? いやいや、アートの話じゃなく、鉄道の話です。そうです。僕は世にも珍しい、“アート好きの鉄っちゃん”なのです。

もちろん鉄道そのもののデザインだったり、鉄道を中心とした都市デザインだったり、まったくアートからかけ離れたものだとは思っていないのですが、世間一般、それ以上にアート好きなみなさんにとっては違和感ありありでしょう。この二つを一つとして扱うのはかなり難しいのですが、幸い僕は鉄は鉄でも“乗り鉄”だったことと、実は美術館の多くが郊外や地方、とりわけリゾートと呼ばれる場所に数多く存在していることもあり、この連載を思いつきました。

ということで本稿では、『鉄道を使って、美術館へ旅する=てつとび(鉄と美)』というミッションをこなしていきます。鉄道以外にそれに準じたバスや飛行機、船といった公共交通機関を使うこともあります。ただし、電車も美術館もどちらも興味あります、という方もそう多くはいらっしゃらないと思いますので、本稿では前半は鉄旅、後半で美術館という二部構成を心がけていこうと思います。それでは最初の旅へと参りましょう。

早速ですが、鉄旅に興味のない方は「美術館編」にお進みください。でも、読めばきっと電車で行くのもいいかなと思ってもらえるかな。

どうして大宮から出発?

初の「てつとび」の目的地は群馬県渋川市の伊香保にある美術館。伊香保にむかうための出発地にはJR大宮駅を選びました。ここはその大宮駅の新幹線ホームです。大宮駅は東京から東北、信越への分岐点であり、言わずと知れた首都圏鉄道網の要衝。東京駅に次いで全国2位の乗り入れ路線数を誇っているって知ってました? 大人気の鉄道博物館、通称てっぱくも大宮駅がJRの最寄り駅になります。

埼玉在住の僕にとって北への旅は大宮駅を起点とするのがベスト。実は池袋、新宿、渋谷といった山手線の西側にお住いの方は東京駅に行くよりも、埼京線や湘南新宿ラインで大宮で乗り換えた方が便利な場合もあります。立川や八王子方面、船橋方面の方は大宮直通の電車も少ないながらあるので、意外と便利だと思います。最近では大宮始発の東北新幹線の臨時ダイヤが組まれたりと密かに大宮駅の需要は高まっています。

余談が長くなりました。大宮を出て向かうのは上越、北陸新幹線がさらに分岐する高崎。高崎には上野東京ラインや湘南新宿ラインから高崎線を利用することもできますが、今回は日帰り旅ですので、先を急ぎましょう。大宮では上越、北陸に向かうさまざまなタイプの新幹線が次から次へとやってくるので好みのものに乗るなんてことも可能です。ただし、高崎を通過する新幹線もありますので要注意です。

二階建て新幹線MaxのE4系。2020年の全廃が決定し、これで二階建て新幹線はすべてなくなってしまう。ぜひ新潟への【てつとび】では二階席に乗車したい!

北陸新幹線開業に合わせて投入されたE7/W7系。EとWの違いはJR東日本とJR西日本の所属の違い。本来、JR西日本では新幹線の形式のあたまにアルファベットをつけていなかったのですが、JR東日本がこれまで他の新幹線にEをつけてきたため、区別するためにJR西日本所属の車両にWをつけたとか

今回は確実に電源が確保できる「E7/W7系あさま」に乗車しました。大宮~高崎間はわずかな移動時間ですが、この後、電源を確保できるチャンスはほとんどないので、少しでもスマホのバッテリを充電しておきましょう。電源確保して、いくつかメールやメッセージの返事をしているうちに、もう高崎到着のアナウンスが聞こえてきました、何しろ大宮~高崎間は最短23分。新宿駅でJRから地下深い都営大江戸線に乗り換えるより早く着いちゃうかもしれませんね。

新幹線に電源。もはや常識

烏川を渡る新幹線の車窓から信濃の山々を望む

群馬に来たのでぐんまちゃん、高崎に来たので高崎だるまにごあいさつ

豪華なのになぜかお手軽?リゾートやまどり

高崎にも魅力的な美術館が数多くありますが、今回は旅の通過点。また別の機会にご紹介します。さて、新幹線ホームから在来線コンコースに降りてきて、改札を出ずにそのまま上越線/吾妻線のホームへ移動します。下りホームで暫し待っていると熊谷方面から入線してきました。それが今回の旅の目玉のひとつ、『快速リゾートやまどり』です。リゾートやまどりは群馬デスティネーションキャンペーンに合わせJR東日本高崎支社の臨時観光列車として2011年から運行しているもので、種車は485系。もともと「やまなみ」「せせらぎ」として運用されていたものを改造したものです。リゾートやまどりは高崎を起点とした北関東の観光列車として、あちこちで活躍しています。

485系特急電車から二度の改装を経て、いまの姿となった「快速リゾートやまどり」。いまや群馬の観光には欠かせない存在

キジの仲間であるヤマドリがあしらわれた「リゾートやまどり」のロゴ

今回乗車したリゾートやまどりは吾妻線の長野原草津口まで行くのですが、目的地はその途中、渋川駅が最寄り駅。リゾートやまどりは臨時列車ですが運行時刻はほぼ固定されており、高崎駅を10時11分に出発して、渋川駅には10時44分に到着するわずか30分足らずの乗車ですが、グリーン車並にゆったりした3列シートから、今回は気ままな一人旅ですので、一人がけを利用しました。ゆったりした座席に座って、大きな車窓に広がる赤城山や榛名山の自然を眺めたり、ちょっと席を立って、先頭車両の展望室で広々とした眺めや自然の中を疾走する前面展望を楽しむなど、短いながらも鉄旅が満喫できました。

グリーン車並のシートに大きな窓。反対側には一人がけのシートが

まさにかぶりつき席。憧れの前面展望席まであるとは

榛名山をはじめ上毛三山をパノラマで眺める素晴らしい車窓

ところで、これほどの特別な外観、ゆったりした車内を考えれば、特急料金やグリーン料金もお高いのでは、と思われるかもしれません。お気づきかもしれませんが、リゾートやまどりは「快速」。そうです。全席指定ではありますが普通列車なのです。ということで、乗車券の他に必要なのは座席指定券520円(こども260円)のみ。こんなゆったりした旅が、わずか520円で楽しめるとはなんという贅沢。もっと乗りたいという方は、リゾートやまどりは大宮が始発(8時52分発)ですので、新幹線を使わずに大宮から乗車するのもよいかと思います。

高崎~渋川は頻繁に普通電車が出ていますので、復路も不便はありません。リゾートやまどりに負けずに人気が高い「快速SLレトロみなかみ」(D51 498)を利用するのも一興かと思います。こちらも乗車券と座席指定券520円(こども260円)のみで乗車できます。リゾートやまどり、SLはともに臨時列車ですので、事前に運行日を調べて利用しましょう。渋川で下車できる上越線方面に行くリゾートやまどりは6月16日(土)、17日(日)、23日(土)、24日(日)に、SLレトロみなかみは6月16日(土)、30日(土)に運行します。なお、7月、8月の夏休み期間は運転日もグンと増えますが、渋川を通らない別の行き先の場合もありますので、詳しくは公式サイトにある「SL関連・リゾートやまどり運転カレンダー」でご確認ください。

バスで高原の美術館へ

渋川駅に着いたら、目的地まであとひと息。渋川駅前から関越交通バスの「伊香保温泉行き」に乗車して、約15分ほどで「グリーン牧場前」で下車。大自然に囲まれ、山鳥の鳴き声を聞きながら、歩けば5分ほどで、目的地の『ハラ ミュージアム アーク』に到着です。

1時間に数本出ているバスは、比較的、電車の到着時刻と上手に連携していて、あまり待たずに乗車できます。グリーン牧場前までの運賃は480円なので、往復ともバスを利用する場合は、伊香保温泉周遊フリー乗車券を購入すると便利です。さらに伊香保グリーン牧場からはほんの少しバスに乗るだけで、情緒ある伊香保温泉がすぐです。日帰り湯だけなら1日フリー乗車券800円(こども400円)、一泊するなら2日間フリー乗車券1,200円(こども600円)がお得です。

鉄道とアート、さらに温泉。なんて贅沢な休日でしょう。

渋川駅からは関越交通バスで目的地へ。IC乗車券は使えないので、乗車前に小銭のご用意を。

グリーン牧場前で下車。バス停の眼の前にはおおきなひつじさんの看板が。伊香保グリーン牧場にも立ち寄る場合はハラ ミュージアム アークの入場券とのセット券1,800円が便利。またハラ ミュージアム アークへ行くにはグリーン牧場内を突っ切ると近道。

グリーン牧場の外周を散策しながら、ハラ ミュージアム アークに到着

緑豊かな美術館、ハラ ミュージアム アークをぜひお楽しみください。続きは美術館編で

【交通情報】

名湯・名跡・ぐんま旅 リゾートやまどり< http://www.jreast.co.jp/takasaki/yamadori/ >

関越交通バス < http://kan-etsu.net >

渋川伊香保温泉観光協会 < http://www.ikaho-kankou.com >

【てつとび】快適![リゾートやまどり]で行く、高原の現代美術館『ハラ ミュージアム アーク』美術館編へ続く

チバ ヒデトシ

チバ ヒデトシ

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アート、デザイン、エンタテイメントとテクノロジーに関連したクリエイティビティについて横断的に取材、執筆活動を行っているフリーランス・ジャーナリスト。メディアやアプリの企画を手がけ、ファシリテーションなども行う。また、さまざまな美術館に足を運び、今後の美術館のあるべき姿を考える美術館研究家としても活動。週4日の美術館、ギャラリー通いは当たり前。デジタルハリウッド大学大学院客員教授(2011〜2016)。元書店員(西武百貨店、リブロ)。仙台出身。

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