アート

笑って学べる古美術の贋作コメディ!『嘘八百』の意外な面白さとは?

洋画・邦画を問わず、著名なアート作品の贋作すり替えや盗難を描いた犯罪映画は、定番の一つとして数多く製作されています。その多くは、史実に基づいたシリアスな構成であったり、サスペンス寄りのタッチが多いのですが、今回紹介する、2018年第1週に公開された「嘘八百」は、その中でも珍しくコメディ色が強い作品です。正月映画らしく大らかに楽しめる「初笑い」作品となりました。

映画の舞台となったのは、千利休の生まれ故郷として知られる大阪府・堺市。古くは織田信長や豊臣秀吉が活躍した桃山時代から海外交易の玄関口として栄えてきた、歴史・文化の集積地として知られた港湾都市です。その一方で、どこかのんびりした田舎っぽさも残るローカルな魅力を兼ね備えた街でもあります。

本作は、そんな堺市のとあるお金持ちの家を舞台に、佐々木蔵之介扮する落ち目の陶芸家と、中井貴一扮する冴えない古美術商が、人生の一発逆転を狙って、これまで誰も見たことのない贋作の「楽茶碗」を作り上げていく、という非常にわかりやすいストーリーで展開していきます。

誰も見たことのない利休の「贋作」を作り上げるのだが…

引用:映画「嘘八百」公式予告動画 / (C)2018「嘘八百」製作委員会

本作のメガホンを取ったのは、近年の代表作「百円の恋」(2014)が日本アカデミー賞優秀作品賞にも輝いた武正晴監督。緻密な設定や描写を積み上げて、味のあるクライマックスを作り上げる確かな力量を持った監督です。本作はリアリティよりもコメディ的な面白さや、ケレン味あるストーリー展開を優先して、正月映画として楽しめる痛快な娯楽作品として仕上がっており、初笑いとして楽しむのもいいでしょう。

大半を関西芸人・関西系俳優で固めたメインキャスト陣

引用:映画「嘘八百」公式予告動画 / (C)2018「嘘八百」製作委員会

しかも関西芸人が主演俳優の脇を固めており、彼らお得意のコメディ演技が、「堺」のゆるいローカル感と絶妙の相性を発揮しての演出が大当たり。関西出身の筆者でも、劇中の人物たちの言葉使いや醸し出す関西人の独特なノリに違和感を全く感じることなく、最後まで楽しく笑いながらエンディングを迎えました。また、主役の二人が贋作として作り上げる「緑楽茶碗」製作へとつながる考証やロジック、伏線が非常にしっかり練り込まれていたり、茶碗の製作プロセスがきちんと省略せず描かれているところなどは、古美術ファンやアートファンにも十分楽しめるポイントと言えます。

ご当地映画としても、見終わったあと、「そうだ、今度ちょっと関西に旅行に行った時、堺に行ってみようかな」と思えるような印象深い作品になりました。大人の「アートコメディ映画」として密かにオススメしたい作品です。上映中のうちに、是非足を運んでみてくださいね。

【映画情報】
『嘘八百』
公開:2018年1月5日(土)~
配給:GAGA
公式サイト:http://gaga.ne.jp/uso800/

かるび

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メーカー、IT企業で勤務後、41歳にして1年間のサバティカル休暇へ突入。現在は、ブロガー&Webライターとしてアートや映画について主催ブログ「あいむあらいぶ」(http://blog.imalive7799.com/)にて日々見聞きした出来事を書き綴っています。

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