アート

今、オンラインが熱い!Withコロナ時代の4つの新しい美術鑑賞のあり方を一挙紹介!

緊急事態宣言が解除されて早くも約1ヶ月が経過しようとしています。3月頃から始まった約2ヶ月間の自粛生活の間、アートファンにとって何よりつらかったのは、美術館やギャラリーに行けなくなったこと。

最悪の状況を脱したとはいえ、まだまだ完全に新型コロナウイルスへの感染拡大リスクがゼロになったわけではありません。今は、来たるべく第2波に向けて小康状態とみなされており、皆様も「Withコロナ」時代の生活様式を手探りで始めているところなのではないかと思います。

美術館・博物館も続々再オープンを果たしているとは言え、入館時のマスク着用・体温チェックを義務付けたり、チケットの日時指定予約制などの導入などにより入場者数に厳しい制限をかけたりと、これまでのあり方から大きく運営方法の変更を余儀なくされていますよね。

そんな中、急速に存在感を増してきているのが「Web」を活用した新たなアート鑑賞の楽しみ方です。

確かに、SNSやYoutubeでの動画配信など、これまでも各種Webの仕組みは活用されてきました。でも、そこで制作されるコンテンツはあくまで広告目的であったり、ミュージアム現地での鑑賞体験を補完するレベルにとどまっていたりしました。

ところが厳しい移動制限がかかり、ソーシャルディスタンスが重要視されるWithコロナ時代ではそうは言っていられません。実物が使えないので、Web上でのコンテンツが主役に躍り出ようとしているのですね。

そこで今回、楽活では、「Web上でのアート鑑賞ってどんなふうに愉しめばいいの?」「Web上で楽しめるコンテンツってどんなものがあるの?」という方がはじめの「半歩」を踏み出すために、現在オンライン上でアートを楽しむためのWebコンテンツのあり方について、実例を交えながら簡単にご紹介したいと思います。

1.Web展覧会(オンラインツアー型) 

自粛期間中、まず最初に各美術館・博物館で活用されたのが、Youtubeやインスタグラム、Facebookといった各種SNSを活用したギャラリートーク。

美術館に訪問できなくなったファンの代わりに、ギャラリートークのような形式で、休館中の美術館内で展示されている企画展を、学芸員や評論家がギャラリートークを行いながら紹介するコンテンツですね。

東京国立博物館公式Youtube/引用:https://www.youtube.com/watch?v=oq1ugxs9QX4

これは、美術館が独自に企画して実施するケースもあれば、「ニコニコ美術館」のように以前から美術館を特集していたネット番組に相乗りするような形で急遽配信を行ったケースもあったりしました。

ネット民に好評の「ニコニコ美術館」
https://www.nicovideo.jp/

それまでWeb対応にほとんど力を入れてこなかったような美術館・博物館でも、コロナをきっかけにWebコンテンツを積極的に手掛けるようになってきたのは、ファンにとっては嬉しい事といえるかもしれませんね。

山種美術館の期間限定Web展示「山種美術館の日本画 四季を描く」/春夏秋冬に分けて、同館所蔵の人気主力作品の中から合計12作品をじっくり解説。単に作品を発表するだけではなく、大きくクローズアップして見どころや技法や構図なども紹介。日本画ファンには嬉しい高品質な動画展覧会といえそう。2020年9月30日までの限定公開。

館内が暗くてよく作品が見えなかったり、自分のペースや距離感で作品と向き合うことができないのが、このタイプの課題だとは言えます。「あー、もうちょっとこの作品に近づいてほしいのに!」と思っても、スーッと次の作品にカメラが移動してしまったり。

とはいえ、普段決められた時間に行かないと聞くことができないギャラリートークを24時間いつでも好きな時に聞けるのは凄いメリットですし、美術書やWeb上の静止画像をじっと見ているよりは臨場感が感じられると思います。

また、厳密にはアート鑑賞からは外れてしまうかもしれませんが、最近では「大人のオンライン工場見学」という新しいコンテンツも登場。まだまだアイデア次第では色々なサービスが生まれてくる余地がありそうです。

【追記】6月18日に國學院大學博物館が新たにYoutube上でオンラインミュージアムをオープンしました!

國學院大學博物館といえば、「考古学」「神道」の2大コンテンツを組み合わせ、豊富な館蔵品をユニークな切り口で紹介する企画展や、質・量ともに国内トップレベルの考古系展示が【全部無料】で観られるのが大きな魅力ですよね。

引用:國學院大學博物館 オンラインミュージアム(https://www.youtube.com/watch?v=DMufxyup-iw

國學院大學博物館は、限られた活動予算の中、創意工夫を重ねて日々新しい取り組みも加速させている素晴らしい博物館ですが、今回いよいよWeb展覧会も手掛けることになりました。6月24日現在、常設展コンテンツが3本、企画展の予告動画が1本、それぞれアップされています。

同館のプレスリリースによると、「コロナ禍」が一つのきっかけではあったけれども、今後オンラインミュージアムの取り組みは永続的なプロジェクトとして続けていくとのこと。遠方の方だけでなく、海外への発信も視野に入れているようです。非常に意欲的ですよね。筆者もこれから定期的にチェックしてみたいと思います!

2.Web展覧会(画像鑑賞型)

各美術館・博物館でWeb上のギャラリートークが花盛りになった一方で、ギャラリーで多く取り組まれたのが、画像鑑賞型のWeb展覧会です。

小さな私立美術館やギャラリーでは、展示室が非常に「密」な空間になりがちです。したがって、withコロナ時代においては美術館同様「個別事前予約制」を取らざるを得ません。

東京国立博物館 オンラインチケット購入サイト/引用:https://www.e-tix.jp/tnm/

しかし彼らには予約管理のためだけにWebシステムを導入する余力やノウハウがない(あるいは必要性がない)場合が多く、見たい展示があれば「電話」「メール」「FAX」などで直接ギャラリーに連絡しなくてはならないケースが多いのです。

これは、少々ハードルが高いな・・・と思わざるを得ません。美術館に比べると一気に敷居が高くなってしまった感があります。慣れている人は「そうでもないよー。電話するだけだよ」と言いますが、大多数の初心者にとっては、画廊に入るだけでも一苦労。そこへ来て「事前予約制」です。これは初心者にとってかなり厳しいのではないかと思います。

でも、そのあたりはギャラリー側もちゃんとわかっているのですね。そこで、固定客以外にも幅広く新規のお客さんを集めたいギャラリーが始めたのが、画像鑑賞型のWeb展覧会です。

これは従来のWebカタログとは何が違うのか?!というと、ズバリ画像の大きさです。アート作品は非常に高額なので、オンライン上だけで安心して買ってもらうためには、小さなサムネイル画像では不十分です。Amazonでマンガ本を買うのとはわけが違います。できるだけ、Web画面越しに実物を見ているような感覚に近い作品の見せ方をする必要があるのです。

陶磁器なら様々な角度から撮影した画像、絵画ならズームアップして細部まで吟味できるような仕掛けや、作家のコメント、作品コンセプトの解説なども充実している必要があるでしょう。

では少し見てみましょう。

SHUKADO CONTEMPORARY トップページ/https://shukado.com/

まず、Web展覧会の取り組みで非常に存在感を示しているのが銀座のギャラリー「ぎゃらりぃ秋華洞」が運営する「SHUKADO CONTEMPORARY」上で開催されているWeb展覧会。

SHUKADO CONTEMPORARY「Jump into the futer vol.2」https://shukado.com/exhibition/jump-into-the-future-vol-2/

同店では、緊急事態宣言が発令される直前からいち早く2週間前後でのWeb展覧会を開始。現在開催中の「Jump into the future vol.2」ですでに6回目。店主・田中千秋氏が将来を見込んでセレクトした期待の若手作家4名のグループ展が展開されています。

「日本橋Art.jp」トップページ/引用:https://nihonbashiart.jp/

また、日本橋Art.jpでは、オンラインで作品を発表したい若手作家を募集。リアルでの展示が中止になってしまった若手作家の貴重な発表の場を提供しているようです。東京の有力なギャラリーとも連携しているようで、今後の拡大・発展が楽しみです。

黒田陶苑HPトップページ/引用:https://kurodatouen.com/index_jp.html

陶磁器の展示・販売でもWeb展覧会が意外にフィット。北大路魯山人をはじめ、近現代の巨匠の陶磁器を取り扱う有力なギャラリー「黒田陶苑」でもWeb展覧会が始まっていました。こちらは、各作品を様々な角度から接写した複数の作品画像で作品を紹介。お客さんに安心して買ってもらおうと、工夫を凝らした作品紹介が印象に残りました。

こうしたWeb展覧会は、オンライン上でのギャラリーツアーと違い、自分の好きなだけ、詳細な作品画像を通してじっくりと鑑賞できるのがメリット。気に入ったら、著作権法・公序良俗に反しないレベルなら、キャプチャした画像をあとでPCやタブレット上でゆっくり楽しむことだってできるでしょう。

ある画廊オーナーに聞いてみたところ、「さすがに高額な作品はなかなかWebだけでは売れません。まずは買いやすい価格で販売できる若手画家を中心にWeb展覧会を始めているところが多いようですね」とのこと。

Web展覧会で、思いがけず若手の現役作家と出会うことができればいいですね。

オンライン美術館HASARD トップページ/引用:https://wam-hasard.com/

また、変わり種でいうと「オンライン美術館HASARD」も面白い存在。こちらは、モネやクリムトなど、没後70年を経過して著作権が切れた西洋美術の巨匠の作品や、幅広く作品を知ってもらいたい若手作家の作品などを高解像度の画像にて紹介。美術展初心者にもオススメです。

3.Webトークイベント

今回のコロナ禍を受けて、急速に注目を集めつつあるのが、Web上で開催されるアート系のトークイベントです。

従来から、東京や大阪など大都市圏では、各種イベントホールや書店イベントスペースなどで、こうした文化・芸術系の小規模なトークイベントが人気化しつつありました。筆者も、何度も足を運んだことはありますし、イベントレポートも何本も書いたことがあります。

しかし今回の感染拡大を受け、こうしたトークイベントは全て中止に追い込まれます。緊急事態宣言が明けた後も、密閉空間で登壇者を中心に飛沫感染の恐れが高いため、再開する目処が立ちません。

ArtScouter主催「The Art Club」第6回。元々はオフラインイベントとして始まったが、コロナ禍を受け、第2回からはWebベースのイベントとして好評を博している。毎回、アーティストや評論家をゲストに招き、現代アートの面白さを紹介している。/引用:https://the-art-club-vol6.peatix.com/

そこで急速に普及しつつあるのが、zoomやGoogle meet、Microsoft Teamsといった、多人数が同時接続できるWeb会議のプラットフォームを活用したWebトークイベントです。あるいは、小規模でクローズドなイベントでは、インスタライブやツイキャスといったSNSも多く活用されるようになっています。

このWeb型トークイベントのメリットは、なんと言っても参加者の居住地を選ばないこと、収容人数に上限がないことです。以前は、どんなにトークイベントが全盛でも、仕事が終わった平日夜間の開催ではせいぜい100名くらいの集客が限界でした。

しかし、Web型トークイベントなら、100人どころか300人、500人と、全国各地からあっという間に参加者が集まります。座席内でじっとしていなければならないリアル型のイベントと違い、移動しながらでも参加できますし、家事や仕事と並行しながらの「ながら視聴」だって可能です。

筆者も何度か参加してみましたが、光回線のWifi接続か、屋外での4G回線であればほぼストレスなく視聴することができました。また、工夫すれば録音・録画も簡単にできてしまうので、まずは録音しておいて、後から個人的に復習する・・・なんていう楽しみ方も可能です。

もちろん、リアル型トークイベントと違い、会場内の盛り上がりや一体感はそこまで感じることはできません。また、5Gが普及するまでは高解像度を必要とする鮮明な画像や音質は期待できないでしょう。

とはいえ、このWeb型トークイベントには、かなりの可能性を感じました。録画/録音したアーカイブをYoutubeなどで二次利用するのも簡単にできるメリットもありますし、今後はWebでのトークイベントが隆盛していくのは間違いないだろうな、と思いました。

4.Webミュージアムショップの充実

コートールド美術館展 期間限定Webミュージアムショップ/https://courtauld.shop/

最後に紹介したいのが、Web上でのミュージアムショップです。予期せぬ休館措置によって影響を受けたのは「展覧会」だけではありません。図録や展覧会オリジナルグッズを取り扱うミュージアムショップもまた、多大なダメージを受けました。売り場がなければ、展覧会のために制作したカタログやオリジナル商品は行き場をなくしてしまいますよね。

そこで企画されるようになったのが、Web上でのミュージアムショップ。

たとえば、「OIL by美術手帖」のように従来から続いていたECサイトが強化・拡大されたケースです。同サイトでは、特に図録特集が好評。

「OIL by美術手帖」/図録を買って、「#STAYHOME」でも展覧会を堪能したい!特集/https://oil-catalogues.bijutsutecho.com/

『図録を買って、「#STAYHOME」でも展覧会を堪能したい!』と銘打たれた特集ページでは、休館によって行きたかった展覧会に足を運べなかったアートファンのために、各美術館で発行された展覧会図録を通信販売しています。

Amazonや楽天など大手ECサイトの流通には乗らない「ISBNコード」がない図録も積極的に取り扱うなど、アートファンのニーズにしっかり応えてくれています。

そして、ネット上で一番話題になったのが、「コートールド美術館展」「ハマスホイとデンマーク絵画展」のミュージアムショップを担当したEast社が立ち上げた期間限定の特設Webショップです。

固定ファンの多いEast社なので、Webショップを立ち上げます・・・と告知すると、たちまちSNSを中心に凄い勢いで情報が拡散。ミュージアムグッズファンの圧倒的な支持を得て、「ハマスホイとデンマーク絵画展」の特設Webショップでは即日で売り切れるグッズが続出するほど好評を博しました。

現在開催されているのが、「コートールド美術館展 魅惑の印象派」の特設Webショップです。最終巡回先となった神戸市立博物館での展示が中止になってしまったことを受け、急遽Webショップの開設が決定。6/30まで設置されています。

https://courtauld.shop/

Webショップでは、企画展公式オリジナルグッズをオンライン販売。図録をはじめ、ポストカードやトートバッグなどが発売されています。

特にオススメなのはTシャツ。「お土産品のTシャツなんてすぐダメになっちゃうんじゃない?大丈夫なの?」と思いますよね。ところが品質に絶対的なこだわりを持つEast社は縫製や染織、プリントなど全ての工程を詳細に管理。非常に丈夫なので何年経っても着ることができるのです。

実際に、筆者が2017年の「怖い絵」展で購入したTシャツは、すでに50回以上洗濯しましたが、まだまだ現役で着続けられています。多少のUSED感はあるものの、この丈夫さは驚異的。

アート鑑賞を楽しむ新たなカギは「オンライン」にあり!自分なりの楽しみ方を見つけてみませんか?

この原稿を書いている6月14日午後、東京都で新たに発見された新型コロナウイルス感染者が47名見つかったとの臨時ニュースがテレビで流れました。どうやら「Withコロナ時代」は長引きそうな気配が漂い始めました。

「本物を見る」ためのコストが非常に上がってしまったコロナ後の美術鑑賞。新しい生活スタイルが求められる中、アート鑑賞を楽しむカギはやはりインターネット上にあるのでしょう。様々な形で、急速に充実しつつあるオンライン上での情報コンテンツやサービスを上手に取り入れて、豊かなアート生活を送りたいものですね。

かるび

かるび

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メーカー、IT企業で勤務後、41歳にして1年間のサバティカル休暇へ突入。現在は、ブロガー&Webライターとしてアートや映画について主催ブログ「あいむあらいぶ」(http://blog.imalive7799.com/)にて日々見聞きした出来事を書き綴っています。

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