
社会という様々な人間関係の上で生活している私たち人間は、必ず何らかの手がかりによって他人を判断しています。
第一印象は視覚情報が5割以上
言葉やファッション、もしくは匂い、直感などいろいろありますが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) の名誉教授で、心理学者のアルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によると、人はコミュニケーションをとる際、言語、視覚、聴覚の3つの情報を元に判断しています。そして、相手に与える影響では、視覚が55%、聴覚が38%、言語が7%となっていて、視覚情報が5割以上です。

また、7割以上の人が第一印象を「顔」で判断しているというデータもあります。第一印象は0.1秒という短い時間で形成されるという研究結果や、近年の脳科学や心理学の研究によると0.03秒で相手の印象を形成するという論文もあります。
それほどまでに人間の視覚情報処理は早く、視覚を司る目の高さにある「顔」から得られる第一印象は、その後の評価や対応にも大きく影響します。

企業の採用担当者も、学生のコミュニケーション力を図る際に、面接時の質問に対する答えよりも、答え方(話し方)、そして話す時の顔の表情から「入社後、他の社員と円滑なコミュニケーションをとれるか?」を判断します。
好印象を与える顔とは?
では、好印象な顔とはどのようなものでしょうか。顔研究の分野で一般的に言われているのが、左右対称性と平均性です。
生物学的には、左右対称でバランスがいい顔は基本的に健康だと判断し、魅力的に感じます。昆虫や鳥も交尾相手を選ぶ際に対称性を優先させます。
心理学者のラングロイスとラグマンによる「顔の平均性と魅力の関係」の研究結果では、複数の顔を合成して作成した平均的な顔が、個々の顔よりも高い評価になり「魅力的な顔は平均的なだけである」としました。

「集団の平均に近い顔は魅力的である」という原理があるのです。
パーツの配置なら、上型、下型、内型、外型よりも平均型。輪郭なら標準的な卵型、眉の角度も平均的、目、鼻、口の大きさも平均的な顔は確かに安心感があります。

好印象を与える髪型とは?
女性のヘアスタイルだと、長くなく、短くなく、中くらい(現代の基準ではセミロングでも長くて肩にかかるくらいのボブ)が最も好印象を与える長さになります。

額は出して眉が見える髪型のほうが表情が伝わりやすいため、好印象を与えます。ただし、男性も女性も髪をオールバックしたり、引っ詰めていると顔面が主張しすぎて好印象度は少し下がります。
「集団の平均が魅力」という観点からも、諸外国より前髪を下ろす人の割合が多い日本では、少し額が隠れるくらいのほうが印象がよくなると思います。
さらに日本人の民族性とも言える「みんなと同じだと安心」という意識が、就活生だけでなく採用者にもあり、その結果、就活生のリクルートファッションや髪型などが画一化され、没個性的になっていったのでしょう。

好印象を与える表情とは?
表情で大切なのはもちろん笑顔です。開運の基本相である口角を上げた表情ですが、【顔面学講座⑰】で、好印象を与える笑顔の作り方について詳しく解説しているように、目尻が下がる、頬が隆起するのも大事なポイントで、歯の見え方も大切です。
これらができていれば良いのですが、口角をあげようとする意識が強すぎて、口角は上がっているものの目が笑っていない笑顔だと、マイナスの印象を与えてしまう結果になります。

口角の上がり方も当然ながら左右対称であることが必須。片方だけが極端に上がった左右非対称の笑顔だと、軽蔑の表情になってしまいます。自分では左右対称の表情をしているつもりでも、噛み癖や寝る時の向きの偏りなどでいつの間にか非対称になっているケースもあるので、毎日、鏡を見てセルフチェックするようにしましょう。

好印象を与えるメイクとは?
お肌のことを考えて、極力すっぴんで過ごしたい女性もいると思いますが、TPOによっては「身だしなみとしてのメイク」が必要になるケースもあります。
ここでも「平均性」が大切で、華美なメイクでもノーメイクでもなく、ナチュラルメイクが基本。でも、パーティーなどハレの場ではいつもより少し濃いめにしないと「平均」ではなくなるので、微調整が必要です。

色の印象は、国や年齢などによって大きく変わりますが、基本的にメイクにおいて寒色系は「フレッシュで知的な印象」、暖色系は「優しくて安定感のある印象」になります。ブルーなどの寒色系はアイシャドウで使うくらいですが、暖色系で明るい色を意識したほうがいいでしょう(それぞれ年相応に)。
初対面の人に好印象を与える上で意識してほしいのは眉間です。左右の眉頭の距離が狭い人は、かっこいい印象にもなりますが、キツい印象にも見られやすいです。逆に眉間が広い人は、優しく親しみやすい印象になるのですが、広すぎると今度はナメられてしまい、後々の関係で不利になるケースも…。
以上、いろいろと書いてきましたが、みんなと同じ集団の平均を狙いつつ、自分なりの個性を出すのが、第一印象をよくする秘訣です。
「目立ちたくないけど承認欲求はある」と言われるZ世代。
X世代もY世代も「目立たぬように、はしゃがぬように」自分の顔をつくっていきましょう。