東洋のオリエンタル世界へ!東洋文庫ミュージアムとカフェを楽しむ

私たちが住む日本は、アジアの国のひとつ。その広いアジアの歴史と文化を学びながら楽しめるのが、東洋学の専門図書館が併設する「東洋文庫ミュージアム」です。

2024年5月25日(土)〜2024年8月18日(日)に開催中の展覧会「アジア人物伝-歴史を織りなす人々」では、歴史上の人物を軸にアジア史を読み解きます。誰でもきっと名前を聞いたことがある人物ばかりだから、歴史に詳しくなくても大丈夫。本記事では、展示の様子と併設のレストラン「オリエント・カフェ」の様子をレポートします。

東洋のオリエンタル世界へ

東洋文庫ミュージアム 入り口

東洋文庫ミュージアムのエントランスには、さまざまな国の言葉で「ようこそ」と書かれています。アジアにはこんなに沢山の地域や言葉があるんだ!とワクワクしながら館内へ。

日本連合通信社《千代のとも鶴》1924年

はじめに目にする1階のオリエントホールは、吹き抜けのある開放感たっぷりの空間が心地よい。外の日差しが入り込む、明るい憩いの場です。

ここにある蔵書の展示や映像、デジタルアーカイブは1924年に誕生した東洋文庫の歩みを紹介しています。2024年は記念すべき100周年の年。長い時の流れとともに、東洋文庫の特徴や思いを感じられます。

オリエントホールで見られるデジタルアーカイブ

約2万4千点の蔵書が並ぶ、圧巻のモリソン書庫!

モリソン書庫

階段を昇った先の2階に広がるのは、左右と正面の3面に蔵書がぎっしりと並んだモリソン書庫!東アジアについて書かれた書籍・絵画・冊子、その数は約2万4千点にも及びます。

これらは全て、東洋文庫の創設者である岩崎久彌(いわさきひさや)がまとめて購入したというから驚き。今では手に入らないような、貴重な書物も沢山あります。また、当時の人物やその服装を描いた絵画は歴史的な資料としても価値のあるものです。

モリソン書庫で展示されている、軍服姿の兵士の肖像

企画展「アジア人物伝-歴史を織りなす人々-」の見どころ

「アジア人物伝-歴史を織りなす人々-」を開催中の企画展示室

続いての企画展示室には、重厚な歴史を感じる書籍がいくつも並んでいます。キャプションにもっとも大きく書かれているのは人物の名前。ブッダハンムラビなど、知っている人物もきっと見つけられるはず。この展示には、人物に注目したからこその面白さがあるといいます。

「歴史の教科書では、日本史や中国史のように国ごとの歴史を学ぶのが主流でした。けれども、今では高校の必修科目に「歴史総合」が導入されたように、その教え方は変わってきています。ひとりの人物がさまざまな国や地域に影響を与えることもあるし、ある地域で何かが起こっているときに別の地域ではどうだったのか、など広い視点で歴史を捉えることが重要視されています」と解説してくれたのは、学芸員の岡崎さん。

ある時代の出来事の傍らで、「一方その頃…」と視点が移り変わっていくような書物の並びが魅力的で、アジアの広大さを実感できます。

「アジア人物伝-歴史を織りなす人々-」 会場風景より
「アジア人物伝-歴史を織りなす人々-」より、《史記 孔子世家》(孔子)

「回顧の路(Reflections in Time)」と名前がついた雰囲気のある通路には、今回の展示とコラボレーションしている『アジア人物史』の書籍が並んでいます。表紙のイラストは『ジョジョの奇妙な冒険』で有名な荒木飛呂彦氏によるもの。精緻で美しいデザインの装画は、こうして飾っているだけでもお洒落です。

アジア人物史』集英社

書斎のような趣を感じる、シックな色合いのケースが印象的な次の展示室。アジアの歴史のはじまりから、キリスト教や仏教などさまざまな宗教が生まれた時代、時に争いながら国をつくり上げた時代を追いかけ、やがて近代へと至ります。

日本で鎌倉時代、室町時代、戦国時代と移り変わっていく中で、他のアジアの国々では誰が何をしていたのかがわかる。横断的な見方を楽しめます。

「アジア人物伝-歴史を織りなす人々-」 会場風景より

道を通ってオリエント・カフェへ。

知恵の小径(アジアの名言)

展示を見た後は小休憩を。オリエント・カフェにつながる屋外の「知恵の小径(アジアの名言)」は、どこか石板のようにも見える黒い壁に、さまざまな地域の言語で歴史上の名言が書かれています。少し近づいてみると、薄く書かれた日本語訳が読めるはず。再び、アジアの広大さと民族の多様性を感じられます。

オリエント・カフェは、小岩井農場産の食材、牛肉・乳製品・野菜を中心としたお料理をいただけるレストランです。1日10食限定のお弁当「マリーアントワネット」をはじめ、見た目にもこだわったメニューの数々に思わず目移りしてしまいます。この日は気軽なランチにもぴったりの、文庫長セットを注文してみました。

文庫長セット

フォンドボーとスパイスで調和を取ったカレーは、コクのある深い味わい。じっくり煮込んだ旨みが溶け込んでいます。角切りの小岩井牛の牛肉は、柔らかくて美味しい!気づけばスプーンが止まらず、お皿は空っぽに。しっかり苦みのあるコーヒーで食後の余韻も楽しめます。

室内は明るくて温かく、開放的な雰囲気の中でのんびりと過ごせます。窓の向こうに見えるのは、中庭のシーボルト・ガルテン。外に出て芝生の上を歩くこともできます。

文庫長セット
シーボルト・ガルテン

本を読み、歴史に触れたくなる。

アジアを知り、日本を知る。その大陸や海の広さ、積み重ねてきた歴史の深みに触れることに躊躇しそうになるけれど、大丈夫だよと歓迎してくれるのが東洋文庫。ワンフロアの見やすい展示を落ち着いた空間でゆったり見て、お腹が空いたらお庭の見えるカフェへ。

オリエントの知恵や言葉に触れて、豊かなひとときを過ごしてみませんか。

展覧会情報

展覧会名アジア人物伝-歴史を織りなす人々
会期2024年5月25日(土)〜2024年8月18日(日)
会場東洋文庫ミュージアム
住所 / アクセス〒113-0021 東京都文京区本駒込2-28-21
アクセス 駒込駅(JR山手線・東京メトロ南北線2番出口)徒歩8分、千石駅(都営地下鉄三田線A4番出口)徒歩7分、上富士前(都営バス上58系統・茶51系統)徒歩1分
開場時間10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日毎週火曜日
問い合わせ / 電話03-3942-0280
公式サイどhttps://toyo-bunko.or.jp/
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