江戸時代の鉄砲鍛冶の世界を体感!大阪・堺の『鉄炮鍛冶屋敷』へ

世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」で知られる大阪府堺市に、新たな名所がオープンします。

その名も『鉄炮鍛冶屋敷(町家歴史館 井上関右衛門家住宅)』。あまりの漢字の多さにびっくりしたのは私だけではないと思うのですが、どうか心のシャッターを閉ざさないで……!

私も字面から漂う「お勉強感」に内心ビビりつつ、3月3日(日)13時のグランドオープンに先駆けて伺ったところ……なんと、想像以上にエンジョイしてしまいました。大人はもちろん、小さなお子さんも遊び感覚で楽しみながら、歴史に興味を持てる素晴らしいスポットなんですね。

この記事では写真とともに鉄炮鍛冶屋敷の見どころを紹介していくので、3月3日のオープンを楽しみにお待ちいただければと思います!

全国で唯一残る江戸時代の鉄砲鍛冶屋敷

南海本線「七道(しちどう)」駅を降りて、東方向へ。閑静な住宅街の中を進むこと5分弱で、鉄砲鍛冶屋敷に到着します。

同館はもともと、江戸時代から続く堺の鉄炮鍛冶・井上関右衛門の作業場兼住居でした。国内で唯一残る江戸時代の鉄炮鍛冶の作業場兼住居として、堺市の有形文化財に指定されています。

鉄砲鍛冶屋敷には通常の町家と異なり、「仕上場」「みせの間」「鍛冶場」の3つの空間があります。当時の趣を感じられる空間で、資料展示や体験ゾーンを通し、「本物のものづくり空間」を体感していきましょう。

まずお伝えしたいのが、資料を参考に再現された「鍛冶場」です。展示ケース内の解説と銃身製造を再現したCG映像により、現在では失われた鉄砲鍛冶技術を深掘りします。さらに、「あなたも鉄砲鍛冶!」では誰もが職人気分で鉄砲鍛冶のシミュレーションを体験できます。

「フイゴ」を使って送風して火力を調整したり、指定されたリズムで「太○の達人」のように金属を叩いたり。これが意外と難しく、体験後の評価ではなかなか最高評価が取れず、何度もリベンジしたくなってしまうんです……! ぜひ読者の皆さんにもチャレンジしていただきたいです。

また、「仕上場」では火縄銃の分解展示や当時の分業制に関する解説が。鉄砲の製作には、「あなたも鉄砲鍛冶!」で体験した以外にも、さまざまな工程が必要なことがわかります。

堺では、銃身を作る鉄砲鍛冶をリーダーとし、各部品を作る職人(下職)との分業によって鉄砲が作られていたそうです。鉄砲製造に関わる職人たちが数多く集住し、このあたりの地域(環壕北部エリア)は「江戸時代の工業団地」として栄えました。

都市部からやや離れているのは、火を使うために火災の危険があったからかもしれません。そんなことを考えながら街を歩いてみるのも面白いですね。

江戸時代に火縄銃が求められたワケ

さて、日本史に疎い私などは、「江戸時代は大きな戦争が無かったから、火縄銃という武器に需要は無かったのでは?」と疑問に思うのです。

そこで文化観光局のご担当の方に質問したところ、意外かつ勉強になるお答えをいただきました。

まず、各藩には火縄銃を何丁常備しておくなどのノルマがあったそうです。定期的に演習も行うため、実際の戦いの有無とは別に、鉄砲には一定の需要があったとのこと。他にも、農作物を野生動物から守る威嚇射撃をするためにも必要でした。

また、鉄砲に限りませんが権力の象徴でもあったため、性能とともに装飾性の高い鉄砲も求められるようにもなりました。

さらに幕末にはペリーに代表されるような海外からの来航があり、沿岸の警備の必要性から火縄銃の需要が高まりました。幕末に向かうにつれて火縄銃の製造数は増加したそうです。

……といったことが、井上家に伝わる膨大な資料(写真のように一部が展示)からわかったとおっしゃっていました。全国のすべての鉄砲鍛冶で同様とは言い切れませんが、少なくとも井上家は鉄砲ビジネスで大忙しだったようです。

「みせの間」では鉄砲鍛冶の取引が行われた空間が再現されています。しれっと展示されていますが、「水戸御用」つまり水戸徳川家に鉄砲を納めたことを示す絵符などがあり、そうそうたる取引の証を前にドキドキしてしまいました。

堺市には知られざる魅力がいっぱい!

堺市には興味深い鉄砲鍛冶の歴史と文化財があるのですが、あまりにも有名すぎる前方後円墳の陰に隠れてしまうからでしょうか、今のところは知る人ぞ知るという状態のようです。

堺市は井上家に残る2万点以上の古文書などの資料を継承・活用し、堺の「鉄のものづくり」の歴史を発信していくとのこと。同館の開館にあわせ、町家歴史館山口家住宅・清学院も3月3日にリニューアルオープン。3館でひな飾りの展示も行われるとのことで、活気づく堺の文化施設へ、ぜひ足を運んでみてくださいね。

※写真は報道向けの内覧会にて撮影

施設情報

施設名鉄炮鍛冶屋敷(町家歴史館 井上関右衛門家住宅)
住所大阪府堺市堺区北旅籠町西1丁3-22
◎阪堺電気軌道阪堺線「高須神社」停留場より西へ300メートル
◎南海本線「七道(しちどう)」駅より東へ300メートル
開館日時2024年3月3日(日)午後1時
開館時間10:00〜17:00(入館は16:30まで)※3月4日(月)以降の標準開館時間
入館料一般500円など
※町家歴史館山口家住宅・清学院との共通入館券あり
公式ウェブページhttps://www.sakai-machiyamuseums.com
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