このコラムでは、「どうせ私なんか…」というセリフが頭に浮かんでいた日本での私が、多様性の都といわれているアメリカのニューヨークに47日間滞在し、半歩ずつそのマインドを変えていき、『“インドミタブル(不屈の精神)”MAYUMI』になるまでの軌跡を辿っています。
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#15 Silver Bay Camp
Facebookには「彼らのキャンプに行くのが、楽しみです」と書いて投稿した。
でも本心は違った。ソロ活でやっていけるかな。
大掛かりな イベントは準備に何ヶ月もかかる。そのため渡米のずっと前に「Family Reunion」のための「SilverBayキャンプ」への招待状をもらっていた。婿殿のお母さんのナンシーから、私の渡米中にあるイベントなので「参加しないか」と。
いや、「参加するよね」と事前に話があったのだ。
彼らがFamily Reunionと呼ぶ親族一同が集まって親交を深める会だが、このイベントを彼らはキャンプと呼んでいた。私の田舎でも昔は「いとこ会」と呼ぶそんな親族会があったような気がするが、規模が違う。アメリカ人は家族と親族を本当に大事にしているのだ。婿殿の親族が一堂に集まるその数、30名以上!!
1クラス分の人数だ。
#16 「キャンプ」って怖い?!
はじめはキャンプとしか聞いていなかったので、7日間のキャンプって何?長すぎない?テントでそんなに長い間暮らすの?誰と一緒?何するの?
そんな、こんな?が頭を駆け巡った。
でも、渡米して生活することそのものが一大挑戦だったのでドタバタしているうちに、そのままニューヨークに来てしまった。「キャンプ!?」という言葉は、私には昔あった 学校のキャンプを思い出させ、緊張の連続で2泊3日を過ごす苦しみしか頭に浮かんでこない。
不安で一杯になりながらも、アメリカで暮らす娘の環境を知るには、またとないチャンスでもある。その親族の中には、娘たちを今後応援してくれることになる人たちもいるはずだ。
娘は、やる気満々で生後一か月の赤ん坊とともに、がっつり参加予定だったが、小児科医からまだ早いと言われて参加しないことになった。私が行ってしまうと娘一家の家政婦業を一週間休むことになるが、そのことについては娘は「チャンスだから行っておいでよ」と言ってくれていた。そのため「赤ん坊の世話がある」という言い訳が使えない。その日が近づくにつれて不安が強まってくるが、もうどうしようもない。
YMCA運営の案内パンフレットを見ると、どうやらテントではないようだ。伝統のある立派なホテルのような一軒家で一人部屋にしてもらえるらしい。一人は何よりありがたい。そして、参加できるアクティビティが山ほどインクルーシブ料金で用意されているらしい。
でも、私が一人で参加できそうな、難易度の低いアクティビィティはそんなになさそうだ。どれも、普段からの素養が必要なように見えた。たくさんの人の中で、一週間も穏やかに楽しんでいる風を装えるか心配になる。
食事は自分たちで作るために食事当番というのがあって、リストが送られてきた。私もなにか一品を用意しなければならないらしい。ナンシーが相談にのってくれて、サイドディッシュとしてそうめんを作ることにした。娘たちに持ってきたそうめん素材だけでは足りないのでアメリカで調達する必要が出てきたが、そんな手伝いもナンシーがしてくれた。
娘が言うには、ナンシーは「人格者」だそうだが、本人は私には、「プリテンド(よそおってる)してるだけ」と言っていて、ますます良い人だ。
薬味を「紫蘇、ごま、練梅、ワサビ、焼きのり」で味を変えられる工夫をしてみた。一緒に活動をすると人となりが、どんどんわかってきて距離が近づいてきてアメリカの家族の一員として迎えられているのがわかって嬉しくなってきた。
そうなると、親族一同と生活を共にする素晴らしいチャンスに恵まれた気がちょっぴりしてきた。このチャンスを生かせるといいなぁ。
#17 天国に来ちゃった?
ブルックリンから婿殿の運転で先ずは、彼の実家に向かった。実家はマンハッタンから見ると北の方、ニューヨーク州の州都、オルバニーに近い。
キャンプ地シルバーベイはそこから1時間ちょっとのところだ。実家に行く途中に前方の車からの落下物と衝突するという事故もあって、生後1か月の赤ん坊が乗っているので心配したが、何とか実家に到着。
翌朝には実家からそのシルバーベイに出発。
婿殿の弟のギルの車に同乗させてもらったら、気を使って色々と話しかけてきてくれた。それも、ドライブ中なのにささやくような声で首を助手席に傾けて話かけてくれる。その穏やかな態度は、母であるナンシーの教えなのかな?
緑陰を抜けてわき道に入ると湖が見えてくる。シルバーベイはその湖畔全域にあり、いくつものタイプの違う宿泊施設やホール、教会、図書室、ギムナジウム、テニスコート、ヨットヤード、水泳場などが点在していた。湖はどこまでも青く、芝生はどこまでも緑で、紅い花が道路脇を彩っている。ここは、スイス!?
清掃は行き届き、昨日までの街と違い過ぎて天国のように見える。こんなところに私が来ていいのかしら?もう天国に来ちゃった。我々は親族の中で一番乗りだった。西海岸の親族は、車で一週間かけて5000キロを横断して来るらしい。でも入室予定時間にも関わらず、まだ前のゲストが使ったままの状態で清掃スタッフらしき姿も見えない。
その後到着したナンシーの妹のバーバラもその状況に文句一つ言わず、時間があるから泳ぎに行こうと誘ってくれた。部屋に入れないのでトイレで水着に着替え、ちょっと離れた遊泳場所へ。
#18 始まりの予感
泳いで帰ってきたらゴルフカートに乗った清掃スタッフの大軍団と親戚たちの車が何台か停まっていた。皆、家の周りのバルコニーのあちらこちらに座っている。清掃スタッフがやっと掃除を終えると、もう薄暗い。誰も文句を言わず、あちらの親せきこちらの親せきに挨拶したりしていた。
実は、ヨーロッパでも時間に遅れることに優しい様子を何度も見かけた。欧米は契約の国だと聞いていたが、あれっ?優しい空気が流れている。
見ると、パインハウスには、大きな木が一本、芝生のど真ん中に立っていてたくさんの枝を張り出していた。その下のベンチで、私も一人座って、「始まり」を待つことにした。
いよいよ私を変えたニューヨーク・コンフィデンシャルの「要」であるシルバーベイの Family Reunion が始まります。ここで次から次へと経験したことのないような出来事が起こります。次回もお楽しみに。