2020年10月23日、横須賀で最も活気のある観光・ショッピングの中心地「コースカベイサイドストアーズ」の1Fに、「横須賀海軍カレー本舗・ベイサイドキッチン」がオープンしました。
このお店は、横須賀市の名物として知られる「よこすか海軍カレー」の専門店としては初めてとなる「ビュッフェ型式」での店舗です。90分の制限時間内で、4種類のカレーをはじめ、サイドメニューやスイーツが食べ放題なんです。
お店が入居するのは、横須賀港の中でも特に風光明媚な汐入桟橋からほど近い絶好のロケーション。海岸エリアのウォーキングや横須賀軍港めぐりの遊覧船と一緒に楽しめる新たな観光スポットになりそうです。
そこで、10/23のオープン日に行われた地元の報道メディアや商工関係者向けの内覧会にお邪魔して、詳しく取材させて頂きました!
横須賀名物「よこすか海軍カレー」を新感覚・ビュッフェスタイルで堪能!
それでは、早速「横須賀海軍カレー本舗・ベイサイドキッチン」の店内へと進んでいきましょう。この日は、本店を経営する横須賀海軍カレー本舗株式会社の代表取締役・鈴木孝博社長が海上自衛官の制服を模したダンディな白スーツ姿で登場。
鈴木社長によると、「当初は自衛隊基地内の食堂をイメージして内装を作り始めたのですが、色々手を入れているうちにカフェのようなお洒落なお店に仕上がってしまいました(笑)」とのこと。
仰るとおり、店内にはファミリーからカップルまで安心して楽しめる明るい雰囲気が充満しています。
潜水艦をかたどったオブジェや横須賀にゆかりの深い軍艦の写真パネルなど、ご当地色もふんだんに取り入れた店内装飾も見どころの一つ。
さて、本店の特徴は「ビュッフェ形式」でご飯をいただきますので、まずは席をどこかに確保しましょう。店内は広く、たっぷり70席用意されています。落ち着いたら、早速配膳コーナーへGO!
4種類の味のカレーを色々な食べ方で楽しめる!
配膳コーナーの入り口でトレーを受け取ったら、まずはメインディッシュとなるカレーを選びます。
カレーは、全部で4種類用意されています。
定番の「よこすか海軍カレー」「横須賀海自カレー」に加え、「東京音楽隊チキンカレー」の3種類が、いつ行っても楽しめる常設メニューとして提供されます。これに加え、毎月替わりで提供されるお店のオリジナルカレーを加えた全4種類から選べます。この日のオリジナルカレーは「大人のキーマカレー」でした!
そうそう、「よこすか海軍カレー」「横須賀海自カレー」については、横須賀市からレシピも全部公開されているんです。こちらでもPDFでダウンロードできますので、予習にぜひ!
●よこすか海軍カレーガイドブック
●横須賀海自カレーガイドブック
こだわりのサイドメニューも充実!
カレーを選んだ後は、サイドメニューを選びます。こちらで是非注目してみたいのが、各サイドメニューの「名称」なんです。特に唐揚げはちょっとした言葉遊びが面白くて、「唐揚げ」・・・ではなくて「空上げ」と表記されているんです。
こちらは航空自衛隊のオリジナルレシピを参考に作られており、「小松基地空上げ」「海苔空上げ」「NAVYテリヤキチキン」など、言葉遊びの楽しさにもぜひ注目してみて下さい。
最後に、スイーツと飲み物も忘れてはいけません。こちらでおすすめなのが海上自衛隊の軍艦で入港前日の夕食に供されるという伝統の「入港ぜんざい」。こちらも海自オリジナルレシピに忠実に作られています。
こちらが、理想的な盛り付け例。真ん中にカレーライス、サラダや唐揚げ、デザートやスイーツがバランスよくトレーに載っていますね。
もちろん、こちらはビュッフェ型式なのでお代わりも自由。この日はほんの試食のつもりで伺ったのに、僕も気づいたらお代わりの列に並んでいました。(だから痩せないわけですね・・・)
ちなみに、カレーの盛り付け方も細かく指定が可能。4種類の中からまず1種類を選ぶ人や、ご飯の両脇にお好みの2種類のカレーを「あいがけ」で楽しむ人が多いようです。ですが、3種類、4種類と少量ずつ食べたい人のためにも、別途小皿なども用意されています。
僕の2皿目は徹底的にカレーだけを攻めてみました。3種類盛ったので、ご飯も気持ち大盛りで気合十分です。
結局この日用意されていた全4種類「よこすか海軍カレー」「横須賀海自カレー」「東京音楽隊チキンカレー」「大人のキーマカレー」を無事コンプリートすることができました。夕飯もいらないぐらい満腹になって大満足です。
そもそも「よこすか海軍カレー」ってどんな食べ物なの?
ちょうど到着したのがお昼時だったこともあって、着席するなりがっついてしまいました。・・・しかしここで「はっ、取材せねば!」と気を取り直します。
そこで、ふと思ったことが一つ。
それは、「よこすか海軍カレー」のルーツについてです。今でこそ日本有数のご当地グルメとして有名な存在となった「よこすか海軍カレー」ですが、たとえば30年前、僕が小学生だった頃にはまだ知られてなかったはず。
いったい、このご当地グルメはいつ、どのような経緯で誕生したのでしょうか。気になったので、早速周りの詳しい人々にヒアリングを開始。HPで調べた内容と合わせて、以下に簡単にまとめてみることにしました。
ルーツは平成11年。年に1度の野外イベントの盛り上がりをヒントに町おこしの起爆剤として考案。
まずは、鈴木社長にお伺いしてみました。
「実は、横須賀では昔から伝統的にカレーが食べられていたわけではないんです。横須賀市と商工会議所、それから海上自衛隊のトップが協議した結果、『カレーの街よこすか』として、カレーで町おこしをしよう、と一つにまとまったのが今から約20年ほど前の平成11年のことでした。」
意外なことに、「よこすか海軍カレー」は平成になってからできたご当地メニューだったのですね。でも、なぜ「カレー」で横須賀を盛り上げようと考えられたのでしょうか?
「それまでは、毎年12月31日になると、」大晦日のカウントダウンにあわせてヴェルニー公園で海上自衛隊がカレーライスを無料で配布するイベントをやっていたんです。それが非常に好評で、毎年大行列ができるようになりました。
それを見た当時の商工会議所のメンバーや横須賀市や海上自衛隊の幹部が、『ひょっとしたらカレーで町おこしを企画すればいけるんじゃないか?』と考えて企画したのが『カレーの街よこすか』であり、『よこすか海軍カレー』だったんです。」
でも、ここまで企画を継続し、「よこすか海軍カレー」というブランドを維持していくのは大変だったのでしょうね。
「そうなんです。だから、ご当地メニューならではの特徴をしっかり打ち出せるように、徹底的にこだわって企画しました。たとえば、横須賀市内で作られ、横須賀市内で出されたものしか名乗ることはできない、とかハッキリした特徴を出すようにしているんです。」
なるほど・・・。では、全国津々浦々、様々な場所でご当地メニューになっている「カレーライス」の中で、「よこすか海軍カレー」ならではの特徴や個性としてはどんなものがあるのでしょうか?
そこで、特に今回はこれから「はじめの半歩」を踏み出そうとする読者の皆様のために、「よこすか海軍カレー」を語る上で外せない3つの大きなポイントをピックアップしてみました。
特徴1:非常に食べやすい!日本人の心に響くマイルドな日本式カレー
インドで生まれ、18世紀頃にアジア・アフリカなどを含む全世界へと伝わっていったカレーですが、日本人が現在食べている標準的な味は、イギリスを起源とする小麦粉を多く含んだマイルドなタイプ。
「よこすか海軍カレー」も、やはり食べてみると日本人好みの穏やかな味に仕上がっており、その素朴で懐かしい味わいは昔食べた給食のカレーライスを少し彷彿とされるものがありました。
それもそのはず。「よこすか海軍カレー」のレシピは、明治41年に出版された、イギリス海軍からもたらされた英国式カレーのレシピが書かれた料理書「海軍割烹術参考書」の内容をベースにして作られているからです。
だから、名前こそ「海軍」と勇ましい感じにつけられていますが、食感はとてもマイルドで親しみやすいのが特徴。(標準タイプでは)辛さも抑えめなので、小さな子どもでも安心して食べられます。
特徴2:サラダ、牛乳と一緒に頂くのが横須賀流
ハードな訓練で大量のカロリーと栄養を必要とする自衛官に出されるメニューですから、栄養バランスが何よりも大事ですよね。なので海上自衛隊では、カレーを出す日にはサラダ、牛乳も必ず合わせて配膳しているそうです。
そこで、伝統やルーツを忠実に再現することを重要視した「よこすか海軍カレー」でも、サラダ・牛乳がセットで供されるのが慣例に。
本店「横須賀海軍カレー本舗」はビュッフェスタイルなので、これらは強制ではありません。でも、メニューとしてはちゃんと用意されています。僕もお代わりする時にちゃんと牛乳を頂きました!
特徴3:「よこすか海軍カレー」を名乗るには厳しい認定基準がある?!
横須賀市内を歩いてみると、あちらこちらに「よこすか海軍カレー」と書かれたメニューや幟(のぼり)などを見かけます。でもこれ、誰もがこの名称を無条件で使えるわけではないんです。欧米のワインやチーズのラベルに厳しいブランド管理が徹底されているように、「よこすか海軍カレー」もまた、名乗るには非常に厳しいハードルが用意されています。
実際、「よこすか海軍カレー」という名前は商標登録されており、これからカレーのお店を出す人がメニュー名・商品名として勝手にこの名称を使うことはできません。
「よこすか海軍カレー」の商標を使った商品はすべて“カレーの街よこすか事業者部会”の認定を受けなければなりません。毎月1回、新しく申請を受けた商品は、「商品審委員査会」で厳正に審査され、認可を受けたものだけが販売される決まりになっています。
ご当地グルメを自宅でも!お土産もいかが?
実はこちらの「よこすか海軍カレー」、お店でいただくだけでなく、お土産として自宅に持ち帰ることも可能。同じコースカベイサイドストアーズの2Fにある「YOKOSUKA 軍港めぐり Cruise Terminal」のショップでは、認定を受けたレシピで作られたお土産用のレトルトカレーがたくさん販売されています!
僕も奮発してこちらの「海自カレー6缶セット」を購入。缶のパッケージにはそれぞれのカレーにゆかりのある護衛艦や潜水艦の写真が入れられています。観光の思い出に買って帰るのも面白いですね!
まとめ:軍港の街・横須賀を「食」で盛り上げる横須賀海軍カレー本舗に今後も期待!
さて、締めくくりにもう一度「横須賀海軍カレー本舗・ベイサイドキッチン」がどこにあるか復習しておきましょう。
まず、お店が入居しているのが、京急汐入駅からほど近い横須賀港沿いにある「コースカベイサイドストアーズ」です。首都圏から近く、風光明媚な海辺の景色が広がる三浦半島は、観光名所の宝庫。そのあらたな観光コースの中心拠点となっている施設ですね。
そんな一等地にあって、港へと直結する導線上にオープンしたのが、今回ご紹介させて頂いた「横須賀海軍カレー本舗・ベイサイドキッチン」です。
僕もコースカベイサイドストアーズには前回の取材の際にも足を運びましたが、コロナ禍の逆風下でのオープンにも関わらず、地元の人々だけでなく市外からの観光客も多数立ち寄る新たな観光スポットになりつつあるのを肌で実感しました。
横須賀市観光協会の副会長を務めるなど、地元の「顔」でもある鈴木社長はこんなふうに説明してくれました。
「市内各所に多数の見学場所が点在する横須賀市には、市内の広域を一つの博物館として見立てた”ルートミュージアム”という構想があります。2020年6月にグランドオープンしたコースカベイサイドストアーズには、人気の軍港めぐり観光船の発着所がありますし、隣接するヴェルニー公園では今、観光案内所も整備中なんです。
まさに、ここが横須賀のルートミュージアムの非常に大切な拠点となっていくはずなんです。そんな観光の中心地に、よこすか海軍カレーをお楽しみ頂ける場所を作るというのは私達の悲願でもありました。」
最後に、鈴木社長に「どんなお客さんに来てもらいたいですか」と、今後の抱負についてもお聞きしてみました。
「僕は平成11年から『カレーの街よこすか』事業に携わらせていただき、約20年間、横須賀市や地元の商工関係者と一緒になって様々なイベントや商品開発を企画してきました。
今回のお店のオープンをきっかけとして、市外からのお客さんをより一層しっかりとお迎えできるようにしていきたいですね。そんな思いでこの店をオープンさせました。ぜひ、横須賀においでになった際は、当店で気軽によこすか海軍カレーを楽しんでいってくださいね。」
店舗情報(横須賀海軍カレー本舗・ベイサイドキッチン)
横須賀海軍カレー本舗・ベイサイドキッチン
住所:〒238-0041 神奈川県横須賀市本町2-1-12
コースカベイサイドストアーズ1F
営業時間:11:00~19:00(L.O.17:30)
営業形態:料理食べ放題+ソフトドリンク飲み放題(90分)
・大人(中学生以上)1,980円
・子供(小学生)1,280円
・幼児(4歳以上)680円
※4歳未満は無料
※自衛隊割(15歳~退官まで)1,800円
公式HP:https://baysidekitchen.mystrikingly.com