ニューヨーク・コンフィデンシャル エピソード5

このコラムでは、「どうせ私なんか…」というセリフが頭に浮かんでいた日本での私が、多様性の都といわれているアメリカのニューヨークに47日間滞在し、半歩ずつそのマインドを変えていき、『“インドミタブル(不屈の精神)”MAYUMI』になるまでの軌跡を辿っています。

★過去のエピソードはそれぞれ下記URLからどうぞ!
https://rakukatsu.jp/ny-confidential-ep1-20221124/
https://rakukatsu.jp/ny-confidential-ep2-20221221/
https://rakukatsu.jp/ny-confidential-ep3/
https://rakukatsu.jp/ny-confidential-ep4/

#3 孫との初対面

親友(と呼ぶことにした)Betsyは、すでに娘と連絡を取ってくれていて徒歩で道を案内がてら娘のアパートに連れて行ってくれた。初めての赤ん坊との対面、抱いてみるとすごく軽い、三週間早く出てこさせられちゃって、「(思いがけない出立で)あなたも大変ね」と心で呟く。

ハーフだから当たり前だが、こんな顔はあまり見たことがないと、チラッ、と娘の顔を見る。似てないなぁ、(おっと、口に出しちゃいけないけど…)、この子は我が家には、可愛すぎる!

Betsyはニットで編んだ産着をプレゼントしてくれていた。生まれたての時にちょうど良かった帽子のサイズは2週間経つと、もう小さくなっていて成長の速さに驚く。そして、アメリカの赤ちゃんは、生まれたての時からなぜか帽子を被らされている。

#4 怖い話ばっかりしている

写真はたくさん撮ったけれど娘の方針で写真は非公開。(これから様々な娘の方針との戦いが始まるのだ。)もちろん日本に比べて治安が良くないわけだから個人情報などを気にするのは当然かもしれない。誘拐とかもよくニュースになるらしく子供を一人で外に出せないので、日本の人気番組「初めてのおつかい」は、こちらの人から見ると驚異らしい。

娘の話を聞くと日本とはいろいろ違った事情があって苦労もしのばれる。育児の環境は進んでいるように思っていたが育児休暇は長くても6か月、早い人は2週間で職場に戻るという。日本では働いている親は育児休暇のあとは保育園に預けるということがほぼできそうだが、こちらの保育園は安心して預けられるところは、月額2,500ドルもするので、ベビーシッターをお願いすることが多いようだ。義理の姉のところでもベビーシッター(Nanny)を雇っているが一日200ドル!ということでおじいちゃんおばあちゃんの出番も多いようだ。

運が良ければ3歳くらいから入ることができる公立幼稚園が近くにあるらしいが、近くにそれが無い場所だと5歳ぐらいからしか受け入れてくれる幼稚園がない。つまりそれまでの間ずっとNannyを雇い続ける必要があるらしい。給料のほとんどがNanny代に消えてしまいそう。それでも、キャリア中断は昇給と昇格に響くので、この時期だけのことと割り切って、もらったお給料のほとんどを育児費用にあてる人も多いようだ。

娘が言うには(ネット情報が多いんですけど)、そういう幼稚園に入れた時の最初の教育というのがなんと、第一銃声を聞いたら「床に伏せろ」ということ。それは、避難訓練ですよね。そういうemergency訓練を、先ずさせるらしい。

それを聞いて最初に頭に思い浮かべたのは、さっき歩いてきた道路。いろんなゴミが落ちているだけではなく糞尿が、もちろん概ね犬のでしょうが、こびりついている。それから、ハト、ネズミ、ラットが目をむいて手足を伸ばして死後硬直した亡骸。何が原因で亡くなったのかはわからないけど、身を伏せた道路で、その亡骸とキスをするぐらい接近してしまったら、別の感染の心配が…、なので万が一銃声が鳴るとしても綺麗な道路のところで銃声を聞きたいと思うのだった。

そしてもう一つ思ったのは、いろんな音が混在しているこの街で銃声が分かるかどうかということ。これが銃声だと判別する能力と経験が私たち日本人にあるのだろうか。 

安倍元首相が凶弾に倒れてからまだ間がない。安倍元首相が第一銃声を認識することができなかったのだから、私だってできないのではないか。こういう訓練を幼児の頃から身につけてさえいれば安倍元首相も命を落とされることはなかっただろうが。

#5 映画のワンシーンのようなクリニック、もちろんお代はそれ相応

娘たちが通っている小児科医院についていった。さっきご紹介したあのブルックリンの道からいきなりドアを開けると、「ここはどこ?」と思ってしまうような異空間ぶり。全てがスタイリッシュ。そこに出てきた女医さんが、またブロードウェイの女優さんかと思うくらいきれいでプロポーションも抜群。赤ん坊を優しく褒めまくってあやして顧客満足度も抜群。

でもちょっと診察、問診をしただけなのに費用は350ドルくらい!先生が美人だからというわけではないと思うけど、注射とか医療行為が入ると900ドルになることもあるという。娘は会社で医療保険に入っているのでそれでカバーされるらしいが、恐ろしいほどお高いアメリカの医療費。噂通りでした。

今回は優しいBetsyのおうちから娘の家までブルックリンの道を歩いて、赤ん坊初のお目見え。でも会えば、娘にニューヨークで子育てすることの大変さを滔々とレクチャーされ、今回は産後の娘を慮って傾聴に徹した私ですが、ニューヨーク事情を知り始め、日本もいろいろあるけど、平和で安心でいいなぁと既に懐かしむ境地になってしまいました。次回は、ピリピリしている娘がとうとう爆発、そばで右往左往するムコ殿の対応を。

ぜひ、次回もご覧になってくださいね。

Mayumi

おすすめの記事