ヨーロッパで大流行!編み物で心を癒す「ニットセラピー」。かぎ針編みをはじめませんか?

編み物や刺繍などの手仕事には心を癒す効果があるのをご存じですか?

そこで、今回は初心者でも手軽にできて癒し効果もあると言われる「かぎ針編み」についてご紹介します。

ヨーロッパで盛んなニットセラピー

心を穏やかに保つには、“幸せや安心”を感じる脳内ホルモン「セロトニン」を増やすのが効果的と言われています。

食事はゆっくりよく噛む、日光を浴びる、一定のリズムで運動する、などがセロトニン不足の解消に役立つそうです。一定のリズムでの運動とは、ウォーキングやジョギング、サイクリング、ダンスなど、筋肉の緊張と弛緩を繰り返す反復運動のこと。剣道の素振りや空手の型の練習などもこれと同じ反復運動です。

編み物や刺繍なども手先の反復運動のひとつ。欧米ではニットセラピーとかマインドフルニッティングと呼ばれ、精神安定の治療や高齢者施設での作業療法としても使われているそうです。手芸を楽しむ方なら、編み物が楽しくて手が止まらなくなったとか、針を持って作業している時間が心地よくてしかたないという気持ちを体感されている方も多いでしょう。

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グラニースクエアを編んでみよう

グラニースクエア(Granny Square)とは直訳すると「おばあちゃんの四角形」。おばあちゃんが編んでいたような、昔からあるシンプルなモチーフ編みの一つです。

編み方はとっても簡単、かぎ針でくさり編みと長編みさえ覚えてしまえば、難しいテクニックや編み目を数える必要のないクラシカルな基本の編み方です。

今日は色糸を使ってカラフルなグラニースクエアを編んでみます。

レトロな風合いが魅力のグラニースクエア

用意するものはかぎ針と毛糸。並太なら6号~7号の針がいいと思います。ただ、あまり糸と針の太さにはこだわらなくて大丈夫。針が細めならカチッとした編み目になり、太めならふんわりざっくり編めるので、まずはお手持ちの針と糸で編んでみましょう。

ただ、毛糸はできれば自然素材のウールやコットンをおすすめします。

触り心地のいい糸は編んでいる間も気持ちのいいものです。もちろん家に眠っている毛糸でかまいません。糸の色を変えたり、長さを足したりしながらぐるぐると編みすすめれば、こたつの上掛けやブランケットなどの大作を作ることもできます。

<基本のモチーフ編み>
① くさり編みを5目編み、編みはじめに針を入れて糸を引き抜いて輪を作る
② ①の輪の穴に針を入れ、長編み3目+くさり編み3目を4回繰り返す
③ ②のくさり編みの穴に針を入れ、長編み3目+くさり編み3目を4回繰り返す
④ 3段目以降は、前段の各穴に長編み3目ずつ編む
  角は前段のくさり編みの穴に長編み3目+くさり編み3目+長編み3目を編む

3段目以降は好きな大きさになるまで編みすすめます

下の写真は色々な太さで編んだモチーフです。編み方は同じでも、糸の太さや質感の違いでさまざまな表情を見せてくれます。編み物というと暖かな毛糸を使う冬の手芸のイメージがありますが、これからの季節は涼し気なコットンや麻素材の糸で編めば夏向けの小物やストールに応用できます。

左からレース糸・コットン糸・ウール100%の毛糸で編んだもの

スタッシュバスティングで余り糸を消費しよう

日本ではまだあまりなじみのないスタッシュバスティング(Stashbusting)、直訳すると「隠し場所を壊す」のような意味ですが、編み物では戸棚の奥に隠してあった毛糸を有効利用することを言います。

マフラーを編んだ残り糸や半端な量の毛糸玉はありませんか?私は普段からスタッシュバスティング用に、残り糸をガラス瓶に貯めています。少量の毛糸はほつれたセーターの補修や小さな小物を編むのにも便利ですが、私は、残り糸がたくさん貯まったらグラニースクエアのモチーフ編みに使うことにしています。

半端な残り糸をガラス瓶に貯めています

こちらは編みかけのグラニースクエアです。短い余り糸を次々つないで中心から外に向けて四角にぐるぐると編んでいます。綺麗に仕上げるには色のトーンや彩度を合わせるといいでしょう。細めの糸の場合は2本取りにしたり糸を混ぜて使ったりして太さや質感を調整しています。

長さも色もバラバラな余り糸を使えば、組み合わせ次第で世界にひとつの模様を作り出すことができます。組み合わせる色をあれこれ考えるのも楽しい時間です。

余り糸を活用するスタッシュバスティングのモチーフ編み

残り糸を使って小さなモチーフを編んで、たくさんつなげていけば大きなものを作ることもできます。こちらは先ほどと同じように短い余り糸を使って作った色とりどりのモチーフを24枚つなげて作ったマルチカバーです。

モチーフをつなぎ合わせたマルチカバー

曼荼羅(マンダラ)を編んで癒される

曼荼羅(マンダラ)とは仏教用語で、循環・繰り返しなどの象徴としての円を表したもの。

命の循環、宇宙を表現しているとも言われます。マンダラアートと言って曼荼羅模様をペンで描いたり、色を塗るなど様々な材料や技法があります。

そのうちのひとつがニットマンダラ。私の住むオランダでもニットマンダラの本が売られています。色の綺麗さと模様の面白さにつられて本を購入したのですが、実際に編んでみると簡単な編み方の繰り返しなのにやめられない止まらない!それに加えて完成した時の達成感が味わえる。

かぎ針一本と家にある余り毛糸だけで手軽にはじめることができます。

マンダラパターンで編んだカラフルなクッションカバー

初めて編む時は、糸の組み合わせやつなぎ方がわからなくてもできる単色で編んでみるのがおすすめです。中心から編んでいくので、お好みの大きさになったところでできあがりです。

慣れてきたら一段ずつ色を変えたり、模様編みを足したりするもの面白いです。既成の編み図どおりでなくても基本の増し目さえ覚えてしまえば初心者でもさくさく編めますよ。

ニットマンダラの本を参考に編んでみました

いかがでしたか?

糸を編むことで“幸せや安心”を感じる脳内ホルモン「セロトニン」を増やして心を穏やかにするだけでなく、編みあがった時の達成感を味わえる、好きな色・好きなデザインの世界でひとつのもの作りができる、捨てるはずだった残り糸を活用してエコ活動もできる、グラニースクエアやニットマンダラはまさにいいことだらけの編み物です。

お出かけするのにも楽しい季節ですが、好きな音楽と飲み物を用意して、気軽に始められるかぎ針編みであなたもリラックスしてみませんか?

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