近代日本はじまりの地、長崎平戸を巡る旅!~オランダに想いを馳せて~

長崎観光と言えば、ハウステンボスやグラバー邸、出島など、オランダにまつわる名所がたくさんありますが、江戸時代に出島が作られる以前、平戸はオランダをはじめとする海外諸国に門戸を開いた国際貿易港として栄えていたことをご存じでしょうか?

今から400年以上前の江戸時代、日本を最初に訪れた外国船リーフデ号に乗船していたイギリス人航海士のウィリアム・アダムス(三浦按針)は、徳川幕府に信任され外交顧問として活動しました。世界初の株式会社と言われるオランダの東インド会社との仲介役を務め、フィランド(Firando)と呼ばれる南蛮貿易の拠点として栄えました。

平戸市は、九州の西端に位置する町。旧平戸藩松浦氏の城下町でもあり、平戸城や松浦史料博物館などの重厚な史跡と美しい教会やキリシタン文化が混在する風情ある街です。

今回は、昨年までオランダで暮らしていた筆者が、平戸とオランダとの歴史やつながりを感じながらめぐった、平戸の魅力をお伝えします。

(以前ご紹介した長崎の旅はこちらhttps://rakukatsu.jp/nishikyushu-nagasaki-20221101/ )

平戸への旅はここから!日本最西端の松浦鉄道、たびら平戸口駅

松浦鉄道は佐賀県有田から、松浦、たびら平戸口をへて佐世保まで全長93.8kmの鉄道です。平戸に行くにはこの「たびら平戸口駅」が最寄り駅です。

たびら平戸口駅は普通鉄道の日本最西端の駅(特殊鉄道を含めると2003年に開通した沖縄都市モノレール線が最西端)としても知られています。

鉄道ファンにとっては聖地のひとつとも言える駅。駅を撮影するために松浦鉄道に乗ってくる人も多い場所です。1935年(昭和10年)開業の歴史を感じる駅舎は、レトロな雰囲気がたまりません!

キャプション:駅の左手に「日本最西端の駅」の石碑があります

松浦鉄道では、夏限定の「ビール列車(お弁当・飲み放題付き特別列車)」、車窓を眺めながら「ヌン活」を楽しめる「レトロン号でアフタヌーンティーを(食事・飲み物付き特別列車)」など、楽しい企画列車もあります。11月16日の ボジョレーヌーボー解禁日には、15種類のボジョレーヌーボーが飲み放題&ワインオードブル付き、車内ではワインソムリエによるワインのお話しも聴ける、贅沢な特別列車も運行されます。

キャプション:レトロな駅舎に似合うMR501「レトロン号」

たびら平戸口駅には旧事務室を改装した鉄道博物館が併設されています。昔の駅員さんの制服、車両の部品などのほか、JR松浦線時代の先頭車両のプレートなど珍しい資料も展示されています。「日本最西端の駅 訪問証明書」やオリジナルキーホルダーやグッズも購入できるほか、電動自転車をレンタルすることもできます。(日額700円(日帰り利用のみ))

博物館内の展示品

かつて石炭輸送に使われた国鉄セラ1形貨車の展示

田平天主堂

たびら平戸駅から南へ向かった小高い丘の上に、大正7年に建立されたロマネスク様式の教会田平天主堂があります。平戸瀬戸の海とそこに架かる平戸大橋が望める美しい教会です。

教会の傍らには歴代の信者が眠る墓地があり、この辺りの風景は異国の地を感じさせてくれます。

荘厳な赤レンガづくりの田平天主堂

いざ!平戸島へ!

たびら平戸駅から西へ、田平港を過ぎたところに平戸島と田平をつなぐ、朱塗りの美しい平戸大橋が見えてきます。1977年にこの橋が完成したことで、平戸島は陸続きになりました。この橋を越えて、いよいよ平戸島へ渡ります。

橋を見渡せる展望スポットには「日蘭胎動の地」の記念碑が建てられています

平戸島は南北に45kmあり、北から南まで1時間ほどかかります。平戸市街地は徒歩で観光可能ですが、島内に点在する名所を巡るには観光タクシーや電動レンタル自転車の利用が便利です。

レンタル自転車は、前述のたびら平戸駅のほか、平戸市観光交通ターミナルの中にある観光案内所で借りることができます。 (ノーマルタイプ2時間500円~、スポーツタイプ2時間1000円~)

観光案内所で観光地図をゲットしたら、隣にある漁協直営の食堂「旬鮮館」でまずは腹ごしらえ。ここで取り扱うお魚は、その日の朝に獲れたもの!とれたての新鮮な旬の水産物安価で食べられます。船の入港時刻に合わせて午前11時ごろから午後3時ごろまでの営業です。

お刺身定食&あご飯

東アジアの貿易拠点として利用された平戸オランダ商館

観光案内所から徒歩で約6分、平戸港の端にあるオランダ商館。

1609年(慶長14)和蘭船が入港してから、1641年(寛永18)に長崎出島に移転するまでの約33年間、平戸貿易の中心として賑わった場所。 

出島移転の際に当時の建物は取り壊されたが、2011年に復元され、当時の貿易に関する史料や貿易品などが展示されています。

復元された「1639年築造倉庫」

建物正面にはオランダ東インド会社(Verenigde Oost-Indische Compagnie)のロゴである「VOC」の石板がかかげられています。

建物の中はミュージアムになっていて、国内外から収集した日蘭貿易にまつわる資料や絵画、日用品などが展示され、日蘭の交流や歴史に関するイベントなども開催されています。

ミュージアムショップには、オランダのお土産屋さんでもよく見かけた木靴のミニチュアのキーホルダーやピーナッツビスケットなども並んでいて、なんともオランダ気分!

オランダではおなじみ、ドロステのチョコを買いました

オランダ商館の周りには当時をしのばせる「オランダ堀」や「オランダ埠頭」など、オランダの名前のついた場所が点在しています。出島は島への出入りが厳しく制限されていましたが、ここでは日常的に平戸の住民たちとの交流があったそうです。

オランダ埠頭の端で、灯台の役目をしていた「常橙の鼻」

平戸を見下ろす丘の上に立つ「平戸ザビエル記念教会」

この教会は1931年(昭和6)に建設されたカトリックの教会。エメラルドグリーンの外壁と尖鋭な屋根と十字架が特徴的なゴシック様式の建物です。

平戸にはたくさんの教会がありますが、実は寺院も多く西洋文化と東洋文化が溶け合った独特の景観を楽しむことができます。

美しい外壁が印象的な「平戸ザビエル記念教会」

平戸市の代表的な景観になっている「寺院と教会の見える風景」は、平戸市の市街地近くの高台にある「聖フランシスコ・ザビエル記念教会」から石畳の坂道を下って振り返ると、平戸ザビエル記念教会の緑色の尖塔と十字架、 その下に正宗寺・光明寺・瑞雲寺のかわら屋根が現れます。

異国との交流があった平戸ならではの景色

平戸のシンボル、名城「平戸城」

平戸城は、別名亀岡城と呼ばれ、1718年に築城されました。江戸時代の終わりとともに廃城となりましたが、現在の天守閣は、1962年(昭和37年)復元され、日本100名城のひとつに選ばれています。城跡は亀岡神社の境内や亀岡公園、日本100名城で初めての常設の城泊施設「平戸城CASTLE STAY懐柔櫓」などが整備され、平戸のシンボル的な存在です。

城内には歴史体験ミュージアムがあります

2021年に大規模な改修工事が行われ、平戸の歴史をデジタルアートのアクティビティが楽しめたり、最上階には、平戸瀬戸を一望できる展望所や、登城記念としてご自身の遠隔写真撮影を楽しめます。

天守閣展望所からの眺め

今回は、平戸中心部の観光スポットを中心にご案内しましたが、島内には、海あり山ありの絶景や、新鮮な海産物やグルメ、歴史ある城や教会など、見どころはまだまだいっぱい!

車でのドライブはもちろん、自転車や徒歩での散策もおすすめです。レトロな街並みと異国情緒、自然豊かな平戸島へぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

観光情報

平戸観光案内所 基本情報
住所:長崎県平戸市崎方町776−6
営業時間:8:00~17:00
電話: 0950-22-2015
観光協会HP:https://www.hirado-net.com/access/traffic03/

たびら平戸口駅:基本情報
住所:長崎県平戸市田平町山内免418-2
電話番号:0950-57-0024
松浦鉄道HP:https://matutetu.com/

田平天主堂 基本情報
住所:長崎県平戸市田平町小手田免19
電話番号:095-823-7650
※教会内部の見学は事前連絡が必要です。


平戸オランダ商館 基本情報
住所: 長崎県平戸市大久保町2477
電話番号:0950-26-0636
開館時間:8:30 〜17:30( 最終入館 17:00 )
休館日:毎年6月 第3火・水・木曜日
平戸オランダ商館HP:https://hirado-shoukan.jp/

平戸ザビエル記念教会 基本情報
住所:長崎県平戸市鏡川町259−1
電話: 0950-22-2442
内覧時間6:00-16:30(日曜10:00-16:30)
※ミサ、冠婚葬祭時等で不可の場合もあります。

平戸城 基本情報
住所: 長崎県平戸市岩の上町1458
電話: 0950-22-2201
利用時間:8:30~18:00(4月1日~9月30日)、8:30~17:00(10月1日~3月31日)
平戸城HP:https://hirado-castle.jp/

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