鎌倉市鏑木清方記念美術館で企画展が開催中!鎌倉の街歩きも楽しんで!

鎌倉駅から古都の風情漂う小町通りを進んだ先、鎌倉市鏑木清方記念美術館で企画展『早春の風情 ~清方のことばとともに~』(開催中〜2月27日(火))が開幕しました。

早春とは短い季節の移ろい、まさに今この時期のこと。同館を訪れて展覧会の見どころをお聞きしました。

美術鑑賞と一緒に楽しめる、鎌倉街歩きの情報もお届けします。

鎌倉市鏑木清方記念美術館とは

鎌倉市鏑木清方記念美術館の正面入口

鎌倉市鏑木清方記念美術館は、近代日本画の巨匠・鏑木清方(かぶらき・きよかた)の画業と創作の場を後世に伝えるために、鎌倉の旧居跡に建てられました。

鏑木清方が生まれたのは明治11年の東京神田。江戸っ子にちなんで「生粋の東京っ子」と自称していました。戦後に疎開先から新たな住まいを得て、晩年の16年ほどを過ごしたといいます。都会育ちの清方は、田舎の静かすぎる環境では寂しいと感じたのだとか。小町通りの活気溢れる賑やかさと、少し通りを入った住宅街の静けさは、彼にとって居心地のよいものでした。

企画展『早春の風情 ~清方のことばとともに~』の見どころ

清方は四季折々の情趣を作品に描き、絵筆だけでなく随筆でもかき残しました。展示室では春の訪れを告げる早春の風情を描いた作品を、名文家としても知られる清方のことばとともに紹介しています。

清方が季節の美しさに重ねて描いたのは女性の姿。女性たちの装いは、着物や髪飾りにも季節感が表れ、自然美を体現しています。

清方の仕事とことば

「近代日本画の巨匠」と謳われる清方ですが、実は日本画家として活躍し始めたのは大正のはじめ、30代後半にさしかかってからです。

キャリアの発端は挿絵画家であり、20年間ほど新聞や雑誌などに作品を描いていました。月刊誌は季節感も表現する読み物で、当時から四季の移ろいは繊細に感じていたのかもしれません。

展示風景より
展示風景より

展示にはキャプションで「季節のことば」が添えられています。例えば、暗香(あんこう)は梅の香りのこと。梅花の強く甘い香りは暗闇でもすぐ分かる、とのことから付けられた美しい名です。沈丁花の別名である瑞香(ずいこう)も、その瑞々しい香りに由来します。現代では失われてしまいそうな、明治・大正の季節感を表す言葉を紹介しているのが本展の魅力です。

作品には「季節のことば」と「清方のことば」が添えられている。

随筆家・鏑木清方の姿

そして、清方には文筆家の一面も。著作には自叙伝的な随筆『こしかたの記』などがあり、読みやすく親しみやすい文体が特徴的です。清方を知るだけではなく、同時代の画壇や東京の風俗について知れる貴重な資料でもあるのだとか。美術館では「清方のことば」として、彼の残した言葉を定期的にSNSで投稿しています。

鎌倉市鏑木清方記念美術館 公式X(旧:Twitter)
https://twitter.com/kaburaki_museum

紫陽花が好きだった清方は、紫陽花舎主人(あじさいのやしゅじん)と名乗って執筆し、小説家の泉鏡花などと交流があったといいます。

展示風景より
鏑木清方著/山田肇選『紫陽花舎随筆』平成30年(2018)

美術館内の過ごし方

来館のお土産には、気に入った作品のミュージアムグッズを。オリジナルの絵はがきや一筆箋などを数多く取り揃えています。

ミュージアムグッズは絵はがきのバリエーションが豊富。展示作品の他にも多数

清方の画室を再現した展示にもご注目を。清方は、牛込矢来町に住んでいた時期に建築家・吉田五十八(よしだ・いそや)に依頼した画室をたいそう気に入り、ここ鎌倉の地にもそれを模して採り入れたといいます。右奥にある机は清方の愛用品でした。

図書コーナーには清方関連の図録や資料をはじめ、書籍がずらり。もちろん、清方の著書もあります。休憩コーナーの椅子に腰掛けて、中庭を眺めながら読書を楽しんでみては。

美術館内の一角にある図書コーナー
旧居だった頃から残る中庭は、季節感を味わえる草木が茂る。

古都・鎌倉散歩へ。

鎌倉市鏑木清方記念美術館の周辺には、鎌倉の魅力的な観光スポットが盛り沢山。おすすめの観光地や美術館をピックアップした、お散歩にぴったりのモデルコースをご紹介します。

まずは、八幡さまへお参りに。

せっかく鎌倉に来たのだから、お参りもきちんとしたい。まずは美術館から北へ少し歩いて鶴岡八幡宮へ。お蕎麦屋さんや天ぷら屋さん、鎌倉彫のお店が並ぶ通りの先に赤い大きな鳥居が見えます。

鶴岡八幡宮の三の鳥居

本殿でお参りをして、左手を見ると宝物殿の入り口があります。鶴岡八幡宮に所蔵されている御神宝類などを鑑賞できる施設です。

拝観料は大人200円(中学生以上)、子供100円(小学生)。

鶴岡八幡宮の境内には、他にも美術展示を行う施設が2つあります。「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」は文学や美術など幅広いテーマを取り上げ、鎌倉の歴史や文化を伝える近代美術館です。併設のショップやカフェでもゆったりと過ごせます。

鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムのエントランス

同じく境内の中にある「鎌倉国宝館」では、鶴岡八幡宮ゆかりの絵画や文書、仏像などの宝物を展示しています。

鎌倉国宝館のエントランス

一休みしたくなったら、三の鳥居をくぐって左手すぐの喫茶「風の杜」へ。門前うどんや甘味と抹茶のセットをいただけます。源平池を眺めながら窓際の席でお茶を啜るのは、至福の時間。

有機抹茶ラテ(温/冷)850円(税込)

また、源平池のほとりには神苑ぼたん庭園があります。1月中旬〜2月下旬頃まで見頃を迎える冬ぼたん(正月ぼたん)や、4月~5月に咲く春ぼたんを楽しめる廻遊式日本庭園です。

神苑ぼたん庭園の入園料は1名500円

さらに北へ歩けば、現代アートの美術館が。

鶴岡八幡宮からさらに北へ向かって歩くと、「神奈川県立近代美術館 鎌倉分館」に到着します。本館は葉山にあるので、葉山と鎌倉をはしごして楽しむのも一興。無料で入れる彫刻の庭では、数々の屋外彫刻を鑑賞できます。

彫刻の庭

小町通りで食べ歩きも、ショッピングも。

再び戻って、駅に向かいながら小町通りを散策しましょう。古都の情趣たっぷりの小町通りは、老若男女を問わず人気の観光スポット。通りに立ち並ぶさまざまな店で、お食事やお買い物を楽しめます。

鎌倉の名物は、鎌倉野菜や海の幸・しらす。ランチにはサラダのセットや海鮮丼をいただけるお店も数多くあります。趣深い古民家カフェでコーヒーを飲むのも素敵な過ごし方。また、抹茶やお団子、わらび餅など甘味処も豊富です。

小町通りの様子

ぜひ立ち寄ってほしいのは豆菓子屋「鎌倉まめや」。オリジナルの多種多様な豆菓子は鎌倉土産の定番でもあり、甘党も辛党も嬉しいおやつです。月替わりの限定品や季節商品もあるので、行くたびに新たな出会いがありそう。

この日のお土産には「湘南ゴールドピー」を。湘南ゴールドは、神奈川県で開発された特産品の柑橘類。爽やかな甘みと酸味の清涼感がたまりません。

湘南ゴールドピー 378円(税込)

由比ヶ浜で海を眺めて、江ノ電に乗る。

もっと歩くのが苦ではなければ、由比ヶ浜へ行ってみて。鎌倉駅から徒歩20分ほどで由比ヶ浜に辿り着きます。静かな青い海に心癒やされるはず。ここでご飯やおやつを食べるのも気持ちがいいけれど、トンビが目ざとく狙ってくるので気をつけて!

由比ヶ浜の海

鏑木清方の愛した鎌倉で、アートと古都の情緒に触れる街歩きを。

古都の情緒が残る鎌倉。賑やかさと静けさが同居する界隈を歩けば、かつて鏑木清方が暮らした町の空気を感じられるはず。

美術館で絵画や宝物を見て、古き良き時代の日本に触れる旅やお散歩へ。もちろん、他にも見どころは豊富です。自分だけのお気に入りを探す、鎌倉街歩きに出かけてみませんか。

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展覧会情報

展覧会名企画展「早春の風情 ~清方のことばとともに~」
会期2024年1月13日(土)~2024年2月27日(火)
会場鎌倉市鏑木清方記念美術館
アクセス〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下一丁目5番25号
JR横須賀線・江ノ電「鎌倉駅」下車、小町通りを北に徒歩7分左折。
時間午前9時00分~午後5時00分(最終入館は午後4時30分まで)
※団体でのご来館を希望される場合は、事前にご連絡ください。
休館日毎週月曜日(2月12日(月・振)は開館)、2月13日(火)
入場料一般 300円、小・中学生 150円、
鎌倉市民(市内に住所を有する方)、鎌倉に通学する小学生~大学生 無料
公式ホームページhttp://www.kamakura-arts.or.jp/kaburaki/
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