アート

【趣味れーしょん美術館】#006 二度見する、揺れる絵画『ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画』DIC川村記念美術館

あれっ? え? うそっ? 絵の中の波、動いてません? えー、どうしよう、ぐらぐらしてる!「私が揺れてるの? 絵画が揺れてるの? どっち?」な不思議空間、体験しちゃいました。DIC川村記念美術館において『ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画』が開催されています。会期は8月26日(日)まで。

揺れる、揺れる…アート

ブリジット・ライリー「正方形の動き」(1961年) アーツ・カウンシル、ロンドン © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy Karsten Schubert, London. 写真提供:DIC川村記念美術館

ぎゅーっとした狭い隙間に、眼球が巻き込まれそう…。隙間の奥の方がぐらぐら揺れているように感じます。

目の錯覚を最大限に活用したジャンル、「オプ・アート(op art)」の絵画です。ライリーはオプ・アートの第一人者で、ぐらぐらする絵をたくさん描いています。

キャプション:ブリジット・ライリー「波頭」(1964年) ブリティッシュ・カウンシル、ロンドン © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London. 写真提供:DIC川村記念美術館

画像の印象だと、小さい作品に思えます。しかし、縦1メートル以上、横数メートルの大きな作品ばかり! 想像以上に大きな作品なのです。

身長を優に超えるサイズで、少し近づけばライリーの絵画が視界を埋めます。視界に絵画しか入らない状態になると、ますます揺れるんですよね…船酔いします。

ブリジット・ライリー「ここから」(1994年) 個人蔵 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London. 写真提供:DIC川村記念美術館

「現代アートは難しい」ってよく言われます。

でも、ライリーの絵は「どこが難しいの?これ以上簡単なもの無いでしょ?」って語りかけてきます。本能で面白さを感じるし、難しさなんて1ミリも無いですよね。

「芸術」よりも「エンタメ」?

ブリジット・ライリー「朝の歌」(1975年) DIC川村記念美術館 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London. 写真提供:DIC川村記念美術館

とてもカラフルな波の作品です。……と思いきや、実は数色しか使ってないんですよ。単色の曲線だったはずの色の波どうしが、目の中で混ざってグラデーションに見えるんです。
何言ってるか分からない? 本物にぐっと近くと、私の言ってる意味が分かるはず!

ブリジット・ライリー「賛歌」(1973年) 東京国立近代美術館 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London. 写真提供:DIC川村記念美術館

ただの縦縞ストライプなんですが、目の中で色が混ざるんですよね。無いはずの横線が見えてきて、格子模様に見えてきます。

「芸術」よりも「エンタメ」なオプ・アートは、見る人の知識を問いません。大人が説明してあげなくても、子供も楽しめるアートって珍しくないですか?

むしろ、子供たちから「なんで絵が動いてるの? どうして!?」の質問攻めに遭い、大人は大変かも…。

展覧会が終わったら消える絵画

ブリジット・ライリー「ラジャスタン」(2012年) シュトゥットガルト州立美術館 友の会 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London. 写真提供:DIC川村記念美術館

こちらの作品は、壁に直接描かれています。意味が分からないかもしれないけど、壁に直接ペイントされてるんです! 私も壁をよく見てみましたが、キャンバスを埋め込んだような跡はありませんでした。

「展覧会が終わったら、この絵はどうなるの?」って気になりますよね。スタッフさんに聞いてみたところ、「無くなります」との衝撃回答が。DIC川村記念美術館で気絶するところでした。

もったいない…でも、描いたり消したりするパフォーマンスも含めて現代アートなのです。本作はライリーの公式アートチームが来日して描き上げた作品とのことで、このようなパフォーマンスができるのも、作家が健在な間だけ、ですものね。

夏の佐倉へ小旅行に

本展が開催されているDIC川村記念美術館は可愛い魔王が出てきそうな古城のような建物が特徴的。ここには知る人ぞ知る、美術館の展示室から直接入ることができる茶席があります。こちらではライリーの絵画をイメージした和菓子がいただけます。

錦玉と和紅茶のセット。寒天の中に夏みかんが入った錦玉。冷たくてさっぱりしており、夏場に嬉しい味ですね。表面には波の模様がライリーの絵画を彷彿とさせます。700円でした。

広い庭園を眺めながら優雅にお食事ができるレストラン「ベルヴェデーレ」でもブリジット・ライリーの絵画をイメージしたランチコースをいただけます(一日20食限定)。私はランチで1600円のパスタセットにしましたが大満足でした!(季節によってメニューは異なります)

庭園の散歩が気持ちいい!広い庭園を散歩するのも楽しいのがDIC川村記念美術館。庭園の池には白鳥もいてビックリです。

アートを見たい人は「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画」展を見れば良いし、食べるのが好きな人は和菓子やイタリアンでお腹を満たせば良い。体を動かしたい人は、庭園をぶらぶらすれば良いのです。だって趣味だもん。

「夏休み、どこに行こうか決めてないよ…」という、そこのあなた。ぴったりの美術館が見つかって、めでたしめでたしですね!

【展覧会情報】
「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画」
会期:2018年4月14日(土)〜8月26日(日)
開館時間:午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜(ただし4月30日、7月16日は開館)、5月1日(火)、7月17日(火)
公式サイト:http://kawamura-museum.dic.co.jp/index.html

明菜

明菜

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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館めぐりの楽しさを発信。西洋美術、日本美術、現代アート、建築、装飾、ファッションなど、扱うジャンルは多岐にわたる。人間より猫やスズメに好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。

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