くらし

人生の伴走者「メンター」のススメ。カウンセラーとはどう違うのか、実体験から解説!

あるダンサーの方から「メンターになってください」と頼まれました。

メンターという言葉、ご存知でしたか。

私は、企業カウンセラーもしており、そういうところでは、孤独になりがちなトップの方のお話を傾聴させていただき孤独を癒してもらうこともありました。それが、初対面の方と世間話をしているうちにリクエストされたので驚きました。

プライベートなお話を聴かせていただく関係で守秘義務が課されている心理職を長く経験している私を選んでいただいたのかもしれません。もちろん、紹介をしてくださった方があったので、その方の配剤だったのかもしれません。

企業で導入が進むメンター制度

企業では、一般的にメンターとは経験豊かな先輩のような存在のことを指します。

メンター制度が企業で注目されている最大の理由は、導入することで、新入社員や若手社員が抱える不安を解消できるという点にあります。

悩みや壁にぶつかった時、同じような壁をすでに乗り越えた経験を持つ人がそばで寄り添ってくれれば、どんなに心強いことでしょう。これが企業でのメンターです。同じ部署の先輩だと利害関係がありすぎて悩みの相談がしにくいので別の部署の経験者が選ばれる方法が多くとられているようです。

実はこの制度は、厚生労働省でも普及を後押ししています。すでに導入マニュアルもできています。

厚生労働省が2013年に発行した「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル​​」では、メンターの役割として「キャリア形成上の課題解決を援助して個人の成長を支えるとともに、職場内での悩みや問題解決をサポートすること​​」と示されています。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000106269.pdf

実際にはそのような制度がなくても、思わず知らず人の相談に乗ったりして、メンターとしての役割を果たしている人もいます。その経験を踏んで、メンター自身も人として成長していくことができます。

だから、遠慮しないで、思い切って相談してみてはどうでしょう。あなたの周りに真剣にあなたの話を聴いてくれそうな人生の先輩はいませんか。

メンターとカウンセラーの違いとは?

メンターと同じく人の相談にのって問題解決の手助けをするカウンセラーと言う人がいます。私も本職はカウンセラーです。

何がちがうのでしょうか。

カウンセリングを必要としている人(クライエントと呼びます)は、普段は健康であったにもかかわらず、困難や危機や不安などに直面し、その解決のため態度変容・行動変容を試みようとしている人です。クライエントは困難な状況から抜け出したい、言うならばネガティブな状況を克服したい人が主になるでしょう。

一方、ポジティブに活動している人でも人生の重要な岐路に立って助言を求めたいと思ったり、さらなる自分の可能性を探る意味で話を聴いてほしいと思ったりすることがあります。

そんな時に活躍するのがメンターです。メンターはメンティーの経験や考え、信条といったものを丁寧に聴いて、自分の歩んできた道筋を示すなどして目標達成や問題解決の行動をサポートしていくのです。欧米のトップマネジメント層では仕事とは切り離してこうした相談にのってくれる役割の人と契約を結び定期的に話をすることで自分に方向性を定めると言ったことがよく行われています。

悩み相談ではなく、人生の道筋を示してくれるのがメンター

メンターのプロセスには傾聴をはじめカウンセリングと共通のスキルがいくつもあります。しかし、メンターは人生の一つの道筋を示すロールモデルといった性格が大きい役割です。信頼できる相談相手、同僚・先輩・恩師といった言葉でメンターが語られることもあるでしょう。

さて今回、メンターを依頼してこられたのは私とは全く畑違いの職業の女性でした。

お話を聴いてみると、その方は今、大きな悩みや解決すべき問題を抱えているというわけではないのですが、海外に源を発するダンスを好きになり、仕事にして、ここまでやってきて、これからの人生をどう歩んでいくかの確認をしたい感じでした。

まだ初回インタビューが終わったところですが、「もっともっと進んでいきたい」という、ほとばしるような言葉を聴かせていただきました。

様々なエピソードを伺ううちに、様々な出来事の前後関係や因果関係がメンティー自身の心の中で整理されていくようで、今の自分の立ち位置といったものが、より一層明確になられたようでした。

特に、具体的な言葉に出してみることが気づきへのカギとなります。自分自身でも意識していなかった気持ちや、物事の捉え方などに対する気づきが進んだようです。中でも、これまでの時間の流れの中で、パートナーが要所要所でどれだけ力を与えてくれていたのか実感できたことが、喜びにまで高まったようでした。

また、メンターとしての私自身の受け取り方も違っていました。カウンセリングとは全く違い、メンティーのお話にどんどん引き込まれていきました。その人の人生と並走しているようなワクワク感や、将来の躍進の予感なども共有できました。結果的に、メンティーにも大変喜んでもらえたようでした。

ビジネスシーンを越え、広がりをみせるメンター制度

でも、これからがメンティのポーラースターになって本当にお役に立てるかどうかの私の力の見せ所です。メンターに選んでいただいて光栄ですし、メンティーのこれからが私も楽しみです。

会社の制度の中ではなく、もっと自由な枠の中で、こういう時間を持つことが誰にとっても大きな意味を持っていくことを願っています。

Mayumi MIO

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Mayumi MIO

私は職業欄に「カウンセラー」や「心理職」と書いています。 子育てを契機として人とのコミュニケーションに悩み始めた時に、「爽やかな人間関係を作るアサーショントレーニング」に出会いました。その時から心理の世界に足を踏み入れ、早30年。現在、千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学教室講師を務める傍ら、アートマンカウンセリングルーム(久が原・高輪)を開き大学、専門学校、企業にて講師・カウンセラーを務めています。俳句、演劇などにもチャレンジ中。Hiphopも。これからこの場をお借りして心の話をしていこうと思います。
(小児発達学博士、公認心理師、臨床心理士、シニア産業カウンセラー) 

https://atmancounseling.com/

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