オランダは国土の約25%が海抜以下、地球温暖化や環境問題に敏感な国です。
無料レジ袋は数年前からすでに廃止され、昨年からは飲食店でのプラスチックストローやスプーンも禁止になりました。プラスチックごみの回収や削減のためのさまざまな取り組みが進んでいます。
今回は、オランダのスーパーマーケットや小売店で見つけた、環境に優しい身近な簡易包装や脱プラスチック品をご紹介します。日本とはちょっと違ったパッケージや売り場の様子もお楽しみください。
スーパーマーケットの売り場で見つかる簡易包装&はかり売り
日本のスーパーマーケットでは、野菜やくだものをはじめさまざまなものが綺麗にトレイに並び、プラスチック包装されています。確かに衛生的で統一感があり、輸送や陳列にも便利なプラスチック包装ですが、ヨーロッパの売り場とはずいぶんと違いがあります。
それでは、オランダのスーパーマーケットの様子を見てみましょう。
まずは生鮮野菜のコーナー。
どこのスーパーでも野菜や果物は、一部のブランド品や傷みやすいものを除きほとんどがゴロゴロと山積みされています。値札には1個当たりの単価かキロ単価が表示されています。買いたい野菜の金額を知りたい時は、売り場にある秤に品物を載せて品物の名前や絵のボタンを押すと重さに合わせた値段が計算される仕組みです。購入する場合は値札のシールをその場でプリントして直接商品に貼ってレジに持っていきます。
バナナ1本、じゃがいも1個から買うことができるので、無駄な大量買いを防ぐこともできます。
続いて乳製品のコーナー。
さすが酪農王国だけあって、チーズ・バター・ヨーグルトなどどれも種類が豊富です。写真はバターの冷蔵ケース。日本のバターは銀紙で覆われた上に紙箱で包装されていますが、こちらではほとんどが銀紙だけの簡易包装で並んでいます。どのメーカーも有塩・無塩両方あります。
こちらは日本でもおなじみヤクルト。
日本ではボトルをまとめるためにプラスチックフィルムが使われていますが、オランダのヤクルトは8本入りと15本入りのボトルが紙の箱に入っています。黄緑色のパッケージは欧州限定で発売されているビタミンCと食物繊維入りのヤクルトプラス。
続いては、マヨネーズにも注目してみましょう。
日本では、マヨネーズはチューブ入りで売られているのが一般的ですが、オランダではガラス瓶に入っています。というのも、オランダでは、野菜に直接かけるよりもパンに塗ったり調味料のひとつとして使うことが多いからなんです。
スプーンですくって使うガラス瓶は慣れると実はとっても便利。ほとんどのメーカーが紙のラベルを使用、プラスチックフィルムは使用されていません。マヨネーズのほかケチャップやドレッシング、食用油や調味料なども、シンプルな形状の透明ガラス瓶や缶入りのものが多いです。
小麦粉や砂糖や塩などの粉ものは、簡素な紙袋に入っています。
小麦粉の他に全粒粉やオーツ麦粉などもあります。商品を取る際は指でぎゅっと押すと袋が簡単に破けてしまうのでそっと持ち上げましょう。
こちらは卵売り場。6個パック、10個パック、12個パックなどあります。日本のような透明プラスチックのパックではなくほとんどが再生紙の紙製パックに入れられています。
ちなみにオランダの卵にはひとつずつ全てに品質表示のスタンプが押されています。
・品質番号0=広いスペースで屋外放牧されたオーガニックの卵
・品質番号1=屋外放牧の卵
・品質番号2=屋内放牧の卵
・品質番号3=ケージ内で飼われた卵
一般に小売りされているのは品質番号0~2まで。
紙製パックのフタは開閉できるので、フタをあけて品質表示のスタンプや卵の殻のひび割れ等を確認できます。
次は冷凍食品のコーナーです。日本と違うのはレンジで温めるお惣菜がほとんどないこと。オーブンやフライヤーで揚げたり焼いたりするフライドポテト、魚のフライ、ピザや、果物やカット野菜などの食材がメインです。
冷凍ブルーベリーとミニホットドックを買ってみました。どちらも紙の箱に入っています。
箱を開けてみます。なんと箱を開けると食品がむき出しのまま入っています。
初めて見た時はびっくりしたのと同時に、日本の食品包装は丁寧で素晴らしいと改めて思ったわけですが。まぁどうせ加熱して食べるんだし、中身を出すのも楽だし…慣れると楽です。
この紙箱入り簡易包装の冷凍食品は、今のようにプラスチックごみ問題がクローズアップされるより前からずっと変わらず売られています。オランダ流の無駄の省き方です。
オランダと言えば知る人ぞ知るビール大国!日本でも知られるハイネケンはオランダのビールブランド。スーパーのアルコール飲料コーナーには隣国ドイツやベルギービールも含め豊富な種類のビールが並んでいます。
そのほとんどが瓶ビール。デポジット制のため空き瓶はスーパーの返却機に戻すと瓶代を返金してもらえます。
オランダでは屋外の公共の場所での飲酒は原則禁止、そのせいか缶ビールはあまり一般的ではありません。
オーガニックスーパーにはさらに脱プラ商品がたくさん!
無農薬や有機栽培などの商品を販売するオーガニックスーパー、自然に優しい商品を扱う店だけあって、ここにはプラスチックフリーや簡易包装の商品がさらに豊富に揃っています。
ナッツやシリアル、ドライフルーツなどはたくさんの種類が売られています。普通のスーパーマーケットにも袋入りの物はたくさんありますが、ここでははかり売りで好きな量を買うことができます。
オランダでもヘルシーなイメージの日本食は人気です。
ガラス瓶入りの日本食材が売られていました。
なんとガラス瓶入りのお豆腐も見つけました!瓶詰めのお豆腐なら型崩れの心配はないですね。
食品だけでなく生活雑貨のコーナーもあります。植物性のスポンジや100%オーガニックの洗剤など地球に優しいものが揃っています。
棚の下段にあるWasnotenとはソープナッツという木の実の洗剤です。つやのある茶色い物体は天然の洗浄成分サポニンを含むムクロジという木の実。ウールやシルクなどデリケートな素材の洗濯にも使えるほか、繊維を柔らかくする作用があるので柔軟剤も必要ないそうです。
実は我が家の洗濯洗剤は粉せっけんとこのソープナッツのみ。雑然としがちな洗濯機まわりがすっきり片付きました。
洗剤のはかり売りコーナーもあります。最近このような洗剤のはかり売りをするお店が増えつつあります。
簡易包装と脱プラスチックが着実に進むオランダ。生活ゴミをへらす効果も!
いかがでしたか?
今回は身近なスーパーマーケットの簡易包装&脱プラスチック商品をご紹介しました。
オランダではどこの街でも食料品や雑貨が揃う青空市場(マルクト)があり、毎週地元の買い物客でにぎわいます。新鮮な旬の食材は地元の市場で必要な量を買う文化が定着していて、チーズ・肉・野菜やナッツまで、はかり売りで食料品を買う習慣が根付いています。そのため今回紹介したようなスーパーマーケットでのはかり売りや簡易包装も、ごく当たり前のこととして受け入れられています。
日本人から見るとずいぶん雑な包装で、衛生的ではないと見えるところもあるかもしれません。ですが、日本で暮らしていた時よりも家の中の生活ゴミが格段に減りました。ゴミ捨てや分別の手間が減って家事が楽になり、その分だけ心に余裕が出たように感じます。
日本でも簡易包装や脱プラスチック製品を扱うお店が増えてきました。あなたもできるところから脱プラスチック生活をはじめてみませんか?