オランダの自然とアートを満喫!クレラーミュラー美術館【クレラー=ミュラー美術館/ヘレーネの森巡り・後編】

アムステルダムから車で約1時間のオランダ中部の国立公園の中にあるクレラー=ミュラー美術館。ゴッホ、モネ、モンドリアンなど、著名な画家の絵画作品で知られています。

多数の屋内展示の他にも、国立公園の豊かな自然を生かした25ヘクタールもの広大な敷地に点在する彫刻庭園も魅力です。オランダ人の資産家ヘレーネ・クレラー=ミュラーさんが生涯にわたって収集したコレクション総数はなんと15000点!

見ごたえたっぷりのクレラー=ミュラー美術館の楽しみ方をご紹介します。

美術館のシンボルK-piece

デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園とクレラー=ミュラー美術館への入場方法

クレラー=ミュラー美術館のあるデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園は敷地面積5500ヘクタール。足立区とほぼ同じ面積を誇る、オランダ最大の国立公園です。自然保護の観点から周囲は柵で囲われており、中に入るにはチケットが必要です。園内に車を乗り入れる場合は別途€7.85をここで払います。

公園脇の駐車場に車を停めて無料のレンタサイクルを利用して自転車で美術館に向かうこともできます。この入り口から美術館まで2㎞以上あるので車で向かうもよし自転車を借りるもよし。どちらを選ぶかはお天気と当日の体力次第で。

公園入口のチケット売り場

全国400カ所の美術館が入り放題!オランダのミュージアムカード

美術館の入場にはオンラインでの事前予約が必要です。チケットも予約時にオンラインで購入することができますが今回は持っていると便利なオランダのミュージアムカード(年間パスポート)をご紹介します。

このカードはとても優れもの。購入したその日から一年間、オランダ国内約400か所以上の美術館・博物館が入場し放題になるんです。

美術館のチケット売り場で仮カードを購入すると、この仮カードで30日間の間に最大5回まで入場することができます。仮カードを受け取ってから5営業日以内にサイトにアクセスして本登録すると数日内に本カードが届きます。本カードの郵送先に指定できる住所があれば観光客でも購入可能です。

オレンジ色の仮カードと後日送られてくる本人写真付きの本カード

このミュージアムカードを持っていればいつでも通りがかりの美術館にふらりと立ち寄ることもできますし、当日券のチケット売り場に並ぶ必要もありません。お気に入りの美術館の館内カフェでお茶だけいただくなんてこともできる、美術館がぐんと身近になるカードです。

美術館併設の彫刻庭園を歩いてみよう

国立公園入口のゲートから案内看板を頼りに森の中を約2㎞進むと、クレラー=ミュラー美術館の建物が見えてきます。早速中に入りたいところですがちょっと待って。実はエントランス前だけでも15点以上の野外作品を見ることができるんです。無料で見ることができるのでサイクリングや散策中にここだけ見に訪れる人もいます。

美術館エントランスとCubic construction
ANDRÉ VOLTEN「Uba Tuba」

エントランスから美術館の中へ入ると、ゴッホ・ギャラリーへ向かう通路があります。順路としてはまっすぐギャラリー方面へ向かうのが通常のルートですが今回はまっすぐ彫刻庭園に行きます。「Beeldentuin(彫刻庭園)」の案内版に沿って外に出ます。

庭園への扉脇に置かれたパンフレット、日本語版もあります。

庭園は作品が森の中に点在しているのでマップを見ながら歩きます。

彫刻庭園のマップ
イサム・ノグチ「The cry」

木々に囲まれた散策路。地図を片手にオリエンテーリングの様に作品を探して歩くのもまた楽し。

訪れる際は、はきなれた歩きやすい靴で!

晴れの日限定、乗れる触れる体感型作品「エナメルの庭」

この美術館は館内撮影が可能です。フラッシュを使わなければ、ゴッホやモネも自分のカメラで好きな角度から撮影することができます。また屋外の彫刻庭園には遠くから作品を撮るだけでなく触れることが許可されている作品がいくつかあります。そこでは作品に座ったりポーズを決めて撮影をするのもOK!

こちらは屋外展示の中で遠くからでも目を引く「エナメルの庭(Jardin d'Email)」。昨年大規模な修復工事が完了して、輝くエナメルの白が復活しました。

4月から11月の晴れた日なら作品に上がることができます。(毎月末月曜日をのぞく)

ジャン・デビュッフェ「エナメルの庭(Jardin d'émail)」
作品裏側に小さな入り口、ここから作品の上に上ることができます

森の中のカフェレストラン

森の中の順路を抜けて広い芝生の広場に出ると大型テントのカフェレストランがあります。現在オランダではコロナ感染対策として「飲食店のテーブルは1.5m以上の距離をあけて着席」がルール。以前にも増して各テーブルはゆったりと距離をとって配置されているので、のんびり座ってお茶やランチを楽しむことができます。

主なメニューは各種サンドイッチとスープ、フライドポテトやケーキなどの軽食、飲み物にはワインやビールもあります。

オープンカフェでランチタイム

館内にはもう一カ所カフェがあります。こちらは屋内の展示棟からもアクセスできるレストラン「ムッシュ・ジャック」。彫刻庭園からも直接入ることができます。室内にも席が用意されていますが外のテラス席が断然人気です。

ミュージアムレストラン「ムッシュ・ジャック」
オランダの定番スイーツ、アップルタルトとコーヒー

自然環境や動物保護に積極的なオランダでは野生の鳥との距離がとても近いんです。人間を怖がらないのでカフェのテラスに座るとかわいい小鳥のお客様に遭遇することもしばしば。

スズメの仲間ズアオアトリ

充実のミュージアムショップ

レストラン「ムッシュ・ジャック」の隣にはミュージアムショップがあります。収蔵品のポストカードや複製、オリジナルアクセサリーの他、美術や芸術家に関する本、子供向けの本やおもちゃなどなど。オランダにちなんだ著名な芸術家のグッズがたくさんあります。

ミュージアムショップ

かわいい小物や雑貨も種類が豊富、日本へのお土産にも喜ばれそう。

ゴッホの塗り絵とモンドリアンのメガネ拭き

ゴッホの作品に囲まれる館内ギャラリー

ここクレラー=ミュラー美術館には、ゴッホの90枚の絵画と180枚のデッサンがあります。作品所蔵点数はなんと世界第二位(第一位はアムステルダムのゴッホ美術館)。

美術館の建物中央部にゴッホ・ギャラリーと呼ばれるコーナーがあり常時約40点の絵画が入れ替えで展示されています。初期のデッサンから晩年の名作まで様々なゴッホ作品に触れることができます。

回廊のようにぐるりと回りながら鑑賞できるゴッホ・ギャラリー内部

現在はコロナの影響でほとんど中止されている子供向けアクティビティですが、本来はとても充実していて館内でゲームやクイズ、ゴッホに触れるお絵描きコーナーもあるんです。再開が待ち遠しいです。

デジタルキャンバスに絵を描く体験コーナー(2017年撮影)

この秋、クレラー=ミュラー美術館の所蔵品が日本へ!

クレラー=ミュラー美術館が所蔵する作品がこの秋日本へ渡ります。

東京都美術館で9月18日より開催される「ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」ではゴッホの絵画28点と素描20点の他ミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの絵画20点とともにヘレーネ・クレラー=ミュラーのコレクションが展示される予定です。さらに年末から来年の春には福岡・名古屋も巡回予定。

まとめ

今回ご紹介したクレラー=ミュラー美術館他関連サイトは下記のとおりです。

クレラー=ミュラー美術館
所在地:Houtkampweg 6, 6731 AW Otterlo
公式HP:https://krollermuller.nl/jp (日本語)

デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園パークパビリオン(インフォメーションセンター)
所在地:Houtkampweg 9B, 6731 AV Otterlo
公式HP:https://www.hogeveluwe.nl/en (英語)

オランダのミュージアムカード
公式HP:https://www.museum.nl/en (英語)

東京都美術館
所在地:〒110-0007 東京都台東区上野公園8−36

ゴッホ展公式HP:https://gogh-2021.jp/

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