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【Webで旅気分】ドイツの古都、ドレスデンは「エルベ川の真珠」と讃えられる美しい街。バロック建築が壮麗な旧市街をひとまわり!

ドイツの東部にあるドレスデンは「エルベ川の真珠」「エルベ川のフィレンツェ」と讃えられた美しい街です。

中世にはエルベ川を利用した商業と銀の採掘で発展し、16世紀以降はザクセン王国の首都として栄え、豪華な宮殿や教会、貴族の館が建ち並びました。第2次世界大戦の空襲で市街の多くが破壊されましたが、現在は華麗な都が甦っています。

ドレスデンの歴史と文化のエッセンスである、エルベ川の南側、旧市街を歩いてみましょう。

絵画と陶器を誇る「ツヴィンガー宮殿」

中庭の噴水を四方から建物が囲み、左からアルテ・マイスター絵画館、陶磁器コレクション。
陶磁器コレクションの対面には数学・物理博物館、噴水「ニンフの浴場」

旧市街の徒歩圏に、多くの見どころが集まっています。旧市街へは、ドレスデン中央駅からエルベ川をめざして歩いておよそ20分。路面電車トラムに乗れば3駅ほどです。

ドレスデンはドイツ東部のザクセン州にあり、ザクセン州はポーランド、チェコと国境を接しています。ザクセン王室最盛期の王、フリードリヒ・アウグスト1世(1670~1733年)はポーランド王アウグスト2世でもあり、「アウグスト強王」とも呼ばれています。

ツヴィンガー宮殿は、アウグスト強王が建築家ペッペルマンに命じて庭を囲む3棟を建設させ1728年に完成、ドイツ・バロック建築の最高傑作といわれます。

アウグスト強王を魅了した磁器

夕日を浴びる陶磁器コレクション(ツヴィンガー宮殿)

ツヴィンガー宮殿の陶磁器コレクションの建物は、バロック様式の特徴をよく現わしています。特徴のひとつは装飾性、アーチ型の窓の上には植物模様、窓の下にも柱を支えるような人物、手摺や屋根にはギリシア神話の神々の像が立っています。

陶磁器コレクションの中心部

陶磁器コレクションの入口は、中央部分の2階にあります。正面2階の時計の左右にはマイセン白磁のカリヨン(組鐘)が2列に並んでいます。時計の上にはザクセンの紋章からとられた双剣のマークがあり、双剣のマークはマイセンの磁器の印にも使われています。

ここには、アウグスト強王が「白い黄金」といわれる磁器に魅了されて集めた17~18世紀の中国の磁器や日本の伊万里、柿右衛門、アウグスト強王が研究を重ねて完成させたマイセン磁器の傑作などが展示されています。壁面に壺や皿が何段にも並ぶ展示は、日本の美術館とは違うので驚かされました。

ガラスケースには豪華なディナーセット、菊の花を活けた花瓶をすべて磁器で仕上げたもの、動物園のように並ぶ白磁製の鳥や獣などもあります。圧巻は、4年の歳月と2200ピースから成る食器セット「スワン・サーヴィス」、足元にいる20人程の人物とセットの「アウグスト3世騎馬像」です。

世界の古典名画を揃えた「アルテ・マイスター絵画館」 

アルテ・マイスター絵画館(ツヴィンガー宮殿)

ツヴィンガー宮殿の中庭を囲む最後の一辺に、アルテ・マイスター絵画館があります。建築家ゼンパーによって、1855年に建設されました。ルネサンス様式の特徴である、左右対称、等間隔に並んだアーチがありますが、壁面には人物像があるものの比較的シンプルです。

中央のアーチに劇場広場の騎馬像がぴったり

アルテ・マイスター絵画館の所蔵品はわずか50年で集められました。とくにアウグスト3世(1696-1763年)がドイツとオランダの巨匠作品を含む、16~18世紀の名画を揃え、ヨーロッパで最も重要な作品をもつ美術館のひとつになりました。

豪華なシャンデリアが並ぶ通路、天井も柱も見逃せない

館名の「アルテ・マイスター」は18世紀以前に活躍したヨーロッパの優れた画家・作品のことで、コレクションを見ると納得です。日本では「ドレスデン国立古典絵画館」とも紹介されています。おもな画家は、イタリアのティツィアーノ、ボッティチェリ、ドイツのデューラー、クラナハ、オランダのレンブラント、スペインのムリリョ、フランスのヴァトゥーなどです。

左:「見逃すな」と書かれたパンフレット 右:ラファエロ「システィーナの聖母」の絵はがき

一番有名で人気の作品「システィーナの聖母」(1512~13年)は、ローマ教皇ユリウス2世が故郷の聖堂の祭壇画としてラファエロに依頼したものです。作品はひときわ大きく金色の豪華な額に納まり、中央の聖母子のまなざしは厳かで優しく、下でくつろぐ二人の天使はやんちゃな子どものようです。

ラファエロ「システィーナの聖母」の絵はがき

「システィーナの聖母」、聖母子の下にいる天使たちは、アートグッズのモチーフでよく見かけます。

フェルメール「窓辺で手紙を読む女」(修復前)の絵はがき

オランダのフェルメール作品は「窓辺で手紙を読む女」(1657~59年頃)「取り持ち女」(1656年)の2点が所蔵されています。「窓辺で手紙を読む女」の修復完成を記念して2021年9月10日から「フェルメール」展が開かれ、終了後にその作品がが日本にやって来ます。

日本では「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」と題して、2022年1月の東京都美術館から始まり、北海道、大阪、宮城に巡回の予定です。ドレスデンの絵画を日本で見ることができるのは楽しみです。

ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展
https://www.dresden-vermeer.jp/
東京都美術館 2022年1月22日(土)〜4月3日(日)
以降、北海道、大阪、宮城に巡回予定

外観は壮麗、内装は華麗なゼンパーオーパー

ゼンパーオーパー(ザクセン州立歌劇場)

ゼンパーオーパーは劇場広場の西に位置します。アルテ・マイスター絵画館を建てたゼンパーが手がけて1841年に完成しました。初期ルネサンス様式、バロック様式など、さまざまな時代の特徴を採り入れ、華やかで豪華です。建築家の名に因んで「ゼンパーオーパー」と呼ばれ、ザクセン州立管弦楽団とゼンパーオーパー・バレエ団の本拠地です。ワーグナーの『タンホイザー』やシュトラウスの『サロメ』などが初演されたことでも有名です。

入口の左には、ドイツの劇作家・詩人でもあるゲーテ(1749~1832年)、右にはシラー(1759~1805年)の座像が置かれています。
劇場広場の中央にはザクセン王ヨハンの騎馬像(シリング作 1889年)

広い劇場広場の中央、ゼンパーオーパーの正面を背にした騎馬像は高さ6メートル、馬上には劇場建設を命じたザクセン王ヨハン(1801~73年)、騎馬像の向かう先にレジデンツ宮殿三位一体大聖堂が見えます。

チケットが入手できない方には、見学ツアーをお勧めします。英語、ドイツ語で45分間のツアーが1日に何回か開催されています。赤い絨毯を敷いた階段を上り、豪華な劇場の席に座って説明を聞きました。通路には色大理石の柱が建ち並び、アーチをつくる高い天井にはシャンデリアが輝き、植物模様や神話が鮮やかに描かれています。

78体の聖人像が並ぶ「三位一体教会」

左は三位一体大聖堂、その手前に騎馬像、右はレジデンツ宮殿

劇場広場を挟んでゼンパーオーパーと向かい合う三位一体大聖堂は、18世紀にカトリックの宮廷教会、イタリアの建築家キアヴァリが手がけたバロック建築です。 

高さ83メートルの塔が目印、三位一体大聖堂  

三位一体大聖堂には3メートルの聖人像78体が欄干に並んでいます。内部にはマイセン磁器のピエタ像やパイプオルガンが、納骨堂にはアウグスト強王の心臓だけが安置されています。

ザクセン王の居城「レジデンツ宮殿」


歴代のザクセン選帝侯の居だったレジデンツ城(ドレスデン城)の始まりは、16世紀に遡ると言われます。18世紀にアウグスト強王がバロック様式の豪華な展示室に改装し、王家の財宝や貴重な工芸品を集めた博物館として貴族や賓客に公開しました。

アーケードのような天井がある中庭

見どころの「歴史的緑の丸天井」「緑の丸天井」と呼ばれる展示室は、天井のアーチを組み合わせた型が半球のように見え、一部が緑色だったことからの命名です。

「歴史的緑の丸天井」には、8つの部屋があり、「象牙の間」「銀の間」など宝飾品の名前がつけられています。それぞれの部屋は赤、緑、金などの強い色彩で統一され、鏡張りの壁の一面を覆い尽くすほどの展示品の量に圧倒されました。日本語の音声ガイドを聞きながら、宝石や金、琥珀、象牙の細工、宝石容器や彫像などに近づいて見ると、豪華で細かい細工に驚かれます。

ほかに、オスマントルコ展示室、武器展示室、貨幣展示室などがあります。

歴代王の「君主の行列」に会うアウグスト通り

劇場広場から左のレジデンツ宮殿と右の三位一体大聖堂をつなぐ廊下の下を通って、壁画に向かいます。
レジデンツ宮殿の「君主の行進」、右は三位一体大聖堂

フラウエン教会に向かうアウグスト通りには、高さ3メートル、長さ100メートルの壁画「君主の行進」があります。ザクセンの歴代君主35人を含む総勢93人が、24000枚以上のマイセン磁器タイルに描かれています。

壁画の中央にはアウグスト強王、すぐ後ろに息子のアウグスト3世、最後尾には壁画制作者ヴァルターの姿があります。

ドレスデン復興のシンボル「フラウエン教会」

フラウエン教会とルター像

フラウエン教会は1743年に建築家ベーアが建造したプロテスタント教会で、直径25メートルのドーム、尖塔を含めると高さ91メートルのバロック様式の傑作です。教会の前にはカトリックを糾弾した宗教改革の中心人物のルター像が立っています(1885年にドンドルフ制作)。内部は柱のない大きな空間が白で統一され、華やかな祭壇、パイプオルガンがあります。途中までエレベーターを使い、67メートルの展望台まで上がると、街を見渡すことができます。

眺望の写真が載ったパンフレット

ドレスデンは1945年2月、第2次世界大戦の「ドレスデン大空襲」によって市街の8割以上が破壊されました。現在は再建され、街並みが戻りました。最後の再建がフラウエン教会でした。

フラウエン教会は旧東ドイツ時代、瓦礫の山が記念碑として残されていました。

再建の気運が高まったのは、1990年の東西ドイツ統合がきっかけです。市民が中心になって再建が始まりました。1994年に礎石が置かれ、オリジナル図面に沿って、できる限り元の建物部材を使う方針で、爆撃されて黒くなった石材を45%使っています。

暗い色と明るい色の石材が戦争の傷跡を思い起こさせ、希望と和平とを伝えようとしたのです。世界中の60万人以上から寄付を受け、フラウエン教会は2005年10月に完成、ドイツの歴史を物語るシンボルになりました。

エルベ川の風を感じる遊歩道「ブリュールのテラス」

旧市街(左)と新市街をつなぐアウグスト橋

高い塔は三位一体大聖堂、手前のアウグスト橋でエルベ川を渡ると、1736年に設置されたアウグスト強王の金色の騎馬像があります。この橋から振り返って旧市街を望むのが撮影にお勧めのポイントです。アウグストス橋の南側(写真では右側)からエルベ川沿いに約1kmの遊歩道「ブリュールのテラス」があり、ベンチやカフェもあってウォーキングにも最適です。

ドレスデンの旧市街を空から見る動画があります。ブリュールのテラスの夜景から始まる2分11秒の散歩をお楽しみください。フラウエン教会に使われた古くて黒い石材にもご注目ください。

川沿いを走る列車でコーヒータイム


2019年10月、プラハ中央駅からドレスデン中央駅まで電車で約2時間、ちょっと忙しいプラハから日帰りのドレスデン訪問でした。自由に海外旅行に出かけられるようになったら、観光情報を再度確認しておでかけください。

旅行サイトのオンラインツアーやYouTube(※「YouTube ドレスデン」と検索するなど)など、動画で見ると街がより立体的に見えてきます。  

ドレスデン美術館(SKD)
https://gruenes-gewoelbe.skd.museum/en/ 
ツヴィンガー宮殿、レジデンツ宮殿などドレスデンの14の博物館、3つの機関などのWebサイト
日本語あり、ドイツ語・英語ページに展示室の写真あり 

ドイツ観光局(日本語に対応した)公式ツイッター
https://twitter.com/GermanyTravelJP

ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展
東京都美術館 2022年1月22日(土)〜4月3日(日)
北海道、大阪、宮城に巡回予定
https://www.dresden-vermeer.jp/

関連記事・楽活「Webで旅気分」シリーズ

楽活では、長らくコロナ禍によって海外旅行に行きたくてもなかなか行くことができない、という方のために、海外の風光明媚な街の風景に詳しいライター・橋本菜摘さんが「Webで旅気分」と題した旅案内記事を連載。ヨーロッパ各国で、有名な景観や史跡で名高い観光都市を取り上げ、たっぷりの写真つきで解説しています。

今回取り上げたドレスデン以外にも、様々な旅紀行をご紹介しています。ぜひ、あわせて楽しんでみてくださいね。

橋本菜摘

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橋本 菜摘 
美術大好きのアートブロガーです。美術館でボランティアをして多くの仲間と作品に出会いました。面白いものがあったら誰かに話したい、美術作品と出会うきっかけづくりをしたいと思っています。
ブログ「アート ハミングバード」には展覧会で見たこと、考えたことを載せています。
http://hummingbird331.blog.fc2.com/
Instagram:okiron2017

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