【Webで旅気分】百塔の街・プラハで「王の道」を行く-戴冠パレードが行われた石畳みの道を歩き、世界遺産の魅力に浸ろう-

「百塔の街」とも呼ばれるプラハは、ヨーロッパの中心部・チェコ共和国の首都、世界で最も美しい街のひとつです。歴史が幾重にも重なる石畳みを歩くと、ゴシック、バロック、ロココ、アールヌーヴォー、キュビスムなど建築様式や時代が異なる建物が並んでいます。プラハでは修復を繰り返しながらそれぞれの時代の建築様式を残している建物が多い「奇跡の街」でもあります。

プラハの黄金期は14世紀半ば、プラハ城が拡張され、カレル橋が建設され、カレル大学が創設されました。歴史地区は1992年からユネスコの世界遺産に登録されています。

「王の道」は歴代の王が戴冠パレードした道で、人気の観光スポットが連なっています。さあ、プラハを歩きましょう。

プラハの玄関・プラハ本駅でアールヌーヴォーを堪能する

プラハ本駅、待合ホール

プラハ本駅は多くの国際列車が発着するプラハ最大の駅です。20世紀初頭に建てられ、正面には2本の塔がそびえています。なかに入ると、アールヌーヴォー様式で装飾された高いドームをもつ待合ホールがあります。

待合ホールを飾るアールヌーボーの彫刻や装飾

天井や壁には優美な彫刻や絵画、紋章があり、見上げたまま立ち尽くしてしまいました。中央の吹き抜けから下を見ると、ホームに向かう人たちが歩いていて、ここは駅だったのだと思い起こしました。ここにはカフェもあり、駅に用事がなくても、お勧めのスポットです。

ミュシャ(ムハ)美術館、右の看板下にチケットを添付

プラハ本駅から歩いて10分ほど、寄り道して、ミュシャ美術館に入りましょう。1998年に開館、家族が保管していた貴重な作品や写真、再現アトリエがあります。

チェコ出身の画家アルフォンス・ミュシャ(1860~1939年)は花や女性を優雅なアールヌーヴォー様式で描き、日本でも人気です。ミュージアムショップにはオリジナル・グッズが多種。ミュシャ作品は、市民会館や聖ヴィート大聖堂などでも見ることができます。ミュシャはチェコ語ではムハですが、ここでは親しみのある「ミュシャ」と表記します。

「市民会館」はライトアップでさらに壮麗

ライトアップされた市民会館

プラハ本駅から歩いて10分ほど、夜の市民会館はライトアップされて金色に輝いていました。市民会館は1911年に完成、優美で華やかなアールヌーヴォー洋式の建物です。

スメタナ・ホールはチェコを代表する作曲家ベジドブ・スメタナ(1824~1884年)を記念する「プラハの春」のメイン会場になります。毎日のようにコンサートが開かれているので、空席があれば当日でも聞くことができます。

1階の通りに面したレストラン「カヴァール・オヴェツニー・ドゥーム」には女性像の噴水、幾つものシャンデリアが輝き、優雅な雰囲気です。ほかにもレストランやバーもあります。

昼間の市民会館

昼の市民会館は、蔓や花をモチーフにしたアールヌーヴォー装飾を見ることができます。中央の半円には「プラハへの賛辞」と題するモザイク画、半円を囲む金色の文字にはプラハを讃える言葉があり、後ろには銅とガラスでできたドームがあります。

説明付きで館内を巡るツアーがお勧めです。

スメタナ・ホールのステンドグラス、豪華な客席、趣向を凝らしたサロンや小ホール、ミュシャの内装など見どころ満載です。ツアーはチェコ語、ドイツ語、英語で行われ、日本語はありませんが、売店で日本語ガイドブックを買って目を通しておくと参考になります。説明がよくわからなくても美しいデザインと高度な技法を間近で見ることができます。

火薬塔を望む「ナ・プシーコピェ通り」

市民会館と橋でつながる黒い塔は火薬塔。15世紀後半に王宮の門として建てられ、17世紀には火薬庫として使われたことから火薬塔と呼ばれています。高さ65メートルの塔が「王の道」の出発点です。ナ・プシーコピェ通りは銀行、劇場、カフェやファッションショップが並ぶ大通り。かつては旧市街を守る堀でしたが、1760年頃に埋められて道路になりました。

建物洋式の博覧会のような「旧市街広場」

旧市街広場から「ツェレトゥーナ通り」を望む

ツェレトゥーナ通りは、火薬塔から歩いて10分で旧市街広場につながる一番近い通りです。両側にショップがあり、お土産探しにも便利です。建物にも注目、飾り立てた窓が連なり、壁には優美な絵画もあります。

旧市街広場、正面に左にティーン教会、左にゴルツ・キンスキー宮殿

旧市街広場のまわりは、ルネッサンス洋式、ゴシック様式などさまざまな時代の建物が囲んでいます。

写真の中央、高さ80メートルの二つの塔をもつティーン教会は、14世紀に建て替えられたゴシック建築です。内部はバロック様式に改築され、金色を多く使った繊細で豪華な造りです。

ティーン教会の左、ピンクの瀟洒な建物はゴルツ・キンスキー宮殿、18世紀後半の繊細で優美なロココ式宮殿で現在は国立美術館です。訪問時には印象派の展覧会が開かれていました。

二つの建物の間、2階の角に石の鐘が食い込んでいる「石の壁の家」は、プラハ市営ギャラリーで訪問時には現代アート展が開かれ、光や音が石造りの建物に溶け込んで心地よい空間でした。

ライトアップされた旧市街広場

夜の広場は昼間とは異なり、ライトアップで美しく浮かびあがる幻想的な雰囲気を醸し出します。

広場の中心にヤン・フス像

広場の中心、ヤン・フス(1369~1415年)像は記念写真の背景にも人気があります。フスはプロテスタント運動の先駆者で、マルチン・ルター(1483~1546年)よりも100年早く教会の腐敗を批判して1415年に火刑になり、500周忌にあたる1915年に銅像が公開されました。

旧市庁舎は壁の色も異なる建物の集合体

旧市庁舎は14世紀に開設されて数世紀にわたって増改築を繰り返し、幾つもの建物がつながっています。70メートルの塔から360度プラハを眺めることができます。この塔はプラハでは珍しいエレベーター付きです。

十二使徒が窓から現れる

旧市庁舎の壁には二つの時計があり、上は天体の動き、下は横道十二宮と四季の農作業を示しています。毎正時に、時計の上の二つの窓から十二使徒の人形が姿を見せます。あっという間に引っ込んでしまうので、大勢の観光客が待ちかまえています。

見学ツアーでは、ステンドグラスの礼拝堂、会議ホール、チェコ史を描いた壁画、地下牢などを見ることができます。解説はチェコ語、英語、ドイツ語で行われます。1階にはプラハ市公式案内所もあります。

30体の聖人に守られる「カレル橋」

カレル橋、左側はマラー・ストラナ地区、右側は旧市街

旧市街広場からヴォルタヴァ川を目指して歩くとおよそ10分でカレル橋に到着。カレル橋はヴォルタヴァ川にかかるプラハ最古の石橋、長さ約520メートル、幅約10メートルで旧市街とマラー・ストラナ地区を結びます。神聖ローマ皇帝カール4世でもあったボヘミア王カレル1世(1316~1387年)が1357年に建設を始め、1402年に完成しました。

車の通行は禁止され、似顔絵描き、土産店が並び、多くの人が訪れます。ヴォルタヴァ川はスメタナ作曲の「ヴォルタヴァ川の流れ」でも有名、北に流れてドイツでエルベ川に合流します。

橋塔とカレル1世像(旧市街側)

橋の両端には橋塔があり、見張り台などの役目を果たしました。旧市街側の橋塔は14世紀に建設された当時のゴシック建築の最高傑作。壁には金色の5体の守護聖人像が立っています。内部に展示があり、展望階では絶景パノラマが望めます。  

人気の聖人、聖ヤン・ネポムツキー像

欄干には左右に15体ずつの聖人像があります。頭に5つの星が特徴の聖ヤン・ネポムツキー(1340頃~1393年)はボヘミアで最も人気のある聖人です。プラハ司祭を務めましたが、カレル橋から川に投げ込まれて亡くなりました。そのとき、川面に5つの星が現れネポムツキーの頭を囲むように輝いたことから、頭のまわりに5つの星がついています。台座に触れるとよいことがあると言われ、みなが触って色が変わっていました。日本にも布教に来たフランシスコ・ザビエル像も立っています。

プラハ城で千年の歴史を建物に見る

丘の上に建つプラハ城は市街からも見える

カレル橋を渡り、坂道を20分ほどでプラハ城へ。歴代の王が暮らした城は壁に囲まれ、聖堂、旧王宮、貴族の館など幾つもの建物があります。城全体は奥行き124メートル、幅60メートルもあります。

プラハ城正門前のフラチャニ広場、左には大司教館

プラハ城の正門前、フラチャニ広場では衛兵の交代が行われます。大司教館は柔らかな印象のロココ洋式です。大司教館の左から下に行くと国立美術館があり、中世から19世紀までの名画が展示されています。

写真の右側から市街が見渡せ、スターバックス・コーヒー、プラハ城店からも絶景が望めます。

プラハ城の正門、門柱の上には巨人像、下には衛兵

約97メートルの塔がそびえる聖ヴィート大聖堂は、10世紀の聖堂を元に14世紀にカレル1世が拡張し、1929年に完成しました。600年も増改築が繰り返されたため、ゴシック、ルネサンス、バロックなどの建築様式が混在し、聖堂内は柱や壁に聖人の絵や彫刻が施され、礼拝堂が連なる壮大な空間です。

聖ヴィート大聖堂、西側の薔薇窓

聖ヴィート大聖堂にはゴシック様式の特徴である高い天井、大きなステンドグラスの薔薇窓があります。内部にも天井まで届くほどの大きなステンドもいくつもあり、ミュシャの作品は見逃せません。ひときわ大きな銀製の彫像は、カレル橋にも像があった聖ヤン・ネポムツキーの墓で、頭に5つの星が付いた人物像もあります。

聖ヴィート大聖堂、南側の聖イジー像

聖ヴィート大聖堂南側の騎馬像は、龍を退治する聖イジー(「聖イジー」は聖ゲオルギウスのチェコ語読み)、剣を向けた先に聖イジー聖堂があります。像の右、金色に輝く壁画は「最後の審判」が30種の鮮やかなモザイクで描かれています。

聖イジー聖堂、右側にはネポムツキー礼拝堂

聖イジー聖堂の正面は17世紀のバロック様式、上部の三角にも聖イジーが龍を退治する像があります。内部は10世紀に完成したロマネスク洋式、天井や壁にフレスコ画が描かれ、静かで厳かな感じがします。音響効果がよく、音楽ホールとしても使われています。

そのほかのお勧めは3か所。旧王宮は16世紀まで使われ、天井高13メートルで柱がないウレジミースラフ・ホール、礼拝堂や歴史的に重要な窓もあります。黄金小路にはカラフルな小さな家が並び、土産物店やオリジナルの手芸品なども売っています。ロブコヴィツ宮殿美術館は絵画、陶器、楽器などを展示、日本語の音声ガイドがあります。コンサートホール、レストランとミュージアムショップも充実しています。

ロレッタ教会はマリア巡礼の地

フラチャニ広場から西に歩いて15分ほどには二つのお勧めのスポット。17世紀バロック様式のロレッタ教会はで27の鐘がメロディーを奏で、宝物蔵では宝石を散りばめた聖具を見学できます。12世紀の修道院ストラスホフ修道院は壮麗なフレスコ画のある図書館が有名。絵画館も見応えがあります。

「王の道」を歩いてみたら

プラハ地図で「王の道」を確認

「王の道」はいかがでしたか。プラハの魅力を十分にお伝えできたでしょうか。プラハはあてもなく歩いても、街並みや建物を楽しみ、発見があります。

街はほとんどが石畳みで、拳大の石が敷き詰められています。表面には凹凸があるので、底が厚めの歩きやすい靴をご用意ください。教会は内部の装飾、天井などにも見どころがいっぱい、是非も覗いてください。ただし、神聖な場所なので静かに過ごすこと。結婚式や葬儀などで入れない場合は終了時間や入館できるのかを聞いてみましょう。

黄金小路で買ったおみやげ、木製の飾り、レースの敷物、クマと木馬を赤い革紐でつないだ栞(クマはと手足が動かせる)

プラハ訪問は2019年10月、コロナ感染が始まる前でした。2021年8月時点では海外旅行は難しい状況ですが、コロナ収束後に安全に配慮して最新の情報を確認しておでかけください。オンラインツアーに参加するのもよいですね。

ミュシャの代表作「スラヴ叙事詩」全20点が、2026年開館予定の施設で恒久展示されることが今年2月に発表され、楽しみが増えました。記事をまとめたら、見逃したところも見つかり、またプラハに行きたくなりました。

チェコ政府観光局 https://www.visitczechrepublic.com/ja-JP/
Amazing TRIP プラハ観光 https://amazing-trip.xyz/prague/

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楽活では、長らくコロナ禍によって海外旅行に行きたくてもなかなか行くことができない、という方のために、海外の風光明媚な街の風景に詳しいライター・橋本菜摘さんが「Webで旅気分」と題した旅案内記事を連載。ヨーロッパ各国で、有名な景観や史跡で名高い観光都市を取り上げ、たっぷりの写真つきで解説しています。

今回取り上げたプラハ以外にも、様々な旅紀行をご紹介しています。ぜひ、あわせて楽しんでみてくださいね。

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