アート

『ときめく図鑑Pokke! ときめくきのこ図鑑』が刊行!きのこを愛で、見とれ、ときめく一冊が待望の文庫化!

私こときのこライター・堀博美の著書としては、2冊目のきのこ本となった『ときめくきのこ図鑑』(山と渓谷社)が、このたび同じ版元・山と渓谷社から文庫化されることになりました。

その名も『ときめく図鑑Pokke! ときめくきのこ図鑑』です。

もともと単行本の頃から、鉱物・カエル・星空・妖怪などさまざまな分野のビジュアルと読み物で楽しめる図鑑が『ときめく○○図鑑』というシリーズになっていました。

今回の文庫としてもこのシリーズを生かしつつ、文庫として新しいレーベル名『ときめく図鑑Pokke!』をつけて、アウトドア中心の従来の「ヤマケイ文庫」とは違う展開をはかりたいとのことです。

図鑑としては大胆で「ときめく」写真

カメラに万華鏡を取り付けてきのこを撮影した写真。桝井さんの発案。/『ときめくきのこ図鑑』文・堀博美 写真・桝井亮 監修・吹春俊光 山と渓谷社

そもそも単行本の『ときめくきのこ図鑑』は9年前、2012年に刊行されたものですが、当時からすでに、図鑑と言うにはかなり大胆な作りになっていました。

と言いますのは、一つには、きのこ写真家・桝井亮さんの写真が、一般的な図鑑のそれとは一味違う、よりアートな視点からきのこを捉えているからです。

このかわいさ、アイドルだったらセンターの位置付けといえるでしょう。でも毒きのこ。/『ときめくきのこ図鑑』文・堀博美 写真・桝井亮 監修・吹春俊光 山と渓谷社

きのこマニアの方なら既に知っていることかもしれませんが、一般的な科学的きのこ図鑑の写真は、より典型的な色・形のきのこを、鮮明に、背景をぼかしたりせずに撮影するのが良しとされています。

しかし、桝井さんの写真は必ずしもそうではなく、変形したきのこに着目したり、背景をぼかしたりしたものも掲載されています。それらはきのこ写真として観るととてもかわいく、美しいのです。きのこを万華鏡で見た写真なども含めて、あえてそういうアートな写真によって、きのこの魅力を伝え、見た人がきのこに「ときめく」ような写真がセレクトされています。

文章にも「ときめき」を意識して

空色が美しい珍しいきのこ。色から名前がつけられました。/『ときめくきのこ図鑑』文・堀博美 写真・桝井亮 監修・吹春俊光 山と渓谷社

そんなきのこ写真の魅力に負けないよう、私の文章のほうも、きのこの愛らしさ、素敵さを言葉で伝えるよう心がけました。「赤、白、黄色、どの茸見てもきれいだな」などの、普通の図鑑ではまずありえないような表現も、この図鑑にはあえて取り入れました。きのこの生き方についてや、きのこグッズやきのこ型のお菓子などのコラムもあります。

伝えたいのはきのこの愛らしさや美しさ、そして生命としての素晴らしさ。読者の皆さまがきのこにときめいてくださるような文章を心がけました。

柄のテクスチュアがざくざくしていて迫力があります。傘の裏はスポンジ状です。/『ときめくきのこ図鑑』文・堀博美 写真・桝井亮 監修・吹春俊光 山と渓谷社

そして、科学的に誤りがないよう、私も気を配りましたが、監修の千葉県立中央博物館に勤務する菌類研究者・吹春俊光先生が細部までビシッと締めてくださっています。ですから、すでにきのこを好きになっている人だけではなく、きのこ好きへの最初の半歩にも良い本だと思っています。

単行本と文庫本の違い

『ときめくきのこ図鑑』文・堀博美 写真・桝井亮 監修・吹春俊光 山と渓谷社

単行本と文庫、2冊の『ときめくきのこ図鑑』を並べてみました。

単行本の大きな写真も捨てがたいですが、かわいいポケットサイズの文庫版のPokke!もいい感じのサイズ感です。こちらはまさに、どこへでも連れて行けるかわいさだと言えるでしょう。しかも文庫版の情報量は単行本版とほぼ同じ。読み物としても充実しています。さらに和名・学名などは監修や協力のもと、2021年時点での最新情報にアップグレードされています。

今でこそ猛毒と知られたカエンタケも、昔の図鑑では食毒不明となっていました。/『ときめくきのこ図鑑』文・堀博美 写真・桝井亮 監修・吹春俊光 山と渓谷社

この出会いを機に、ポケットに文庫版『ときめくきのこ図鑑』を入れて、きのこといっしょのときめく暮らしに向けて、初めの半歩を踏み出してみませんか?

書籍情報のまとめ

▼基本情報

『ときめく図鑑Pokke! ときめくきのこ図鑑』
文・堀博美 写真・桝井亮 監修・吹春俊光
発行 山と渓谷社
価格 1100円(税込)
文庫版を元にした電子書籍もダウンロード発売中です。こちらもよろしくお願いします。

▼ネット書店への各種リンクはこちら!

山と渓谷社:https://www.yamakei.co.jp/products/2821049300.html
アマゾン:https://www.amazon.co.jp/dp/4635049302/
楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/16786382/?l-id=item-c-pbook

堀 博美

投稿者の記事一覧

神戸出身、京都在住のフリーライター。専門はきのこ。きのこライターとしての主な仕事に、書籍「きのこる キノコLOVE 111」(山と渓谷社)「ときめくきのこ図鑑」(山と渓谷社)「ベニテングタケの話」(山と渓谷社)「珍菌」(光文社)「毒きのこに生まれてきたあたしのこと。」(天夢人)などがある。WEBや雑誌、新聞などにも執筆経験あり。

一方で、長年現代アートに携わり、現在も制作活動を続けている。
きのことアートはライフワーク。その他、珍しいお菓子、京都街歩き、同人誌イベント、音楽鑑賞(米良美一さん推し)などに興味がある。

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