【顔面学講座㉕】 顔と言葉 顔に関する慣用句やことわざ
英語では「Gentle in countenance and loving in speech(穏やかな表情と愛のある言葉遣い)」と訳されています。

「顔」というのは、人間にとって最も重要なものです。「心」はもちろん重要ですが目には見えません。「脳」や「心臓」といった臓器も重要ですが、それらは皮膚や肉や骨で隠れて見えません。服も着ているし、基本的に頭には頭髪もあります。

顔だけが裸で表に出ています。目、鼻、口、耳といった感覚器が集まった顔は、人間の内面を映し出す鏡となり、その人であることを証明するものになりました。顔はその人のアイデンティティ(存在証明)なのです。

この顔が私、池袋絵意知の存在照明

そのため、顔に関する慣用句やことわざはとてもたくさんあります。

顔が売れる」「顔が潰れる」「顔から火が出る」、顔のパーツを使ったものだと「白い目で見る」「目頭が熱くなる」「鼻であしらう」などなど。

今回はそれらをいくつか紹介しつつ、「」について考えてみたいと思います。

仏の顔も三度(顔のことわざ)

どんなに温和な人であっても、失礼なことをされればしまいには怒る。

江戸時代に使われていた「仏の顔も三度撫ずれば腹を立つ」が「仏の顔も三度」となり、「どんなに穏やかな人であっても、無法なことをたびたびされれば怒る」という意味で、「仏の顔も三度まで」と言ったりします。

高野山で撮影した仏像。

これは、仏様のことではなく、仏のように寛容で温和な人でもという例えであって、人間のことを言っています。

仏教的には、無限の慈悲ですべての人びとを救う大慈悲がお釈迦様の教えなので、言葉にすると「仏の顔は無限」「仏の顔は永遠」となるのでしょうか。

このように「仏」は基本的にいい意味で使われますが、「仏頂面(ぶっちょうづら)」は、不愛想な顔、不機嫌な顔を意味します。

「仏頂尊の面相は知恵に優れ、威厳に満ちているが、無愛想で不機嫌にも見えること」が語源のようですが、確かに仏像の顔は無愛想に見えるものもあります。歯も見せていませんしね。

「仏頂尊」とはこの仏像のように頭の上部に「肉髻(にくけい※コブのような脹らみ)」がある仏様のことで、この中には叡智が詰まっているそうです。

顔に泥を塗る(顔の慣用句)

名誉を傷つける。面目を失わせる。恥をかかせる。

「顔に泥を塗って汚す」ことから、「顔を潰す」や「顔が潰れる」といった表現もあります。

「面子をつぶされた」なんて言い方もして、英語だと「lose face」

顔がその人のアイデンティティであることがよくわかります。

この表現は一般的に「泥は汚いもの」という認識があるからで、美容サロンで毛穴の汚れや皮脂を落とすために泥パックされることは「顔に泥を塗る」とは言いません。

顔を曇らせる(顔の慣用句)

不安や心配などで暗い表情になること。

太陽が完全に隠れ、暗い雲に覆われ明るさを失った空に例えた見事な表現です。

天気のイメージではこんな感じ。

破顔一笑(顔の四字熟語)

「破顔一笑(はがんいっしょう)」。 「顔が破れる」と書くので「爆笑」するほどの大笑いにも思えるのですが「にっこり笑う」が正しい意味です。

緊張から解放されて笑顔になったり、普段は気難しい人が見せる笑顔の時に使われ、「顔をほころばせる=表情がやわらぐ」と同義語と捉えていいと思います。

こういう子供の笑顔は「破顔一笑」にはあたらない。

和顔愛語(仏教用語)

「和顔愛語(わげんあいご)」。「和顔」はやわらかな顔、「愛語」はやさしい言葉。

大乗仏教の経典「無量寿経(むりょうじゅきょう)」に「和顔愛語にして、意を先にして承問(じょうもん)す」とあり、現代では「表情はやわらかく、言葉はやさしく」となります。

また、「雑宝蔵経(ぞうほうぞうきょう)」という経典に「無財の七施(しちせ)」という教えがあり、財産がなくても七つの施しができるという意味です。

①「眼施(がんせ)」あたたかい眼差しの施し
②「和顔施(わがんせ)」穏やかな笑顔の施し
③「言辞施(ごんじせ)」心のこもった言葉の施し
④「身施(しんせ)」自分の身体や力を使う施し
⑤「心施(しんせ)」慈愛のこもった言葉の施し
⑥「床座施(しょうざせ)」自分の座席(場所・地位)を他の人に譲る施し
⑦「房舎施(ぼうしゃせ)」掃除した住居を多くの人に開放する施し

この「和顔施」と「言辞施」が「和顔愛語」にあたります。

京都市下京区にある西本願寺で撮影。

英語では「Gentle in countenance and loving in speech(穏やかな表情と愛のある言葉遣い)」と訳されています。

英語での顔(face)の慣用句

「face」には、顔(顔面)以外にも、顔つき、人、面、表面、外面などの意味があり、「refuse to face reality(現実から目を背ける)」や「I have to face the reality(現実と向き合わなければならない)」といった表現があります。

どうしたらよいかわからなくなった時に「頭を抱える」と言います。英語では日本語の「頭が痛い」と同様「headache(頭痛)」を使った表現が多いようです。

そして、有名なところでは「face to face(直接会う・面と向かって)」があります。
KAT‑TUNの『FACE to Face』、山下智久の『Face To Face』など、曲のタイトルにもなっています。

コミュニケーションは、メールよりも電話、電話よりもZoomやGoogle Meetなど顔が見えるオンラインコミュニケーションで、やっぱり、オンラインよりも実際に会って、直接顔を合わせて「Face To Face」でやるのが1番いいですね。

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