この秋、日本美術史上の事件が。ナビゲータの石原さとみさんも “フェルメール・ルーム” に期待!

現存する作品はわずか35点。その希少性もあり、日本でも大変な人気を誇るヨハネス・フェルメール。17世紀にオランダで描かれたフェルメールの絵画は、現在ヨーロッパとアメリカを中心とした世界各地に点在していますが、その中から8点の作品が海を渡り、この秋、東京に集結します!

ついに発表! 東京展にやってくる8点のフェルメール作品

ヨハネス・フェルメール《牛乳を注ぐ女》1660年頃  アムステルダム国立美術館Rijksmuseum. Purchased with the support of the Vereniging Rembrandt, 1908

すでに昨年そのうちの4点は発表されていましたが、2018年7月24日(火)に東京国際フォーラムにおいて開催された『フェルメール展」東京展記者発表会で、ついに残る4点の作品と展覧会の詳細が明らかになりました。発表会では同展の展覧会ナビゲータを担当する女優の石原さとみさんが登壇し、残りの4点を発表しました。

出展されるフェルメール作品全8点を紹介する石原さとみさん

日本美術展史上、最多のフェルメール作品が集う『フェルメール展』。東京展は2018年10月5日(金)から上野の森美術館で開催されます。来日するフェルメールの真筆8点のうち、これまでに発表されていたフェルメール作品は、「牛乳を注ぐ女」、「マルタとマリアの家のキリスト」、「手紙を書く婦人と召使い」、そして日本初公開となる「ワイングラス」でした。

記者発表会では、フェルメール・ブルーをイメージした青いワンピースをまとった石原さんが登壇し、青い封筒を開封し、残り4点となる、「手紙を書く女」、「リュートを調弦する女」、「真珠の首飾りの女」、さらにこちらも日本初公開となる「赤い帽子の娘」(12月20日までの限定公開)を発表しました。

大阪展のみ公開の作品は「恋文」

東京展では前述の8点が展示されますが、明けて2019年2月16日(土)から開催の巡回展となる大阪展のみで公開される作品があります。それが「恋文」です。寓意的なモチーフが散りばめられたこの作品は、フェルメール作品の中でもひときわミステリアスで物語性の強い構図となっています。こちらもぜひ見逃せない内容です。なお、大阪展の詳細は9月以降に発表されます。

ヨハネス・フェルメール《恋文》1669-1670年頃  アムステルダム国立美術館Rijksmuseum. Purchased with the support of the Vereniging Rembrandt, 1893 ※大阪展のみ展示

奇跡の「フェルメール・ルーム」が実現!

東京展では、フェルメールのキャリアのほぼ全段階から選ばれた作品が、なんとひとつの部屋に会します。その名も「フェルメール・ルーム」。

これら8点がひとつの部屋で出会うことになるフェルメール・ルームが待ち遠しい
「フェルメールの描く作品にはたくさんの寓意が込められている。小さな作品もあるのでじっくり見てほしい」と語る千足伸行氏

本展の日本側監修者である千足伸行氏(成城大学名誉教授・広島県立美術館長)は「フェルメールは作品が出来あがるとすぐに注文主に渡していたため、手元にいくつも作品が置かれることはほぼなかった。作家本人ですら目にしたことがないであろう奇跡の空間がはるか遠い日本で実現するなんて、フェルメールが生きていたら誰よりもびっくりしたかもしれませんね」と奇跡の展示に期待を寄せていました。

特別な展示には特別な鑑賞方法で

大変な混雑が予想される「フェルメール展」。とりわけ長蛇の列を作る展覧会が多い上野の森美術館だけに、人気のフェルメールとなれば、さらにハードルが高くなります。今回、その悩みを解消すべく、東京展では「日時指定入場制」が採用されます。これは行列を解消するだけでなく、余裕を持って鑑賞できるという空間も提供しようという試みとなります。「日時指定入場制」では、1日を以下の6つの時間に区切り、その間の入場者数を調整するというものです。

①9:30~10:30 ②11:00~12:30 ③13:00~14:30

④15:00~16:30 ⑤17:00~18:30 ⑥19:00~20:00

指定した入場時間枠の中で好きな時間に入場できるとともに、「入替制」ではなく入場後は閉館まで時間制限なく鑑賞できます。だんだんと寒くなってくる季節、外で長時間待たずに済むというわけです。

音声ガイドは癒やしボイスの石原さとみさん

プライベートな海外旅行では、かならず現地の美術館へ寄るという展覧会ナビゲーターを務める石原さとみさん。国内の展覧会へ行っても音声ガイドはマストアイテムだそうです。本展では、そんなアート好きな石原さんが音声ガイドを担当。石原さんの癒やしボイスによる鑑賞ポイントやカンバスに隠されたエピソード、画家たちのトリビアを聞きながら、展覧会を存分に堪能できます。東京展では無料で貸し出しされます。

「(ナビゲーターとして)フェルメールが作品に投影した歴史や状況を伝えたい。絵画はどんな見方も正解であり、知識があることで楽しめる面もあれば、想像をふくらませることで楽しむ見方もある」と語る石原さん。

この日、石原さんがまとっていたフェルメールブルーをイメージしたワンピース「LDKWARE」。こちらはアパレルブランド「YAECA」とウェブメディア「ほぼ日」がコラボレートしたもので、今回展覧会場の受付や販売のスタッフの方が同じものを着用されるそうです。とてもかわいいデザインなので、会場でぜひチェックしてみてください。

鮮やかな青とゆったりしたデザインが印象的。

17世紀オランダ絵画の傑作が約50点

本展で見ることができるのはフェルメールだけではありません。
ハブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンらオランダ同時代の絵画約50点を通して、17世紀オランダ絵画の広がりと独創性が展開されます。

ハブリエル・メツー《手紙を読む女》1664-1666年頃  アイルランド・ナショナル・ギャラリー Presented, Sir Alfred and Lady Beit, 1987 (Beit Collection) Photo © National Gallery of Ireland, Dublin NGI.4537

なかでもハブリエル・メツーの最高傑作とも言われる「手紙を読む女」。フェルメールに通じる点がいくつもあります。女主人が手紙を読んでいるあいだ、召使いが見ている絵画に描かれている海と船。これは女主人の手紙の相手が遠い旅に出ていることを示唆したものです。また、フェルメールに比べると光の描き方が少し違うことがわかります。こうした違いを見比べることができるのも、本展の醍醐味のひとつと言えます。

フェルメールの作品8点が一堂に会するという、まさに「このうえもなく優雅な事件」のごときフェルメール展。10月分の日時指定前売り券は7月25日より発売です。最大にして最も贅沢な展覧会になること間違いなし。この機会をぜひお見逃しなく!

(文:虹、写真・構成:チバヒデトシ)

SNSやLINEスタンプなどで、17世紀からやってきた「ミルクさん」が混雑状況やショップ情報も伝えます。

【展覧会概要】
フェルメール展 Making the Difference : Vermeer and Dutch Art
会期:2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)
※会期中、一部作品の展示替えがあります。
休館日:12月13日(木) ※休館日が追加となる場合があります。
開館時間:9:30~20:30(入場は閉館の30分前まで)
開館・閉館時間が異なる日があります。詳細は公式ホームページをご覧ください。
会場:上野の森美術館
電話:0570-008-035(オペレーター対応:10:00~18:00/会期中9:00~20:00)
料金:
日時指定入場制 一般2,500円/大学・高校1,800円/中学・小学生1,000円
図録付前売日時指定券 5,000円
※未就学児は無料
※前売日時指定券料金は、来場日前日の23:59までの受付完了分が適用となります。
※各時間枠の前売日時指定券は、予定枚数に達し次第販売終了となります。
※当日日時指定券など、その他詳細は展覧会ホームページをご覧ください。

展覧会ホームページ:https://www.vermeer.jp/

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