旅・グルメ

身を清めてから作る?!京都の伝統和菓子・亀屋清永「清浄歓喜団」に感じた1000年の歴史の凄味とは?

京都といえば寺社仏閣など有名な史跡や祇園、嵐山といった名所を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし京都はグルメもハイレベル。特に、和菓子は江戸や明治に創業した有名な老舗がひしめきあっています。

駅のターミナルや百貨店のデパ地下などの常連となっている全国区の銘柄もあれば、地元に長年住んでいても知らなかった…という隠れ家的な名店まで大小様々。そこで、今回は京都以外では極めてレアな、知る人ぞ知る京都のお菓子をご紹介します。

雑誌編集者もビックリ? 京都の独特な和菓子

私は神戸出身・京都在住のフリーライターですが、過去にごく短い期間、京都のある雑誌編集部で、和菓子のコーナーの編集に携わっていたことがあります。そのため、京都の和菓子の資料を探していました。そこで目にしたのが「清浄歓喜団」(せいじょうかんきだん)という、一風変わった名前のお菓子でした。

清浄? 歓喜? 

迫力のある名前です。お菓子の写真も何かすごい。

その雑誌では既に記事になっていたらしいので、当時私が誌面に取り上げることはなかったのですが、その存在は強く印象に残りました。

清浄歓喜団、1000年の歴史

その後、仕事の合間に調べてみると、清浄歓喜団にはなんと約1000年もの歴史があるとのこと。

奈良時代に唐から伝わったお菓子「唐菓子(からくだもの)」の一つで、当時は貴族しか食べられない高級なものでした。

「歓喜」というのは「歓喜天」というゾウの頭をした仏様のことで、お菓子の「団」が大好物でいらっしゃることからそのお菓子が「歓喜団」になったそうです。今も天台宗・真言宗のお寺の中には歓喜天に清浄歓喜団をお供えするところがあるそうです。

現在、清浄歓喜団を作っておられる亀屋清永(かめやきよなが)さんは、江戸時代に阿闍梨(あじゃり・位の高い僧侶)から作り方を学びました。そういった経緯もあって、現在でも月に約数回、酒や肉を絶ち、心身を清める精進潔斎(しょうじんけっさい)を行ってから作られるそうです。これはもう、普通のお菓子という枠を完全に超えています。仏様への崇敬の念をお菓子という形にしたといえるでしょう。

生粋の京都人は「お団」と呼んで親しんでいるのだとか。さらに、清浄歓喜団にはお香が練り込まれていると聞きました。

ついに清浄歓喜団を入手!

これはすごい。個人的にでも食べてみたい。そこで、八坂神社のすぐそばの、亀屋清永さんに行って、あっさりと清浄歓喜団を手に入れました。

その、清浄歓喜団がこちら。紙箱に入っています。

*箱なしの清浄歓喜団も販売されています。

それでは、早速開けてみましょう。箱のデザインからして重厚感があります。箱を開けて、歓喜団を出します。

想像していたより小ぶりでかわいいです。

でもお菓子から、尋常ではないオーラが出ています。

金袋のような独特の形です。仏教に詳しい方によると、歓喜天には金袋がつきものなのだそうです。

京都の和菓子にはアート作品に例えられるほど美しいものがたくさんありますが、時代でいえば雅な平安時代をイメージさせるものが多いかもしれませんね。

しかし、この清浄歓喜団からは、縄文式土器とか、抽象オブジェとか、方向性が少し違った造形美を感じます。これは歓喜団が元々奈良時代のお菓子だからでしょう。

清浄歓喜団を食べてみた!

匂いをかぐと、ごま油のいい香りがします。

加熱して食べるとより美味しいとのことなので、オーブンで1分ちょっと温めてみました。(機種にもよりますが、もう少し長めの方が良かったかもしれません)

いよいよです。底を割って、米粉と小麦粉で出来た硬めの皮をがじっと強くかじります。そして、中のあんこが口に入ると……

口の中に広がる強烈なお香の香り。

「清め」を意味する7種のお香で、とても香り高いものですが、お香を舌で味わうというのはなかなかない経験です。

最初はお香の香りに驚いて不思議な感じを受けます。しかも甘い。

一瞬脳が混乱します。

でも、甘いといっても、丁寧に作られたこし餡の上品ですっきりした甘さです。食べ進めると、だんだんほっこり安心するような感じがしてきて、なんだか体内から清められそうな気がします。金袋の口の部分はカリカリしているので、口直しにいいです。

清浄歓喜団・味のイメージは……?

このお菓子のイメージを一言で言うと、「お寺」です。それも、古くからあるお寺。なんともありがたい味です。後味も良かったです。食後しばらく、口の中がごま油とお香の良い香りで満たされました。

そんな奥深い清浄歓喜団、京都のお店だけでなく、通販でも買えます。おうち時間が大切な時期、お取り寄せして特別なひとときを過ごされてはいかがでしょう。大事な人への特別なプレゼントにもいいですね。

「亀屋清永」基本情報

店舗名:亀屋清永
住所:〒605-0074 京都市東山区祇園石段下南
営業時間:8:30~17:00
毎週水曜日定休(その他不定休あり)
(臨時休業の場合あり。事前にお電話でご確認ください)
TEL. 075-561-2181(代)
FAX. 075-541-1034
https://kameyakiyonaga.co.jp

他には、京都市内の百貨店・お土産物店などで清浄歓喜団が販売されていることがあります。京都市外では、東京の伊勢丹・高島屋でも販売されている他、通信販売も行われています。

通販サイトはこちら
https://kameyakiyonaga.shop-pro.jp/

堀 博美

堀 博美

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神戸出身、京都在住のフリーライター。専門はきのこ。きのこライターとしての主な仕事に、書籍「きのこる キノコLOVE 111」(山と渓谷社)「ときめくきのこ図鑑」(山と渓谷社)「ベニテングタケの話」(山と渓谷社)「珍菌」(光文社)「毒きのこに生まれてきたあたしのこと。」(天夢人)などがある。WEBや雑誌、新聞などにも執筆経験あり。

一方で、長年現代アートに携わり、現在も制作活動を続けている。
きのことアートはライフワーク。その他、珍しいお菓子、京都街歩き、同人誌イベント、音楽鑑賞(米良美一さん推し)などに興味がある。

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