花と緑を楽しむ横浜散歩!フラワーアーティスト相壁琢人と巡る「ガーデンネックレス横浜2023」

ここ数年、横浜市では春になると毎年「ガーデンネックレス横浜」という祭典が開催されています。期間中、横浜市内は花と緑で彩られ、横浜観光の新たな注目イベントになりつつあります。

楽活では、2022年からこの「ガーデンネックレス横浜」を徹底取材。2023年も様々な角度からその魅力をお伝えします。

ところで、横浜には公園も多いし、花や緑を楽しめる街だというのは肌感覚でわかっていても、いざとなると、どこから回れば良いのか、お花をどう楽しめば良いのか、わからないことも多いですよね。そこで、今回は以前楽活でも取材させていただいたフラワーアーティスト・相壁琢人(あいかべたくと)さんと一緒に回り、「ガーデンネックレス横浜2023」の魅力や楽しみ方を教えていただくことにしました。

プロのフラワーアーティスト・相壁琢人さんが徹底ガイド!「ガーデンネックレス横浜2023」とは?

「ガーデンネックレス横浜」は、以前から横浜市が取り組んできた「ガーデンシティ横浜」を推進するリーディングプロジェクトで、市民、企業、行政などが連携し、横浜らしい花・緑・農・水のある豊かな自然環境を創り上げていこうという活動です。

2017年から毎年春に開催されており、今年で7年目。イベント期間中は、市街地や公園、里山エリアなど、横浜全体が花と緑にあふれ、毎年多くの観光客で賑わいます。4年後には横浜で初めて開催される「GREEN × EXPO 2027」2027年国際園芸博覧会も控えています。

庭に咲く花をそっと観察するフラワーアーティストの相壁さん

今回の散策で「ガーデンネックレス横浜2023」の見どころや魅力を解説してくださるのが、フラワーアーティストの相壁琢人さんです。相壁さんは、フラワーアートや押し花などの自身の作品制作をはじめ、広告・会場の装花、紙面、MVなどの、フラワーディレクションを中心に幅広く活動されている気鋭のアーティストです。

相壁さんは、バンドマンからフラワーアーティストに転身されたという、非常に珍しい経歴を持つ方。本稿では、そんな相壁さんならではの視点を混じえながら「ガーデンネックレス横浜2023」をご紹介します。

相壁琢人さんの以前の記事は

バンドマンからフラワーアーティストへ!花と真摯に向き合い、本質を追求する気鋭の作家・相壁琢人にインタビュー!
">こちら

花と緑の横浜散策は、元町・中華街駅すぐのアメリカ山公園から

この日、花と緑の横浜散策のスタート地点として相壁さんと待ち合わせたのは、みなとみらい線の元町・中華街駅。地下通路を元町方面に向かいエスカレーターもしくはエレベーターで最上階に上がると、アメリカ山公園に直結しています。

地下鉄の出口から一息で山手の丘陵地区に上がれるなんて、今まで全然知りませんでした。

公園内は日当たりの良いベンチでランチをしたり読書をされたりしている人も多く、とても穏やかな時間が流れていました。

元町を見下ろせる展望ポイントには、春ならパンジーやヒヤシンス、チューリップなどの植え込みが整えられて彩りを添えているほか、ちょっと今まで見たこともないサイズのユーフォルビア、カラキアスがダイナミックに群生しています。

ここで、アメリカ山公園の見どころについて、相壁さんから教えていただきました。

相壁さん:アメリカ山公園は見晴らしがよく開放感のある公園です。午前中から深夜 23 時まで入園できるのも魅力。 横浜市の花であるバラが数多く植えられており、モッコウバラのアーチやツルバラのレンガ塀などこれからの季節を彩る場所が多くあり楽しみ。「ガーデンネックレス横浜2023」の開催期間中、エスカレーター壁面に展示してある「バラの肖像展」も面白いので、見落とさないでくださいね。

 さて、次のポイントに参りましょう。

ベイエリアを一望できる「港の見える丘公園」で、バラと桜の競演を楽しむ

山下公園の桜エリアから望むベイサイドの風景。

アメリカ山公園の正門から出て外国人墓地を背にしながら住宅地を抜けて谷戸坂を進むと、すぐに港の見える丘公園に入ることができます。

正面奥に進むと海が見える展望台なのですが、今日の目的は公園右手に広がるイングリッシュガーデン。横浜市イギリス館を囲むように作られたエリアには、西洋式に整えられた様々な名前がつけられた庭が広がります。

ここでの最大のお楽しみはなんといってもバラです。毎年ゴールデンウィーク前後になると、様々な種類のバラで庭中が埋め尽くされます。むせかえるようなバラの香りと、それぞれのバラが持つ色と形の美しさに言葉も失うほどなのです。

バラはフラワーアートにも使われることが多く、バラを知り尽くした相壁さんから、港の見える丘公園の見どころを教えていただきました。

相壁さん:庭園内には約 330 種のバラが植えられています。なかでも 4つのエリアに分かれた「香りの庭」に注目したいですね。一般的なダマスク香のバラから、ヴェスターランド、モニークダーブのような、珍しい香りをもつバラまで揃っています。セントオブヨコハマ、プリンセスヴェールなどがアーチ状に植えられた一角付近に設置されたベンチに座れば、香り豊かなバラに囲まれながら上質な時間を過ごせそうですね。展望台から広がる横浜港や横浜ベイブリッジの景色も見事です。

また、港の見える丘公園はイングリッシュガーデンに加え、桜の名所としても有名。大佛次郎記念館を抜け、奥にある神奈川県近代文学館と公園を結ぶ霧笛橋の下に設けられた遊歩道のエリアには、大きな桜の木があります。

ヨコハマヒザクラ (横浜限定種)、ソメイヨシノ、オオシマザクラ、ヤエザクラがリレーのように早咲きのものから遅咲きにかけて順に花開き、長く楽しめるように整えられているんです。桜の季節には霧笛橋から満開の桜を見下ろすことができます。

遊歩道を進むと、手が届きそうな桜の枝の下で幻想的な写真を撮ることもできます。周囲には色とりどりのチューリップ。3月から4月のこの時期にしか見られない桜とチューリップの競演を満喫してきました。

相壁さんも、満開になった頃にまた来てみたいとお話しされていました。

満開のソメイヨシノをじっと愛でる相壁さん。

港の見える丘公園を元町方面に抜けていくと見えてくるのがフランス橋です。この橋はマリンタワーへの近道。中村川と首都高速を一気に飛び越えて、横浜人形の家の横を抜けていきます。

ここで少しカフェ休憩。

横浜人形の家の1階にあるCafé Elliott Avenue」です。

シアトルのエスプレッソビバーチェと同じ豆を使ったエスプレッソが飲めるのは日本ではここだけ。コーヒーと一緒にホットドックやケーキなども味わえ、地元民に愛される隠れ家的な名店として楽活編集部でおすすめしたいカフェです。時間があればぜひ立ち寄ってみてください。

フォトスポット満載の「山下公園」に広がる花々。バラ園にも注目!

フラワーアーティスト・相壁琢人さんとのガーデンネックレス散策はまだまだ続きます。

続いて探索したのは、ベイサイドに広がる山下公園。写真映え抜群なスポットも数多くある、ガーデンネックレス横浜の主要会場のひとつになっています。

サークルになっているお花のエリア、球根ミックス花壇では、咲広がる花々の中で女の子たちが楽しそうに写真を撮りあっています。

そこで、花壇を見ながら相壁さんから山下公園の印象や注目ポイントをお聞きしました。

シャボン玉花壇でちょっと休憩。

相壁さん:シャボン玉花壇・球根ミックス花壇にはチューリップやヒヤシンス、ルピナスなどを中心に、ビビッドな色彩の花、パステルカラーの花がバランスよく植えられています。 背景には港が広がっていて船も近く、平日にも関わらず花と写真を撮る方でとても賑わっていますよね。

ベイサイドに広がる花壇。爽やかな海風と広がる青空。なんて美しい光景だと思いつつ…

そろそろ美味しいもの情報の時間じゃないでしょうか?

散策途中でティータイム。歴史情緒あふれる「ホテルニューグランド」で優雅に楽しむアフタヌーンティー。

ラグジュアリーな空間でひとときを過ごすことができる、ホテルニューグランドのラ・テラス。

さて。楽活編集部による「ガーデンネックレス横浜2023」おすすめコースでは、散策の途中で立ち寄りたいグルメ情報も合わせてご紹介します。「ガーデンネックレス横浜2023」では、様々な企業やお店が協賛し、花と緑の活動を共に行なっているのですが、こちらの「ホテルニューグランドもそのひとつ。

ホテルニューグランドは、昭和2年(1927)に開業した、横浜市内でも屈指の歴史を誇るクラシックホテル。ヨーロピアンな情緒あふれる上質な内部空間が特徴的です。

本館は銀座和光や東京国立博物館を設計した著名な建築家・渡辺仁が手掛けており、横浜市認定歴史的建造物や近代化産業遺産に認定されています。「ガーデンネックレス横浜2023」期間中は、コラボメニューや宿泊プランのほか、中庭では花と緑があふれる素敵な空間が迎えてくれます。。

そこで注目してみたいのが、ホテルラウンジの「ラ・テラス」で提供される、春をテーマにした期間限定「アフタヌーンティー」です。

こちらのアフタヌーンティーは、「ガーデンネックレス横浜2023」期間中、それぞれの時期に咲く花々のイメージに合わせて内容が変更されます。たとえば3月と4月は、桜の花の色と和のテイストを取り入れたメニュー、そして5月と6月のバラの季節には、「バラの香り」をテーマに「薔薇のアフタヌーンティー」が提供されます。

「ラ・テラス」春のアフタヌーンティー。

素敵な中庭を見ながら、ラグジュアリーな店内でいただく繊細な仕上がりのスコーン、タルト、マカロン、そして優しい中にもキリリと甘さを引き立てるようなブレンドの紅茶。

一つ一つ味わいやバランスなどにこだわったオリジナルメニューの数々。旬の素材を味わい、目で見て幸せになるようなティーフーズは、思わず手を出さずにいられません。

また、紅茶にもしっかりこだわっています。「ラ・テラス」の看板メニューのひとつでもあるオリジナルブレンドティーはぜひ味わってみてください。ホテル90周年に販売を開始、顧客からの要望を受けて、持ち帰り用にも販売されるようになった人気の紅茶です。他にもたくさんの種類が用意されているので、味と香りを試してみてください。

なるほど、予約のみで満席になる日が多いというのも納得です。「ガーデンネックレス横浜2023」期間限定で提供されるアフタヌーンティーの詳細については、本記事の文末をチェックしてくださいね!

そして、相壁さんにもアフタヌーンティーを体験していただきました。

スイーツの説明を聞いて、興味津々の相壁さん。

アフタヌーンティーの作法がわからないので…と最初は少し恐る恐るお菓子に手を伸ばしていらっしゃいましたが、いつの間にかほっこり笑顔になっていらっしゃいました。

ホテルニューグランドの中庭。オープンスペースなので、宿泊客でなくても入ることができます。

さて、お腹も満たされたところで、「ガーデンネックレス横浜2023」散策ツアーを再開しましょう。

ホテルニューグランドを出て、山下公園に沿うように道を進んで次に向かうは大さん橋。実はここで私たちには会わねばならない人(?)がいたのです。

「大さん橋」でスマホをかざせば、ガーデンネックレス横浜のマスコット、花冠のガーデンベアが出現!

ARガーデンベアはどこに?

大さん橋では「ガーデンネックレス横浜2023」のマスコットキャラ「ARガーデンベア」に会うことができます。

https://gardennecklace.city.yokohama.lg.jp/arbear/

上記リンクにアクセスして、説明書きに記載されている通りに周囲の風景をスキャンすると、横浜港の海上に巨大なARガーデンベアが出てくるはずです。

見つけた!

大さん橋で見つけたAR巨大ガーデンベア。くるくるダンスを踊ります。

この巨大なガーデンベアは移動してもしばらく見ることができるので、好きな位置で画面を立ち上げて、うまくツーショットを狙ってみたりするのも面白いかもしれません。

写真を撮ったらぜひSNSに「#巨大ガーデンベアみっけ!」で投稿してみてくださいね。

動くARガーデンベアの詳細についてはこちら

花咲くメインストリート「日本大通り」を歩く

日本大通りの道沿いには、たくさんのプランターに花が飾られています。

続いてやってきたのは、大さん橋埠頭から横浜スタジアムに一直線に伸びる日本大通り。歴史的な建築が立ち並び、古き良き、そしておしゃれな横浜の代名詞にもなっているエリアです。

大通りの両側には特設の花壇が設置され、車道側には鉢植えが等間隔に並べられています。春ならではの淡い色合いの小さな花々が、オフィスエリアを行く人々の心を癒し、白を強く感じさせるこの通りを優しい印象に変えてくれています。このエリアにある特別な花を相壁さんに教えていただきました。

相壁さん:ここで見られるのは横浜市限定チューリップ品種の「ラバーズタウン」です。横浜市をイメージしたというチューリップで、花弁に小さなフリルが入り、ベースの白地に細いピンクが入っていって、それが徐々に広がり色がピンクのグラデーションへと変わっていく移り咲きの品種です。

恋人たちのチューリップ。ラバーズタウンを発見!

相壁さん:出会いの“白”から愛が混ざり、徐々に盛り上がっていく恋人たちの様子を表しているそうです。日本大通りの白い石と赤煉瓦が多い建物との相性もよく、植え込みのたくさんの花と他のチューリップの中でそれを探しながら歩くと、あっという間の道のりに感じますね。

散策のクライマックスは、「横浜公園」に広がるチューリップの花壇。

横浜公園のチューリップガーデン。たくさんのチューリップに思わず見とれてしまいます。

さて、日本大通りを抜け横浜スタジアムを目の前にしたエリアに到着しました。青空と雲の下、お昼少し前からスタートした今回の「ガーデンネックレス横浜2023」散策ツアーの最後のポイント「横浜公園」です。

周囲に整えられているのは、本当にたくさんのチューリップの花壇。

赤、黄色、オレンジ、パープルのチューリップが花壇を埋め尽くしていて、風にゆったりと揺れている様は、まるでオランダで見たチューリップ畑の一角のようでした。

できるだけ長い期間、通りを歩く人、足を止める人々を楽しませたいという気持ちが感じられる作りの花壇。

こちらのチューリップについても相壁さんに教えていただきました。

壁さん:横浜スタジアムに向かうまでのこの広場には、なんと14万球のチューリップが植えられているそうです。咲いている場所とまだ蕾の場所がありますから、来るたびに違う色のチューリップを楽しめそうですね。

軽装や、犬を連れてお散歩される人が多かったこのエリア。きっと毎日散歩をしていても咲く花の場所や色でいつまでも楽しめるのじゃないかなと思う素敵な広場になっていました。

たっぷり半日以上、花と緑の横浜を満喫された相壁琢人さん。たくさんのアドバイスをありがとうございました。

おわりに

いかがでしたでしょうか?今回の楽活スタッフおすすめの「ガーデンネックレス横浜2023」散策ツアーコース。

今回は「アメリカ山公園」港の見える丘公園「山下公園」「大さん橋」「日本大通り」「横浜公園」と海沿いの人気スポットを巡りながら、花々の見どころや魅力をフラワーアーティスト・相壁琢人さんに解説していただきました。

今回は桜とチューリップが見頃となる3月下旬に取材を行いましたが、5月にはバラが見頃のピークを迎えます。満開となる花は短期間でどんどん変わっていきますので、期間中、何度でも足を運んで楽しめるのが「ガーデンネックレス横浜2023」の素敵なところだと思います。

「ガーデンネックレス横浜2023」公式HPでは、まだまだ他にも花と緑を楽しめる場所が紹介されています。ぜひ、春の行楽シーズンにお出かけしてみてくださいね。また、「ガーデンネックレス横浜2023」の各種SNSアカウントでは、旬の花々を取材した取材投稿が毎日アップされています。こちらも情報収集に使えます!

詳しい情報はこちらをご覧ください。

写真:堀篭宏幸

ガーデンネックレス横浜2023・基本情報

開催期間:2023年3月25日(土)~6月11日(日)
     ※里山ガーデンは3月25日(土)~5月7日(日)
開催場所:みなとエリア、里山ガーデン
料  金:入場無料
公式HP:https://gardennecklace.city.yokohama.lg.jp/

ホテルニューグランド・基本情報

所在地:〒231-8520神奈川県横浜市中区山下町10番地
電話番号:045-681-1841(代)
公式HP:https://www.hotel-newgrand.co.jp/

アフタヌーンティー情報

開催場所:本館1階ロビーラウンジ ラ・テラス
金額:6,072円
提供時間:12:00~20:00(L.O. 19:30)​​
ご予約・問い合わせ:: 045-681-1841
https://www.hotel-newgrand.co.jp/la-terrasse/
<春のアフタヌーンティー>
期間:2023年3月1日(水)~4月30日(日)
https://www.hotel-newgrand.co.jp/menu/afternoontea_spring/
<薔薇のアフタヌーンティー>
期間:2023年5月1日(月)〜6月30日(金)
https://www.hotel-newgrand.co.jp/menu/afternoontea/

相壁琢人さん・プロフィール

2015年からフラワーアーティストとして制作活動、またフラワーディレクションを開始。これまで押し花制作・フラワーアート・フラワーディレクション・広告/会場装花・ワークショップ・コラム執筆などその活動は多岐にわたります。近年では、アーティストのストリーミングライブやCM装花など、フラワーディレクションの幅を広げています。

公式HP:http://ahi-aikabe.com/
twitter:https://twitter.com/ahi_takuto
Instagram:https://www.instagram.com/aikabetakuto/

相壁琢人さんの活動「Decaying Flower Gift」について

 植物の保存を目的とし、ギャラリーなどでの作品展の他、路上や海岸などでゲリラ展示も行うなど活発な活動を行なっている相壁さんですが、2022年から3年間をかけ47都道府県の花生産者を周る「EDEN」という活動と連動し、「EDEN」を通して出会った各地の生産者から、傷や不揃いなどの理由で市場に出回りにくい花を買い取り、意図に賛同してくれたアーティストのライブ会場や音楽イベントの来場者に”贈り物”として花を配布する活動を継続的に実施しています。

花屋『EDEN』-厳選した季節の花が届くサブスクリプション-
https://community.camp-fire.jp/projects/view/434578