ヴィーガンとべジタリアンの違いは?イギリス在住ライターが教えます!

イギリス在住8年目の Kumikoです。

今回はイギリス料理の『ヴィーガン』と『べジタリアン』の違いについてご紹介します。

あなたはイギリス料理と聞くとどんな料理を思い浮かべますか?フィッシュ&チップス、アフタヌーンティー、スコーン、そしてイギリスについて少し詳しい方ならコテージパイ、フィッシュケーキ、ヨークシャープディングなどを耳にしたことがあるのではないでしょうか。

イギリス料理は、同じヨーロッパ圏にあるフランス料理やイタリア料理などに比べると人気度が低い気がします。おそらく「イギリス料理=美味しくない」のイメージがあるのではないでしょうか。しかし、実際現地で暮らしてみるとバラエティー豊かな料理を楽しむことができます。

イギリスでは、どこのレストランに行ってもほとんどのメニューに「VG(ヴィーガン)」や「V(べジタリアン)」の表記があります。日本国内でもインバウンドの効果で、「VG」や「V」の表記があるレストランが増えてきていることでしょう。

しかし、先日日系の飛行機会社を使って帰国しましたが、ベジタリアン向けの機内食を注文したところ、食事は生野菜中心でデザートにヨーグルトやアイスクリームは提供されず、乳製品は食べられることを伝えたものの「ベジタリアンメニューを注文された方にはお渡しできません」と言われ、まだまだ日本ではヴィーガンとベジタリアンの境界線が曖昧になっている気がしました。

ぜひこの記事から「ヴィーガン」と「べジタリアン」の違いについて、正しい知識を身につけてください。

渡英して新たな食文化に触れる

(ロンドン、バラマーケットのベジタブルシュトルーデル)

日本は何を食べてもおいしいですよね。私が日本にいた頃は、餃子、から揚げ、とんかつ、ステーキ、ハンバーグ、小籠包…など、お肉を頂かない日はないというぐらい、お肉大好きな生活を送っていました。

日本でさまざまな美味しい料理に慣れ親しんでいた私は、イギリスに来る前は美味しくないという評判がある食文化に不安を感じていました。でも、せっかくイギリスで暮らすのなら、新鮮な牛、羊、豚、鳩、鹿…ジビエ料理などもも食べてみよう!と意気込んで渡英。

実際にイギリスで暮らしてみるとそんな心配は杞憂に終わり、スーパーで売っている珍しい野菜、新鮮な乳製品、肉類の美味しさにとても感動したのを覚えています。これからイギリスに来る人は安心してくださいね。

そんなイギリスは、ヴィーガン、ベジタリアン大国であることをご存じでしたか?先述でもお伝えしたように、イギリスではどこのレストランに行っても、ほとんどのメニューに「VG(ヴィーガン)」や「V(ベジタリアン)」の表記があります。

(レストランのメニュー写真)

当時はヴィーガンやベジタリアンの違いさえ判りませんでしたが、身近にベジタリアンの知り合いが多かったことから、私自身も少しずつその世界に興味を持ちはじめました。

ベジタリアンになった人達の理由

あなたはベジタリアンと聞いてどんなイメージを持ちますか?

「生野菜を中心に食べている人、元気がなさそう、タンパク質が取れなそう・・」このようなイメージを私は持っていました。子どもの頃から動物を食べることは健康を維持し、筋肉をつける上で大切だと教えられて育ってきたので、ベジタリアンになると丈夫な体を維持できないのではないか、とずっと思っていたのです。

分からないことはつい調べたくなるそんな探求心から、私の知らない世界に足を一歩踏み入れている何人かの知り合いにベジタリアンになった理由を聞いてみました。

その人たちがお肉をやめた理由は…

●動物が可哀そうだから
●殺された動物のネガティブなエネルギーを取り込みたくないから
●環境破壊に貢献したくないから
●健康のため

など、さまざまでした。

私がベジタリアンになった理由

お肉を使わない美味しい料理が本当にこの世に存在するのか?お肉好きの私に変化をもたらすことはできなるのか?そんな疑問を解消するため、ヴィーガン食やベジタリアン食を取り入れている人たちの生活を調べたりすることで、お肉以外からもタンパク質を摂取できることを知りました。そして、何十種類ものドキュメンタリー(*)を観たり、自分でも実際にヴィーガンやベジタリアン料理の食べ歩きをして調査を始めました。

(*)
アースリング・・ (https://filmarks.com/movies/59481/reviews/137699662 ) 、
カウスピラシー・・(https://jp.myveganmeals.com/cowspiracy/)

そして、私が『ベジタリアン』になった3つの理由は以下のとおりです。

①動物にも感情がある

イギリスの田舎に住んでいると牛、羊、馬はとても身近な動物です。ある日丘の頂上でピクニックをしていると下方にのんびりと自由に放牧されている羊の大群が見えました。

親子の羊が仲間の群れから離れて水飲み場までゆっくり歩く姿を目で追うと、子羊が水を飲んでいる間愛おしそうにじっと子羊を見ている母羊が見えました。子羊が水を飲み終わると母羊は子羊に歩調を合わせながらまた仲間のいる群れまでゆっくり帰る姿が見えました。

動物の世界にも人間の親が子供に対する愛情と全く変わらない愛が存在することを目の当たりにし、切ない気持ちになりました。一時的な親子の平和の時間。その後、二匹は引き離させられ、商品として売られることも知らずに・・。

②ベジタリアン料理には美味しい料理がたくさんあった

実際にさまざまなお店でベジタリアン料理を食べてみると、お肉が入っていないことをまったく感じさせない食事を色々楽しめました。例えば、ナス、ズッキーニ、ブロッコリーなど色々な野菜とチーズをたっぷり入れたベジタリアン向けのラザニア、肉の代わりに椎茸を使った餃子の味に衝撃を受け、これなら私でもベジタリアンになれる!と思えました。野菜だけだとお腹が満たされないのでは?という懸念も時々聞きますが、ベジタリアン料理は豆料理を含めるとさらにバラエティー豊富ですし、見た目もカラフルなのでお腹が満たされます。

③若々しいビーガン女性の記事を見て

まだビーガン、ベジタリアンの食事について懐疑的だった私は、ある日ビーガン生活を長いこと続けている女性の記事を目にしました。すでに70歳を超えているにも関わらず見た目年齢が40代ではないかと思えるほど美しかったのです。この女性に関する記事との出会いにより野菜中心の食事を生活に取り入れようと決意しました。

ベジタリアンになってから感じたメリット

●風邪を一切ひかなくなる
●生活習慣病が改善される
●肌がきれいになる
●幸福度が上がる

驚いたことにお肉をいただくことを止めてから、それまでは毎年1回はひいていた風邪を一度もひかなくなりました。太陽の光を浴びた新鮮な野菜から毎日栄養をいただくと、とても幸せでポジティブな気持ちにもなります。

世界には戦争、暴力など悲しい出来事もありますが、一歩でも調和の世界に近づくために、私達がまず出来る小さなステップは、同じ地球に生きる仲間達を食べ物として頂く習慣を、少しでも控えることなのではないでしょうか。

ヴィーガン発祥の国イギリス

『Vegan(ヴィーガン)』という言葉は、1944年にヴィーガン協会に所属するイギリス人のドナルド・ワトソンによって造られた単語で、のちに世界中に広がっていきました。

イギリスではヴィーガンとベジタリアンを実践する人を合わせると、2023年では約480万人(ヴィーガン140万人、ベジタリアン340万人、 Source: Finder research)で、現在国民の14%がミートフリーの食生活をしているという調査結果があります。

また、イギリスでは毎年1月になると January と掛け合わせた造語 Veganuary (ヴィーガニュアリー) という毎年恒例のビーガンライフスタイルチャレンジを国民に奨励することで、ビーガニズムの促進を行っています。

日本ではまだ誤解のあるヴィーガンとベジタリアン

(https://celebrites.tn/trending/is-lilsimsie-vegan-or-vegetarian/ より写真引用)

私の友人夫婦は、旦那様がベジタリアンで奥様がヴィーガンでした。

ここで初めてそれぞれの違いを知るきっかけとなります!

では、ヴィーガンとベジタリアンの違いとはどこなのでしょうか?

ヴィーガン…肉や魚を食べないことに加えて、乳製品や卵を含む動物性食品は一切摂取しない人になります。
ベジタリアン…肉や魚を食べないけれども、乳製品やは食べます。

例えば、スターバックスなどのカフェでミルクが入っている飲み物を注文する際、ヴィーガンは動物性食品は一切摂取しないので、牛乳からソイミルク(豆乳)やオーツミルク、アーモンドミルクなどの植物性ミルクに変更して注文します。

また、冒頭でお伝えしたようにベジタリアン向けの機内食を注文し、デザートにヨーグルトやアイスクリームなどの乳製品が提供されないのは、企業やスタッフ側の認識に誤りがあることだと、読者の皆さんにはご理解いただけるはずです。

昔は日本もペスクタリアン国家だった?!

ちなみに、ベジタリアンの中にも種類があり、肉は食べないけれど魚介類、野菜、乳製品、卵を食べる人達を「ペスクタリアン」と呼びます。

昔の日本人はペスクタリアンにあたる人たちが多かったのではないでしょうか。

日本は長いこと「米」「野菜」「海藻類」「魚介類」を中心とした食生活のペスクタリアンの国でしたが、戦後西洋の食文化が普及し、ハンバーグやステーキなどお肉を食べる機会が増えてきました。

日本ではヴィーガン食という言葉はまだ一般的に浸透していませんが、日本の伝統的な「ぬか漬け」「味噌汁」「納豆」「豆腐」「切り干し大根」など古くから伝わる日本の食文化にある調理法は最高のヴィーガン食だと思います。

ヴィーガンフレンドリーな都市ロンドン

イギリスのロンドンは、世界の中で最もヴィーガンフレンドリーな都市の一つです。2022年の調査によると、完全なヴィーガン専門店のレストランだけで 200店舗ほど存在しています。ロンドンに遊びに来る機会がありましたら、色々なヴィーガン・ベジタリアンレストランにぜひ足を運んでみてくださいね。

(ロンドンのヴィーガン・ベジタリアン対応のレストラン)

● Trendril - https://www.tendrilkitchen.co.uk/
● Mildreds Soho - https://www.mildreds.co.uk/
● Wulf & Lamb - https://www.wulfandlamb.com/
● いただき膳 - https://www.itadakizen-uk.com/london

最近、外国からの旅行者も増え、ベジタリアン対応をしているお店が皆さんのお住まいのエリアにもあるかもしれませんので、もしベジタリアン料理がどのようなものかご興味がありましたら試してみてくださいね。

(東京のヴィーガン・ベジタリアン対応のレストラン)

● T's レストラン - https://ts-restaurant.jp/
● まるごとvegan - https://dining.marugotovegan.com/
● 根津の谷 - https://nezunoya.com/
● 悦納 injoy Vegan Restaurant - https://tokyoinjoy.com/Home/

最後に…

この記事から『ヴィーガン』と『ベジタリアン』の違いがお分かり頂けたら嬉しいです。

最近では、植物性の食材を使ったレシピやレストランを紹介するアプリやSNSアカウントも増えており、より気軽にヴィーガンやベジタリアンのライフスタイルに挑戦できるようになっています。

「野菜を中心に食べている人、元気がなさそう、タンパク質が取れなそう…」と偏見を持っている読者にこそ、風邪をひかずに幸福度が上がるヘルシーな生活を試してみてほしいと思います。

また、自分の友人や知人が『ヴィーガン』や『べジタリアン』の場合にも、しっかりと違いを理解することで、より良い人間関係を築いていけると思います。

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