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【顔面学講座⑧】男顔・女顔   近ごろ「女顔」のほうが人気なのはなぜ?

ジェンダーフリーやジェンダーレスが叫ばれる昨今、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル・トランスジェンダー)、さらにQのクィアまたはクエスチョニングも加わって「LGBTQ」というワードを見ることも増えました。

「性の多様性」と「性のアイデンティティ」については、もっと理解を深めていかねばなりません。しかし、「男らしい」「女らしい」という表現さえ排除しようとする動きには疑問を感じます。

「男らしさ」「女らしさ」と呼ばれるものは、長年の伝統的な刷り込みの影響が大きいのですが、いわゆる「男顔」「女顔」と呼ばれる=「男性に多い顔の特徴」と「女性に多い顔の特徴」があります。

今回は顔を学術的に研究している「日本顔学会」での、人類学や心理学での知見を元に考察してみます。

顔の造作が魅力になっているのは人間だけ

社会生物学(行動生態学、動物行動学)によると「顔の造作が性的魅力になっているのは人間だけ」で、他の霊長類は違うそうです。

「サル(ニホンザル)のお尻が赤くなっているのは、尻で仲間を見分けるため、そして、視線にある部分(尻)が性的魅力になっているのではないか?」という考察があります。

ニホンザルは顔とお尻が赤くて目立つ。

オスのオランウータンは成長すると、頬の部分に「フランジ」と呼ばれる“ひだ”のようなものが現れる個体が出現します。しかし、すべてのオスにあるわけではありません。

オスのオランウータンの顔。フランジによって顔が大きくなっている。

「フランジ」があることによって発することができる「ロングコール」という声があり、これで他のオスを牽制すると同時に、周囲のメスを呼び寄せることができます。

「フランジ」は強いオスにしかないので、人間から見れば「強いオスの象徴」ですが、「ロングコール」をするための機能であって、メスのオランウータンは「フランジのある顔」に性的魅力を感じているわけではないのです。

男顔と女顔の特徴

人間(ヒト)は、人種(アフリカ系、ヨーロッパ系、東アジア系など)よって多少の差はあるものの、過去の研究を総合すると大きく分けて男と女でこのような顔の特徴があります(もちろん、絶対的なものではなく、比較しての傾向です)。

男性に多い顔の特徴(男顔)

眉の部分の隆起が高い。眉と目の間が狭い。鼻が大きい(鼻が長い)。鼻から下が長い。唇が薄く口が横長。顎が大きい。

このモデルの顔では「眉と目の間が狭い」や「鼻が大きい」「顎が大きい」に男性的な特徴が見られる。

女性に多い顔の特徴(女顔)

眉と目の間が広い。鼻の長さが短い。口から顎の長さが短い。唇がふっくら、口が小さい。顎が小さい。

このモデルの顔では「唇がふっくらで口が小さい」や「顎が小さい」に女性的な特徴が見られる。

顔の各部位に現れる性差

また、2002年の学術論文「平均顔との差に基づく性別・年齢推定手法」によると、顔の各部位に現れる性差にはこのような違いがあります。

男性
眉:長い・太い・濃い、眼:細い、眉と近い、鼻:幅が広い、頬:ひげがある、口:大きい・唇厚い、全体:長い・輪郭がゴツゴツ

女性
額:暗い(前髪のため)、眉:細い、目:大きい・ぱっちり、鼻:幅が狭い、頬:面積が大きい、口、上唇が薄い、唇の色が明るい、全体:色が明るい・輪郭が滑らか

女性はメイク顔の影響も見られ、この論文では「男性の唇が厚く、女性の上唇が薄い」となっていますが、眉と目の距離や輪郭は同じ結果になっています。

西洋人女性の顔。西洋人女性は「眉と目の距離が近い」など、日本人女性よりも男性的な特徴が見られることが多い。
左は目と顎が女性的。右は顎が男性的。西洋人でも人によって特徴が違うが、男性に多く見られる「眉の部分の隆起」はない。

男性に強さを求めてきた歴史

人間を生物として見た場合、男女とも「いい顔」「魅力的な顔」は健康な顔です。「種の保存」の本能として、健康的な相手を求めます。

そして、人類の長い歴史においては、女性は男性に強さを求め、上記「男性に多い顔の特徴」の「眉の部分の隆起が高い」や「顎が大きい」男性の顔を魅力と感じ、今でも多くの女性は潜在的にはこれらの男性にセックスアピールを感じています。

池袋絵意知の顔。目と鼻は男性的。ひげは男らしさだけど、口は女性的と自己分析。

ところが、20年前くらいから、中世的、いや、鼻以外のパーツや輪郭は女性のような男性芸能人が出現し、女性から人気になってきました。

具体的な例を挙げると、小池徹平さん、滝沢秀明さん、妻夫木聡さん、そして、瀬戸康史さん、最近ではHey! Say! JUMPの伊野尾慧さんです。

最近の「視覚心理と認知科学」の研究でも、女性らしさを強調する方向に形態特徴を変化させた顔のほうが元の顔より魅力的と評価され、男性らしさを強調した顔は魅力的と評価されない報告があります。

男性らしさを強調した顔は「支配性が高い」印象を与えるとのこと。

時代や環境で変化する顔の魅力

このような変化はなぜ起きてきたのでしょうか?

人類は原始の時代から生存競争をしてきました。最近まで日本でも戦争がありました。第二次世界大戦からまだ100年も経っていません。

争いや戦争の時代には、女性は男性に「力強さ」を求め、男性的で強そうな顔に魅力を感じたのでしょう。

今は平和ボケと言っていいくらい平和な時代になりました。

また、現代における「力」の大きな指標である「経済力」も、女性の社会進出が進み、夫婦でも女性のほうが高収入ということが少なくありません。

平和な時代、そして、女性自身も「強さ」を身につけたことから、女性は男性に「優しさ」を求め、女性的で優しそうな顔を求めるようになったのです。

池袋 絵意知

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観相家、顔研究家、顔面評論家。ふくろう流観相学主宰。出版社、人材総合サービスを経て顔研究の道へ。著書に『顔面仕事術』(ソフトバンクパブリッシング)、『あなたは何顔美人?』(WAVE出版)、『最強モテ顔講座』(オークラ出版)など。日本顔学会会員、化粧文化研究者ネットワーク会員。趣味は神社仏閣めぐり、アート鑑賞。ほぼ一日中クラシック音楽を聴いている。※個人さまの顔相鑑定・開運相談も承っております。

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