くらし

【顔面学講座⑥】赤ちゃんは顔が好き〜なぜ人間は顔を見ようとするのか?

この人は良い人なのか?悪い人なのか? 「人を見抜く力」は社会で生活していく上でとても重要です。

危険な相手を見分けるために何を見るのか?

服装、姿勢、体格、声、話し方、臭い、アクセサリー、髪型、いろいろありますが、なんと言っても顔を見ます。人間は顔から相手がどういう人か判断しようとします。

池袋絵意知の顔 この顔を見てあなたはどういう印象を抱く?

生まれてすぐの赤ちゃんでも顔を好んでみる

1960年代に心理学者ファンツが【生まれてすぐの赤ちゃんでも顔を好んでみる】ことを発見しました。

赤ちゃんが興味を持つのは、顔らしい配置のものです。目、鼻、口の配置が重要ですが、鼻はなくても顔に見えます。「目を表す左右に並んだ2つの点があり、その下に1つの点がある」ものに注目することが知られています。

私たち大人も、丸の中に点が3つあるだけで顔のように見えることがよくあります。車のフロントなど顔に見える物に注目します。

それは「顔の中で動く(開く、閉じる)のが目と口で、目と口が感情を表す部分だからではないか?」と私は考えています。

だから、赤ちゃん(人間)から好かれるには、顔の中で動く部分である点3つ(左右の目と口)をたくさん動かして表情を作り、良い感情を表現することが大切だと思います。

車のフロントも顔に見える

車のフロントも目玉のようなヘッドライトが左右にあって、その下に口に見えるデザインをしていることから顔に見えます。

壊れて廃棄されたトラック。疲れて苦しそうな表情に見える。

最近は昔のフォルクスワーゲン(ゴルフ)に代表される「優しい顔」の車が減り、ヘッドライト=目が鋭い「怖い顔」の自動車が増えました。

最近の自動車はヘッドライトがどんどん鋭いデザインに変わっている。カッコいいけど少し怖いイメージにも。

これには、怖い顔のほうが危険を察知しやすく、対向車や通行人が車の存在に気づきやすくて事故になりにくいという理由もあります。

最近ではフロントの顔だけでなく、バックのお尻も「イカツい顔」のようなデザインの車が増えました。これも、後ろを走っている車が衝突しないように自己防衛のための威嚇なのだと思います。

自動車には後ろにも顔がある。後ろも直線的でシャープなデザインが増えた。

顔のように見えるもの

Facebookグループの「顔のように見えるもの / Something looks like the face」では、“街中で見かけた「顔」のように見えるもの”をメンバーが各々投稿して誰でも見られるようになっています。

※リンク先
https://www.facebook.com/groups/113092012184765

これが実に面白い。

鹿島建設で宇宙建築を研究されていて、京都大学大学院総合生存学館ソーシャルイノベーションセンター(SIC)特任教授も務める大野琢也先生が、ご自身で撮影して投稿したものをいくつか紹介します。

顔のように見えるもの① デスクチェアの背もたれ。一瞬、気が抜けた表情?
顔のように見えるもの② サングラスをしたちょっと怖いお兄さん?
顔のように見えるもの③ 眠そうでとぼけた顔。ガチャピン似?

いかがでしょうか。どれも顔に見えたはずです。

顔を見るのは人間の本能

顔を見る、顔のようなものを見る、何かが顔に見えてしまうのは、顔を見ることでコミュニケーションを図ってきた人間の本能なのでしょう。

いや、人類がアフリカで誕生する前からで、動物が他の動物(敵)から襲われないために芽生えた動物としての本能なのでしょう。

これは、大阪市立自然史博物館に展示されている「アケビコノハ(チョウ目ヤガ科の昆虫。大形のガの一種)」の拡大模型です。

アケビコノハは敵が近づくと羽を広げて後羽を見せる。
みつかったらビックリさせちゃえ!

小さな子供向けのキッズパネルには、「鳥に見つかったチョウは羽の目玉もようをみせてあいてをビックリさせる。そのすきににげてしまうんだ。」と解説がありました。

これも生き物(鳥類を含む生物)の本能を利用した自衛のための護身術なのでしょう。

※ただし、アケビコノハ自身が自らの後羽に目玉のような模様があるのを自覚してやっているというのは、私は疑問に思っています(昆虫は「擬態」も含めて本当に謎が多い)。

赤ちゃんの顔認知についての研究

中央大学の山口真美教授(知覚発達や顔認知がご専門)は、赤ちゃんの顔認知についてさまざまな研究を行っており、いろんなことがわかってきています。

赤ちゃんは顔(特に母親)の顔を見て育っていく。

顔を一度も見た経験がない生まれたばかりの新生児でも、4パターンの図形から「顔図形(2つの目と口の位置にそれらしきものがある)」を好んで見る。

そもそも赤ちゃんの視力は、大人の視力に換算すると0.02程度なのに「顔」を見抜いている。

生後6~7ヶ月の赤ちゃんは、大人の〝笑顔〞と〝怒り顔〞を見ているときの脳の反応が大きく異なっている(赤ちゃんは、それぞれの表情から読み取れる生物学的な意味を解釈し、情報に応じて脳内で別々に処理している可能性)。

日本のマスク義務づけは深刻な問題に

このように人間には顔の表情を読み取ること、読み取ろうとすることが本能として備わっているのに、それを妨げる大きな問題が、今、日本では起こっています。

そう、2020年2月から続くどこでもマスク問題。欧米ではとっくにノーマスクが当たり前になっているのに、日本では保育園でも小学校でもマスクをつけるよう義務づけています。

もともと日本では若い世代を中心に冬になるとマスクをつけることが多かったが、コロナによって全世代で習慣化。

これにより、子供たちの価値観に大きな変化が現れています。例えば、マスクをしている人の顔とマスクをしていない人の顔を見せて「どちらのほうが悪い人に見えるか?」と質問すると「マスクをしていない顔を悪い人」に選ぶのです。

保育士が少しでも顔が見えたほうがいいと、口元が透明のマスクをすると、見慣れないために泣き出してしまう。

子供たちは、顔を見て喜怒哀楽の表情を覚えていくのに、マスクがあるせいでそれができません。このままでは、対面でのコミュニケーション能力を身につけることがないまま大人へと成長してしまいます。

今後はマスクがないと人前に出ることができない子供も出てくるでしょう。漫画やアニメも、登場人物がみなマスクをした世界に変わっていくのでしょうか?

関連情報

「池袋 絵意知の顔面学講座」は月1回の連載シリーズ。他の連載記事は、下記の著者ページからご覧になることができます。「顔面学」という独自のユニークな視点で人間模様を掘り下げた池袋さんのコラムをじっくりとお楽しみください。

https://rakukatsu.jp/author/ikebukuro/

池袋 絵意知

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観相家、顔研究家、顔面評論家。ふくろう流観相学主宰。出版社、人材総合サービスを経て顔研究の道へ。著書に『顔面仕事術』(ソフトバンクパブリッシング)、『あなたは何顔美人?』(WAVE出版)、『最強モテ顔講座』(オークラ出版)など。日本顔学会会員、化粧文化研究者ネットワーク会員。趣味は神社仏閣めぐり、アート鑑賞。ほぼ一日中クラシック音楽を聴いている。※個人さまの顔相鑑定・開運相談も承っております。

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