日本の伝統文化に影響を与えた本阿弥光悦の美意識の秘密に触れる

現在、東京国立博物館平成館特別展示室にて開催中の展覧会『本阿弥光悦の大宇宙』展へ行ってきました。

「本当に良いものはいつの時代も新しい」と感じる“美”の再発見が多く、日本人の感性(美意識)で大切にしたいことを改めて感じる展覧会でした。

刀剣鑑定の名門家系に生まれた本阿弥光悦は、日蓮法華宗を篤く信仰し、日本のレオナルド・ダ・ヴィンチと言われるほど多才で、書家、陶芸家、芸術家など多方面で足跡を残した今でいう“マルチアーティスト”です。

それぞれの分野で光悦を知っている方は多いかと思いますが、総合的に知る機会は今までなかったのではないでしょうか。

本阿弥家図 江戸時代・18世紀

改めて本阿弥光悦を色々な角度から総合的に知れる機会となっています。

才能は素晴らしく、全て一流で、どの作品も色々な方向から切り取ってみても美しいと感じるものばかり。また、様々な作品をじっくり鑑賞してみると、全てを主張するのではなく、侘び寂びの観点や余白を光悦のセンスで上手く使用することで、鑑賞者に気づきや発見を与えてくれ、作品を美しいと感じ、魅了されるのだと思いました。

展覧会では「刀」、「信」、「漆」、「書」、「陶」の5つのカテゴリーから光悦の秘密を知ることができます。

私がオススメする特に注目していただきたい作品をご紹介します。

【書】

展示風景

一番のオススメの作品は、大胆な装飾性や散らし書きが特徴的である「書」の代表作《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》。

需要文化財 鶴下絵三十六歌仙和歌巻  本阿弥光悦筆/俵屋宗達下絵 江戸時代・17世紀 京都国立博物館蔵

金銀泥で描かれた鶴の下絵は俵屋宗達によるものとされており、その上に光悦の三十六歌仙の和歌を書いており、下絵と書と合わさることで唯一無二の名品となっています。

長さ13.5メートルの絵巻は、毛筆で描いたからこその表現で、筆で書いたことによって、より美しく表現できていることに気がつきました。

一つ一つの文字をじっくり鑑賞したくなる、うっとりする作品です。

今回鑑賞する際に注目したのは、墨の濃淡、線の太細、文字の大小、余白や間の取り方で、鶴が書かれた下絵とのバランスが美しく、文字と調和されており、まさに光悦のセンスや美意識が凝縮されていると感じた作品でした。

こちらは全会期中鑑賞できる作品なので、ぜひ多くの方に見ていただきたいです。

【漆】

国宝 舟橋蒔絵硯箱 本阿弥光悦作 江戸時代・17世紀 東京国立博物館

ポスターやチラシなどのメインビジュアルになっている国宝 《舟橋蒔絵硯箱》も、侘び寂びの美意識が凝縮された作品です。

こちらの作品には、「東路の 佐野の舟橋 かけてのみ 思わたるを 知る人ぞなき」という和歌が硯箱に書かれています。

取材中、私は音声ガイドを借りたため知ることができたのですが、説明を聴きながら上から作品を覗き込んで和歌をたどってみると、「舟橋」という文字がないことに気が付きました。

「舟」と「橋」は文字が硯箱に置き換えられており、アーチ型に表現された硯箱の形を横から鑑賞すると、橋を表現しているのではないかと感じました。

この全てを文字に書かず、作品の一部として表現していることに、光悦のセンス抜群な美意識を読み取れるのではないかと思います。

皆さんはどのように感じますか。ぜひこちらの作品をじっくり鑑賞しながら、彼の創作やその表現に想いを馳せてみてください。

【刀】

左から重要美術品 短刀 銘 兼氏金象嵌 花形見 志津兼氏 鎌倉~南北朝時代・14世紀 (刀装)刻鞘変り塗忍ぶ草蒔絵合口腰刀 江戸時代・17世紀

特に注目したいのは、光悦の指料と伝わる唯一の刀剣《短刀 銘 兼氏 金象嵌 花形見》が約40年ぶりの公開となっています。刀剣を見極める本阿弥家の審美眼によって選び抜かれた名刀たちを見ることができるのもこの展覧会の見どころの一つです。

【信】

展示風景

展覧会では、光悦の篤い信仰心をうかがい知ることのできる品々を紹介しています。

需要文化財 紫紙金字法華経幷開結 平安時代・11世紀 京都・本法寺 *会期中、部分巻替えがあります
重要文化財 寄進状 (紫紙金字法華経幷開結付属) 本阿弥光悦筆  江戸時代・17世紀 京都・本法寺
重要文化財 花唐草文螺鈿経箱 本阿弥光悦作 江戸時代・17世紀 京都・本法寺

《紫紙金字法華経幷開結》は、『法華経』8巻と開経『無量義経』、結経『観普賢経』とあわせて10巻1具を完備しています。

光悦が記した寄進状には「道風之法華経」とあって、「三跡」で知られる小野道風(おののとうふう・894~966)筆とされていたことがわかり、平安時代中期の書写と考えられます。光悦が一門の菩提寺・本法寺に《花唐草文螺鈿経箱》とともに寄進したもので、極めて篤い信仰心がうかがえます。

《花唐草文螺鈿経箱》は、光悦の漆芸としての唯一の基準作となっていると言われている作品で、螺鈿の輝きが美しい作品でした。

【陶】

手づくねで成形し、へらで作成した光悦の個性的なフォルムをみせる名碗の数々でたどることができました。

一つ一つ、形、厚み、色などに注目しながら、360度から観察したくなる作品です。

全ての分野から光悦の美意識を感じれる作品に巡り合える時間を過ごせました。

現代に生きる私たちもこの美しさを感じれる美意識を持てたら、今後も日本の美しいものを日本に残せるのではないかと感じました。

鑑賞後はミュージアムショップへ

グッズ売り場

鑑賞後に特設「ショップへ行くのも楽しみの一つです。
オリジナルグッズは、ここでしか買えないグッズなのでぜひお気に入りを見つけてみてください。

オリジナル商品

展覧会情報

展覧会名特別展「本阿弥光悦の大宇宙」
会期2024年1月16日(火) ~ 2024年3月10日(日)
※会期中、一部作品の展示替えを行います。
会場東京国立博物館 平成館 特別展示室
開館時間午前9時30分~午後5時
※入館は閉館の30分前まで
 2月16日(金)以降、毎週金・土曜日は19時00分まで延長します
 (入館は18時30分まで)
休館日月曜日、2月13日(火)
※ただし、2月12日(月・休)は開館
料金一般:2,100円、大学生:1,300円、高校生:900円
公式ウェブサイトhttps://koetsu2024.jp/
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