「パリーン」。器が割れてしまった。
ウチの奥さんが作ってくれたハート型の小物入れ。
割れてしまった破片を見ながら、どうしようかなと思いながら月日は流れていきましたが、金継ぎワークショップで無事に復活しました。
最近はおうち時間が増え、人気が出てきた「金継ぎ」に興味がある方へ、金継ぎの雰囲気がちょっとだけ伝わるレポートをお送りします。
そもそも金継ぎとは何か
金継ぎとは、割れたり欠けたりした陶磁器を漆で接着し、継ぎ目を金や銀などで飾る修復技術のこと。
400年以上の歴史がある日本の伝統で、傷を「景色」として楽しむのが最大の特徴です。
今回ご紹介するナカムラクニオさんのワークショップでは、環境に優しくかぶれない100%天然の樹脂を使って、安全・簡単に直す金継ぎ技法を学ぶことができます。
場所は、荻窪駅から歩いて3分のブックカフェ「6次元」。
店主のナカムラクニオさんは、「開運!なんでも鑑定団」やNHK「journeys in Japan」などの番組でディレクターを担当し、執筆活動の傍らワークショップを開催しています。
日本のみならず世界の漆を20年以上研究し、アメリカに金継ぎの学校まで設立して、普及活動をしています。著書に『金継ぎ手帖』『古美術手帖』『はじめての金継ぎBOOK』などがあります。
金継ぎワークショップの流れ
取材当日は、初めての方2人を含む、6名の参加者がワークショップに参加。
コロナ前と比べると、参加者同士で向かい合わないようなテーブルレイアウトに変更されていて、ソーシャルディスタンスがしっかり確保されています。
まず、各参加者に割れてしまった由来や思いを聞いていきます。
先日の大きな地震で割れてしまった器。昔割れてしまい、愛着があるが捨てられずにいる器。小さい陶片を組み合わせて、ブローチを作りたい。みなさん、思い思いの欠けた器を持ち寄ります。
何回か参加されている方は、各々のペースで、初参加の方はナカムラさんから説明を受けてから、それぞれ作業をし始めます。
うまく見せるコツは、線にメリハリをつけること
金継ぎは芸術であることを踏まえ、線を細くしたり太くしたりとメリハリをつけて、見栄えを意識しつつ描くことが大事です。
もともと、金継ぎは蒔絵の一種なので、継いだ線と器の高さを揃える平蒔絵。継いだ線を少し盛って、線をもっちりさせる高蒔絵。同じ線を描いていくだけで、どう芸術性を出していくかが腕の見せ所です。
「金」継ぎとは言っても、銀色や白色や黒色や赤色や茶色など、様々な色もあります。器の色や柄、割れなどを考えながら、金以外を継いでいくのもまた一興かもしれません。
意外?!金継ぎのもう一つの効能とは
無言で金継ぎ作業をしていると、精神統一にもなり、ヒーリング効果も期待できます。
数回訪れている参加者の一人は、金継ぎをしながら、「自分自身を継いでいる」と話してくれました。
日頃、仕事や雑多な出来事に追われると、なかなか一つのことに集中する時間さえ奪われてしまいます。そういう意味では、金継ぎワークショップは集中できる時間を提供してくれる貴重な場所なのかもしれません。
金継ぎを面白そうだと思われた方へ
今回お邪魔した6次元では、毎月数日、ワークショップを開催中。今回ご紹介した金継ぎの工程を実際に自分の器を使いながら、覚えることができます。
1度だけでは心許ない人には定額制もあり、1年間通い放題プランも選べます。開催情報は6次元サイトをチェックしてみてください。
http://rokujigen.blogspot.com/
割れた器を直すだけではなく、芸術性を高め、ヒーリング効果も望める金継ぎという趣味に踏み出してみてはいかがでしょうか。