箱根ラリック美術館は、五感でラリックのドラマチックな世界を楽しめる素敵な美術館でした!

ルネ・ラリックといえば、アール・ヌーヴォーとアール・デコの時代を駆け抜けたジュエリーとガラス工芸を手掛けたアーティストとして有名です。

20代から40代までは、一品制作のジュエリーを主に手掛け、50代から亡くなるまでの後半生では、ガラス作品に情熱を注ぎました。

「ルネ・ラリックの肖像」(1910年頃)

美術館の創設者・簱功泰(はた かずやす)氏は、もともとクラシックカーの熱心なコレクターでした。しかし、パリの蚤の市で偶然ラリックのカーマスコットに出会ったことから、簱氏はラリック作品の虜になります。そして誕生した美術館が、彼のコレクションを一同に集めた「箱根ラリック美術館」なのです。

こちらのクラシックカーの先端部分に付けられているカーマスコットは、ラリックが制作したもの。簡単に取り外しができるそうです。

ライトが光ると綺麗です。一度出会ったら美しさに魅了され、ファンになってしまう作品。

それでは、ここからたくさんの写真とともに、私が美術館で出会った素敵な作品たちをご紹介します。では、まずは常設展示室から見ていくことにしましょう!

常設展示室へのエントランスでは、装飾パネル「花束」がお出迎え!

こちらを通ると、一気にラリックの世界へと引き込まれていきます。1500点ものコレクションの中から選び抜かれた約230点をご紹介しています。展示替えも随時行われています。

展示室には、ラリックの手掛けた美しい香水瓶が整然と展示されていました。

香水瓶をきっかけに、ラリックはジュエリーからガラス工芸家へと転身をとげました。その出発点を一望できるコーナーです。

「四つの太陽」(1912年)

この「四つの太陽」は、私がこのエリアで一番印象に残った香水瓶。四方にひまわりのような彫刻が輝いている作品です。

特に面白いなと感じたのが、香水瓶の内側からほのかににじみ出る温かい光。実は、器の内側や下側から光を当てているのではなく、上からの照明が光源となっているんです。

展示室には、香水瓶に負けず劣らず、様々な種類の花器が楽しめました。

こちらは、ラリックが美的なオブジェとしてとらえた花器。時代を反映した作品の数々を展示しています。 

「バッカスの巫女たち」(1927年)

つづいては、ジュエリーのコーナーも見ていきましょう。展示室入口前の美しいシャンデリアもお見逃し無く!

花器や香水瓶に負けず劣らず、ジュエリーのコレクションも凄い!モダン・ジュエリーの先駆けとなり、1900年のパリ万博で頂点を極めたラリックの傑作の数々が楽しめました。

特に、ジュエリーのデザインの中に取り込まれた動植物のモチーフが印象的でした。

こちらのジュエリーをモチーフにしたミュージアム限定のグッズも用意されています。

企画展「ドラマチック・ラリック」も見どころいっぱいでした

常設展示室も豪華ですが、企画展からも目が離せません。2020年秋の企画展は、ラリックが後半生で取り組んだガラス工芸の中から、「香水瓶」にフォーカスした「ドラマチック・ラリック」が2021年3月21日まで開催中です。

早速入ってみましょう。

本展は、ラリックが後半生を捧げたガラス工芸の中から、香水瓶を取り上げた展覧会。

ラリックは、目には見えない香水の魅力やイメージを、瓶の造形やデザインとして表現した最初の人物でした。

さまざまな物語を美しく象徴的に表現したラリックの香水瓶は、当時のパリの人々に大いに愛されたといいます。特に注目したいのは、世紀末のパリを彩ったお洒落な広告と並べられて展示された香水瓶。当時の人々が暮らしたパリの情景が目に浮かぶようです。

広告に描かれているのは香水瓶に込められたストーリー。合わせて鑑賞することで、ロマンチックな世界観をたっぷり味わうことができました。

「来たるべき日」(1919年)

たとえば、こちらの香水瓶の広告に注目してみましょう。

大きな手のひらに包まれるように、愛する男性に抱きしめられる女性の姿が描かれています。この女性は、香水瓶を手にしている彼女自身なのですね。香水瓶のガラスの表面に映し出された二人の姿と、そのボトルを両手で大事そうに持つ女性の仕草から、男性への愛おしさが伝わってきます。

本作は、こうした香水瓶に込められたストーリーにちなんで、「来たるべき日」というタイトルが付けられました。

「牧神の接吻」モリナール社(1928年)
「シクラメン」コティ社(1909年)
「5」フォルヴィル社(1926年)
「香水A(または香水N)」リュシアン・ルロン社(1929年)

素敵な香水瓶の中でも特に一番の見どころは、ウォルト社の香水瓶5連作

ラリックは、19世紀後半から約半世紀もの間モード界の中心に君臨したウォルト社のために、多くの香水瓶をデザインしました。

その始まりがレマン湖に映る月からインスピレーションを受け制作したと言われる「ダン・ラ・ニュイ(真夜中に)」(1924)。続けて「ヴェール・ル・ジュール(夜明け前に)」(1926)、「サン・アデュー(さよならは言わない)」(1929)、「ジュ・ルヴィアン(私は戻ってくる)」(1931)、「ヴェール・トワ(あなたのもとへ)」(1933)と合わせて5つの香水が発表されました。

この5つの香水のタイトルをつなげると「真夜中に、夜明け前に さよならは言わない。私は戻ってくる、あなたのもとへ。」という愛の詩になります。

5つの香水の中で、特に名香とされたのが「ジュ・ルヴィアン」。第二次世界大戦時に、戦地へ赴く兵士たちが、無事に帰還し再会することを願い、愛する女性に送ったとされています。

今回、その香りが再現されており、会場内で実際にサンプルを体験することもできます。ぜひ、楽しんでみてください!

箱根の美術館回りを楽しむなら外せない屈指のレストラン「LYS」にも要注目!

さて、常設展示室・企画展とたくさんの作品を見終えたら、ぜひ一息入れたいところ。そこで、この日は気軽にフレンチが楽しめるカフェ・レストラン「LYS」に立ち寄ってみました。

カフェメニューのオススメは、企画展とのコラボメニュー。現在開催中の「ドラマチック・ラリック 」展にちなんだ限定スイーツが、こちら。

ラリックを代表するウォルト社の香水瓶5連作のなかから、香水瓶「ダン・ラ・ニュイ(真夜中に)」(1924年)が、かわいいスイーツになっています。

企画展で展示されている本物の香水瓶と比べてみましょう。本物のダン・ラ・ニュイにそっくりです。

「ダン・ラ・ニュイ(真夜中に)」(1924年)

しかも、本物そっくりの見た目だけでなく、素材にもこだわりが。「ダン・ラ・ニュイ」の香料として使われていたバニラやベルガモットもスイーツの材料として含まれているのです。まさにこだわりの一品ですね。

バニラの甘いムースの中に、爽やかなジュレ。
甘味と酸味の絶妙なバランスが楽しめます。

ぜひここでしか味わえないスイーツを楽しんでみてください。

また、今回の展覧会では箱根・仙石原の高級ホテル「箱根リトリート före(フォーレ) & villa 1/f(ヴィラワンバイエフ)」とのコラボ企画にも要注目です。

箱根リトリート före外観

★「箱根リトリート före(フォーレ) & villa 1/f(ヴィラワンバイエフ)」の公式HP
https://www.hakone-retreat.com/hotel/

企画展が終了する2021年3月21日までの間、5連作のうち「ダン・ラ・ニュイ」を除いた残りの4作品をイメージしたスイーツを、コラボレーションディナーや、ディナー付き宿泊プランでいただくことができるんです。

一番左が「LYS」で頂けるスイーツ。残りの4つは、美術館の近隣の高級リゾート「箱根リトリート」でいただけるのです!目指せコンプリートですね?!

スイーツと本物の香水瓶を横に並べてみた写真も。そっくりですよね!

香水とスイーツをペアにして撮影してみた貴重なショット。

美術館の近くなので、ぜひ「箱根リトリート före(フォーレ) & villa 1/f(ヴィラワンバイエフ)」とのコラボメニューや宿泊プランも楽しんでみてはいかがでしょうか。

スイーツだけでなく、本格的なコラボメニューが楽しめるディナーコースもおすすめ。ラリックの世界を五感で体感できる「コラボレーションディナー」(15,000円/消費税・サービス料別)

さて、レストランに戻りますが、ランチプレートも頂いてきました。秋限定の食材を使ったメニューとなっています。これだけついて、2,035円と非常にお得感があります。

若鶏胸肉のキノコのファルシ ソースジュドボライユ
戻り鰹のミキュイ コンデマン添え
秋なすのマリネ
アミューズ/ライ麦パン

特急列車が展示作品?!箱根ラリック美術館の名物「ル・トラン」は必見!

最後にオススメしたいのは、1929年パリとフランス南部を結ぶルートとして開通したコート・ダジュール特急で使われていた約100年前の鉄道車両「ル・トラン」。敷地内に専用の屋根付きで大切に展示されています。

この特急列車、一時期は運行を休止していましたが、2001年まで現役で走り続けていたそうです。その後、2004年4月、フランスからはるばる箱根ラリック美術館まで大切に送り届けられました。

それでは、早速列車の中に入ってみましょう。

豪華で上品な車内です。

ラリックの手掛けたアール・デコ様式の調度品や内装が本当に素敵ですよね。中でも、是非見ておきたいのがこちらの装飾パネル。

ル・トラン内の装飾パネル「彫像と葡萄」(1928年)

ブドウと男女の像が浮き彫りにされたパネルは、豊かな実りを象徴しています。

オリジナルグッズもお忘れなく!

箱根ラリック美術館では、オリジナルグッズも豊富に用意されています。

美術館内で鑑賞できる室内装飾「雀」は、ラリックが愛する家族のために制作した特別な一室を飾りました。

そんなラリックの家族への愛情や思い出がつまった作品が、大切な人への思いを伝える文具として生まれ変わりました。

ミニレターセット「HITOKOTO」は、香水瓶「クレールフォンテーヌ」(1931年)と室内装飾「雀」(1929年)をモチーフに描きおこしたイラストをあしらったデザインです。スズランの花と雀の部分は、ぜいたくに箔を使って美しく表現されています。

「クレールフォンテーヌ」1931年

その他、香水のポーチや石けんなどの可愛いお土産を買うことができます。

なお、箱根ラリック美術館は「GOTOトラベル地域共通クーポン」の適用対象になっています。紙クーポン、電子クーポン共に、ミュージアムチケット、ミュージアムショップ、ショップパッサージュでの利用が可能です。これは嬉しいですね!(※カフェレストランLYSは適用対象外です。ですが、現在、政府への申請手続き中とのことなので、近い将来クーポンが使えるようになる可能性はあります)

箱根ラリック美術館について

箱根ラリック美術館
開館時間:午前9時~午後5時(美術館入館は4時30分まで)
営業日:年中無休(展示替のため臨時休館あり)
駐車場:無料
所在地:〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186番1
TEL:0460-84-2255
公式HP:http://www.lalique-museum.com/ 
※ガーデン、カフェ・レストラン、ショップは入場無料で利用可能です。

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