中学生発案メニューが大好評　一石三鳥だった総合学習の時間

横浜市の三ツ沢公園内にあるLeaf cafeで、ことし11月、横浜市立南瀬谷中学校の１年生が考えた福島県福島市飯坂町をＰＲする期間限定メニューが販売されました。

主なメニューは「円盤餃子」「ラヂウム玉子」「アップルパーティー」です。どのようにして誕生したのか取材しました。

１人の先生がカフェに相談しスタート

「子どもたちに社会の勉強をさせたかった」と話すのは、横浜市立南瀬谷中学校の滑川好之教諭(52歳)。

３年生の修学旅行先として決まっている福島県について、１年生のうちに勉強してもらおうと総合学習の時間を使って福島市立大鳥中学校と7月に交流をスタートさせました。9月に子どもたちに事前に大鳥中学校がある飯坂町について学習してもらったうえで、10月に初のＺＯＯＭ会議を実施。お互いの学校がある横浜市と飯坂町の特産品を紹介し合いました。飯坂町は過疎化が課題となっている地域で、南瀬谷中学校１学年職員は地域活性化の手伝いとして、飯坂町の特産品を購入し、横浜市内で販売したいと考えました。しかし、中学校では、飯坂町の商品を購入することができません。そこで、Leaf cafeを運営するタヒチプロモーションの代表取締役の大石暢さんに相談したと言います。

大石さんは、Leaf cafeで飯坂町の特産品を購入することや販売することを快諾し、中学生にメニューを考えてもらうことになりました。

中学生が考えた看板メニュー

10月下旬には企画書が完成！飯坂町の特産品を使った３つのメニューが完成しました。

1. 「円盤餃子」
   
   飯坂町の人気餃子店「餃子 照井」の円盤餃子。パリッとした触感がやみつき！
   
2. 「ラヂウム玉子」
   
   飯坂温泉発祥の温泉玉子。黄身はトロトロ、白身はふわふわで栄養価も高く、朝食にオススメ。「大作玉子屋」から仕入れました。
   
3. 「アップルパーティー」
   
   濃厚な味わいの後の絶妙なまろやかさが特徴のサンふじを使ったデザート。サンふじは、飯坂町にある東京ドーム２個分の広大な果樹園、まるせい果樹園で収穫されました。

１年生全体が会社のように動く

生徒が行ったのはメニューの発案だけではありません。

123人が、企画管理、経理、営業、販売、広報の５つのグループに分かれて戦略的に商品を販売しました。

その結果、３つの看板メニューは、期間終了前日には完売。大盛況でした。

子どもたちの感想

滑川教諭は、「子どもたちに福島のことをもっと知ってもらい、助け合う心や地域活性化について学んでもらおうと今回の企画を実施したが、それ以上の結果が得られた。来年度もこの取り組みを生かしたい。」と振り返ります。

子どもたちから寄せられた感想を一部抜粋すると・・・

「誰かがやってくれるから良いだろう、恥ずかしくて声がかけられないという気持ちがいかにダメか気付かされました。」

「親の大変さをよく知ることができました。」

「チラシ配りや接客の中で、相手に伝わっていないことなどお客さんの感じ方などが分かりました。受け取る側の目線で色々なことを考えて行動に移せればよかったです。」

「食品を売るために様々な人の手が必要でどれも欠けてはいけなくて全員の協力が必要だと感じました。」

「りんごを買ってくれた人が笑顔で『ありがとう』と言ってくれて私もうれしい気持ちになれたし、この活動が改めて福島との交流になっていることも実感できました。」

「利益を計算する中で、いろいろなものに費用がかかっていることを知りました。」

商品を企画、販売する一連の流れを知ることで、両親のありがたさ、お金の大切さに改めて気づいた生徒が多かったようです。

タヒチプロモーションの大石さんは、「実は、子どもの発想から大人が気づかされることもあった。今後も社会問題の解決を大人だけに偏らず子どものアイデアを幅広く聞いていきたい。そして子どもが考える未来と大人の考える未来の違いについて話もしてみたい」と述べ、子どもの成長に役立つ場として、今後もカフェを提供することについて前向きな姿勢を示しました。さらに「最近は闇バイトなどに手を染める若者がいるが、子どものときからお金を稼ぐことの大変さや社会に感謝される喜びを知ってもらうことで犯罪抑止にも貢献できるのではないか。」とも話しました。

~お互いの扉をあけつづけよう~　テーマは地方共創

南瀬谷中学校は、大鳥中学校との交流をきっかけに、働くことの意義や持続可能な社会の構築について理解を深めるローカルＳＤＧｓの達成を目指しました。　“地方共創”です。

南瀬谷中学校の１年生と大鳥中学校の１年生は、２年後の修学旅行で初めて対面で会います。

Leaf cafe情報