アート

艶やかに躍動!世界的なサーカスアーティスト・品川瑞木さんの写真展が凄かった!(シックスセンス「アートにエールを」第2弾レポート)

サーカスや大道芸の世界で、「エアリアル」という空中で演技を行う演目があります。ブランコに乗ったり、リボンを扱ったり使う道具によってさらに演目は細かく分かれますが、この中で「エアリアル・シルク」という、空中に吊り下げた”ティシュー”と呼ばれる、布を身体に巻きつけてパフォーマンスを行う演目で世界的に評価を得ている日本人アーティストがいます。

それが、今回シックスセンス渋谷での個展「MIZUKI WORLD -explore the power of beauty-」で取材させて頂いた品川瑞木(しながわみずき)さんです。

これまでいくつかの記事でお伝えしてきたとおり、現在プロジェクションマッピング・バー「シックスセンス」の渋谷・西麻布の両店舗では、コロナ禍によって発表の場が見つけにくくなっているアーティストに対して、展示会場を無償提供する企画「アートにエールを」を実施中。

今回取り上げる品川瑞木さんの個展は、前回の田中紳次郎さんに続いて、その第2弾となる展示企画なのです。(田中紳次郎さんの個展初日レポートはこちらから

それでは、さっそく展示の様子をご紹介いたしましょう。

「エアリアル・シルク」と品川瑞木さんについて

まず、こちらの動画をご覧ください。つい先日オンエアが始まったSONYの新型デジタル一眼カメラ「α7」シリーズの最新CMです。この動画の中で、真紅の布を身体にまとって空中を華麗に舞い踊るアーティストこそが、今回の個展の主役、品川瑞木さんです。

約20メートルもある長い布を変幻自在に操り、スピード感たっぷりのダイナミックな演技は、存在感抜群。その複雑で激しく、かつ美しい動きは芸術の域に達しています。まさに動くアートといっても過言ではありません。

従来、サーカスではこの「エアリアル・シルク」は他の演目に比較すると割合地味なので、陽が当たりづらい存在だったのだといいます。

しかし瑞木さんはこの「エアリアル・シルク」の表現技術を徹底的に研究。自らの身体と布をダイナミックに連携させた新しい見せ方で新境地を開拓し、世界を驚かせ続けてきたのです。

名だたる世界中のサーカス・アーティストたちが技を競うフランスの国際大会「Cirque du Demain Paris」で発行されたアーティスト用のパスと銅メダル

特に、2019年は瑞木さんにとって大きな躍進の年となりました。なぜなら、シルク・ドゥ・ソレイユなど超一流の各種興行で活躍する傍ら、同年に開催されたフランスの国際コンペティション「Cirque du Demain Paris」でエアリアル・アーティストとして史上はじめて銅賞を獲得するという偉業を達成したのです。

そして驚いたのが、彼女の年齢です。これほどの確固たる実力・実績を持ちながら、彼女はまだ若干22歳だというのです。圧倒的に若い!

同世代の半数近くは、まだ何者でもない普通の大学生であったりするのに、彼女はこの年齢でサーカス界ではすでに世界的なトップランカーとしての地位を確立しているのです。本当に凄いですよね。

Cirque du Demain Paris(2019)での品川瑞木さんの演技の様子。完成された演技に見入っていると、思わす時間が経つのを忘れてしまいます。

コロナ禍の逆境をチャンスにつなげる

そんな彼女に転機が訪れたのが、2020年初頭からの世界的なコロナ禍でした。演劇や音楽コンサート同様、サーカスも劇場内で観客を入場させての興行開催が前提となるので、どの団体も一気に苦境に陥りました。

既報の通り、彼女が活動の主軸に置いていた「シルク・ドゥ・ソレイユ」は資金難のため興行停止に追い込まれます。瑞木さんも、残念ながらお客さんを前にした演技や活動は3月以降全てストップ。日本への帰国を余儀なくされました。

しかし、そこでへこたれないのが瑞木さんの凄いところです。

すぐに次の手を用意していました。デビュー以来、常に舞台の最前線で多忙な日々を送るうちに、時間ができたらやってみたかったアイデアや計画を次々と実行に移し始めたのです。

その、彼女の帰国後の新たな活動の第一歩となるのが、今回の個展「MIZUKI WORLD -explore the power of beauty-」なのですね。

「もっとエアリアルについて日本の皆さんに知ってほしいんです。私の名前も覚えてほしい。だから、日本国内でまとまった時間が取れる今がチャンスだと思って、人生ではじめての個展を開くことにしました。」

オープニング・レセプションに参加しました!

かでなれおんさんとのツーショット/写真撮影:Dk OGAWA

さて、ここからは8月1日に行われたプレス向けの発表会の様子をお伝えしていきます。まず、オープニングでは「シックスセンス」でプロジェクション・マッピングを始めとするクリエイティブを手掛ける女優・かでなれおんさんとのオープニングトークからスタート。お互いに活躍する世界は違いますが、自らの個性や才能を磨いて活躍されているお二人のトークは聴き応えがありました。

店内に展示されている作品は、全て購入できます。価格は、お店のスタッフにお聞き下さい。/写真撮影:Dk OGAWA

今回の個展では、これまで撮り溜めてきた演技中の貴重なショットを選り抜いて展示。なんと数万枚にも及ぶ、ハードディスク3個分のデータから厳選したベストショットなんです。

どの作品も、迫真のショット揃いで、非常に見応えがありました。

演技中の緊張感や決定的瞬間が生き生きと写し出され、演技に集中する瑞木さんの息遣いまで聞こえてきそうです。縦横無尽に広がる布は、まるで生き物のよう。空中で優雅に乱舞する彼女は、まさに布の魔術師といった趣きです。

せっかくなので、ご本人にも写真の感想を聞いてみました。

「各写真で写っているポーズや布の形は、どれも二度と再現できない一度きりのショットなんです。演技中に撮影して頂いた写真なので、必死の表情になっていますよね。

でも、実は、この布の形やパターンは全部計算して作っているんです。布を持つ位置や力の加減、演技中の動かすタイミングなど、準備段階で何度も試してみて、本番できれいに表現できたものを展示に選びました。」

個展会場でも、実際に瑞木さんが演技で普段使っている赤い布が展示されています。薄くて丈夫ですが、20mもあると全体で3kgとかなりの重さになるそうです。

なるほど・・・。ちなみに、瑞木さんがメインで使う布は、基本的に主催者が指定する物を使うそうです。写真展では「赤」が多いですが、マネージャーのかねこまいさんのお話では、「やはり日本人ということもあって、”赤”というイメージが自然に定着しつつあるんじゃないでしょうか」とのことでした。

サーカスの舞台は背景が基本的に黒なので非常にスタイリッシュに映えていますし、真紅の布が持つ情熱的な質感も、若くエネルギッシュな瑞木さんの個性にぴったりだな、と感じました。

さて、こちらは物販コーナー。今回の個展に合わせて、絵葉書やTシャツ、エコバッグなどのオフィシャルグッズも豊富に用意されています。今購入しておくと、あとでプレミアがつくかもしれませんね?

個展を記念して、ポストカードもたっぷり用意されています。瑞木さんのイメージカラーともいえる情熱的な「赤」がよく映えていますよね。

こちらは、瑞木さんのティシューをバックに撮影したオリジナルTシャツ(各3,300円、サイズ展開:S,M,L,XL)とトートバッグ(2,200円)です。

Tシャツの正面の胸のあたりには、「迷ったらまずはやってみる」という、瑞木さんの座右の銘である「Let’s do this」が印字されています。

トートバッグには、瑞木さんが得意とするアクト(布の動かし方、技みたいなもの)の一つ「ソフトクリーム」がプリントされています。

また、必見なのが過去の興行で瑞木さんが主催者から支給されたバックステージに入ることが許されるアーティストパス。彼女の努力や栄光の軌跡をこうした小物類からも感じ取ることができます。

アーティストパスについて、過去の思い出と共に一つ一つオーディエンスに丁寧に説明してくださいました。

サーカス興行に関わるプロフェッショナルにとっては、こうして各イベント毎に支給されるアーティストパス一つ一つが、かけがえのない勲章・宝物になるのですね。興行が終わったら返却するのではなく、大切な思い出としてとっておけるのは素敵なことだなと思いました。

さらなる飛躍を予感させる初個展。今後のさらなる活躍に大期待!

幼い頃に見たアニメ番組でサーカスの世界に憧れ、瑞木さんが「エアリアル」の世界に飛び込んだのは、両親が関東地方に転勤となった中学2年生の時。両親を説得し、エアリアル・パフォーマーを養成するスタジオで学び始めてから、16歳で高校を中退してモントリオールのサーカス学校へ単身留学を決めるなど、自らの心に決めたことに向かって、一直線に突き進んできました。

そうなると、どうしても気になるのは瑞木さんの「これから」ですよね。そこで、インタビューの締めくくりとして、今後やってみたい夢や目標について伺ってみました。

写真撮影:Dk OGAWA

「本当にいろいろやってみたいんです。今回の写真展もやってみたいことの一つでしたし、SONYさんのCMのお仕事もそうでした。

他には、激しいアクションが必要な演技が求められるような映画やドラマにも、アクターとして出てみたいんですよね。

そして、私のこういった活動全部が、エアリアル・シルクの幅広い認知や、私に続く後進の育成・発掘につながっていけばいいなと思っています。

本当に、どこまでも前向きでチャレンジ精神に溢れた回答だと感じました。聞き手である筆者も、彼女から勇気を少し分けて頂けたような気持ちになりました。

ギャラリーの求めに応じて、気さくにポーズを取ってくれる瑞木さん。さすが、普段から身体の鍛え方が違います。日本に帰国してからも毎日トレーニングは欠かさないそうです。/写真撮影:Dk OGAWA

個別インタビューの時間を含め、レセプションパーティ中は常に笑顔でゲスト達を楽しませるなど、エネルギッシュでポジティブなエネルギーが溢れていた瑞木さん。世界的なパンデミックという思いがけない試練も、きっと彼女はあっという間にチャンスに変えてしまうのだろうな、と強く感じました。

サーカスという興行の性格上、これまで活動の舞台は、デビュー以来一貫して国外がメインでした。そのため、彼女の日本での知名度はまだそれほど高くありません。まさに「ブレイク前夜」のプロフェッショナルなのです。

今回の初個展をきっかけとして、アーティストやアクターなど自らの活動分野を大きく広げていく品川瑞木さん。今後も目が離せない存在になってきそうです。

個展期間中は、シックスセンス渋谷に頻繁に顔を出される予定とのこと。ぜひ、彼女についてもっと知りたい、直接交流してみたいな、と思った方は、是非シックスセンス渋谷に足を運んでみてくださいね。

品川瑞木さんの個展情報

MIZUKI WORLD -explore the power of beauty-
会期:2020年8月3日(月)〜8月15日(土)
   ※9日(日)は休み、最終日は時短の可能性有
時間:13:00〜21:00
会場:シックスセンス渋谷(〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1丁目24−7 渋谷宮下パークビル)
https://www.facebook.com/sixthsenseshibuya/

※ 新型コロナ感染症対策として、来場人数制限あり。
※入場時のアルコール消毒、マスク着用にご協力をお願いいたします。

品川瑞木さんプロフィール

「エアリアル・シルク」を得意とする東京出身のサーカスアーティスト。幼い頃から常に情熱を持って夢を追いかけ、人々を驚かすことに夢中だった。14歳の時、エアリアル・シルクと運命的な出会いを果たし、17歳でサーカスの本場・モントリオールへと渡り国立サーカス学校にて頭角を表す。

2018年に卒業後、フリーのエアリアル・アーティストとしてシルク・ドゥ・ソレイユなど名だたる団体で活動し、パリのサーカスフェスティバル(Cirque de Demain)では、エアリアル部門で銅賞を受賞するなど、その高い技術と創造性が世界中で高い評価を受けている。 ​

現在、日本を主要拠点として活動する彼女は、サーカスをメインとして、後進の育成やCM出演、芸術活動などさらに幅広い分野で活躍の場を広げている。

公式HP:https://www.mizuki-shinagawa.com/
Instagram:https://www.instagram.com/mizukishina
Twitter:https://twitter.com/ShinagawaMizuki
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100005002150895

シックスセンスでは、引き続き会場使用料を無償で展示したいアーティストを募集中!

ここまでのところ「アートにエールを」企画に沿って、画家・田中紳次郎さん(7/27~31:渋谷店、8/1~8/9:西麻布店)、サーカスアーティスト・品川瑞木さん(8/3~8/15:渋谷店)と2組の若きアーティストに展示会場が無償提供されました。さらに、現在何件か次の個展についての相談も進行中。

シックスセンスによると、まだまだアーティストの個展開催支援は継続していくとのこと。楽活でも、シックスセンスでの個展開催にご相談を承ります。ご興味がある方は、お気軽に以下のアドレスまでご相談下さい!

info★rakukatsu.jp(★の部分を「@」に変えてメールをお送り下さい)

かるび

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メーカー、IT企業で勤務後、41歳にして1年間のサバティカル休暇へ突入。現在は、ブロガー&Webライターとしてアートや映画について主催ブログ「あいむあらいぶ」(http://blog.imalive7799.com/)にて日々見聞きした出来事を書き綴っています。

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