東京都・丸の内の瀟洒なオフィス街の一角にある、静嘉堂文庫美術館。2022年に世田谷区の岡本から移転オープンして以来、静嘉堂@丸の内(せいかどうあっとまるのうち)の愛称でも親しまれています。
三菱第2代社長の岩﨑彌之助と、第4代社長の岩﨑小彌太が蒐集した美術品を有するこのミュージアムでは今、移転後に初となる刀剣の展覧会を開催中です。「超・日本刀入門 revive ―鎌倉時代の名刀に学ぶ」のタイトルの通り、かつて世田谷で好評を博した展示のリバイバル版として企画されました。本記事で展示の様子をレポートします。
展示室へ、いざ出陣!
中央のホワイエに入ると、真正面に刀剣男士「後家兼光」の等身大パネルがお目見え。今回の展ではオンラインゲーム「刀剣乱舞ONLINE」とコラボレーションを実施しています。ゲーム内の登場キャラクターである後家兼光は、とある展示中の刀剣をモチーフにしたもので、背の高いパネルは圧巻です。
1章の「日本刀の種類」では、基本となる刀剣の種類を紹介しています。短刀や槍などいろいろなバリエーションがあることを、実物を見ながら理解できるコーナーです。一見わかりにくい太刀と刀の違いについても、丁寧な解説パネルで説明しています。
下方には、それぞれの刀剣の見どころを図で紹介するパネルがあるのも嬉しいところ。どんな大きさや形(姿)をしているか、太さ(身幅)や反り具合、切先のスタイルはどうか。いくつかの刀剣を見比べてみると、その違いがさらによくわかります。刃文や地鉄(じがね)は、簡単な言葉で置き換えれば模様や質感のようなもの。光が反射して見える角度を調整しながら、動き回って見るのがおすすめです。
音声ガイドナビゲーターは、後家兼光役の声優を務める福山潤さん。こちらも刀剣の来歴や特徴をわかりやすい言葉で届けてくれます。
刀剣の根元である茎(なかご)にもご注目を。銘(めい)といって、刀工の名前など文字が刻まれているものも数多く見られます。
そして、静嘉堂文庫美術館を代表する国宝《曜変天目》の美しさも必見です。
刀剣を見る面白さに目覚める!
大和国、山城国、備前国など、さまざまな地域で生まれた名刀たち。館蔵の国宝・重要文化財が一堂に会する空間は格別です。
Gallery 3では特別公開として、鎌倉武士にも重用された慶派仏師による名作の仏像、《木造十二神将立像》も見られます。
直江兼続の刀、後家兼光。
最後のGallery 4では、武将にゆかりのある刀剣3振が堂々とした姿で並びます。中央にあるのが、刀剣男士のモチーフにもなった後家兼光です。刀剣と拵を一緒に鑑賞でき、魅力を存分に味わえます。
大磨上げとは、刀を短くするために、茎を磨って銘が残らないほど短くすること。かつてはもっと大きい姿だったことを思わせる豪壮さは、迫力たっぷりです。戦国武将の刀だったという物語も、その価値をさらに高めています。
Galleryを一通り見終えたら、ホワイエの鑑賞もお忘れなく。刀剣には欠かせない刀装具として、鞘や三所物などの装飾品をパーツごとに分けて展示しています。
静嘉堂@丸の内といえば、魅力的なミュージアムグッズ。
ミュージアムショップでは、美しい青色の曜変天目がデザインされた商品をはじめ、さまざまなグッズが揃っています。今回展では、後家兼光など館蔵品の刀剣をモチーフにした新作グッズも販売中です。
誰でも刀剣の世界に入りやすい「超・日本刀入門」の展覧会。企画担当の山田正樹学芸員は、「入門と名前をつけているだけあって、初心者や刀剣をあまり見たことがない人たちに向けて考えた企画です。ちょっと見てみようかな、と思っている人に、こういうポイントに注目すると楽しく見られるよ、ということを今回の展示で伝えたい」と話しました。
刀剣鑑賞の楽しさを知って、日本美術の世界を広げてみませんか。
開催概要
展覧会名 | 超・日本刀入門 revive ―鎌倉時代の名刀に学ぶ |
会期 | 2024年6月22日(土)~8月25日(日) |
会場 | 静嘉堂@丸の内(明治生命館1階) |
住所 | 〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F |
開館時間 | 10:00 – 17:00 (毎週土曜日は午後6時まで、第3水曜日は午後8時まで) ※入館は閉館の30前まで |
休館日 | 月曜日(ただし7月15日・8月12日は開館)、7月16日(火) ※8月13日(火)はトークフリーデーとして開館 |
一般 1500円 大高生 1000円 障がい者手帳をお持ちの方(同伴者1名〈無料〉を含む) 700円 中学生以下 無料 ※当日券の販売もございます。 ※無料チケットをお持ちの方はご予約不要です。 | |
TEL | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
公式サイト | https://www.seikado.or.jp/ |