みなさん、山口県を旅行したことがありますか?私は佐賀在住で山口県は比較的近いため、今まで山口県に遊びに行っても日帰りでした。ゆっくりと山口県を観光したことがなく、そのため今回は1泊して山口県を満喫しようと計画を立てました。
最初に行きたい観光地を決め、それからその周辺の泊まる場所を探すという方法もあります。しかし今回は泊まる場所を決めてから、その周辺の観光地を探すという手順で予定を組みました。泊まる場所は、周南市にある食事がおいしいと評判の「オーベルジュ三水園」です。その周辺の観光地を検索してみると、近くの防府市にいくつか観光拠点があるようでした。
さらに山口県出身の方に聞いてみると、防府に行くのなら山口市と組み合わせるのもよいかもとのことで、山口市の観光地
・湯田温泉
・中原中也記念館
・瑠璃光寺五重塔
・サビエル記念聖堂
などをすすめてくれました。
これらの情報をもとに決定したのがこちらのコースです。
1日目 周防国分寺、旧毛利家本邸・毛利博物館、防府天満宮、山頭火ふるさと館
2日目 瑠璃光寺五重塔、サビエル記念聖堂
それぞれ観光したところを写真とともにご紹介します。一緒に旅行気分を味わっていただけると嬉しいです。さあ、それでは山口県の旅に出発しましょう!
貴重な仏像がたくさん周防国分寺
周防国分寺メモ:およそ1200年の歴史があり、ご本尊は室町時代の薬師如来坐像(重要文化財)。他にも平安時代初期の日光・月光菩薩(重要文化財)、藤原時代初期の四天王(重要文化財)など数多くの仏像を安置。1997年から2005年に、約19億円かけて金堂の保存修理が行われた。
ガイドブックには、こちらの国分寺にはたくさんの仏像が収められているとありましたが、この外観からは想像できず。一瞬「仏像はどこ?」と思いました。しかし、「拝観される方は裏の受付に」という張り紙があり、受付で拝観料(500円)を払い、金堂の中に入らせていただきました。
金堂の中は荘厳な雰囲気で、国分寺のご本尊である薬師如来坐像を中央に、その両脇に日航菩薩と月光菩薩の立像が安置されています。その手前に十二神将が、壇の四方には四天王四躯がご本尊をお守りしている形で守護の座についています。
さらに金堂の両脇や後堂にも多数の仏像が安置されており、まさかこの金堂の中にこんなにも仏様たちがいらっしゃって、独特の雰囲気を醸し出しているとは外観からは想像できませんでした。
お寺の方に、「どうして周防国分寺にはこんなに仏様が集まっているんですか」とお尋ねしたところ、「周辺の寺院などが消滅するときに、そのご本尊などをこちらに持ってこられたのだろう」ということでした。
残念ながら、中の様子は撮影禁止のため、撮影することはできませんでした。しかし、あのずらっと並ぶパワーのある仏様に囲まれる体験というのは、なかなかできるものではありません。防府に来たらぜひ周防国分寺を拝観することをおすすめします!
華やかな昔がしのばれる旧毛利家本邸・毛利博物館
旧毛利家本邸・毛利博物館メモ:旧長州藩主毛利氏の邸宅。邸宅の一部を博物館として、国宝を含むたくさんの宝物を展示。旧毛利家本邸は国指定重要文化財で、毛利氏庭園は国指定名勝。
当たり前といえば当たり前かもしれませんが、お屋敷は素晴らしかったです。明治維新後に公爵となった毛利家が大正5年(1916)に建てたお屋敷で、大正天皇や貞明皇后、昭和天皇や香淳皇后が宿泊されたこともあります。
2階からは毛利氏庭園の美しい景色が一望できます。庭園の四季折々のあざやかさを愛でながら暮らしていたのでしょうね。
こちらが当時の天皇が宿泊されたお部屋です。
こちらは化粧室だそうです。毛利家のお嬢様や奥様がこの椅子に座って、お世話をする係の人が髪をすいたりお化粧をしたりしていたのかなと妄想が膨らみます。
こちらが湯殿。この大理石の浴槽を見たときに、佐賀県武雄温泉の殿様湯を思い出しました。(殿様湯は、江戸時代中期に領主の専用風呂として作られた総大理石のお風呂です)
洗い場がこんなに広いのも、一人ではお風呂に入らずお世話する人も一緒だったからでしょうか。
毛利庭園も広々としていてとても気持ちがよかったです。25,000坪もある広大な庭園で、私が訪れたときには桜、さつき、紅葉などの季節ではありませんでしたが、それでも楽しめました。
あまりにも気持ちがよかったので、広々とした芝生の上で靴を脱いで地面の感触を楽しみました。思わずそういうことがしたくなるくらい、気持ちが開けるようなリラックスできる庭園でした。
毛利博物館と庭園の入場料は、セットで1,000円です(特別展が開催されていない場合)。一見の価値ありですので、近くに来られた際にはぜひお立ち寄りください。
日本で最初の天神さま・防府天満宮
防府天満宮メモ:日本で最初に創建された天神さま。菅原道真公が九州の太宰府に左遷される途中、この地に立ち寄る。その際道真公は、「ここはまだ天皇のいらっしゃる京都と地続きのため願わくはこの地に住居を構えたい」と言われた。道真公が亡くなった翌年(904年)この地に天満宮を創建。
私は九州在住で、天満宮といえば太宰府天満宮です。そのため、ここに来るまで防府天満宮が日本で最初の天神さまということを知りませんでした。
菅原道真公といえば、学問の神様。我が家にはすでに受験をする年代の子どもはいません。ただ、娘が難しい資格試験の受験準備をしているので、娘のことをお願いしようと思いました。
お賽銭を入れて一礼すると、ちょうどそこに「どおん」という太鼓の音が。本殿の中でどなたかが何かを祈願されているところでした。その太鼓の音に合わせるようにもう一礼して二拍手、さらに一礼をしました。
すでに参拝を終えていた夫が「まさに、あなたのために太鼓を鳴らしてくれていたみたいだったね」と。そうなんです。私はこういうタイミングのいいことが、よくあるのです。
それから境内にある春風楼に登り、市内を一望しました。
参拝客が多かったのは、時期的にもしかして受験合格のお礼参りの人が多かったのかもしれません。 合格はちまき返納場所というのがあり、そこにはちまきがたくさんありました。この、見事に合格して返納されたはちまきは、神社で洗濯・アイロンをして希望者に無料で配布しているそうです。郵送でも対応しているようですので、希望する方は連絡してみてください。
苦労の多い人生だった山頭火の生涯・山頭火ふるさと館
山頭火ふるさと館メモ:自由律俳句の俳人、種田山頭火は明治15年(1882)防府に生まれる。その山頭火の俳句や生涯を紹介している場所。
種田山頭火というと、私は「分け入つても分け入つても青い山」という俳句と、いろいろ放浪したんだっけ?くらいの知識しかありませんでした。
山頭火ふるさと館では、山頭火の生涯や、旅をしたルート、俳句などを紹介してくれます。
軽く山頭火の生涯を紹介すると、もともとは大地主の家に生まれるも、父の女遊びを苦に、母が山頭火10歳のときに自殺。その後早稲田大学に入学するが神経症のため中退して帰郷。父と酒造業を始め、27歳で結婚。しかしその酒造業も倒産して父は家出、兄弟は離散。山頭火も夜逃げのように熊本へ。
36歳のときに弟が自殺、38歳で離婚。42歳のときには泥酔し熊本市電の前に立ちはだかる。翌年出家。
その後行乞の旅を開始する。その間も自殺未遂を起こしたり、無銭飲食で警察のお世話になったりする。松山で終の棲家を見つけ、57歳で脳溢血で亡くなる。
大変な苦労のあった人生だったのだなと、山頭火の生涯を知って思いました。俳句があってよかったのでしょうね。俳句があったからこそ、まだ生きることに望みがあったのではないでしょうか。
創意工夫された食事がおいしいオーベルジュ三水園
防府市から高速で約45分のところに、今回泊まるお宿があります。
オーベルジュ三水園は、お料理がおいしいと評判の旅館です。
出していただいたお料理は全部で12品。小食の私はかなりお腹いっぱいになりました。そして一品一品が創意工夫されていて、他では食べられないお料理で、とても美味しかったです。器も、料理にあった器でどれも美しく、目でも楽しめました。
三水園の温泉は、家族ごとに貸切のスタイルです。ほのかに硫黄のにおいがして、気持ちのいい温泉でした。泊らなくても食事だけでもできるようですので、機会があればぜひ三水園の美味しいお料理を味わってみてください。
剛健で美しい瑠璃光寺五重塔
瑠璃光寺五重塔メモ:1442年に建立され、現在では国宝に指定されている五重塔。大内義弘の菩提を弔うために建てられた。室町中期のもっとも秀でた建築物と評されている。
2日目は山口市にある瑠璃光寺五重塔に行きました。お願いすれば無料でボランティアの方が説明してくださいます。修復工事中でしたが、五重塔はしっかり見れました。
山を背景に凛として建つ五重塔。きらびやかな装飾はなく、それがかえって好印象でした。安定感や重厚感があり、写真で見るより実際に見た方が、素晴らしさがダイレクトに伝わります。とても美しい五重塔でした。
貴重な資料がたくさんサビエル記念聖堂
サビエル記念聖堂メモ:もともとは昭和27年に、フランシスコ・サビエルが山口を訪れてから400年の記念に建てられた。しかしその聖堂は平成3年に焼失。その後平成10年、現在のサビエル記念聖堂が完成。
サビエル記念聖堂の1階には、フランシスコ・サビエルについて、そしてキリスト教や当時の様子についてさまざまな貴重な資料がありました。
私が印象深かったのはサビエル直筆の手紙と、サビエルの日本人観。直筆の手紙は美しい文字で書かれていました。
日本人観については、サビエルは書簡で日本人について以下のように語っています。
「この国の人々は今までに発見された国民の中で最高であり、日本人より優れている人々は、異教徒の間では見つけられないでしょう。彼らは親しみやすく、一般に善良で、悪意がありません。驚くほどの名誉心の強い人々で、他の何よりも名誉を重んじます。大部分の人々は貧しいのですが、武士もそうでない人々も、貧しいことを不名誉だとは思っていません。」
こんなに日本人を高く評価してくれていて、なんだか嬉しくなりました。
2階にはミサが行える聖堂があり、内部は美しいステンドグラスで飾られています。そして、サビエルの聖骨も安置されていました。右手の指の一部だそうです。
パイプオルガンも置いてあり、1年を通してほぼ毎月「オルガンメディテーション」を開催しているそうです。パイプオルガンの音色を聞きながら瞑想をすると、とても気持ちよく瞑想できそうですね。
見て・学んで・感じて・味わった山口旅行
1泊2日で、防府市と山口市の観光地を回ってきました。歴史にも触れ、美しい景色なども見て、美味しい料理と気持ちのいい温泉を堪能できた旅になりました。
みなさんも機会があればぜひ山口県まで足を伸ばしてみませんか。
周防国分寺基本情報
住所:山口県防府市国分寺町2-67
電話番号: 0835-22-0996
定休日:月曜日(月曜日が祝祭日の場合は、次の日が休館)
拝観料:大人500円、小人300円
拝観時間:午前9時より午後4時まで受付
公式サイト:http://www.suoukokubunji.jp/
旧毛利家本邸・毛利博物館基本情報
住所:山口県防府市多々良1丁目15-1
電話番号: 0835-22-0001
営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日:12/22~31(庭園は年中無休)
料金:
大人 | 小中学生 | ||
庭園 | 400円 | 200円 | |
博物館 | 企画展 | 700円 | 350円 |
特別展(国宝) | 1000円 | 500円 | |
博物館と庭園の共通券 | 企画展 | 1000円 | 500円 |
特別展(国宝) | 1200円 | 600円 |
公式サイト:http://www.c-able.ne.jp/~mouri-m/
防府天満宮基本情報
住所:山口県防府市松崎町14-1
電話番号:0835-23-7700
開門時間:午前6時~午後8時
公式サイト:https://www.hofutenmangu.com/
山頭火ふるさと館基本情報
住所:山口県防府市宮市町5-13
電話番号: 0835-28-3107
営業時間:10:00~18:00 (ただし、特別企画展の開催中は、展示室への入室は17:30まで)
定休日:火曜日(祝日の場合は次の平日)、12/26~12/31
料金:無料
公式サイト:https://hofu-santoka.jp/
瑠璃光寺五重塔基本情報
住所:山口市香山町7-1
電話番号:083-934-2810(山口市観光交流課)
料金:無料(瑠璃光寺資料館のみ有料)
公式サイト:https://yamaguchi-tourism.jp/spot/detail_15401.html
サビエル記念聖堂基本情報
住所:山口県山口市亀山町4-1(亀山公園)
電話番号:083-920-1549
開館時間:10:00~16:00
定休日:年中無休(特別な場合を除く)
料金:大人(中学生以上) 200円、小学生 100円、乳幼児 無料
公式サイト:http://www.xavier.jp/
オーベルジュ三水園基本情報
住所:山口県周南市大字小松原1694-1
電話番号:0833-91-0059
公式サイト:https://sansuien-riu.com/