楽活をご覧のみなさま、こんにちは!
2022年10月11日、日本政府が外国人観光客向けに国境を開放したことは、旅行好きだけでなく、何かしらの理由で海外に憧れを持つ方にとっては、とても喜ばしいことだったでしょう。
海外への行き来が少しずつ戻りつつあるなか、「来年こそはドイツに行くぞ!」「今のうちにドイツの観光スポットをチェックしよう!」そう意気込んでいる方もいるのではないでしょうか。
なかには、「ドイツ定番の観光スポットは巡っているから、ちょっと違うところに行ってみたい」「日本人が少ない待ちを観光してみたい」という方もいることでしょう。
そんなアナタに、筆者が在住する「カッセル」をおすすめします!
見聞きしたことのない方もいるかもしれませんが、実は世界遺産も有する場所です。
今回は、現地カッセルに住む筆者が、世界遺産を有する「ヴィルヘルムスヘーエ公園」について、実際に現地在住の筆者が撮影した写真を交えながらご紹介します。
ヴィルヘルムスヘーエ城公園とは
ヴィルヘルムスヘーエ城公園は、カッセル市内にある世界文化遺産の公園です。
総面積560ヘクタールの広大な敷地をもち、丘陵地帯に位置するヨーロッパ最大の山岳公園と考えられており、通称「ベルクパーク」「山岳公園」「ヴィルヘルムスヘーエ公園」とも呼ばれています。
ヴィルヘルムスヘーエ公園のおおまかな構成
ヴィルヘルムスヘーエ城公園は、庭園を中心に以下のような構成をしています。
- ヘラクレス
- 噴水
- 庭園
- 美術館
- 大温室
- 野外コンサートホール
- 芝生の公園
- カフェ・レストラン
- 売店
支配者によって変容していったヴィルヘルムスヘーエ城公園
ヴィルヘルムスヘーエ城公園は、1689年にヘッセン・カッセル方伯の命令で始まり、建設までに約150 年かかったと言われています。
現在、美術館に生まれ変わったヴィルヘルムスヘーエ城には、さまざまな支配者が住み、それぞれが公園を思うように変化させていったという歴史があります。
統治者が変わるごとに、権力の象徴として何かを構築しました。
例えば、現在では観光客に人気のある巨大噴水(Wasserspiele)の創設は、1677〜1730年に統治していたカール・フォン・ヘッセン=カッセル方伯の治世下において作成されています。
2013年に世界遺産登録
ヴィルヘルムスヘーエ城公園は2013年よりユネスコ世界文化遺産への登録を継続しています。
特に、以下の点において長い間評価を受けています。
- 頂上にそびえるヘラクレス像と巨大噴水から垣間見るヨーロッパ絶対主義時代のシンボル
- 300年前と変わらぬ技術で今も駆動する巨大噴水
特に、巨大噴水の駆動システムは、世界遺産登録の決め手となったそうです。
ヴィルヘルムスヘーエ城公園の見どころ
ヴィルヘルムスヘーエ城公園は、圧倒的な広さや四季折々の変化が楽しめる自然以外にも、以下の要素が見どころです。
- 山頂にそびえるヘラクレス像
- 美術館が入る元宮殿
- 300年前と同じ技術で駆動する噴水
まさに、自然とアートが一体化している場所だと言ってもよいでしょう。
詳しくご紹介します。
頂上にそびえる巨大なヘラクレス像
ギリシャ神話における最大の英雄ヘラクレスの像が山頂にそびえるヴィルヘルムスヘーエ城公園。
このヘラクレス像のモデルは、1700 年にイタリアを訪れたカール・フォン・ヘッセン=カッセル方伯が、ヴィラ・ファルネーゼで見たアンティークのヘラクレス。
1701年イタリアの建築家ジョヴァンニ・フランチェスコ・ゲルニエロが着工したと言われています。
1717年には既にこの場所に鎮座していたとされ、当時のカール・フォン・ヘッセン=カッセル方伯が自身への最高の栄光のあかしとして、ヘラクレスの姿を模した八角形の巨大な白建築させたそうです。
市民にとっては街のシンボルで、初めてカッセルに訪れた際、筆者も「カッセルに来たならヘラクレスも見ないと!」と言われ、真冬の山頂にそびえるヘラクレスを見に行ったほど。
ヘラクレス像のある山頂から眺めるカッセルの景色だけでなく、後述する巨大噴水を上から見下ろす光景は、一度訪れたら忘れられないでしょう。
物理の法則で稼働する「水の芸術」
前述のヘラクレス像と関連があるのが巨大噴水、通称「Wasserspiele(ヴァッサーシュピーレ)」です。
ヘラクレス像が位置する山頂にある貯め池を起点に、複数のステーションを経て宮殿がそびえる場所までの2km以上もある水の流れが見どころです。
自然の圧力だけで流れ落ちる水の総容量は750立方メートル!
終着地ヴィルヘルムスヘーエ城向かいにある噴水の高さは水圧により50メートル以上拭き上がる姿は、圧巻です。
巨大噴水の仕組みは、なんと300年前と同じくエネルギーを使わず物理の法則だけで駆動!
当時としては、卓越した建築と工学の成果だと評価されています。
また、巨大噴水のデザインを改めてよく見ると、以下の観点から対称的なデザインであるだけでなく、正式な庭園芸術の規則にのっとり、幾何学的な形に注がれていることもわかります。
なお、巨大噴水のパフォーマンス「Wasserspiele」は、春から秋にかけてのシーズン限定です。
2020年以降はコロナパンデミックによるWasserspieleの未実施、2022年はウクライナ情勢の影響からライトアップイベントが開催されませんでしたが、来年に期待です。
宮殿を模した美術館
現代のヴィルヘルムスヘーエ城の中は美術館として機能しており、絵画を中心とした作品を鑑賞できます。
もともとは方伯ヴィルヘルム9世の時代に建設された建物でしたが、第二次世界大戦により破壊されました。
現在の建物は1968〜1974年の間に博物館用として再建されたものです。
余談ですが、この宮殿にはナポレオン・ボナパルトの弟であるジェローム・ボナパルトが1807〜1813年の間に住んだとされています。
現地在住の日本人が解説!ヴィルヘルムスヘーエ城公園のおすすめ歩き方
筆者は、カッセルに訪れるのであれば、高速鉄道ICE駅から直通のトラムがあるほどアクセスも良いヴィルヘルムスヘーエ城公園にはぜひ足を運んでいただきたいと思っています。
しかし、山の斜面沿いに公園があるという特性上、事前情報がないと「こんなはずじゃなかった」と後悔する日本人の方の声もチラホラ見聞きすることも。
実際にヴィルヘルムスヘーエ城公園近くに住む筆者が、おすすめの歩き方をご紹介します。
散歩するならベルクパーク公園のみでOK
「公園を散策したい」「地元の人たちみたいに公園でゆっくりしたい」という場合は、宮殿があるエリア周辺を回ることをおすすめします。
地元の人たちもお散歩コースにしていることが多く、アップダウンも少なめです。
宮殿前にはカフェもあるので、ヘラクレス像や公園全体を眺めながらお茶をするのもよいですね。
アートに触れるなら美術館&大温室をメインに
「せっかく公園に来たなら、美術館も見たい!」「植物園も気になるわ!」という場合は、宮殿美術館や大温室をメインに観光することをおすすめします。
ヴィルヘルムスヘーエ城自体が翼を広げたような横に広い構造をしており、意外と歩きます。
また、大温室(植物園)も横に広い構造をしていますので、両方見てちょうどよいくらいの時間になるでしょう。
カッセルの街を一望&ヘラクレス像まで行くなら頂上付近に行こう
真冬のヘラクレスから見た写真。標高があるので街の中心や宮殿は霧の下に隠れています。
「カッセルのシンボルをまじかに見たい!」「噴水の構造をもっとじっくり見たい!」という場合は、ヴィルヘルムスヘーエ城公園ではなく、ヘラクレスの足元にあるビジターセンターを目指しましょう。
自家用車でない場合、トラムとバスの乗り継ぎが必要であるため行くまでには少々苦労しますが、苦労した後に見る大きなヘラクレス像や雄大な巨大噴水の眺めは圧巻です。
軽い登山気分を味わいたいなら上から下まで行くことも
なお、ヴィルヘルムスヘーエ城公園からヘラクレス像が鎮座する山頂までは徒歩でも移動可能です。
足腰に自信がある方、登山が好きな方は、ハイキング装備でチャレンジしてみては!?
まとめ
ヴィルヘルムスヘーエ城公園について、地元民目線でご紹介しました。
カッセル市民にとって、ヴィルヘルムスヘーエ城公園は街を代表するスポットであり、ゼッタイに行ってほしいスポットだそうです。
世界遺産にも登録され、世界中から巨大噴水を見ようと訪れる人もいるほど。
ただ公園を散歩するもよし、ちょっと山を登ってみるもよし、歴史やアートに触れるもよし。
ぜひ、あなたのお好みのスタイルでカッセル・ヴィルヘルムスヘーエ城公園を満喫してみてください。
【情報】
「ヴィルヘルムスヘーエ城公園」基
所在地:Schloßpark Wilhelmshöhe 1, 34131 Kassel ドイツ
入園料(税込):無料 ※施設によって異なる
開場時間:公園自体は24時間営業 ※施設によって異なる
公式HP:http://www.museum-kassel.de/
Wasserspiele開催時季:例年5月1日~10月3日の毎週水・日・祝日、14:30より
1 日チケット ヴィルヘルムスヘーエ 価格
大人:6ユーロ
子ども:4ユーロ
無料入場:18 歳までの子どもと若者、およびカッセル大学の学生
※1日券で次の施設を訪れられます: ヴィルヘルムスヘーエ宮殿、ヴァイセンシュタイン翼、レーヴェンブルク、季節に応じてヘラクレス(4月1日から10月31日まで)または温室 (11月1日から3月31日まで)。ヴァイセンシュタイン ウイングとレーヴェンブルクは現在、改装工事のため閉鎖されています。