【顔面学講座⑪】美容・健康「いい顔」になる食べ物とは?

英語の格言に「You are what you eat.」があります。

日本語にすると「あなたは、あなたの食べたものでできている。」

食べ物によって体が作られる。

それだけではなく、食べ物によって顔も作られるし、心も作られます。

人間は食事からエネルギーをもらい、食事によって体や顔、そして心を作っているわけですから、食事は本当に大切です。

体の健康だけでなく、顔の健康、心の健康、体の美、顔の美、心の美には、何を食べるかが重要になってきます。

池袋絵意知の顔。この顔も今まで食べてきたもので作られた。

水野南北の「節食開運説」

江戸時代の観相家、水野南北が「食は命なり」「どんな悪相、凶相でも食を慎んでいけば相を変えることは可能であり、それによって運も変わる」『節食開運説』を唱えました。

「食を慎めば運が開ける」。逆に「大食、暴食、美食をしていると運勢は凶になる」と。

水野南北ゆかりの地、「福島聖天 了徳院(聖天さん)」。大阪市福島区の「売れても占い商店街」こと福島聖天商店街の先にある。

粗食が大事ということですが、基本的に、動物性たんぱく質、動物性脂肪、砂糖の摂りすぎはよくないです。動物性脂肪や、砂糖をたくさん使った炭酸飲料が肥満の原因になるのは常識で、近頃ダイエットといえば、糖質制限ダイエットが主流になっています。

「グルテンフリー」と「マクロビオティック」

世界的テニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ選手が実践し、今や多くの一流アスリートが取り入れている「グルテンフリー」という食事法もあります。

簡単に言うと、パン、パスタ、ラーメン、うどん、ピザ、ケーキ、クッキーなどの小麦粉を主原料とした食品を食べないことで体質改善されるものです。脂肪もつきにくくなり減量もスムーズになります。サッカー日本代表・長友佑都選手も実践しています。

東洋の陰陽思想を食事法に発展させた「マクロビオティック (macrobiotics)」もあります。久司道夫さんによってアメリカで玄米を主食とした自然食のマクロビが広がり、ジョン・レノンとオノ・ヨーコも実践していたそうです。

他にも添加物を使用した食品は避けて無添加にこだわる、野菜は無農薬にこだわりオーガニックだけを口にするなど、健康を考えた食事法が数多くありますが、今回は主に咀嚼や艶の観点から「いい顔」になる食べ物を紹介します。

人類学者による警告「硬い物を食べよ」

歯や顎をしっかりさせるには「齧る」ことが大事。フランスパンのような硬くて大きな食べ物を手づかみで食べるといい。

日本顔学会の元副会長で国立科学博物館名誉研究員の人類学者・馬場悠男先生は、10年以上前から現代人の顎が小さくなっていることを懸念しています。

2011年に開催された、第21回特定非営利活動法人日本顎変形症学会 市民公開講座『あごのかたちと現代社会』の【縄文人のあごをとりもどせ】と題した講演では、このようなお話がありました。

縄文人の頭骨は、下顎枝が幅広く咀嚼筋が発達。顎のエラが張っている。歯並びが良く口元が締まる。歯槽骨が厚くしっかりしている。

最近の若い女性は睡眠時無呼吸症が多い。細く小さい顎は睡眠時無呼吸症になりやすい。

(睡眠時無呼吸症は「心筋梗塞」や「脳梗塞」を招くこともある)

つまり、若い女性に人気の小顔というのは小さい顎のことで、健康のためにはよくない。

そこで先生が推奨していたのが、硬い物を食べること。

柔らかい食パンじゃなくて硬いフランスパン、肉ならハンバーグや霜降り肉ではなく赤身の肉

「アジの干物素揚げ給食」を日本全国へ

馬場先生は最近の子供の顎の発達が悪くなったことにも警告を鳴らしています。歯並びが悪くなって乱杭歯になったり、噛む力が弱く、咀嚼機能も悪い、虫歯にもなりやすいと。

そこで、先生が教育委員をしている神奈川県の座間市では「アジの干物素揚げ給食」を実施。骨ごとよく噛んで食べることで、子供たちに噛む力をつけてもらい顎の発達させる「食育」をおこなっているとのことでした。

いい顔になる食べ物①【りんご】

西洋では「医者いらず」と言われるリンゴ

「いい顔」になる食べ物として私がおすすめしているのが「りんごの丸かじり」です。

馬場先生が言うように歯を立てて「齧る」ことで歯と顎が強くなります。よく噛むことで老化予防にもなりますし、噛むことで自然に顔の筋肉、表情筋が鍛えられて「いい顔」になります。

りんごは栄養価も高く、イギリスには「An apple a day keeps the doctor away.」(一日一個のりんごは医者を遠ざける)ということわざがあるほど、健康にいい食べ物です。

いい顔になる食べ物②【アーモンド】

無塩で素焼きのアーモンドがベスト

ナッツ類の中でも特にアーモンドはおすすめです。

「老化予防になるビタミンEが豊富」「食物せんいが豊富+噛むことで満腹感が得られてダイエット食としてもいい」、「カルシウム、マグネシウムも豊富で骨の形成にもいい」「脂質もオレイン酸が豊富で悪玉コレステロールを抑える良い油」といいことだらけ。

歯と顎を鍛えるのにもいいですし、食品から良質な油が摂れるのが魅力です。艶のある肌、みずみずしい肌を作るにはそれなりに脂質は大切で、オリーブオイルやごま油もいいですが、食べ物ならばアーモンド。

ミックスナッツはおすすめしません。クルミやカシューナッツはいいですが、その多くは“ナッツではないジャイアントコーン”が入っていていますし、揚げていて油分も塩分も多いので。

いい顔になる食べ物③【ブロッコリー】【根菜】

「完全栄養食」「野菜の王様」と言われるブロッコリー

現代人は食品添加物だけでなく、空気中から大量の毒素を体内に取り込んでいます。だから解毒作用のあるものを食べることが大切です。

デトックス効果がある食べ物は、りんご、ブロッコリー、きのこ類、にんにく、ネギ、玉ねぎ、大根、ごぼう、海藻類、パクチーなど。

なかでもブロッコリーはデトックス効果だけでなく栄養価の高い野菜なので、固茹でにして食べるのがおすすめ。

冬は、ニンジン、大根、ごぼうなどの根菜。大地のエネルギーをいただくつもりでよく噛んで食べると「いい顔」になります。

昭和の観相家・藤木相元先生の長寿の秘訣

現代人は子供の頃から柔らかいものを食べているので、サシがたくさん入った霜降り肉は柔らかくて美味しく感じますが、本来であればステーキも歯応えのある赤身の肉を食べたほうがいい。

ちなみに昭和の観相学の大家・嘉祥流観相学の藤木相元先生は、2014年に91歳でお亡くなりになりましたが、先生が80歳を超えてからのインタビューで「月に1回ステーキを食べるのが元気の秘訣」と答えていた記憶があります。

藤木先生は僧侶でもあり、日頃は精進料理とまではいかなくとも食を慎まれていたと思うのですが、適度に肉や魚も摂取することで長寿になられたんだと思います。

私が藤木先生にお目にかかったのは、2002年3月。池袋で偶然先生をお見かけしてご挨拶をさせていただいたのですが、背筋が周りの誰よりもピシッと伸びていてとても78歳とは思えませんでした。

水野南北が言うように「食を慎しむ」ことは大事で、年齢を重ねれば重ねるほど動物性タンパク質はなるべく食べず、菜食にシフトすべきです。しかし、食べたい物を食べずにいるとストレスを生んでしまい健康によくない

食べ過ぎもよくないし、食べなさ過ぎもよくない。

「過ぎたるは及ばざる」で今回紹介した食品も、適度に適量を心がけて食べることが大切です。

おすすめの記事