
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」や「天才ですから」など、有名なセリフを数多く残すバスケットボール漫画『SLAM DUNK(スラム ダンク)』が、2022年年末に新たに映画として公開されました。
公開初日にグッズはほぼ完売!パンフレットが買えなかったという声も聞こえるなか、原作を超える映画作品はないからと映画館に行くか迷っている方も少なくないはず。
そこで、現段階の公式サイトでの公開情報を含め、原作の漫画やアニメとは何が違うのか?漫画やアニメに触れたことのない人でも楽しめるのか?気になるポイントをまとめました。
31巻連載終了から約四半世紀!

2022年12月3日(土)より映画『THE FIRST SLAMDUNK』が公開されました。原作の連載が1996年に人気絶頂のなか終了し、25年以上の年月が流れた今、再びスラムダンクが世間を賑わせています。
漫画『SLAM DUNK』の単行本は31巻で最終巻となっており、当時は連載終了を嘆く声も多く、現在でも世代を超えて読まれ続けている人気漫画の1つです。映画化されるとの情報が発信された瞬間からファンたちの心は揺さぶられ、期待は日に日に膨らんでいきました。
原作はどんなストーリー?主人公は不良?
原作漫画の主人公桜木花道は、湘北高校に通う赤髪の不良学生。高校入学後一目惚れした赤木晴子にすすめられ、ルールも知らずにバスケ部に入部。バスケ素人の花道は、人並外れた身体能力を武器にメキメキと成長し、仲間と共に全国制覇を目指します。
湘北高校のバスケ部には、花道の恋敵となる天才プレイヤー流川、主将の赤木(ゴリ)、副主将の小暮(メガネくん)、3Pシューター三井(ミッチー)、PGの宮城(リョーチン)などのメンバーから構成されています。バスケ部監督は「あきらめたらそこで試合終了ですよ」のセリフで有名な安西先生。
このほかにもバスケ部マネージャーの彩子や対戦相手の選手たちなど、注目の登場人物が盛りだくさん。ここでは紹介しきれませんが、推しができること間違いなしのメンバーが出揃います。
オープニングから号泣?
ここからはネタバレのない程度に映画の内容について触れていきましょう。
漫画やアニメでスラムダンクの虜となったファンたちは、映画の序盤から目頭が熱くなることが多いようです。その理由のひとつに「ずっと待っていた」という気持ちがあります。
筆者は昔「スラムダンクを読んでいない人は人生の半分を損している!」と本気で思うほど、熱烈なファンでしたがバスケ部ではありませんでした。別の部活で奮闘していたのですが、もし入部前にスラムダンクの漫画に出会っていたら、バスケ部に入っていたのではと思うこともあります。実際にスラムダンクを読んでバスケ部入部を決めたという友人もいました。
映画館ではオープニングから心を鷲掴みにされ、巨大スクリーンで湘北高校バスケ部を見ることができて感極まってしまい、涙を堪えることができませんでした。
また、漫画では読み手それぞれの好きな場面や間の取り方をしているため「ここはもっとゆっくり話してほしい」や「この場面のアングルが」など、ファンの間ではマニアックな意見もありました。
漫画やアニメを知らなくても楽しめるか

話題になってはいるけど、原作を知らなくても楽しむことができるのでしょうか。そこで、予備知識が無い、またはほぼ内容を知らないという状態で観たと言う方に、感想を聞いてみました。
すると、「すごく面白い!泣いちゃった」「あのストーリーはどこから繋がってるの?アニメ見たらいい?漫画から?」などのコメントが返ってきました。もちろんSNS上では賛否の声がありますが、見たことのない方も楽しめる内容になっている印象です。漫画やアニメの内容を知らずに映画を観て、漫画を全巻大人買いした方もいました。
映画の中では、どのキャラクターがどんな人物なのか、それぞれが心の内に迫るシーンも見どころです。今まで原作でも語られることのなかったキャラクターたちの繊細な心情や過去の体験など、胸の熱くなる場面もたくさん登場します。
バスケ経験者が観て思うこと

どんな映画やアニメでも、実際の経験者からみると「現実はこんな感じにはならない」といった、玄人だからこそのリアルな声が聞こえてくることもあります。今回のTHE FIRST SLAM DUNKではどうなのでしょうか。
学生の頃アメリカでプレイしていた方に感想を聞いてみました。すると「あの場面が本当にリアルだった」と感慨深い表情で教えてくれました。
アニメーション技術が進歩した今、地味にぶつかりあうような揺れるシーンやバスケ特有のリアルな動きが伝わってくるそうです。その方いわく「バスケしてる人ならわかる感覚」が如実に表現されているようです。その感覚をスクリーンを通して感じることができるのは、経験者だからこその醍醐味なのでしょう。
主題歌の迫力
アニメでは大黒摩季、BARD、WAMDS、ZYYGなど、アニメを知らなくても聞いたことのある名だたる有名曲が主題歌でした。今回の映画ではオープニング主題歌はThe Birthdayが担当、エンディングは10-FEETの「第ゼロ感」です。当時のアニメの印象とは異なる渋い声とギター音のオープニングから始まります。
事前情報のない状態で観に行くと「え?!こんな始まり方あり?」というような、いい意味での動揺があり、作中のここぞという場面で流れるパワフルで迫力のある音楽にも、心揺さぶられます。当時のアニメとは一変した音の使い方や映像の質感が、映画館という空間を最大限に活かし、観ている人の心に響きます
映画上映までのカウントダウン
公式サイトでは、公開前から選手の背番号に合わせてカウントダウンを行っていました。主題歌も動画で聴くことが可能です。事前情報なしで観に行こうと考えている方は、念の為クリックを控えてくださいね。
■試合開始まであと14日(#14三井寿)
■試合開始まであと11日(#11流川楓)
■試合開始まであと10日(#10桜木花道)
■試合開始まであと7日(#7宮城リョータ)
■試合開始まであと4日(#4赤木剛憲)
見るたびに新しい発見
映画では原作のシーンがなくなっていたり、原作にはないストーリーが加えられていたりと、漫画を読み込んでいる方なら「あのシーンがなくなっている」とショックを受けることがあるかもしれません。
しかし、この映画の中には、いろいろな場面が一気に組み込まれている画があり「この場面が抜けていると思ったら、さりげなくこんなところに」や「あ!〇〇がいた」など、細かな発見があります。
1度目で全てに気づくには、上映中に漫画のストーリーや画の記憶を辿りながら、クリーンの端から端までくまなく観察する必要があるかもしれません。実際に3回観ましたが、まだ探せば出てくるのでは無いかと、お気に入りのシーンやキャラクターをもう一度探しに行きたい気持ちです。
映画館で見るべき?

冒頭部分にも出てきたように「原作を超える映画はない」と考える方も多く、筆者自身も同じ意見でした。「スラムダンクが好きだからこそ、観て後悔したくない、でも全部見ておきたい…」そんな思いを胸に期待と不安を織り交ぜながら、数年ぶりの映画館に向かいました。
しかし始まるや否や、そんな不安を抱いていたことを綺麗さっぱり忘れてしまうほど、面白くクオリティの高い映画でした。音楽、映像の質感、大画面での迫力、何をとっても大満足。1度は映画館でぜひ観ていただきたいと、個人的に思ってしまいます。欲を言うなら漫画も読んでいただきたいのが本音です。

漫画は通常版31巻、完全版24巻、新装再編版20巻となっており、アニメの最終話101話は、通常版22巻の終わりにあたるので、アニメを見たことがある方は23巻からスムーズに読むことができます。アニメに出てこない感動シーンやキャラクターを、是非漫画でもお楽しみいただけたら嬉しいです。
映画は2023年1月現在、全国の映画館で公開中です。
感動必至の映画『THE FIRST SLAM DUNK』、漫画読者はあのメンバーとスクリーンを通して再会、まだスラムダンクを知らない方は、新しい感動と出会ってみるのはいかがでしょうか。
【情報】
映画『THE FIRST SLAM DUNK』
全国ロードショー、現在公開中!
原作・脚本・監督:井上雄彦
演出:宮原直樹 北田勝彦 大橋聡雄 元田康弘 菅沼芙実彦 鎌谷悠
キャラクターデザイン:井上雄彦 江原康之 CGディレクター:中沢大樹 作画監督:江原康之
美術監督:小倉一男 色彩設計:古性史織 撮影監督:中村俊介 編集:瀧田隆一 音響演出:笠松広司
アニメーションプロデューサー:西川和宏 プロデューサー:松井俊之
声:仲村宗悟 笠間淳 神尾晋一郎 木村昴 三宅健太