厚生労働省の調査で、仕事におけるストレスを感じる人が約6割、そのうちの3割の人が「対人関係」がストレスと答えています。これは働いている人を対象とした調査ですが、学生や主婦も、対人関係によるストレスを抱えている人は多いでしょう。私たちの悩みの多くは、人間関係の悩みと言えるのではないでしょうか。
私はこの8年間で約1,500冊の本を読みました。そこで、今まで読んできたたくさんの本の中から、人間関係の悩みを解決するために最も役立った本をピックアップし、珠玉の6冊を紹介します。
「私はこんな性格だから…」と良好な人間関係をあきらめていませんか。
スムーズな人間関係構築の重要なポイントとなるのは性格の良し悪しではありません。むしろ効果的な言い方、伝え方など、コミュニケーションについての技法や知識を知っていることのほうが大切なのです。
そしてそれは習得可能な技術です。伝え方や受け取り方の技術、また異性の脳への理解、心の仕組みなどを知ることにより、今よりももっとよい人間関係が築けます。
理解すれば習得できて、習得できれば人間関係のストレスが少なくなるのだとしたら、理解して活用しない手はありませんよね。
さあ、一緒によりよい人間関係を目指して、本の旅を始めましょう。
レッスン1:『嫌われる勇気』を読んでマインドを整えよう!
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『嫌われる勇気』では「人は変われる」「世界はシンプルである」「誰もが幸福になれる」ことを教えてくれます。
あなたは人生が複雑だと思っていませんか。人間関係も複雑だと思っていませんか。その人生を複雑にしているのが自分自身だとしたら?そこに気づけば人生はシンプルになります。人生はシンプルなんだと気づいてこそ、人間関係もスッキリとなります。
最初に『嫌われる勇気』で人間関係に関する心持ちを整えましょう。
『嫌われる勇気』をすすめる理由
人生を自分次第で変えていけるとしたら、とても未来が明るくなるような感じがしませんか。人生は「どうしようもないもの」ではなく、自分次第で何とでもなるものなんだと『嫌われる勇気』は教えてくれます。
『嫌われる勇気』を読み始めてすぐに
・世界はシンプルだ
・世界が複雑に見えるのならあなたの「主観」がそうさせている
・人は変われるのに、あなたが変わらないのは、あなた自身が「変わらない」決心をしているから
・あなたが自分を嫌いなのは自分を好きにならないでおこうと決心しているから
というような、一見厳しい話題が続きます。しかし、ここを腑に落とさないと人生はいつまでも複雑なままとなりますので、じっくりと内容を自分に落とし込みましょう。
『嫌われる勇気』を読むとこうなる
いつの間にかあなたは人の期待を背負っていませんか。自分の人生なのに、ほかの人の期待を満たすために行動していませんか。
『嫌われる勇気』では、あなたは他者の期待を満たすために生きているのはなく、他者もあなたの期待を満たすために生きているのではない、と書かれています。
多くの人がこの考え方に賛同して、この通りになれば親子関係のいざこざもかなり少なくなるでしょう。そしてそれ以外の人間関係もシンプルになるのではないでしょうか。
少なくとも、この考え方を知ったあなたは、今後人の期待のために自分の人生を変えなくてすみます。また、人があなたの思う通りに動いてくれないからといって怒ることもありません。
私のおすすめポイントはここ!
『嫌われる勇気』のおすすめポイントはたくさんありますが、特におすすめなのが「課題の分離」という部分です。あなたの悩みの大部分はもしかすると自分の「悩み」ではないかもしれません。
例えば、あなたのお子さんが勉強しないということで、あなたが悩んでいたとします。この「勉強する・しない」というのは誰の「課題」でしょうか。これは、実は「子ども」の課題で、親であるあなたの課題ではありません。そして、私たちは人の課題を奪い取って自分のものにしてしまってはいけないのです。
「誰の課題か」がクリアになり「課題を分離」できれば、あなたが悩む問題は激減するでしょう。
レッスン2:『妻のトリセツ』&『夫のトリセツ』を読んで男女間のミスコミュニケーションを防ごう!
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人間関係の悩みの中でも特に上位を占めるのが、男女間の分かり合えなさではないでしょうか。
「男と女のあいだには深くて暗い河がある」という歌がありましたが、『妻のトリセツ』と『夫のトリセツ』はその「深くて暗い河」に橋をかけてくれるでしょう。
レッスン2は2冊セットで紹介します。男性は女性の、そして女性は男性の「取り扱い方」をお互いに知って、気持ちの良いコミュニケーションをしましょう。
『妻のトリセツ』&『夫のトリセツ』をすすめる理由
「なんで男っていつもこうなの!」と思うことはありませんか。
「ただ共感してほしくて職場の人間関係のことを話しただけなのに、いきなり問題解決策を話し始める。そのうえ『それはお前が悪い』なんて批判さえしてくる。ただ『そうなんだ。大変だね』と言ってほしかっただけなのに」という嘆きは、よく聞きます。
『夫のトリセツ』を読むと、どうして頼んでもいない問題解決を述べてくるのかの理由がわかります。それはただ単に男脳と、女脳の機能の問題なのです。決して男性側に悪気があるわけではなく、どちらかというとよかれと思って言っているのだそうです。
きっと男性側にも「どうして女性っていつもこうなんだ!」と思うことがあるでしょう。この本を読むと脳がそうなっているのなら仕方がない。脳がそうなっている相手にも理解できるように話をしよう、という気持ちが沸き起こります。
『妻のトリセツ』&『夫のトリセツ』を読むとこうなる
男性は女性の、女性は男性の取り扱い方がわかるようになります。例えば『妻のトリセツ』のなかに「妻を絶望させるセリフ」というのがあります。女性が読むと「あるある」「だよねー」と思うのですが、男性が読んでもどうしてそのセリフが妻を絶望させることになるのか皆目見当がつかないでしょう。
しかし!『妻のトリセツ』を読むと、なぜ妻が絶望するかの理由が書かれています。
例えば「おかず、これだけ?」このセリフ。男性方、ご用心ください。このセリフは地雷です。
男性側はただ単に、自分の茶碗によそわれた白米と、目の前にあるおかずをどう食べるかの配分を決めるために、ほかにおかずは出てくるかどうかを聞いたのでしょう。しかし女性の脳には「これだけしかないの?ほかにはないの?」と聞こえるのです。
どういうセリフが地雷かが事前にわかっていれば、わざわざ地雷を踏みにいかなくてもすむようになります。
私のおすすめポイントはここ!
『夫のトリセツ』を読んで、私が「あ!だからか!」と一番納得した部分があります。私の夫は、よく私の言ったことを聞いていません。私は何回も言ったのに「そんなこと言った?」と平気な顔で聞いてきます。
『夫のトリセツ』によると、男性がぼうっとしているときに急に話しかけても「ほぇ、ほぇほぇぴ~」くらいにしか聞こえないのだそう。なので男性に話しかけるときには
・視界に入る場所まで行って名前を呼ぶ
・2~3秒待って、本題に入る
この2段階の準備を経て話し始めるとよいそうです。
これは彼氏に対しても、職場の男性の上司や部下に対しても同じことなので、とにかく男性に大切なことを話すときにはいきなり話しかけないようにしましょう。
レッスン3:『話す技術・聞く技術―交渉で最高の成果を引き出す「3つの会話」』を読んで難しい会話をするときのコツを身につけよう!
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人間関係は男女関係だけに限らず、いろいろな人と難しい会話もしなくてはいけません。
ご近所の犬がうるさいときにどう伝えればよいのか。上司からの依頼をどう断ればよいのか。義理の親との育児方法の違いをどう説明するか。日常生活における難しい会話や交渉を上手に乗り切る会話術をこの本は教えてくれています。
難しい会話をするときは、感情的にならずに論理的に話をすすめなければと誰しも思いますよね。実は、これが間違いなのです。感情を入れずに話そうとして、よけい会話をややこしくしています。
『話す技術・聞く技術』をすすめる理由
『話す技術・聞く技術』の著者は「ハーバード ネゴシエーション・プロジェクト」という、人間関係での交渉術やトラブル解決について長年研究を重ねてきた世界最高峰の研究者たちのグループです。それだけでも一読の価値はありますよね。
例えば、未成年の娘がタバコを吸っているとします。タバコが身体に悪いことは父親も娘もわかっています。だからといって「お前は今すぐタバコをやめるべきだ」と言っても娘は素直に聞くでしょうか。
「私は正論を言っている」それだけでは人は言うことを聞きません。では、どうすればよいか。答えはこの本を読むとわかります。
『話す技術・聞く技術』を読むとこうなる
難しい会話であればあるほど、私たちは会話に感情を挟み込むことを避けようとします。しかし「感情についてきちんと話し合わずにいると、驚くほど多くの困難な会話が進むべき方向を見失ってしまう」のだそうです。
感情を抑えようとしても、態度や声のトーンににじみ出ますよね。伝えないようにしようという感情は逆に緊張を生み出します。そして、爆発することもあるでしょう。泣いたりかんしゃくを起こすのは、感情を伝えていないせいでたまりにたまったものが行き場を失った結果なのです。
『話す技術・聞く技術』を読むと、今よりもっと上手に「感情をめぐる会話」ができるようになります。これは習得可能な技術です。
私のおすすめポイントはここ!
「何があったかをめぐる会話」では誰がどういう意図でしたのか、誰が正しいのか、だれが責任を取るべきなのかということを延々と話しがちです。
例えば、職場で外部から重要な来客が予定されているのに会議室の予約を入れ忘れていたとしましょう。すると、誰が忘れていたのか、だれの責任か、どうして忘れていたのかということに焦点が当たりますね。「事実、意図、責め」この3つの思い込みを正さないと、いつまでもお互いに傷つけあう会話しかできないことになるでしょう。
私たちは、とにかく自分は正しいと、自分の正しさを証明したがります。
相手の意図するところを知らないのに、勝手にこうだと思い込みます。そして、「誰が悪いのか?」の犯人探しをしてしまいがちです。『話す技術・聞く技術』を読むとそのような不毛な会話が減ることでしょう。難しい会話をより簡単にする技術をこの本で知ることができますので、自分に取り入れて、活用してください。
レッスン4:『ザ・ワーク人生を変える4つの質問』を読んで現実に起きていることと、起きていることに対する自分の考えを冷静に分析しよう!
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ここまで学んでも、まだまだ腹の立つ人や、腹の立つことはありますね。どうしても許せないとか、心からどうにかしたいと思うことがあれば 『ザ・ワーク 人生を変える4つの質問』 がおすすめです。
『ザ・ワーク』を読むにあたって、一つだけ注意点があります。
それは、ただ読むだけでは、この本の効果を十分に得ることはできないということです。読んだ内容を実践してこそ、この本の価値がわかります。何か悩んでいることがあれば、実際にこのワークを真剣にしてみましょう。
YouTubeで本書の著者「バイロン・ケイティ」で検索すると、日本語訳がついたものがたくさん出てきますので、ワークの仕方を動画で学ぶこともできます。
『ザ・ワーク』をすすめる理由
この本は単純な4つの質問を自分に問いかけるというワークを紹介しています。その4つの質問とは
・「それは本当でしょうか?」
・「その考えが本当であると、絶対言い切れますか?」
・「そう考えるとき、あなたはどのように反応しますか?」
・「その考えがなければ、あなたはどうなりますか」
です。
たったこれだけの質問で、多くの人が何年も何十年も悩んでいたことが解決できます。
シンプルだけれども、とても深いのです。真剣にこのワークに取り組むと、苦しんでいたことが、見方を変えるだけで苦しまなくなるパラダイムシフトが起こります。
『ザ・ワーク』を読むとこうなる
自分が信じていたり、当然だと思っていることが、現実と違うときに人は苦しみます。自分の考えを信じていて、目の前で起こっている現実を現実として見ていないからです。
例えば、部下に対して怒っている上司がいるとします。上司は部下に優秀であれと思っています。しかし現実ではその部下は仕事ができません。もしこの上司が「部下は優秀であれ」という自分の考えに執着している限り、その自分の考えによって苦しみ続けるでしょう。
『ザ・ワーク』を読むと、いかに「こうでなければ」「こうであれ」という自分の考えが、現実と違うときに、自分を苦しめるのかがわかります。
無能な部下が自分を苦しめているのではなく、「部下は優秀であれ」という自分の考えに執着していることで、自分自身が自分を苦しめていることがわかるのです。
私のおすすめポイントはここ!
この本を1回目に読んだときは、読んだだけでしたので「ふーん」という感じでした。その後何年かして再び真剣に読み返し、まじめにこのワークに取り組んだところ、この本はこんなにためになるんだ!とびっくりしました。
『ザ・ワーク』は人間関係以外にも使えます。例えば心臓病を患っている人が、その病気に対して怒りを感じているとき、親しい人を亡くして怒りと悲しみを抱えている人などにも有効です。怒り、悲しみ、批判など、あらゆるネガティブな感情に対処するために、本書でのワークが適用できます。
『ザ・ワーク』を読んで、このような方法があるということを知っておくだけでも、いざというときの保険になるのではないでしょうか。
レッスン5:『反応しない練習』を読んで仏陀の境地になろう!
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ここまでレッスンをすすめてきたあなたは、かなり人間関係に関してエキスパートになれたことでしょう。
それでも、日々嫌なことは起こります。車を運転していると横から車が割り込んできてぶつかりそうになることもありますし、職場ではよくわかっていない上司が無茶ぶりをしてくるでしょう。
「どうすれば心穏やかに過ごせるのか?」と思うあなたに奥義を授けます。それは「反応しないこと」。
この本で反応しない練習をしていきましょう。
『反応しない練習』をすすめる理由
悩みというのはすべて「心の反応」から始まっています。相手の態度が原因ではなく、相手の態度に対する自分の「心の反応」が悩みを引き起こすのです。ですので、「ムダな反応をしない」ことができると、すべての悩みが一気に解決します。
さあ、あなたも「反応しない練習」をして、あらゆる悩みを消しませんか。
『反応しない練習』を読むとこうなる
悩みを引き起こす心のメカニズムがわかります。自分の心の状態を自分できちんと見られれば、日ごろ感じている不安や心配、落ち込みや怒りなどの「ムダな反応」をしなくてよいようになります。
私たちはよく「あの人にこう思われているかもしれない」「あの人はこう思っているに違いない」と、事実でないことを自分勝手に妄想しますよね。その妄想に基づき、不安になったり、落ち込んだりします。『反応しない練習』を読むと、そのような妄想をしている自分に気づき、妄想をやめられるようになります。
ただし、練習は必要です!
私のおすすめポイントはここ!
人が悩んでしまう理由の一つが「判断しすぎる心」なんだそうです。
そう言われると、確かに私たちはさまざまなことを「判断」しています。誰かと比べて優れているとか劣っていると思うのも判断ですし、これが正しいとか、これは間違っているというのも「判断」です。
判断は執着の一種で、事実として目の前に「ない」ものを「ある」と執着すると苦しみが生まれます。(これは『ザ・ワーク』で言っていることと同じですね)
目の前に「こうでないもの」があるのに「こうでなければいけない」と判断する心が苦しみを産むのです。そのような「判断」によって自分や相手を苦しめているのならば、それを手放しませんか。この本にはそのような苦しみを手放す方法が書かれています。
まとめ
レッスン1では人間関係の心構えを、レッスン2では男女間のコミュニケーションの仕方の違いを学びました。レッスン3では会話で感情を伝える大切さを、レッスン4では自分の見方によって世界が変わることがわかりましたね。そしてレッスン5が究極の奥義「反応しない」です。
1,500冊読んでも、「これは自信を持ってみなさんにおすすめできる!」という本は意外に少ないのです。
しかし今回紹介した本は自信を持っておすすめできる本ばかり。今のあなたにぴったりな1冊があれば、ぜひ読んでみてください。そしてその本に書いてあるエッセンスをご自分に取り込んで、人間関係で悩まない明日を目指しましょう!