一夜限りのナイトクラブで心のブレーキを壊す夜

「一夜限りのナイトクラブって何?」

古き良き横浜を再現するってどういうこと?別の港町で育った私にはその響きがどこか異世界じみて聞こえ、思い切って足を運んでみることに。

会場に着くと、そこは“吸い込まれそうなトンネル”の入り口に佇む、まさに「古色蒼然」を体現した建物。赤い大小の屋根が重なり合い、アンティークフレンチ風の白い壁が印象的な外観に圧倒されます。

異世界への入り口

その日の昼間は、堅めの研究者たちとコンサバな服装でヘルシーランチを楽しみ、「まぁ、これで満足かな」なんて気分でいました。ですが、このクラブに足を踏み入れた瞬間、頭の中で「ガーン!」という衝撃音が響くほどの別世界。

さっきまでの日常が、急に退屈なものに思えてくるのです

80年分の時を刻む空間

横浜の歴史を見つめ続けてきた築80年のクリフサイド。昭和の終戦直後から令和の今まで、多くの人々の記憶を染み込ませてきたこの場所は、まるでタイムマシンのよう。

扉をくぐると、最初に迎えてくれたのは、どこかの国の神様のような威厳を感じる方――実は勝烈庵社長の本多初穂さんだと後から知りました。年代を重ねた階段を上ると、一期一会の相席の仲間と乾杯。ビールの泡が心までほぐしてくれます。

ダンスフロアが教えてくれること

2階の回廊から見下ろしていると、先陣を切って踊り出す方々。シンガーイクラ、サックス、トランペッターが織りなす音楽に煽られ、座っていた方々も、あっという間にフロアへ、皆が自分の欲するままに踊り始めます。フロアはあっという間に人で埋め尽くされました。ファンキースタイルのダンスミュージックが流れる中、参加者たちは高いチケット代も意に介さず、自分を解放しに来たようです。「踊りまくるぞ!」という熱気が、歴史あるこの建物を満たしていきます。

リズムが同調し、ぶつかり合い、見知らぬ人と目を合わせて笑い合う――不思議な一体感、その瞬間、心がつながり、「ありがとう」と自然に言葉がこぼれるのです。

これが、ライブの力。

魔法のような解放感

季節外れの大粒の汗が流れる頃、シンガーが「骨まで溶けて」と歌い上げます。その頃には、足元がふらつく人もちらほら見かけますが、不思議と怪我人が出ないのは、この場所の魔法。

普段から座っていられないほどアクティブなPR(パブリックリレーションズ)Y2Yの三ツ井社長も、気がつけばフロアのど真ん中。グラサン姿のシンガーを真似て、自分のサングラスを取り出す姿は小学生のようで、周りを笑いで盛り上げてくれました。

感謝と次なる一歩

イベントの仕掛け人である地元有志たちの勇気にも乾杯!もしかすると大損失のリスクがあったはずですが、見事チケットは完売。イベントの最後には、アメリカンハウス社長の加藤完丈さんの挨拶があり、スタッフ全員がステージ前に集まり感謝の大拍手。参加者たちは大人の社交に酔いしれ、大満足の一夜を過ごしました。

理性的思考をつかさどる前頭前野――普段はブレーキの役割を果たすこの脳部位も、溢れるドーパミンによって壊され、解放された夜。

「ブレーキを壊した先に何がある?」

もちろん、それは新しい創造です。この夜の解放感を胸に、翌日からはさらにワクワクする仕事や挑戦に出発して行かれたことと思います。

ただし、クリフサイドへの依存にはくれぐれもご注意を!

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